今回レビューするのは、めぞん一刻の第8話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
坂本とバーでお酒を飲んで泥酔した五代君。その坂本と一緒に一刻館に帰ってくるのですが、酔った勢いで「響子さん好きじゃあああ」と大声で叫んでしまいます。その勢いのまま響子さんを連れ込んで押し倒してしまいます。このときは何もなかったものの、翌日、記憶のない五代君は、自分が響子さんになにをしたのか、住人らから聞いた断片的な情報で想像して響子さんに謝るのですが…。
みどころ
- 五代君初めて気持ちを告白する
- 響子さんの流されやすい性格
初登場人物
- なし
感想
坂本と2人で酒を飲んでいた
今回は初期のエピソードの中で有名な「響子さん好きじゃあああ」と大声で叫んでしまう回です。
漫画だと合コンで飲み会があったことになっていましたが、アニメでは坂本と2人でお酒を飲んでいました。80年代らしいお洒落なバーです。漫画では五代君がお酒を飲んでいるシーンはなかったのですが、アニメではそこを追加で描写。合コンにしなかったのは、単純に多くの人を描くことが面倒だったからだと思います。
アニメだとバーで坂本が五代君に向かい、響子さんに告白するように迫っていたので、今回の告白は坂本が後押ししたことになります。響子さんを好きだと言えない情けない五代君を見て、坂本がお手本で響子さんを好きだと言おうとするのですが、独占欲の強い五代君はそれを阻止。五代君の独占欲の強さが良く表現されていて良いアニオリでした。
坂本は漫画では名無しのキャラだったところに入れ替わり出ていたり、今回のように2人でお酒を飲んでいたり、漫画よりアニメの方が登場回数が多く、仲の良さが炸裂しています。
今回のうる星やつらネタ
今回は五代君がお洒落なバーでお酒を飲んでいるところでうる星やつらネタがまた出ました。これまではあたる、しのぶ、メガネ、温泉マークが出てきて、五代君の部屋に貼ってあるポスター以外でラムちゃんは出てきませんでした。しかし今回、やっとラムちゃん本人(?)が登場。これまでのあたるたちのような園児姿ではなく、ラムちゃんそのままの姿でした。ちなみに、分かりづらいのですが、ラムちゃんの右にいる男性は背格好から大人のあたるだと思います。
Bパートでは五代君と坂本が食事をしている中華料理店の前で走るあたる、しのぶ、メガネ。温泉マークも前に出たのですが、なぜか面倒は出てこないんですよね。
初めて告白して五代君の気持ちが伝わる
五代君は自分の中では響子さんにベタ惚れ状態で、住人皆にも気付かれているのですが、肝心の響子さんにその気持ちは伝わっていない状況でした。そして今回、お酒の勢いとは言え、ハッキリと響子さんの目の前で好きだと告白。五代君は泥酔していることが一目で分かる状態だったので、それほど取り合ってはいませんでしたが、これで一応初めて気持ちが伝わったことになります。
本来、好きだとこれほどハッキリ伝わったのですから、ここから話がトントン拍子に転がっていってもおかしくありません。しかし、響子さんに告白するのは作中、このエピソードと次回の三鷹さんへの対抗心で言った話と、終盤のラブホテル前のたった3回だけです。
この3回中、今回と次回は響子さんに向けては言っていないので、実質マトモな告白は最後のラブホテル前だけです。
恋愛ものなのにこんな話もユニークです。そして、さらにユニークなのは、それで恋愛話が成立してしまうところ。
漫画では「町内の皆様、私五代裕作は響子さんが好きであります」と、有名な「響子さん好きじゃあああ」の2回叫んだのですが、アニメではさらに追加で3回目の「響子さん好きじゃあああ」もありました。
前の2回は町内に向かって叫んだもので、響子さんに面と向かって言ったわけではありません。これでは告白と呼ぶには薄いと感じたのか、アニメでは響子さんのすぐそばで3回目の告白、「響子さん好きじゃあああ」と叫んでいました。
響子さんは流されやすい
響子さんは泥酔した五代君を部屋に連れて行くため、幼稚園児に接する保母よろしく、「はいはい部屋に行きましょうね~」とあやすように対応していました。可愛いです。酔っ払いに言葉で説明したり説得しても意味ないですからね。近所迷惑なのでとにかく部屋に入ってもらおうと思ったのでしょう。
五代君は響子さんの「部屋に行きましょう」を一緒に部屋に行くものだと思い、酔った勢いで響子さんをお姫様抱っこ。そのまま一直線に五号室へ。響子さんは助けてと回りに言うのですが、坂本も住人も誰も止めてくれませんでした。
坂本は五代君を応援していますし、なにより泥酔しているので止めるわけがありません。一の瀬さんは我関せずと言った感じでしたし、坂本に止めないでくれと懇願されてました。朱美さんはその前のシーンで泥酔して帰ってきているので廊下に寝たまま。二階にいた四谷さんは止めないどころか、逆に抱っこして両手が塞がっている五代君の代わりに、五号室のドアを開けてどうぞどうぞとエスコート。なぜ四谷さんが協力的かというと、趣味である覗きができるからです。
五代君が響子さんをお姫様抱っこして一刻館の廊下を歩いて行くシーンで、『廊下は極力静か(に)』との張り紙が壁に貼ってありました。全くこれができていないことがわかって面白いです。
四谷さんの協力で響子さんを布団に押し倒した五代君ですが、酔っ払いあるあるで突然そのまま眠ってしまい…。結局五代君は響子さんとなにもなく終わりました。
響子さんは押し倒されたときに手で顔を覆い抵抗をやめており、その後の回想でもわかりますが、このとき抱かれても仕方ない…と思っていたようです。自分でも流されてしまうと反省していました。
四谷さんはその一部始終を隣の部屋と繋がる穴から見ており、「ちっ、惜しい」と言っていましたが、それを見た響子さんがキッっと睨み本を投げつけていました。響子さんの投球フォームが綺麗で笑ってしまいます。
漫画だと四谷さんは「ちっ」と舌打ちするだけでした。個人的には漫画のように舌打ちだけの方が、四谷さんの覗きにガチ感あり面白かったです。
めぞん一刻単行本5巻のポスター
前回、五代君の部屋のに通常版の単行本9巻のポスターが貼ってありました。今回は同じ場所に5巻のポスターを発見。アニメスタッフの遊びです。
響子さんが掃除するときの『シュッシュッ』が怖い
響子さんは八神から門番と言われるほど、一刻館の玄関先をほうきで掃除しています。今回の掃除はアニオリでしたが、響子さんが怒っているときは『シュッシュッ』という音だけで怖いです。
怒らせてしまった自覚がある五代君が恐怖する様子。無言や無表情の様子。顔が映らずに掃除する響子さんの様子。早朝や夜でそんなときに掃除しないだろう状況。
これら細かい描写の組み合わせで、響子さんのセリフも表情もないのに、掃除している『シュッシュッ』の音や文字だけで怒っていることが分かります。
このように抽象的なシーンだけで、読者が全てを察することができる見せ方は好きです。見たり読んだりしていれば誰しも分かるのですが、自分で読み解いてわかった感が出ます。『全てを表現しているわけではないけどに、自分はこの表現がどういうことかわかったぞ』、『響子さんは怒っているんだな』と。
記憶がない五代君と記憶がある響子さんと断片的な情報や嘘を教える住人
翌朝、五代君は泊まった坂本と目が覚めるのですが、案の定五代君と坂本は昨晩の記憶がありませんでした。
ここからこの話のキモになる、『昨晩なにが起こったのか』の勘違いが始まります。
立場はそれぞれ下記の通りです。
- 【記憶がない】五代君、坂本
- 【記憶がある】響子さん
- 【記憶があるが断片的な情報しか教えない】一の瀬さん、四谷さん、朱美さん
彼らから仕入れた情報は下記になります。
【四谷さん】
- 昨日は惜しゅうございましたね
- 管理人さんは怒っていましたよ
- 女の人は途中で止めたら怒ります
【一の瀬さん】
- 裸踊りして響子さんに見ろ見ろと迫った
【朱美さん】
- ゴミバケツを抱きしめていて泣いていた
- 惣一郎さんに抱きついた(アニオリ)
- 本当に凄いのは管理人さんに…(五代君は耳を塞いで逃げる)(アニオリ)
今回、一の瀬さんは嘘をつきましたが、四谷さんと朱美さんはなにも嘘を言っていません。本当のことしか言っていません。…ただし、断片的な情報だけ与えて誤解するようにわざと持っていっています。
このようなことが今後もめぞん一刻ではたくさん出てきます。酔っていて記憶がなかったり、勝手に想像して、断片的な情報を五代君や響子さんに与えます。それを頭の中で繋げてしまう五代君や響子さんが勘違いしてトラブルに発展との流れです。
今回は明らかに四谷さんには誤解させようとする悪意があったのですが、悪意なくこのような流れになってしまうこともあり、このあたりもめぞん一刻の会話の妙ですね。会話の応酬4,5回で滑稽さが表現されることとはまた違い、下手に断片的な情報を得てしまったが故の勝手な誤解です。
これらのことから出した五代君の結論は…。
- 裸踊りをしながらゴミバケツと惣一郎にキスをして、やらしい言葉を吐きながら、響子さんを追い詰め、道端で響子さんを抱きしめてしまった
そんな馬鹿な…とわかりそうなものですが、五代君はあれは酒の上の不埒で冗談ですと響子さんに弁明します。しかし、響子さんは酒の上とは言え好きと告白されたわけですから、その告白を冗談ですと言われたので、バカにしないでよとまたしてもビンタ。アニメでだと8話目にして、漫画だと9話目にして既に4回ビンタされたり殴られています。
近所の評判になる
中華料理店で坂本と食事をしているとき、近所のおばさん2人組がおり、五代君を見てひそひそ話をして笑っていました。五代君は近所に向かって大声で響子さんに告白したので、そのことを話していたはずなのですが、これまで住人から裸踊りしたなどの断片的な情報を得ていたため、やはりそうなんだと勘違いを加速する結果になってしまいます。
このとき噂話をして五代君を笑っていたおばさん2人はモブキャラではあるのですが、次回の三鷹さんのいるテニススクールに一緒に行くことになります。
一刻館は変人が集まっていますし、今回のことで五代君も近所で有名人になってしまいましたね。不本意だとは思いますが、おそらく近所の人からは四谷さんたちと同じカテゴリーに入れられているのでは…。
ここでは一応坂本が、四谷さんたちの話はおかしいと言い、五代君もそういえば…と一瞬なるのですが、このおばさんたちの下卑た笑いを目の当たりにし、やっぱり裸踊りか…となってしまいます。
坂本はスチャラカではありますが、一刻館住人に比べるとはるかに常識的で、客観的に五代君を見られる貴重な存在です。今後も五代君に適切な助言をしたり背中を押したりしてくれます。
本気か冗談か悩む
響子さんは酒の上の告白とは言え、五代君の告白は本気かどうか悩みます。これまでは『駄目な弟』扱いだったのですが、多分ここで『五代さん』に格上げかなと思います。
少なくとも存在に悩む価値もないくらいの、毒にも薬にもならない人からは立ち位置が変わったはず。弟は好きですなんて告白してきませんからね。五代君の気持ちはどうなんだろうと悩んでくれるくらいにはなりました。
響子さんはハッキリ『本気か冗談か悩む』と言っていたので、真剣に悩んでくれたようです。ただ、この時点で本気の告白と受け取られ、響子さんから真剣に返事をされても不味かったのではないかな…と。この頃は別に五代君を男性として好きではないので、きちんとお断りされていたかも…なんて考えてしまいます。逆に曖昧なまま答えを聞こうとしなかったことが、後々功を奏した気がします。
響子さんは五代君から酒の上の冗談と言われ、五代君をビンタして部屋に戻って泣いてしまいました。五代君も自分が思っていた裸踊りではなく、告白していたんだとこのときわかり、まずい言い訳をしてしまったと泣き…2人とも泣いて終了。
響子さん呼びと管理人さん呼び
五代君は時と場合により響子さんと言ったり管理人さんと言ったりします。終盤までずっと基本は管理人さん呼びですが、今回のようにお酒に酔って前後不覚になったときや、1人でいるときは響子さん呼びになります。
面と向かって響子さん呼びになるのはラブホテルに入った瞬間からです。それまでは基本的にずっと管理人さん呼びです。それまではあくまで管理人と住人の関係だったんです。
原作漫画では
総評
今回は初期では1番有名であろう、「響子さん好きじゃあああ」回でした。しかし、酒の上での告白だったため、響子さんは本気か冗談か分からず悩み、覚えていない五代君は自分がなにをやったのかわからず…。そして最後は響子さんも五代君も自分たちの勘違いに泣いてしまいました。
響子さんは冗談で告白されたのに本気で悩んでしまってバカみたいと泣き、五代君は自分が告白していたとは知らず、それを冗談だと言ってしまったことに泣きました。現実の恋愛だったら致命的になりかねないミスが何回もありますね。
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