目次
スタンドバトルの数は減少
この第四部は全18巻で、第三部の16巻より長くなったので、スタンドバトルもさぞ多くなったかと思いきや逆に少なくなっています。何故かと言えば、一つはスタンドバトル1回当たりの長さが長くなったこと。第三部では短い場合2,3話で終わっていたスタンドバトルが、この第四部では平均して6~8話も使われています。それだけじっくりと描いているので戦略性や頭脳戦は格段に上がっていると思います。スタンドバトルが少なく長くなった分、非常に濃く丁寧になりました。これも私が第四部を好きな理由の一つです。
もう一つの理由は、スタンド使い以外の登場人物が重要な役割を担っていたこと。幽霊の杉本鈴美、川尻浩作の家族ですね。彼らスタンド使いではない普通の人々(幽霊)のエピソードも所々に入ってきたので、全編スタンドvsスタンドってわけでもないんです。これもまた第四部しかないの特徴です。
ジョジョたちの目的
今回は『ジョジョの奇妙な日常』だけあり、今現在何が目的で彼らは動いているのか、そもそも今何をやっているのかが分かりづらいので、目的の変遷をまとめておきたいと思います。
- ジョセフに隠し子が発覚し、空条承太郎が杜王町を訪れ、東方仗助に遺産について話す
- ジョセフが仗助を遠隔透視した際、偶然映った杜王町に潜むスタンド使い(片桐安十郎)を探す
- 矢と弓を使ってスタンド使いを増やしている何者かを探す
- レッド・ホット・チリ・ペッパーに奪われた矢と弓の回収
- 弓と矢によってスタンド使いになった危険な人物を探し出して倒す
- 杜王町に潜む連続殺人鬼を探す
- 別人になりすまして逃亡した吉良吉影を探す
ストーリーへの関連性
第四部は数多く登場するスタンド使いがほんのわずかずつ連続殺人鬼吉良吉影のヒントをくれたり、間接的に倒す糧になります。そしてそれらをパズルのピースのように当て嵌めていくと辿り着くと言う話なのですが、それぞれがどのようにそのストーリーに貢献したかを書いてみましょう。
- 東方仗助→直接対決
- 空条承太郎→直接対決
- 広瀬康一→直接対決
- 虹村形兆→直接対決する広瀬康一をスタンド使いにする
- 虹村億泰→直接対決
- 小林玉美→直接対決する広瀬康一を成長させる
- 間田敏和→直接対決する岸辺露伴と出会う切っ掛けを作る
- 山岸由花子→直接対決する広瀬康一を成長させる、吉良吉影が逃亡する辻彩のスタンド能力を知る
- トニオ・トラサルディー→無し
- 音石明→無し
- 静・ジョースター→無し
- 岸部露伴→直接対決
- ネズミ→無し
- 矢安宮重清→直接対決、吉良吉影のボタンを引きちぎり証拠を掴む
- 辻彩→吉良吉影が逃亡するのに必要なスタンド能力
- 吉良吉廣→吉良吉影の父
- 大柳賢→無し
- 支倉未起隆→鋼田一豊大から吉良吉影、吉良吉廣の情報を聞き出すためにバトルに参加
- 噴上裕也→宮本輝之輔から直接対決する東方仗助と広瀬康一を救う
- 鋼田一豊大→吉良吉影と吉良吉廣の情報を直接対決する東方仗助たちに教える
- 宮本輝之輔→無し
- 乙雅三→ 川尻浩作の写真を処分させようとする
無理矢理理由を付ければ、吉良吉影の父にスタンド使いにされたら吉良吉影打倒に関わりありとも言えるのですが、そのようにさすがに遠すぎる物は除外するとこんな感じです。基本的に、その人物がいなくてもストーリーが進む場合は吉良吉影との関係性は無しにしています。
第四部独特のユニークさとは
今まで当記事中で第四部は実にユニークで、他のパートにはない特徴がある異質なジョジョであることは何回も書いてきましたが、ここでその第四部でしか見られないユニークさをまとめておきたいと思います。
- タイトルの冒険とは裏腹に日常系である事
- 敵と味方がハッキリしていない事
- 退場しない敵が多い事
- 敵だった者が共闘関係で味方になることが多い事
- 最初は目的がハッキリしていない事
- 中盤までラスボスが誰なのか分からない事
- スタンド使い以外の登場人物が重要である事
- ラストバトルではスタンド使いではない人間が深く関わる事
- 物語が真の完結ではない事
終わり方も独特
この第四部は終わり方も実は独特です。よく考えてみると、杜王町に潜んでいるまだ見ぬスタンド使いはたくさんいるはずなんです。誰かに操られていたとか、スタンド使いが組織だって動いていたわけでもないので、今回たまたま杉本鈴美の情報から杜王町に潜んでいる連続殺人鬼のことを知り、その吉良吉影ガラスボスにはなりましたが、吉良吉影だけが危険なスタンド使いかと言うとそんなことはなく、まだ潜んでいてもおかしくありません。
そんなまだ危険がはらんでいる杜王町を後にする承太郎とジョセフのシーンで物語は終わるのですが、じゃあこの物語は完結したかと言えばしていません。杜王町での戦いは恐らくこの後も続きます。これまでのジョジョやこの先のジョジョではきちんと物語に決着が付き、まさに完結と言って良い終わり方だったのですが、この第四部は完結したかと言えばしていません。杜王町の日常(危険なスタンド使いのモグラ叩き)は続く終わり方で、ちょっとした『俺たちの冒険はこれからも続く』終わりで、他のジョジョとはまるで違います。
総評
いやあ…何回読んでも本当に奇妙な話であり、ジョジョの頭脳戦のピークもここだと個人的には思います。第三部はまだ少し荒く、後日記事に書く予定ですが第六部になると、もはやそれは個人のスタンド能力なのかと言えるほど壮大すぎる物になってしまっていて、無理矢理感がありありと見えます。頭脳戦としてはこの第四部か第五部がバランスが良く成立していると思っています。
こんな人にお勧め
- 頭脳戦が好きな人
- 日常系が好きな人
- 狭い範囲での細かい物語が好きな人
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