漫画全話レビュー「めぞん一刻 第021話「マフ等(ラー)、あげます」」 5/5 (1)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1981年12月30日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1981年12月24日 音無響子、管理人就任後2回目のクリスマスパーティ

 

この頃のでき事
  • 12月1日 - フランス・コルシカ島のアジャクシオ空港で、ユーゴスラビア航空のDC-9型機が墜落、乗客乗員178名が死亡。
  • 12月2日 - 大阪市営地下鉄千日前線の新深江駅 - 南巽駅間が開業。
  • 12月11日 - エルサルバドルで、ゲリラに対する抗議運動を行っていた市民900人が軍隊によって殺害される。
  • 12月13日 - ヴォイチェフ・ヤルゼルスキポーランド首相、独立自主管理労働組合「連帯」による共産主義政権反対運動を牽制するため戒厳令施行。
  • 12月14日 - 日産自動車が「アトラス」を発売。
  • 12月26日 - 大阪空港訴訟の最高裁判所大法廷判決。
  • 12月31日 - ガーナでクーデター発生。

 

あらすじ

響子さんが一刻館に来て2回目のクリスマス。五代君はイヤリングを買うのですが、なし崩し的にこずえちゃんにそのイヤリングを渡してしまい、響子さんへ渡すプレゼントが無くなってしまいます。そこで去年買って渡せなかったブローチを探し、無事渡すことができ、響子さんからは手作りのマフラーを貰うのですが…。

 

みどころ

  • 五代君、初めて白昼夢で電柱にぶつかる

 

はじめに

今回は響子さんが一刻館へ来てから2回目のクリスマスの話です。去年のクリスマスのエピソードとリンクしています。

 

優柔不断

五代君が優柔不断なのは、めぞん一刻を少しでも知っている人なら常識なのですが、毎回五代君はその優柔不断さでピンチになっていきます。今回は響子さんのために買ったイヤリングを、こずえちゃんの前でポロッと出してしまい、それを見られた五代君は渋々こずえちゃんじプレゼントをあげていました。

 

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渋々クリスマスプレゼントを渡すと言うのも、こずえちゃんにとっては酷い話ですが、こずえちゃんは天然なので、相手の気持ちを察すること、その場の微妙な空気を読むことが全くと言っていい程できません。なので五代君が渋々出していることだったり、この先でも起こる、五代君のこずえちゃんに対する拒絶の気持ちを一切察知しません。

 

しかし、そもそもこずえちゃんにプレゼントを渡すことを考えていない五代君もどうかと…。たまたまこずえちゃんに渡すプレゼントがあったから良かったものの、もし何もなかったら、先にニット帽をプレゼントされた五代君はどうしていたんでしょうね。それはそれで、こずえちゃんが五代君から離れていくのでOKなんでしょうか…。

 

しかしそんなしょんぼりした表情でこずえちゃんにプレゼントを渡さなくても…。ここでは少しこずえちゃんが不憫に思えてしまいました。

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こずえちゃんは一貫して空気を読めないだけで何も悪くないですからね。どちらが悪いかと言えば…多分いつまでもこずえちゃんをキープしておく五代君です。ただ五代君とこずえちゃんの関係も、五代君と響子さんの関係と同じく特殊な関係で、どちらかがハッキリ告白したり、付き合おうと宣言したわけでもないんですよね。

 

知らなければ幸せ

天然で鈍いこずえちゃんの話で、ある知人の話を思い出します。その知人は空気を読めないことで友人間では有名で、ハッキリ言ってしまうと、一緒に遊んだりお酒を飲むことをあまり歓迎されていませんでした。しかし、この「歓迎されていない雰囲気」を、その知人は全く察知できないので、毎回どこで聞きつけたか、飲み会などにニコニコしながら参加し、もの凄く楽しく参加して帰って行きます。

 

一応この知人をフォローしておくと、嫌われてはいないんです。ただこのように空気を読まないにも程があるので、ある人がして欲しくない話題 だったり、それはここで言っちゃダメでしょと言う話題を平気で出してくるので、その場が凍り付くことがたまにあるんです。そんなわけで、積極的に誘うメンバーではないっと言うだけで、一応嫌われてはいないんです。空気が読めないだけで悪気がないのは皆わかっていますから。

 

このように自分が歓迎されていない、または「避けられている」空気を読まないので、その人にとっては「避けられてない」が「事実」になるんですよね。もっと分かりやすく言うと、例えハッキリ嫌われていたとしても、嫌われている事実に本人が気付きさえしなければ、それは本人にとっては嫌われていないってことが事実になるんです。

 

何が言いたいのかというと、生きていく上で空気が読めすぎるのも辛いことが多いので、鈍い方が幸せなのかなあと、この知人のことを思い出したり、こずえちゃんを見て思うこともあります。

 

白昼夢

五代君は夢想癖があり、白昼夢を見ては電柱やドアにぶつかるのですが、今回は記念すべき電柱激突初出でした。白昼夢はのちにほとんど出てこなくなる初期独特の五代君の1人ボケ突っ込みでもあります。

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朱美さんは何故無防備なのか

朱美さんは五代君の前で半裸になったり、五代君の部屋で寝たりしてしまうのですが、何故そんなことができるのかと言えば、五代君の弱気な性格を見越して、絶対に手を出せないと思っているからなんですね。

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ブローチとマフラー

響子さんのために買ったイヤリングをこずえちゃんに渡してしまい、響子さんに渡すプレゼントがなくなってしまったのですが、去年のクリスマス(第3話「勝手に聖夜」)に渡せなかったプレゼントがあることを思い出した五代君は、必死でそれを探すのですが…。ここでも前に出てきた話と綺麗に繋がりましたね。以前の話からこの話を考えていたとはあまり思えないので、前の話の再利用という感じでしょうか。先日の記事でも書きましたが、高橋留美子さんはこの以前の話の再利用が上手いんです。

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素直にめぞん一刻を読んでいると、おそらく最初から考えていた伏線の類いではないと思います。あくまで以前のエピソードの再利用だと思うのですが、それが綺麗に繋がって上手いんです。

 

総評

今回響子さんは22歳とハッキリ言っていました。そして五代君も20歳と名言。響子さんが一刻館に来てから1年ちょっとですから1歳年を取ったんですね。連載開始が1980年10月。この話の雑誌掲載時期が1981年12月。きっちり現実の時間と、漫画内の時間が等しく進んでいるのがわかりますね。

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