目次
あらすじ
ホワイトベースはテキサス・ゾーンの暗礁空域に向かった。だが、マ・クベ大佐は、ガンダムを仕留めて上司キシリアに報いようと行動を始めていた。同時に、そこにはララァと新型モビルアーマー“エルメス” の実験を行おうとするシャアの姿もあった。マ・クベは幾重にも罠を仕掛けてガンダムをコロニー深部へ誘いこむが…。
見どころ
- 異質なMSギャン登場
- シャア専用の新MSゲルググ登場
- アムロとララァの通じ合い
初登場人物
ジオン軍
- フラナガン
死亡登場人物
ジオン軍
- マ・クベ (ガンダムに1対1を挑むも撃破され死亡)
初登場メカ
ジオン軍
- ギャン
- シャア専用ゲルググ
はじめに
今回は1stガンダム作中でも特に異質なMSギャンが登場します。また、シャアの新しい専用MSゲルググも登場。この辺りはクライマックスに向け、登場人物やMSに出し惜しみがないので、ストーリーの濃厚さが凄いです。
放送内容
歴史的事実を語るような口調
子供の頃の自分がガンダムのどこに「やられたか」と言うと、勿論MSや登場人物の格好良さや、派手な戦闘シーンなどもあるのですが、ナレーションで時折流れる、「○○であったと言う」などの、さも歴史的事実をのちに語っている口調があります。
今回もドズルが死んだことをさも歴史的事実のようナレーションで語り、歴史的に本当にあったかのようにデギンやギレンの様子も描くこの作風に、小1くらいだった自分は、これは一体アニメなのか、それとも現実なのかの境目がぼやけてしまい、テレビの中に入り込んだような不思議な感覚になったことを覚えています。この感覚になったのは、このガンダムただ1回だけです。勿論、これを見た時期が感受性豊かで世の中のことも何も知らない本当の子供時代だったからとの、奇跡的なタイミングのあいかたもあったのでしょうが、それだけにこの1stガンダムは忘れられないアニメなんです。
フラウとアムロ
フラウとアムロは幼なじみで、戦争に巻き込まれる前は親しかったのですが、アムロが戦争で徐々に変わっていき、そしてマチルダの登場辺りから関係がギクシャクし、ララァ登場で完全にフラウはアムロとの関係は諦めたみたいですね。
前回、ハヤトが負傷したところを看病しているときも、アムロのことを「あの人」と他人行儀に呼んでいましたが、今回もアムロの傷の手当てをしているとき妙によそよそしく、フラウの中では完全にアムロとは無しになったことが窺えます。
また、アムロもフラウに対し何かあったか聞かれたとき、「いつか話せるようになったら話すよ」とこちらも距離を取ってしまい、このやりとりの瞬間、完全にフラウとアムロは縁が切れたんじゃないでしょうか。
テキサスコロニー
今回の主な舞台は、もうほとんど人が住んでおらず、そのためメンテナンスも行われず砂漠化してしまったコロニーです。通称テキサスコロニーと呼ばれているのですがマニアックな設定です。
ここではニュータイプ研究所のフラナガン博士が初登場していました。特にこのあとストーリーに絡んでくるわけではないのですが、こうやって今まで出てきたストーリーに関わる人を少しでも出して姿を見せることにより、それまでの話や設定に現実味が増し、より話に説得力が出ます。話だけ出だされるのと、その話に出てきた人の姿を少しでも見せるのとでは雲泥の差です。
セイラの入浴シーン
今回明らかなサービスカットで、ストーリーと関係ないセイラの入浴シーンがありました。テレビ版では乳首は映らなかったんですね。いつも劇場版ばかり見ているのですっかり忘れていましたが、セイラの乳首は劇場版だけの特典だったようです。
以前も書きましたが、この頃は安彦良和さんは病気で倒れ制作に関われなかったので、劇場版のPart2からは意欲的に作画やストーリーを新しく書き直しました。劇場版のセイラの乳首は安彦さんの意向なのでしょうか。
マ・クベのマルチぶり
マ・クベは大佐であり、部隊を指揮し、戦艦を操縦し、連邦への策謀も手掛け、採掘場の運営・輸送も行い、そして今回はギャンに乗ってMSのパイロットとして出撃しました。ホワイトベース部隊と関わってしまうと、皆翻弄されてしい、評価が低くなってしまいますが、実はマ・クベって有能だったんじゃないでしょうか。人間的にはどうなんだって気はしますが…。
ギャンの異質ぶり
このギャンは実に異質です。
まず目立つのがその盾です。盾からミサイルが発射されるんです。「おお凄い!その発想があったか!これなら防御しながら攻撃できるじゃないか!」と思ったのですが、盾としての機能は問題ないんでしょうか。盾とは相手の攻撃を受ける物ですが、そこにミサイルが仕込まれているわけで、爆発しないんでしょうか。
また、攻撃方法も特殊です。フェンシングそのままの突き1本の攻撃方法です。フェンシングと言う形態が発生し受け継がれている以上、この攻撃方法に有効性はあるのでしょうが、古今東西ガンダム史上フェンシングスタイルのMSはこのギャンだけです。
そして設定としては、このギャンとゲルググで、ザク、ドムに次ぐ主力MSの座を争っていたことになっています。結局ジオンはゲルググを次期主力MSとして採用。このギャンは表舞台に立つことなく終わったMSでした。
マ・クベの戦い方
マ・クベはガンダムに対してやたら自信を持っているようでしたが、どこからその自信は出てくるのでしょうか。ガンダムはリック・ドムをものの3分で12機近く倒してしまう白い悪魔と噂されている相手なのですが…。
このマ・クベvsアムロの戦いでは、途中シャアが助太刀に来るのですが、断って1対1の戦いを続けた結果負けてしまいました。ギャンでも善戦していましたし、ここにシャアがゲルググで参戦して2対1になれば、勝機はかなり大きかったように思うんですけどね。
シャアの助太刀を断った理由ですが、ここでシャアに助太刀され活躍されてしまうと、シャアが増長してしまうからとの理由。一見下らなく見えるのですが、軍全体の大局を考えると、シャアの手綱を引き締めておくというのは、道理としては間違いとも言い切れないですね。
そのマ・クベ最後の言葉は、ガンダムファンの間では語りぐさの「キシリア様にあの壺を届けてくれよ。あれは良い物だ。」です。死ぬ間際にこんなことを言うなんて…。
ゲルググの格好良さ
今回ギャンとともにシャア専用ゲルググが出てきましたがこのゲルググは子供の頃から一貫して格好良いと思えるMSです。
ザクやジムは子供の頃弱くてダサいと思っていました。しかし時がたち大人になってから見ると、それぞれに良さがあり好きになる変化があったのですが、ゲルググは子供の頃から好きで今でも格好良いと思います。あの独特の重量感、装甲感、それでいてドムよりも角張っている無骨なスタイル。今でも興奮してしまいます。
総評
この頃は本当にキャラやMS、ストーリーに出し惜しみがないので、非常に密度の高い話が続きます。
今回はギャン以外にもひとつ異質なことがあり、作画がいつもと明らかに違っていました。いつもよりやたらと影が強調され、線が多く、劇画タッチの絵柄でした。これはこれで面白いですね。ただ毎回これだと見ているこちらが疲れそうな気もします。
こんな人にお勧め
- ロボットアニメが好きな人
- 戦争アニメが好きな人
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