漫画全話レビュー「めぞん一刻 第119話「ドッグ・ホリデー」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1986年1月30日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1986年1月15日 三鷹瞬、明日菜さんのお見舞いへ行く

 

この頃の出来事
  • 1月1日 – スペインとポルトガルがECに加盟。
  • 1月7日 – レーガン大統領、対リビア経済制裁発表
  • 1月21日 – 朝日麦酒が「ニューセンチュリー計画」を発表し、CI導入(1989年、「アサヒビール」に社名変更)。翌日の新聞にはCI導入の広告が掲載された。
  • 1月24日 – ベトナム・ラオス国境画定協定調印。
  • 1月28日 – スペースシャトルのチャレンジャー号爆発事故、乗組員全員死亡。
  • 1月31日 – 福岡市地下鉄箱崎線の馬出九大病院前駅 – 箱崎九大前駅間が開業。

 

あらすじ

犬嫌いを克服した三鷹さん。これで犬娘の明日菜さん恐るるに足らずと、意を決して縁談を断りに行くのですが…。一方叔父さんは勝手に響子さんを訪ね、別れてくれるように頼み、三鷹さんの独り相撲だと理解します。そして叔父さんたち親類の間で、勝手に九条家との縁談が進展する気配が…。

 

 

みどころ

  • 明日菜さんのべた惚れぶり

 

はじめに

前回のサブタイトル「犬詣」に続き、今回のサブタイトルは「ドッグ・ホリデー」です。三鷹さんが犬嫌いを克服したので犬の話が連続で続きます。

 

前回は響子さんと犬に対しての話でしたが、今回は明日菜さんと犬の話です。きちんとひとつひとつ丁寧に物語を展開していきますね。犬嫌いを克服したら、まずは惣一郎さんの問題、そして明日菜さんの問題と、漏らすこと無く問題をひとつひとつ潰していくこの丁寧さもめぞん一刻の魅力であり、「あの話はどうなったの?」なんて消化不良感がない所以です。本来、ギャグ要素で出てきたであろう、三鷹さんの犬嫌い設定は放っておいても良いんですけどね。以前出てきた細かい設定やエピソードをきちんと拾っていくのも素晴らしいです。

 

障害が無くなった

三鷹さんが何故犬嫌いを克服したかと言えば、その最大の理由は響子さんとの障害になるからです。「閉じられた扉」で、不本意にも犬を怖がって響子さんに抱き付いてしまい、失礼なことをしてしまったため決意しました。ところが一方、叔父さんが言うように、犬娘の明日菜さんとの縁談に障害が無くなったのも事実。ひとつの犬嫌いという現象を克服したことに功罪両面あったんですね。

 

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そして今回、三鷹さんは明日菜さんとの「縁談を断わる障害が無くなった」と意気込んでいたのですが、叔父さんが響子さんを訪ね、別れてくれるように頼んだ際、三鷹さんの独り相撲だと理解したため、三鷹さんの思いとは真逆に、明日菜さんサイドでは、「縁談の障害だった響子さん問題が無くなった」と思っているんですね。「障害が無くなった」と同じ事を思っているのに、その実両者では真逆の方向性に行くと言う…。これも一種のすれ違いであり、齟齬ですね。この両者の齟齬が三鷹さんと明日菜さんの縁談では面白いんです。

 

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三鷹さんは明日菜さんとの縁談は断れると思っているのですが、明日菜さん側は縁談が進められると思っています。同じ事象を観ている者でも、見る角度によっては全然違うように受け取る面白さですね。めぞん一刻は派手な動きや謎があるわけでもないのですが、日常の言動や思い込み、勘違いや齟齬の面白さが満載でニヤニヤしてしまいます。読んだ当時は中学生だったのですが、こんな面白さもあるのかと驚いた記憶があります。

 

恋煩い

明日菜さんはここのところ元気がないと言われていましたが、ここ、4,5ヶ月三鷹さんと会っていないどころか、連絡さえ無かったみたいです。めぞん一刻は隔週連載であり、そして作中の時間は現実と同じように進むので、少し登場が無いキャラは、こうやって数ヶ月会っていなかったなんてことがあります。

 

本来、何ヶ月も会っていない状態だと、再度会う時の話では「なんでそんなに疎遠に?」となるのですが、今回の三鷹さんのように犬嫌い克服の特訓だったり、八神が何故暫くぶりに五代君に会おうと思ったのかしっかり理由を提示したり、この辺は上手く処理しています。今回なんて、逆に4,5ヶ月会わなかったことを、明日菜さんの恋煩いとの古臭い面白さにし、そして久々に会う両者の意気込みなんかも面白さにしていました。

 

 

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今日のところは

犬嫌いを克服した三鷹さんは、犬に怯えることもなく、いつでもズバッと縁談を断ることが出来るようになったのですが、お見舞いに来て嬉し涙を流す程の明日菜さんを見て、今日のところはそっとしておくかと優しさを見せてしまい、これが後々重大な結果に…。この時勢いでズバッと切り出せていればねえ…。とは言っても、響子さんはこの時点ではとっくに五代君を選んでいるので、折角ここまで思ってくれる明日菜さんを振るのも、三鷹さんにとっては勿体ない訳で、結果的にはここで縁談を断らなくて良かったことになります。

 

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おわりに

三鷹さん側から見ると、今回明日菜さんとの縁談を断れなかったことは、人生の重要な分岐点になりました。ここで断るか断らないかでまるっきり違い人生になってしまいますからね。

 

しかし、犬嫌いとのひとつのことを克服したことで、響子さんととか近付く障害が無くなったわけですが、もう一方で明日菜さんとの縁談の障害も無くなると言うふたつの現象を起こしてしまいました。三鷹さんに取っては良いことと悪いことが同時に起こってしまったんですね。

 

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