漫画全話レビュー「めぞん一刻 第001話「隣はなにを…!?」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1980年11月号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1980年晩秋 音無響子、一刻館新管理人就任の挨拶…①
  • ①の翌日 音無響子一刻館へ入居、五代裕作の部屋で歓迎会…②
  • ②の翌日 五代裕作、寝坊して模試へ行けず

 

この頃の出来事
  • 11月1日 – 西鉄北方線(魚町駅 – 北方駅間)が全線廃止。
    11月2日 – 日本シリーズは広島が近鉄を4勝3敗で下し、日本シリーズ2連覇を達成。
    11月4日 – 巨人の王貞治選手が現役引退。通算本塁打数868本は世界最多記録(現在も破られていない)。引退と同時に同球団の助監督に就任。
    11月4日 – 1980年アメリカ合衆国大統領選挙でロナルド・レーガンが現職のジミー・カーターを破り当選する。
    11月19日 – 山口百恵と三浦友和が霊南坂教会で結婚、披露宴は東京プリンスホテル・鳳凰の間。
    11月20日 – 川治プリンスホテル火災。45人の死者を出す戦後3番目の大惨事となる。
    11月27日 – 大阪市営地下鉄谷町線の天王寺駅 – 八尾南駅間が開業。
    11月29日 – 川崎市で金属バット両親殺害事件発生。犯人は当時20歳の予備校生だった。

 

あらすじ

一刻館の劣悪な環境に嫌気がさし、住人の制止を振り切り管理人に出て行くと言いに行く五代君。ところがそこに新管理人として響子さんが挨拶に来たことにより、あっと言う間に心変わりして一刻館に残ることになります。

 

みどころ

  • ケバイ響子さん初登場
  • 一刻館の荒んだ状況

 

初登場人物

  • 五代裕作
  • 音無響子
  • 一の瀬花江
  • 一の瀬賢太郎
  • 四谷
  • 六本木朱美
  • 惣一郎さん(犬)

 

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はじめに

以前、アニメめぞん一刻では全話レビューをやったのですが、古いアニメながら結構人が来てくれるので、今度は漫画の方の全話レビューをします。

 

漫画は基本的に22ページなので、アニメの全話レビュー程たっぷりと文章は書けない気もしますが、取り敢えず最後まで書いてみようかなと思っています。

 

月刊連載

めぞん一刻は最初、連載開始時は掲載誌のビックコミックスピリッツ自体が月刊誌だったこともあり、月刊連載だったんですよね。めぞん一刻の人気も手伝って、ビックコミックスピリッツ自体も好調だったらしく、約8ヶ月後の翌81年7月から隔週誌へ。更にそこから約4年9ヶ月後の86年4月から週刊誌となります。週刊誌になった頃には、めぞん一刻が既に124話まで進んでいたので、めぞん一刻の多くの時期は隔週連載だったことになります。

 

簡単に書くと、第1話から第9話までが月刊連載。第10話から第123話までが隔週連載。第124話から第161話の最終回までが週刊連載だったことになります。

 

この頃うる星やつらの連載とも被っており、終盤の1年弱は週刊連載を2本持っていたことになります。この精力的な活動は凄いです。

 

 

最初の頃の絵柄はキツイ

最初の頃の絵柄はめぞん一刻が大好きな私でも多少キツイです。当時のメイクの流行なのかわかりませんが、響子さんがやたらケバイです。

 

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短い間にそれぞれの状況がよく描かれている

通常第1話って、今だと増ページで30ページ以上、推している漫画だと40ページ以上なんてのもありますよね。それに比べるとこのめぞん一刻の第1話は実に淡々としていて、今の週刊連載のページ数とほぼ同じで22ページでした。ただこれは掲載誌のビックコミックスピリッツ自体が創刊号でもあったので、このめぞん一刻に限らず、他の漫画も全て第1話なんですよね。そういう意味で特別ページ数は多く出来なかったんだと思います。また、この頃は月刊誌だったのにもかかわらず22ページってのも少ないです。月刊誌は一般的に週刊誌の22ページ前後よりも多く、40ページ前後ありますからね。今と当時では漫画雑誌の状況が違ったんでしょうか。

 

そんな少ないページ数ですが、一刻館の状況や、それぞれが置かれた立場がわかりやすく描かれていました。

 

五代君が浪人であること。一刻館の住人に苦しめられていること。玩具であること。四谷さんがのぞき魔であること。朱美さんがどうやら夜の仕事っぽいこと。特に言葉での説明や解説はないんですけどね。話の流れですんなりこれらの状況を説明していました。

 

昨今のアニメ漫画だと、「説明乙」と言われるような、あからさまな説明の長台詞があったりするのですが、あれは視聴者や読者を馬鹿にしていると言うか…。キッチリ説明しないと分かって貰えないと思ってるのか、はたまたこういった動きで状況を説明するのが下手なのか…。

 

映画も好きなのでよく見るのですが、映画でも同じようなことがあります。特に邦画の場合顕著なのですが、今どう言う状況なのかを全部セリフで説明しちゃうことが結構あるんです。しかし個人的にはこれもの凄く違和感を感じます。折角小説などの文字の媒体ではない、映像のある表現手法なのに、動きや映像で見せ(説明し)なくてどうするのさ…と。

 

少し横道に逸れましたが、このめぞん一刻の第1話のように、登場人物が今どのような状況に置かれているのか、どう言う人間なのかなど、話の中でゆっくり表現していくスタイルは好きです。ただこれは作者だけの問題ではなく、「チャッチャとどういうことか説明しろよ」との、堪え性がなくなった見る者のスタンスや、何でもかんでもスピードを要求する社会の変化もあるのかも知れません。

 

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会話のすれ違い、勘違い

めぞん一刻の魅力の一つに、会話のすれ違いや勘違いがあると言うのは、アニメの全話レビューでも何度も書いているのですが、第1話から既にそれが出ていました。

 

四谷さんが管理人さんの歓迎会をやると五代君に伝える。五代君は勉強を少し抜けてなら参加出来ると了承する。ところが歓迎会の場所は五代君の部屋だった。これがそれです。

 

これはめぞん一刻の勘違いパターンの中の一つで、「情報抜け落ちパターン」ってやつです。

 

【話を全部聞かないで誤解するパターン】

  • 響子さんと一の瀬さんの会話で、惣一郎さんのことを言おうか迷っているところなど

 

これは他の漫画でもあるよくありますが、話を最後まで聞かず勝手にそう思い込んでしまうパターンです。これは次に書く情報抜け落ちパターンに繋がることが少なくありません。

 

響子さんと一の瀬さんの会話例だと、響子さがん惣一郎さんのことを言おうか迷っているところを、一の瀬さんが話を遮って、五代君のことだと思い込んでしまいました。

 

【情報が抜け落ちているのに会話が完了するパターン】

  • 今回の話や、大宇宙ホールでの伝言の勘違いなど

 

これは、情報の一部が欠落して伝わるのですが、その情報が抜け落ちていることにより、全く違った意味で情報が伝わってしまうパターンです。余計に話がややこしくなったり、のちのトラブルに繋がることが多いです。

 

今回の例だと、「管理人さんの歓迎会を(五代君の部屋で)やる」の、「五代君の部屋で」が抜け落ちているパターンです。それでも会話が完了してしまい、のちに「そんなこと聞いてないよ」となるわけです。

 

【思っていることは違うのに会話が完了するパターン】

  • マ・メゾンと豆蔵の勘違い、五代君ラブホテル事件後の響子さんとこずえちゃんの話し合いでの勘違いなど

 

これは、お互い思っていることが違うのに、お互いその勘違いに気付かず会話が成立してしまうパターンです。これはのちのトラブルに繋がることが多いです。

 

マ・メゾンと豆蔵の例だと、五代君はマ・メゾンのことを思って言っているのに、響子さんは豆蔵だと思って受け答えして、それで会話が成り立ってしまったパターンです。結果、お互い誤解していたことがのちにわかって、すれ違いを起こします。

 

【思っていることが違うことに会話のズレで気付くパターン】

  • 響子さんが実家に帰ったときの母との会話など

 

これは、お互い違うことを思っていても、ある程度まで会話は成立するのですが、話しているうちに、「え?ん?あれ?」と段々と話していることがずれていることに気付くパターンです。

 

響子さんと母・律子さんの例だと、響子さんは五代君のことを思って喋っているのに、律子さんは三鷹産のことを思って喋っている。そして徐々に会話のズレに気付き、お互いに「何のこと言ってんの?」となるパターンです。

 

めぞん一刻の勘違い、すれ違いは、主にこの4パターンで出来ています。同じようなドタバタコメディの要素がある、うる星やつらでもらんま1/2でも、ここまで会話の妙はないんですけどね。このめぞん一刻だけは会話の面白さ、掛け合いの絶妙さが突出してるんです。

 

理由の一つとしては、うる星やつららんま1/2のように、「動き」で面白さを出せる舞台設定、ストーリーではないので、こういった日常会話で面白さを出すしかなかったと言うこともあるんでしょう。結果的にはSF的突飛なことが出来ない制約が、この会話の面白さを生み出したのではないでしょうか。

 

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おわりに

今回は五代君が天岩戸よろしく、響子さんヌードの誘惑に負けて襖を開けたりと、俗物的な一面を早くも見せてくれました。五代君の魅力の一つとして良い意味で俗物的、いわゆる普通の人と言うのがあるとも思うのですが、女性である作者の高橋留美子さんがここまで俗物的で、女性の理想像とはかけ離れた主人公を描けるというのは凄いと思います。

 

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