目次
掲載情報
掲載雑誌
- ビックコミックスピリッツ 1982年1月15日号
アニメでは
時系列とでき事
- 1981年12月30日~1982年1月1日 五代裕作、音無響子と管理人室で大晦日に2人きり、2年参り行く
この頃のでき事
- 1月15日 - 広島市の電話市外局番が3桁化され「082」となる。
- 1月24日 - 第1回大阪国際女子マラソン(当初は大阪女子マラソン)が開催。関西テレビによる全国ネットの中継もこの時開始。
- 1月25日 - 日産自動車が「ローレルスピリット」を発売(「1981年にFF化された「サニー」の姉妹車)。
あらすじ
1981年の大晦日。実家から送ってきた電車賃を使い込んでしまった五代君は実家に帰れず、一刻館に残った五代君、響子さん、朱美さんの3人で年を明かすことになります。しかし急遽朱美さんが友人に誘われスキーへ行き、管理人室で五代君と響子さんは深夜2人きりになってしまいます。
みどころ
- くそ~っやりてーよーっ!!
はじめに
今回は五代君と響子さんが大晦日に2人きりになってしまう話です。
響子さんの異常なまでの警戒感。実はその警戒感が間違いでなかったこと。しかし手を出せない五代君。そして終わってみれば、何故か五代君の評価が上がっている不思議な話です。
実は五代君を信用していない響子さん
音無響子「惣一郎さん、どうか私をお守りください」
響子さんはこのようなセリフを言っているので、五代君のこと信用していないんですよね。それもそのはずで、屋根の修理をしていたときにドサクサで響子さんの胸を触ったり(第002話 「惣一郎さんっ!!」)、屋根裏部屋では響子さんを襲おうとしたり(響子さんはそう思っている)(第004話「暁に鐘は鳴る」)した前科がありますからね。もっと言えば、お酒の勢いとは言え、五代君の部屋まで連れ込んで布団に押し倒している(第009話「アルコール・ラブコール」)わけで…。さすがに鈍い響子さんでも、自分を押し倒したがっていることは認識している様子。
朱美さんが来るという条件が外れた途端…
朱美さんが急遽友人に誘われ、五代君と響子さんは2人きりになってしまったのですが、朱美さんが来ないことは五代君が部屋に来る前から決まっていたのにも関わらず、「朱美さんが来ない」と分かった途端ソワソワする五代君。
この「朱美さんが来ない」と言う状況は、五代君が来たときもそうでしたし、のちに明かされてからもそうで、全く状況的には同じなんですけどね。それを知るか知らないかでこれだけ心理状況が変わるのは面白いです。このようなことは現実でもありますよね。状況的には何も変わらないのに、その情報を知るか知らないかでその場の空気が変わってしまうこと。
例えばサッカーや野球で他会場の結果が入ってきて、このまま行けば優勝と言うとき。それまで優位に進めていたのに、この情報が入ってきた途端ガチガチに固まってしまい、本来の力が出せなくなるなんてことがあります。こういうのを見ると、人の心理や行動原理に、見えない物がいかに影響を及ぼすかってことがわかって面白いです。
くそ~っやりてーよーっ!!
響子さんが管理人室から少し出たときに五代君が叫ぶ言葉。
五代裕作「くそ~っやりてーよーっ!!」
これ完全にアウトなんですけどね…。
五代君は余りにも苦しい言い訳で、スキーをやりたいと言う意味だと言っていましたが…。これで納得する響子さんも響子さんなのですが…。
ただこれを追求しても響子さんとしては何もメリットないんですよね。五代君に限ってそんなことはないでしょうが、糾弾して逆ギレされたら男性の力には敵いませんし、問い詰めて実は響子さんとやりたいって意味ですと言われても、この頃の響子さんは惣一郎さんに操を立てていると自ら言っているのでどうしようもありません。ここは「そうですか」で納得するのが一番丸く収まります。
同じ場所で同じ時間を過ごしての見え方の違い
五代君と響子さんは結局何事もなく平和に大晦日を終えたのですが、同じ場所で同じ時間を過ごしているのに、この2人で全く感想が違うことが面白いんです。
五代君にとっては、折角2人きりになったのだからチャンス到来で押し倒したかったのですが、結局押し倒せず後悔して悶々とします。ところがこれを響子さん視点で見ると、あれだけ五代さんを警戒し疑っていたのに、襲われないどころか、迫られもしなくて、誠実で良い人だった。疑って悪かったなとなるんです。
同じ場所で同じ時間を過ごしたにも関わらず、感じたことはまるで真逆でした。これはめぞん一刻で良くある勘違いやすれ違いとは違うのですが、同じ場所で同じ時間を共有しているのに、思っていることはお互い違うとのこのパターンも、めぞん一刻では時折出てきます。
総評
一刻館の大晦日が描かれるのはこれが初めてとなりました。
以前の記事(第010話「金網は越えられない!!」)でも書いたのですが、この頃はビックコミックスピリッツが隔週化しており、1ヶ月のイベントを2回漫画にすることができるようになったからこそのこの話でした。
前回の話(第021話「マフ等(ラー)、あげます」)は、この大晦日1週間前のクリスマスの話でした。
それまでの月刊だった場合、めぞん一刻はリアルタイムに時間が進むので、12月のイベントは1回しか漫画化できなかったので、クリスマスか大晦日か、どちらかの大きなイベントをカットするしかなかったんです。隔週化様々です。なら週刊化したらもっと良かったのにと思うかも知れませんが、おそらくそれはそれでまためぞん一刻の味は出なかったんじゃないかなと思います。
終盤の1日1日五代君と響子さんの距離が変わる時期なら良いのですが、この初期のドタバタコメディの段階から週刊化すると、おそらく無駄な話も大量生産されるのではないかなと。そもそも同時期に毎週うる星やつらを連載していたので物理的に不可能だったでしょうけどね。
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