アニメ全話レビュー「寄生獣 セイの格率 第10話 「発狂した宇宙」」

全体のあらすじ

寄生獣 セイの格率

平凡な高校生である泉新一は、ある日突然飛来してきた「パラサイト」の襲撃を受ける。間一髪で脳への寄生は免れるが、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活が始まることに―。周囲に真実を話すことができず悩んでいた新一だが、やがて新一とミギーは友情に近いものを感じるようになっていく。

 

しかし、新一とミギーの前には他のパラサイトが現れ始め、次々に人を殺し、また人がパラサイトを殺す事態に発展。新一の同級生・里美にも危険が迫る。その中で、高校教師として目の前に現れた田宮良子らパラサイトたちにもそれぞれの価値観が生まれ始める。 「われわれはなぜ生まれてきたのか?」

 

地球を壊し続ける人間たちを淘汰するために生まれてきたというパラサイトたち。そのパラサイトを殺し、生き延びようとする人間たち。「果たして生き残るべきはどちらなのか?」それでも、地球を、そして愛する人を守らなければいけない。ゆらぐ価値観の中で、新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく。

 

 

今回のあらすじ

アニメ「寄生獣 セイの格率」公式サイト

暴走するパラサイト・島田秀雄。猛獣と化した島田には理性や思考の欠片も残されてはいなかった。逃げ遅れた里美のクラスが島田の餌食となり、校内は一変して凄惨な殺人現場へと化す。血と死体の山を越え、里美を救出するため廊下の先へと進む新一。

 

原作漫画だと

  • 第23話「混乱と殺戮」
  • 第24話「一撃」
  • 第25話「波紋」

 

サブタイトルの元ネタ

サブタイトルは書籍名から取っているのですが、今回はこちら。

 

 

原作漫画との違い

今回は丁度原作漫画の3話分でした。

 

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新一が教室を勝手に飛び出したことを咎められ、先生にビンタされるシーン。島田秀雄に切り刻まれたグロい死体の数々。新一の学校にマスコミが取材に来ているシーン。この辺りがカットされていました。

 

本当は立川はこのエピソードから

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何故かアニメでは初回から登場していた立川ですが、原作漫画ではこの島田秀雄のエピソードからの登場でした。立川は原作漫画ではこの後も出てくることはなく、島田秀雄のエピソードのみのスポットキャラだったのですが、人間対パラサイトの全面戦争の火蓋を切って落とす重要な役割であり、主要キャラではないのに物語を大きく動かす少し変な立ち位置なので、思い切って最初から登場させたんでしょうか。

 

この寄生獣は新一の回りで絡んでくる人間の登場キャラと言えば、家族以外だと村野と加奈しかいませんでしたからね。原作漫画で新一は非常に孤独で、人間としての生活の臭いが薄かったので、その辺を考慮したのかもしれません。なにせ男友達の一人も出てきませんでした。

 

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しかしこの立川の不思議な勇気。人外の化け物と分かっているのに2人きりになる教室に呼び出し、「貴方を化け物だって知っている」と宣言し、「もう学校に来ないで」と頼む。無茶苦茶な行動です。

 

立川対パラサイト

この立川対パラサイトは見方を変えると面白くて、それまでいかにパラサイトの攻撃力が高く、躊躇いなく人を殺すかを散々やってきたので、普通に考えれば人間の非力な女性の立川という一介の人間が、田宮良子に物事を頼まれるような、聡明で冷静なパラサイト島田秀雄に勝てるわけがないんです。ブックメーカーがこの戦いの掛け率を発表するとすれば、100:1くらいで島田秀雄の勝ちのはずなんです。

 

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ところが実際はどうなったかと言えば、立川が用意した薬品の瓶たった1本を島田秀雄に投げたことで、実質立川がパラサイト島田秀雄に勝ってしまいました。

 

今までの話に出たように、パラサイトは人類史上初めて人間より上の食物連鎖の頂点君臨しました。その圧倒的な攻撃力や完璧な擬態により、人間には為す術がないと思われましたが、やり方によっては非力な人間の女性でもパラサイトに勝てると言う事を示しています。

 

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これは今後本格的に戦いが始まる人間対パラサイトでも基本的にこのスタンスで、身体能力や殺傷能力では圧倒的に不利な人間が、人間社会と言う人間独特の組織力や科学力を使い、色々工夫してパラサイトを追い詰めていく最初の一手でもありました。

 

物量作戦

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パラサイト1体対人間1体では、当然その戦闘力は比較にならないほどパラサイトの方が高いのですが、今回警官が短銃をチマチマ撃ち込んで、最終的には島田秀雄を絶命寸前まで追い込んでいました。パラサイトはいくら能力が高いと言っても、首から下はあくまで普通の人間なわけで、そこを人間が物量で攻めればどんなパラサイトでも倒せるんですよね。まあ例外も出てきますが…。

 

パラサイトの数がそれほど多くない、そして首から下は人間との設定が絶妙で、パラサイトが何百万といて、首から下も完璧だったらこの作戦は効果が薄く、人間側は厳しかったはずです。

 

300メートルのワンショットワンキル

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お前はゴルゴかってほどの距離から新一は遠投をして、島田秀雄の心臓を貫いて倒していました。もう新一とミギーの力を合わせると、パラサイトから見ても新一は十分化け物なんですよね。

 

 

島田秀雄に同情すべき点

考え方を少し変えると、この島田秀雄に同情すべき点があるんです。

 

島田秀雄は田宮良子とつるみ、新一を監視する重要なミッションを任されました。このことから考えるに、島田秀雄はおそらく田宮良子と同じような思想を持ったパラサイトであると思われます。

 

以前出てきた「A」は、あくまで子供を実験的に作るための事務的な契約関係でしかなく、仲間とはおそらく違いました。パラサイトは人間に比べ数が圧倒的に少なく、適齢期の男女が出会うことも難しい生物なので、本当に事務的な契約関係だったんでしょう。

 

田宮良子はパラサイトとしては異端で、人間を食料として考えることを止め、人間社会に溶け込んで生きることを模索していたので、島田秀雄も少なからずこのタイプだったと思います。その証拠に必要以上に殺戮をしたり、新一に敵意を向けることなく、表向き平穏に人間の生活を営んでいました。

 

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食料として人間を食べるのは…ある意味仕方ないでしょう。そういう生き物なんですから。そもそも殺人が罪という倫理観は人間が作った物で、自然界では当たり前のように生物を殺し捕食したり、同じ生物同士で殺し合っています。…と、この辺は既にミギーが語っていますし、これからも語られる事なので、今更私が語ることではないですね。そんな訳で食事として人間を食べる事以外、高校に毎日律儀に通ったり、下手な騒ぎを起こさないようにしていたんですね。

 

このように人間社会に溶け込んで生きていたのですが、立川に正体がばれてしまい、やむなくその立川を排除せざるを得なくなってしまいました。島田秀雄風に言えば、降りかかった火の粉を払おうとしただけであり、自分から何か騒動を起こした訳ではないんです。

 

もし島田秀雄がこの時死んでいなければ、田宮良子と共に人間社会に溶け込み、人間を捕食することもなく、新しいパラサイトの時代を築いていたのかも知れません。

 

ちなみに薬品を巻き込んでしまった時点で、もう島田秀雄は詰んでいました。仮にあの場を凌いだとしても、もう人間の顔に擬態できないわけで、一生あのカリフラワー状態のまま生きなければなりませんでした。田宮良子や他のパラサイトに見つかりでもしたら、自分達の存在が公になってしまうので、パラサイトからも命を狙われたでしょう。

 

今回のことでパラサイトにも弱点があり、意外に脆い事が分かりました。

 

パラサイトの見分け方

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今回遂に新一の回りの出来事から話が発展し、本格的に日本の警察組織や政府の話が出てきました。この寄生獣で独特なのは、ヒーロー対化け物ではなく、人間社会対化け物だってことです。

 

以前ミギーが細かく分裂しすぎるとコントロールが効かなくなり、元に戻れなくなると言っていましたが、これがしっかりとした伏線になり、髪の毛を引き千切ることでパラサイトを見分けられるとの話に繋がっていました。寄生獣はこうやってしっかり伏線を張り、きちんと回収するんですよね。こういう計算された伏線があると、「おー!」と思って感心してしまいます。

 

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3/8

今回の話でワイド版寄生獣の全8巻中3巻まで終わりました。

 

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今回は人間側がパラサイトに対してどの程度知っていて、どういった対策を取っているのかの動きが少し分かりました。次回はパラサイト側が人間の社会にどう潜り込んでいるのか、何をしようとしているのかの話です。これでおおよそ人間とパラサイトのしようとしていること、立ち位置がわかります。

 

グロいシーン

ところで、今回の話は寄生獣の物語中最もグロテスクなシーンがある話だったので、どうなるかなと思って見ていたのですが、画面全体を暗くしてはっきりと映らないようにしていましたね。その影響で別にグロくもない新一のアップや警官の銃撃シーンなども映像が暗くなり、何をやっているのか絵的に非常に分かりづらくなってしまいました。

 

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明るさ補正をしてみたところ、暗くして見えないようにしているものの、死体なんかは結構ちゃんと描かれていたので、Blu-ray発売の際には明るさ補正をして、ちゃんと見えるようになることはまず間違いありません。

 

原作漫画では死体の輪切り当たり前で、内蔵も普通に飛び出している死体が描かれていたので、そこまではさすがに無理ですよね。

 

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ちなみに、村野の死体かと思って女生徒の首をこっちに向けて確認するシーンは、原作漫画でもゾクッときました。更にその後に謝るところも良いんですよね。しかしこんな訳もわからず見たこともない化け物に殺されるのは勘弁して貰いたい…。何が起こったのか、何に殺されたのか、どうして殺されたのか。全てが謎のまま死を迎えるとかキツすぎる…。

 

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