漫画全話レビュー「めぞん一刻 第109話「同行二人」」 評価はまだありません

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1985年8月30日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1985年7月28-29日 音無響子、金沢市内を観光

 

この頃のでき事
  • 8月2日 - デルタ航空191便墜落事故。ダラス・フォートワース国際空港付近でロッキード L-1011 トライスターが墜落。乗客乗員163人のうち134人と、地上にいて事故に巻き込まれた1人の計135人が死亡。
  • 8月7日 - 初の日本人宇宙飛行士として土井隆雄、内藤千秋(現姓:向井)、毛利衛の3人が決定。
  • 8月12日 - グリコ・森永事件で犯行グループから「終結宣言」が送付され、以降動きが途絶える。
  • 8月12日 - 日本航空123便が群馬県多野郡上野村の高天原山(御巣鷹の尾根)に墜落、歌手の坂本九を含む520名の死者を出すも乗客4人が奇跡的に生存。
  • 8月13日 - 三光汽船が会社更生法を申請し倒産。戦後最大規模の倒産事案。
  • 8月15日 - 南京大虐殺紀念館、日中戦争終結40周年の一環としてオープン。
  • 8月15日 - 中曽根康弘首相が靖国神社公式参拝。
  • 8月21日 - 第67回全国高校野球選手権大会は大阪・PL学園高校が2年ぶり3度目の優勝。決勝戦(対山口・宇部商業高校戦)で清原和博が1大会新記録となる5本塁打を放つなど、桑田真澄との「KKコンビ」としてのラスト甲子園で有終の美を飾る(植草貞夫の項も参照)。
  • 8月22日 - ブリティッシュ・エアツアーズ28M便火災事故
  • 8月24日 - ユニバーシアード神戸大会、108カ国3949人が参加し開催。
  • 8月25日 - 韓国・北朝鮮、第9回南北赤十字会談(〜28日、平壌)。
  • 8月26日 - トヨタ自動車が「カリーナED」/「コロナクーペ」を発売。

 

あらすじ

響子さんに決別宣言をした五代君ですが、響子さんが一筋流した涙に引っ掛かり、旅行に行った響子さんを追い掛けます。日程表を見て響子さんを追い掛けるのですが、タイミングが悪く、すれ違いの連続になってしまい中々会えません。

 

みどころ

  • 響子さんと五代君のすれ違い

 

初登場人物

  • 恋人に振られたOL

 

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はじめに

今回は全編すれ違いの話で、それのみと言っても過言ではありません。めぞん一刻の面白さのひとつに、すれ違い劇があると何回も書いてきているのですが、そのめぞん一刻のすれ違いパターンがギュッと詰まった回です。この1話だけでめぞん一刻のすれ違いの面白さがわかると思います。

 

追い掛ける五代君

五代君は管理人室のドアに貼ってあった旅行日程表を見て響子さんを追い掛けるのですが中々会えません。普通に考えれば日程さえわかっていればすぐに会えそうなものなのですけどね。旅館で待っていれば確実に会えるのですが、五代君は一刻も早く響子さんに会いたく、観光しそうな場所を手当たり次第巡るのですが、会う寸前までは行くものの毎回すれ違ってしまいます。

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前回、同じ電車、同じ車両、前後の席で会えそうで会えない状況で終わっていましたが、今回も次回もこの流れを汲み、ずっと会えそうで会えない状況が続いていきます。前回最後に予感させた終わり方が現実になったのです。伏線とは少し違うのですが、こうやって前回のパターンをまた今回も続ける、つまりあらゆるシーンに意味があるので、この流れを予感していた身としては「ああやっぱりなw」とニヤッとしてしまいます。

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待ち伏せ

五代君は響子さんの旅館の前で待ち伏せをするのですが、従業員から訝しげに思われそそくさと退散。この辺りも携帯さえあれば全く違った展開になったのでしょうね。

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この場合、自分ならどうするか…。旅館の人に事情を話しても信じて貰える保証も無く、今は個人情報保護が徹底されており、誰が宿泊するかも教えて貰えません。やはり旅行に出てしまった人を携帯無しで捕まえるのは難しいでしょうね。

 

 

深刻な状況のはずが…

五代君は前々回、響子さんに決別宣言をしました。そして響子さんは涙を流して傷心旅行です。本来、もの凄く深刻で五代君と響子さんの関係の危機なのですが、今回は終始すれ違い劇に徹したことで、前回の深刻な状況を忘れてしまうほどの滑稽な回でした。この辺りも何回も描いていますが、めぞん一刻のバランス感覚です。

 

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深刻な話…の中にもクスッと笑う部分がある。深刻なエピソード…の合間に滑稽な回を挟む。ここまでバランスの良い漫画は中々無いと思います。どんなに面白くてもシリアス一辺倒、コメディ一一辺倒だと、人間は贅沢なもので飽きてくるんですよね。このめぞん一刻のバランス感覚、随所に散りばめられる笑いを例えるなら、寿司の合間に食べて舌をリセットするガリ、とんかつの合間に食べて脂っこい口の中をさっぱりさせるキャベツみたいなものでしょうか。深刻な話が続いて疲れたり気分がちょっと沈んだり、コメディばかりで食傷するなんてことはめぞん一刻ではあまり感じませんでした。

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深刻な話で気分が少し沈んでも随所に笑いがあったり、滑稽な回を挟んでくることにより、気持ちが一旦リセットされ、ヒットポイントも回復するので、次の深刻な話も「よしまた読むぞ」と元気な状態で読めました。

 

総評

今回は終始五代君と響子さんのすれ違い劇でした。会えそうで会えない滑稽さを描かせたらめぞん一刻は天下一品です。これは作者の高橋留美子さんの技量だけではなく、そのように(すれ違ってしまうように)動くキャラ付け、性格付けができていることも大きいのでしょう。五代君ならこうなるよなと納得してしまう説得力。世界観やキャラ付けがしっかりできている強みです。よく漫画家が勝手にキャラが動くと言いますが、こういうことなんだと思います。

 

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