漫画全話レビュー「めぞん一刻 第016話「桃色電話」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1981年10月15日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1981年秋 ~晩秋 五代裕作が人形劇部に入る、一刻館に公共の電話が設置される

 

この頃の出来事
  • 10月1日 – 内閣が「常用漢字表」を告示。常用漢字が定められる。
  • 10月1日 – 福島放送(KFB)が開局。
  • 10月1日 – 東京12チャンネルがテレビ東京と社名変更。
  • 10月1日 – ラジオ関東がアール・エフ・ラジオ日本と社名変更。
  • 10月1日 – 東海道本線東京口に新型185系が本格デビュー。
  • 10月2日 – 日本コカ・コーラが栄養飲料「リアルゴールド」発売。
  • 10月5日 – 近鉄・西本幸雄監督勇退。
  • 10月5日 – ロッテが「雪見だいふく」を発売。
  • 10月6日 – エジプト・サダト大統領暗殺。10月14日に、ムバラク副大統領が後継大統領に就任。
  • 10月6日 – フジテレビのクイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」(司会:愛川欽也・楠田枝里子)が放送開始(1996年3月終了)。
  • 10月10日 – 10月16日 – 大石寺で日蓮大聖人第700回遠忌大法要が執行される。
  • 10月13日 – 日本ハムがプレーオフでロッテ下し、前身の東映時代以来19年ぶりにパ・リーグ優勝決める。
  • 10月16日 – 北炭夕張新鉱でガス突出・坑内火災事故。坑道の火災をしずめるため、59人の不明者を確認しないまま、坑道を水没させる。最終的な犠牲者は93名。→北炭夕張新炭鉱ガス突出事故
  • 10月25日 – 巨人がパ・リーグの覇者日本ハムを4勝2敗で下し、V9最終年以来となる日本シリーズ制覇。この年の日本シリーズは全て後楽園球場で行われ、“首都決戦”と呼ばれた。
  • 10月27日 – 明星食品が「中華三昧」を発売。
  • 10月29日 – 宮崎自動車道が全線開通。

 

あらすじ

五代君の通う大学祭も近付いてきた秋、五代君は黒木さんに誘われ人形劇部に入部します。人形劇部には女性部員が多いので、電話連絡で管理人室に掛かってくる女性からの電話に響子さんはイライラ。遂に堪忍袋の緒が切れた響子さんは五代君と冷戦状態になり、一刻館に共同電話を設置してしまいます。

 

みどころ

  • 初期屈指のお洒落な話

 

初登場人物

  • 黒木小夜子
  • 早乙女
  • 小泉
  • 神坂

 

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はじめに

このエピソードは大好きな話です。お洒落な話と言う点では、めぞん一刻の作中でも1,2を争う話だと思います。

 

こういったお洒落な話やほっこりする話が、中盤や後半に出てくるのなら、全体の流れや作風から考えて自然なので分かるのですが、めぞん一刻の初期は、あくまでラブコメではなくドタバタコメディの色が強いので、そのドタバタコメディの中で、ポンとこう言うお洒落でほっこりする話が出てくるのは感心します。

 

こち亀でも突然少年時代の良い話は出てくることがあるのですが、こち亀の場合、時代が子供時代に飛ぶので、話の流れ的には、今までと完全に切れているんです。大袈裟にい言えば別作品なんです。ところがこのめぞん一刻の桃色電話の場合、時間の流れはそのままで、ドタバタコメディの作風の中で、違和感なくお洒落でほっこりする話を綺麗にはめ込んできているので凄いんです。

 

 

大学のお話

これまでは話のほとんどを一刻館で展開してきたのですが、今回は初めて五代君の大学生活が描かれました。

 

黒木さんに人形劇部に誘われたのですが、未だこの時友人坂本の固有名詞は出てこず。黒木さんの方が先に名前が出ていたんですね。少し意外でした。

 

また、人形劇部というチョイスがなんともね…。五代君らしいと言うかなんと言うか…。大学には他にも色々なサークルがあるのに、よりによって人形劇部をチョイスする高橋留美子さんのセンス。これが結果的には良かった気がします。

 

めぞん一刻はあくまで一刻館を中心に起こる話なので、大学でもっとアクティブなサークルに入ってしまうと、一刻館が蔑ろになり、主な物語の舞台が大学に移りかねません。そうなるともはやタイトルのめぞん一刻ではなくなるわけで、あくまで大学生活はオマケで良かったんですよね。これは一刻館を中心にした話が結果的に正解で、四谷さん、朱美さん、一の瀬さんら一刻館のキャラが素晴らしかったと言う結果論ではあるのですが。

 

また、大学をもっと目立たせた場合、大学の友人や五代君に言い寄ってくる女性などで、新キャラが数人必要になっていたと思われ、そうなるとやはり一刻館のキャラは魅力的に描く時間は無かったのかなと思います。

 

響子さんの嫉妬

前回のこずえちゃんのデートを目撃した響子さんから、本格的な嫉妬が始まりましたが、今回も嫉妬全開で、果ては色ガキですよ…。響子さんの嫉妬は結構怖いです。

 

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喫茶店で五代君のこずえちゃんの話を、痴話げんかと受け取った一の瀬さんのだめ押しにより、響子さんは共同電話を設置するに至るのですが、これも響子さんが少しでも聞く耳持っていればなかったんですけどね。

 

ただこの共同電話は、この先重要な役割でしょっちゅう出てきます。さすがに連絡の度に響子さんの部屋に行って…と言うのは物語上、描写が面倒すぎますからね。共同電話が導入されたことにより、それを盗み聞きしたり、話の一部だけを聞いたりして、ここからも誤解の連鎖が起こっていきます。

 

桃色電話設置

結局五代君の言い訳も聞かず、冷戦状態で意地になって共同電話を設置してしまった響子さん。残りページもほとんどなく、どうするんだろうと思っていたら、その共同電話から管理人室へ電話。そこで今までの釈明です。お洒落です。

 

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直接響子さんに言い訳しても聞いて貰えないと悟った五代君は、顔をを見ない分冷静に話が出来る電話での言い訳を選んだんですね。そしてあらゆる手段で言い訳を聞いて欲しい五代君の必死さに、響子さんは思わず笑ってしまったんでしょう。そこまで必死なんだなと。

 

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五代君が頭を使って言い訳を聞いもらえるよう電話し、それに驚き可笑しく笑う響子さん。非常に良いシーンです。

 

おわりに

この話は最後が実にお洒落で、五代君が全て言い訳を言い切るところまでは描写せず終わるんです。全て言い訳が終わり、響子さんもハイ理解しました。ちゃんちゃん、ではないんです。お話としてはこのあとも五代君の言い訳が続き、響子さんが聞き、そして和解するところまであるはずなんです。ところがこの途中で話をブツッと切って終わっているんです。

 

五代君が言い訳の途中までしか言っていないのですが、それでも響子さんや五代君の反応や表情で、お互い全てを理解したことが読者に分かるんです。これがまたお洒落なんです。

 

全てをわかりやすく読者に提示すれば良いわけじゃない好例ですね。全てを描かなくても、表情や描写で全て読者が察することが出来るんです。登場人物と心が通じた自分にニヤッとしてしまうんです。

 

めぞん一刻は基本的に中盤から後半に掛けての話の方が、ストーリー性があり、印象に残るエピソードが多いのですが、2巻の途中であるこの桃色電話はもの凄く印象に残っていて、作中でも大好きな話です。

 

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