目次
掲載情報
掲載雑誌
- ビックコミックスピリッツ 1984年9月30日号
アニメでは
時系列とでき事
- 1984年9月17日 五代裕作、響子さんの母校へ教育実習へ行く
この頃のでき事
- 9月1日 - 沖縄県の極東放送がエフエム沖縄に社名を変更、中波局からFM局に転換。
- 9月3日 - 東京国立近代美術館フィルムセンターが焼け、貴重なフィルムが灰に(フィルムセンター火災)。
- 9月5日 - 後楽園スタヂアム、「エアドーム計画」を発表。
- 9月6日 - 全斗煥大統領、現職の韓国大統領として初来日。
- 9月12日 - 森永製菓に脅迫状。9月25日、“かい人21面相”と名乗る人物から報道機関に挑戦状。グリコ事件と同一犯と断定。
- 9月13日 - 『キャプテン』や『プレイボール』で知られる漫画家のちばあきおが自殺。
- 9月19日 - 東京・永田町の自民党本部が放火炎上(自由民主党本部放火襲撃事件)。
- 9月21日 - サンウエーブ工業が「サンヴァリエ」を発売。
- 9月23日 - この日開催の大相撲秋場所千秋楽(幕内最高優勝:多賀竜、平幕の優勝は1976年秋場所の魁傑以来8年ぶり)を以て、蔵前国技館が仮設時代を含め35年の歴史に幕を下ろす。翌1985年の初場所から現在の両国国技館に移行。
- 9月23日 - 阪急が藤井寺球場の対近鉄戦で勝利し、6年ぶり10度目のパ・リーグ優勝決める。これが阪急最後のリーグ優勝となる。
- 9月28日 - 日本コカ・コーラ、缶コーヒー「ジョージア」の商標登録を特許庁に申請するものの却下される(ジョージア事件の項目も参照)。
あらすじ
音無老人の口利きで、響子さんの母校へと教育実習へ行くことになった五代君。惣一郎さんの写真を見られると資料室で探すのですが、昨晩の宴会で寝不足の五代君は思わず涙が出てしまい、それを見て勘違いした八神に惚れられてしまいます。
みどころ
- 八神初登場
初登場人物
- 教育実習先の先生
- 八神いぶき
- マリ子
はじめに
遂に来ました!私の1番好きなキャラの八神いぶきの登場です!何回読んでもテンションが上がってしまいます。
少し補足すると、1番好きなキャラは八神で間違いないのですが、響子さんは別格の殿堂入りです。少しズルいのですが、響子さんは誰と比べてどうだとか、誰より上だとか下だとか、そう言う比較対象で並べられる存在ではないのです。なので、響子さんは殿堂入りとして横に置いておいて…と言う意味で、私の1番好きなキャラは八神です。
第2部開始
ここからは第2部の八神編です。この区切りは私が勝手にしているのですが、その辺の事は軽く漫画全体のレビュー(永遠に語り継がれるラブコメ「めぞん一刻/高橋留美子」レビュー)の方に書いてありますので、何故そうなったのか興味のある方は一読して頂くと有り難いです。リンク先の記事でもまだ自分としては説明が足りないかなと思うので、この辺の部分けについては、漫画全話レビューが終わったあとの総括にしっかりもう1度書く予定です。
この八神編からは、これまでの楽しい日常が永遠に続く様なドタバタコメディから打って変わり、コテコテのラブコメへと作風は変わっていきます。そして私はこの八神編が大好きです。これまでは基本的に1話毎に話が完結し、前後関係はそれほど気にすることなく、目の前の話だけを楽しむスタイルの漫画だったのですが、ここからはラブコメのストーリー漫画になるので、「次はどうなるんだ」、「次の展開を早く知りたい」と、ページをめくる手が止まりませんでした。
音無老人は女子高の理事
五代君は音無老人が理事を務める響子さんの母校で教育実習をすることになります。音無老人は結構力がある人なんですね。惣一郎さんもこの方法でねじ込んだと笑っていました。また、五代君は願書を出すのが遅れて音無老人に頼ったようなのですが、このような細かいところでも五代君の要領の悪さ(ハッキリ悪く言ってしまうと愚図)がわかります。しかし願書を出すのが遅れたおかげで、響子さんの母校に教育実習へ行くことができ、そして八神とも出会ったんですよね。
八神登場
またまたこれもめぞん一刻のパターン、「被せ技」なのですが、女子高時代の響子さんと惣一郎さんの出会い方と、今回の八神と五代君の出会い方は瓜二つでした。響子さんは認めませんが、響子さんと八神は似たようなところが結構あるので、将来の八神は響子さんのようになるのでしょうか。そしてその時の惣一郎さんの態度と、五代君の態度もそっくりで、やはり五代君と惣一郎さんの内面はかなり似ているようです。
ちなみに五代君が教育実習を始めた日にちは、9月17日の月曜日です。黒板にハッキリ書いてあるコマがありました。ここから教育実習は2週間続くのですが、ここからこの教育実習期間だけは、漫画内の時間と現実の世界の時間が同じようには進まなくなります。めぞん一刻は基本的に現実世界と時間の進み方が同じなのですが、この部分だけはどうにもならなかったみたいですね。教育実習期間はどこでも2週間なので、同じように進めると1話で終わってしまうことに…。
めぞん一刻最大の勘違い
めぞん一刻は勘違いとすれ違いから成り立っていると、口が酸っぱくなる程書いてきましたが、今回の八神の勘違いは、その中でも最大の勘違いで、なおかつこれは最後まで勘違いが解かれません。
八神は資料室で涙する五代君を見て、「昔の恋人のことを想って泣いているんだ、私が支えてあげなきゃ」と勘違いし、五代君に惚れてしまうのですが、通常このような勘違いは、近いうちにネタばらしがされ、チャンチャンとオチて解決するのですが、この八神の勘違いは作中解かれることはなく、そのまま最後まで勘違いしたままで五代君一筋でした。これはめぞん一刻の中で最も大きく、そして最も人生を左右してしまった勘違いでしょう。それで八神が幸せならそれで良いのですが…。
八神は学校トップレベルの頭の良さで、要領も察しも良いので、私たち読者に説明されていないところで、実はもう自分の勘違いに気付いていたのかも知れません。五代君の状況と、響子さん、亡くなった惣一郎さん、そして響子さんの母校との点と点を結べば、あの時本当は何だったのかわかりそうなものですからね。もしそのように勘違いがわかっていたとしたら、それでも五代君を本気で好きになってしまっていたので、切っ掛けなどどうでも良くなっていたと言うことなのでしょう。どちらにしても八神は究極に一途なのには変わりありません。
また、五代君が泣いたところもきちんと前から話が繋がっており、前日夜に遅くまで一刻館住人と宴会をしていたので、眠くて涙が出たのです。つまり、前日一刻館住人に宴会を開かれていなければ、資料室で涙が出ることも無く、八神に勘違いされることも無く、そして惚れられることもありませんでした。八神が五代君に惚れた遠因を探ると、実は一刻館住人の宴会なのです。この流れは非常に面白いです。
結構本気
この桜ヶ丘女子高には伝統として、好きな男性教師の背中にハートマークを付ける悪戯があるのですが、響子さんは惣一郎さんに、八神は五代君にやっていました。五代君の場合、たった1日で八神に惚れられてしまったのです。
そしてここでは最後のコマの響子さんのセリフが物語の行く末を、そして八神の気持ちをそのまま表しています。
音無響子
「子供だったのよねーー、あんなことで愛情表現しようなんて…結構本気だったんだけど……」
悪戯と教育実習先の先生は言っていましたが、経験者の響子さんが語るところによると、これは結構本気の愛情表現だったとのこと。
響子さんと八神は似ている部分が多々あり、出会い方やその後の展開まで似ているので、八神も響子さんと同じく本気であることが示唆されています。この、先の物語を予感させる終わり方はたまらなくワクワクします。これが今まで初期のドタバタコメディ編で希薄だった「ストーリーの連続性」なのです。八神登場により、この先のめぞん一刻は、明確にストーリー漫画へと変貌を遂げることになります。
総評
可愛い委員長キャラの八神にここまでべた惚れされ、好き好き攻撃されるとは、五代君羨ましすぎます。まあ今だと手を出すと即ニュースになってしまうので、社会で生きることを考えると、まともな人なら手を出せないのは当たり前なのですが…正直自分に置き換えると…耐えられるかどうか…。
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