今回レビューするのは、めぞん一刻の第19話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
大晦日の夜、一刻館からは五代君、響子さん、あ朱美さん以外誰もいなくなります。3人で年越しをする約束をするのですが、直前で朱美さんが友人とスキーに行くことになり、一刻館に五代君と響子さんのみになってしまいます。管理人室で2日きりで年越しをするのですが、我慢できない五代君は…。
みどころ
- 響子さんの警戒心
- 五代君の悶々とした様子
初登場人物
- なし
感想
1981年の大晦日
今回の話は原作の漫画の時間設定だと1981年12月30日、31日、明けて1月1日の3日間の話です。アニメだと西暦何年かは言及されていませんが放送は1986年でした。
今回は久々にうる星やつらネタがありました。そば屋のバイトで信号待ちする五代君。そのそばを園児のあたる、しのぶ、メガネが通り過ぎていきます。
そば屋で五代君がバイトしているとの話は、漫画だとこのあとに出てくるのですが、アニメでは、『漫画の始まりのさらにその前』を描いていました。漫画ではそば屋でバイトしているとのセリフしか出てこなかったのですが、そのセリフだけの設定をアニメでは描いています。このパターンもめぞん一刻のアニメは多いです。週刊漫画の1話20ページをを30分アニメにするのは厳しいのでしょう。
めぞん一刻は時間が現実と同じように進むので、年中行事をきちんとやるのは好きです。クリスマス、大晦日、お正月、バレンタインなどなど、面白い話になりやすいです。
皆一刻館からいなくなる
今回は12月30日から物語が始まり、それぞれ年末年始はどうするのかと話していました。それによると以下のようになります。
- 【響子さん】予定なし
- 【一の瀬さん】12/31から帰省
- 【四谷さん】12/31から帰省?
- 【五代君】1/1から帰省予定
- 【朱美さん】予定なし→12/31からスキーへ行く
五代君は実家から電車賃を送ってもらったものの、使い込んでしまって年内には帰れないようです。そのため、急遽そば屋でバイトをし、そのお金を電車賃にして1月1日に一刻館を出発して帰省するとか。
一の瀬さんは帰省ですが田舎はどこなのでしょう。また、四谷さんも帰省。正確には「帰るところがある」と言っていたので、実家や田舎とは限りません。友人や他の場合も…。一刻館の住人も四谷さんはどこへ帰るのだろうと疑問に思っていました。
このとき、また朱美さんは五代君の布団に入っていました。しかも、今度は五代君も一緒にです。五代君は少し前まで朱美さんの半裸に興味津々だったのに、すっかり耐性が付いてしまったようです。
響子さんと朱美さんと3人で紅白を観る予定だった
朱美さんも年末年始の予定がないとのことですが、響子さんと管理人室で紅白を観るとのこと。これを知った五代君は「いいな~」とうらやましがり、誘ってもらうことに成功。これでこの時点では管理人室で五代君、響子さん、朱美さんと紅白を観て過ごす予定になりました。
翌日の31日大晦日、五代君はそば屋でバイトをしているので、年越しそばを持ってくると言って出掛けます。このとき四谷さんも一緒に出掛けました。しかし、一刻館の住人は仲が良いです。
四谷さんは仕事は何をしているのかわからない。覗きが趣味と公言。どこに帰るのか分からない。それなのに嫌われずに一刻館の仲間になっているのはなんか良いなと思ったり。
一の瀬さんも続いて帰省。アニメでは一の瀬さんの夫のことが前回のクリスマスパーティーの時に言及されていましたが、漫画だとここで初めて示唆されていました。姿は見えませんでしたが、賢太郎が「もう、早くしろよ父ちゃん」と叫んでいました。
朱美さんがスキーへ行く
管理人室を掃除する響子さん。今年もなんとか無事に過ごせた、来年も守ってください惣一郎さんと祈っているその途端、共同電話に電話が掛かってきて、朱美さんがスキーに行くことになってしまいました。惣一郎さんにこれからも守ってくれるように祈った途端、五代君と2人きりになって貞操の危機に…。惣一郎さんは守ってくれていませんよね
朱美さんも五代君と響子さんを2人にきりにするのは不味いと思い、スキーに行くのを断ろうかと提案するのですが、それは悪いと思った響子さんが行くように言います。朱美さんも口ではスキーを断ろうかと提案したものの、本心では当然行きたかったので喜んでいくことになります。
心配する朱美さんに、五代君をもっと信用してあげないと口では言うのですが、内心はかなりビクついていました。そして、また惣一郎さん守ってください…とお祈り。しかし、さっき惣一郎さんにお祈りした途端こうなったはず。響子さんはガクガク震えて膝から崩れ落ちていましたが、そこまで怖がらなくても…。
惣一郎さんのごはん
アニオリですが、朱美さんを見送る際、動揺する響子さんは犬の惣一郎さんにご飯をやるのを忘れていました。また、その後、銭湯に行く際にもご飯を忘れており、ご飯をくれと吠えて訴える惣一郎さん。
犬の惣一郎さんの声優は四谷さんと同じ千葉繁さんなのですが、明らかに犬の「ワンワン」との吠え方ではなく「ゴハン!ゴハン!」と叫んでいました。千葉繁さんはよくアドリブをするとのことで、ここもそうだったのだろうなと思います。
やることなすこと逆効果
めぞん一刻は言っていること、思っていること、決意したことが、次の瞬間真逆になってしまうパターンもよくあります。今回だと以下のような流れがありました。
- 惣一郎さんに守ってくれるように祈る→その途端、五代君と深夜に2人きりになることが決定
- 妙な雰囲気にならないようにしなくちゃと決意→湯上がりで意図せず色っぽくなって五代君を誘惑
これまでだと五代君の受験を応援している響子さんが、一刻館住人に注意喚起するも、全て逆効果になったこともありました。今回は惣一郎さんに守ってくれるように祈るものの、次の瞬間には守ってくれない。妙な雰囲気にならないように決意するも、次の瞬間には妙な雰囲気になってしまうとの流れでした。振ったあとに即オチが来るのでテンポが良く笑いどころもわかりやすいです。
五代君は銭湯前で響子さんに会ったあと、2人きりになったら押し倒す白昼夢が炸裂。アニメではお風呂に突っ込んでいましたが、漫画では例の如く、壁にゴチッと頭をぶつけていました。
白昼夢の中で響子さんは「こんなこともあろうかと思ってお風呂に入ってきました」と言っていましたが、この「こんなこともあろうかと~」とのフレーズも高橋留美子さんはよく使います。他の漫画でこの言い回しを見たことはありません。高橋留美子さんの語彙や言い回しは独特のセンスをしていると思います。新しくもあり、古くもあります。
言うべきか悩む響子さん
響子さんは朱美さんがスキーに言ったことを五代君に話すかどうか悩みます。銭湯前で会ったときも言いませんでしたし、管理人室に五代君が来てからも、朱美さんの話題になりそうになると話をはぐらかしていました。
そんな中、旅館に着いた朱美さんから管理人室に電話が掛かってきます。朱美さんは良かれと思い、変な気を起こさないように釘を刺しておいてやると言うのですが、響子さんは逆効果だと思ってそれを断ります。電話を切ったあと、覚悟を決めた響子さんは五代君に朱美さんが来ないことを告げます。
響子さんは自分が考えすぎかな…と思うのですが、これを聞いた五代君は、あろうことか「チャンスだ、泣こうが喚こうが邪魔は入らん」と思っていたので、あながち響子さんの心配も間違いではありませんでした。初期の五代君はこんな人なんです。
だからと言って本当に実行に移せる度胸も勇気もありませんし、そんな鬼畜な人間ではありませんけどね。あくまで等身大の男がしてしまう妄想や願望ってだけでその域は出ていません。
響子さんは朱美さんとの電話が終わったあと、「信用してげなくちゃ」と思っていたのですが、これって『信用している』とは微妙にニュアンスが違います。確固たる自信を持って『信用している』ではなく、『信じてあげたい』、『信じたい』ってことです。まだ響子さんの中での五代君の立ち位置はこのあたりのようです。全面的に信用するまでには至っていません。
ナチュラルに拒否する響子さん
チャンスだと思う五代君は、響子さんの手を握ろうと試行錯誤するのですが、急に振り向く響子さんや、コタツの中でせんべいを乾かしている響子さんにビビってできません。手を握ろうとしたり、肩を抱こうとしてナチュラルに拒否された話は以前にもありました。
コタツでせんべいを乾かすのは昔やっていました。響子さんが言うように、乾いて湿気が抜けるのでせんべいのあるあるネタです。昔はネットなんてなかったので、他の家がどれだけやっているのかわからなかったのですが、これを観るとやはり皆やっていたようです。
下宿のようなアパートで一緒に過ごしているのに、後先考えずに手を握ろうとしたり、あまつさえ押し倒そうとするなんて勇気があるというか無謀です。どう考えてもその段階ではないので、嫌われたら一刻館に住めなくなることだってあるのに…。
響子さんは五代君が何かしらしていることを感付いたようで、このあとは少し距離を取って警戒しているのはアニオリですが面白かったです。漫画だとこれでもまだ気付いていないようでしたが、アニメだとなんかしら感付いています。
やりてーよー
響子さんと言えばPIYO PIYOエプロンです。漫画でもこのとき、ソバを作るときにPIYO PIYOエプロンだったのですが、なぜかアニメではオレンジ色の派手な戦闘服のようなエプロンになっていました。
その後、ガスの元栓を閉め忘れたかもしれないから確認してと一の瀬さんから電話が掛かってきて、一旦管理人室を出る響子さん。五代君は手を握ろうとして失敗、肩を抱こうとして失敗、押し倒そうとして失敗しているので悶々としており、遂には響子さんがいないことを良いことに「やりてーよーっ!!」と叫んでしまいます。丁度その時管理人室に戻ってきた響子さんはそれを聞いてしまいどん引き。
五代君は苦しい言い訳で、朱美さんがスキーをしていると聞いて、自分もスキーをやりたいってことですと…。しかし、響子さんはなぜかこれを信じます。
ここで信じないで追求したところでどうしようもありません。五代君はそんな人ではありませんが、追求してぶち切れられたら男に力で敵いませんし、それこそ一刻館には2人きりなのでどうしようもないので、納得しようがしまいが、ここは『そうですか』で納得するのが得策です。
五代君が管理人室に来たのが夜9時過ぎで、帰ったのが0時前です。3時間ほど2人きりで過ごせるって、この時点で十分仲が良いです。仲が良くなければ3時間なんて2人で時間潰せません。このようなことが五代君と響子さんにはあるので、三鷹さんのようにデートをする必要がなかったのでしょう。3時間2人で同じ部屋にいるのは、喫茶店で喋っているデートと変わりません。
結果オーライ?
響子さんはあれだけ心配していたのですが、なにもしなかった五代君を見直し、『なにもしなかったから紳士なんだわ』と不思議な結論になってしまいます。いや、普通なにもしないと思うのですが…。五代君は人として普通のことをした…と言うか、恋人関係でもないので、なにもしない普通の行動を取っただけで、なぜか好感度が上がってしまいました。
五代君を見直した響子さんは、その後五代君の部屋を訪ね、二年参りに誘い、結果オーライなのかめでたしめでたしで終わりました。
二年参りとは年をまたいで初詣をすることなので、このときはまだ0時を回っていなかったようです。NHKの紅白歌合戦も、当時は何時までやっていたのかわかりませんが、今だと23時45分までで、その後行く年来る年で除夜の鐘が流されます。管理人室のテレビも紅白歌合戦が終わって行く年来る年がやっていたので0時前ですね。
折角響子さんが五代君を二年参りに誘ってくれたのに、五代君は「今年こそ押し倒す!」と心に誓ってオチていました。
原作漫画では
総評
「やりてーよー」とか「押し倒す!」と出てきましたが、このめぞん一刻はは水曜夜7時30分から放送していました。当時でも結構チャレンジャーだったと思います。夜7時30分と言ったら、家族で食卓を囲んで皆でテレビを見ている時間です。
前番組のうる星やつらよりは視聴者の年齢層が上がったとはいえ、よくわからない小学生の子供が観ていたなんてところもあったのでしょうね。さらに言えばドラゴンボールの次の番組です。
今回はいつも賑やかすぎる一刻館からパタッと人がいなくなり、五代君と響子さんのみになって静かになったのも印象深い回でした。こんな一刻館は作中ここだけです。
めぞん一刻は年中行事を丁寧にやるので、1つずつ時間が進んでいく段階がわかるのも面白いです。コメディなんかだとサザエさん時空のように延々ループするものも珍しくないのですが、時間が確実に進みます。
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