ジョジョの奇妙な日常「ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない/荒木飛呂彦」レビュー 評価はまだありません

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長所と短所

  • ○頭脳戦が良くできている
  • ○狭い範囲での細かい物語
  • △ジョジョの奇妙な日常である
  • △ストーリーとは関係ない話が結構ある

 

はじめに

遂に私が一番好きなジョジョの奇妙な冒険第四部です。この第四部は第三部の世界を股に掛けた冒険譚から打って変わり、日本のある町で起こる小さな物語です。行動範囲も狭ければ、ラスボスも世界を危機に陥れるディオとは全く違い単なる連続殺人鬼です。単なると表現して良いかは難しいのですが、少なくともディオのように世界を支配しようとの野望とは真逆に、平穏に暮らすことが目的の殺人鬼です。

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この第四部は以上のようなことから実に独特のパートで、他のパートとは一線を画しています。このようなユニークな話だけに長所も目立つのですが、逆に受け入れられない人がいるであろうユニークすぎる部分もあります。性に合う人はどっぷりはまるのでしょうが、一方で面白くないと評する人もいるであろうパートではないでしょうか。

 

今回も全バトルを書いたので記事が長くなりすぎました。記事を分割しているので、続きを読む場合はページ末尾のナビゲーションの数字をクリックしてください。

 

あらすじ

エジプトでのDIOとの決戦から10年以上の月日が流れた1999年。日本のM県S市杜王町(もりおうちょう)で、そこに住む高校生広瀬康一の視点と語りによって物語は始まる。

 

海洋冒険家となった前部の主人公空条承太郎は杜王町へとやってきた。それは老いて死を実感するようになったジョセフ・ジョースターの遺産分配について、調査の結果ジョセフの隠し子(承太郎の年下の叔父)である東方仗助(ひがしかた じょうすけ、ジョジョ)が日本に住んでいることが判明したためであった。承太郎は康一に東方家の場所を尋ねるが、そこで偶然にも不良学生に絡まれていた仗助を発見する。当初は腰が引けていたが髪型を侮蔑された怒りでスタンドを発現し、不良学生を撃退した仗助に承太郎は驚く。

 

承太郎は仗助にジョースター家のことを伝えるとともに、日本に来た理由としてもう一つ、仗助を探す過程でジョセフが念写した写真により、凶悪犯罪者アンジェロがスタンド能力を有して街に潜んでいることが判明、注意することを伝えた。しかし東方家に忍び込んだアンジェロのスタンドの手により、仗助の祖父は殺害されてしまう。

 

戦いの末アンジェロを撃破した承太郎と仗助は、アンジェロはある男が用いた「弓と矢」によってスタンド能力を得たこと、その男と「弓と矢」はDIOと関わりがあることを知る。そしてその「弓と矢」によって街中にスタンド使いが増え始めていた。その一連の事件がDIOの呪縛によって不死となった父を殺すスタンド使いを探す虹村形兆・億泰の兄弟によるものと知った仗助だが、形兆は彼が覚醒させたスタンド使い音石明によって殺害され、「弓と矢」を奪われてしまった。

 

ジョジョの奇妙な日常

この第四部は今までの三部までと違い『冒険』ではありません。正確に表現するならば『日常』です。そしてそれを踏まえてタイトルを述べるなら『ジョジョの奇妙な日常』がしっくり来ます。

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第四部の主人公は第二部の主人公ジョセフ・ジョースターの隠し子である東方仗助。お約束の通りあだ名はジョジョ。ジョセフに隠し子が発覚し、遺産相続の件で第三部の主人公であり、ジョセフの孫である空条承太郎が杜王町を訪れると言う物。この2人の関係は承太郎のおじさんが仗助になるんですよね。

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第四部は主人公の高校生仗助を中心に物語が展開されていくのですが、学校の生活の話、友人と料理を食べに行く話、おかしな友人と出会う話など、その中身はジョジョというタイトルで隠されていますが、実は日常系のスタイルそのままです。日常系と言えば『よつばと! 』だったり、それこそタイトル通りの『日常』なんかが有名ですが、実はこれとある部分では同系統です。その日常の中にスタンドバトルがあるんです。

 

このような事から、第四部はジョジョの奇妙な冒険の中でもひときわ異質で奇妙です。後述しますが、さらにラスボスは話がだいぶ進んでもハッキリしなかったり、敵味方だけでは分けられない複雑奇妙な人間関係などがこの第四部の異質さを際立たせます。

 

ラスボスがいない?

第一部はジョジョ対ディオの対立構図が最初から明確で、ラスボスもディオなのはわかりきっていました。また、第二部は最初からラスボスが柱の男であることもわかりやすく、第三部も最初からラスボスであるディオを目指しての冒険。このように、今までのジョジョの奇妙な冒険では最初からわかりやすいラスボスがいて、そのラスボスを倒すための物語であり冒険でした。ところがこの第四部はいつまで話が進んでもラスボスが誰なのかわかりません。何故か杜王町でスタンドが多く現れるので、その原因を探りながら、出会った危険なスタンド使いを逐一倒していくモグラ叩きの連続。確かにユニークなスタンドがいっぱい出てきて面白いのですが、ふと話を考えてみると「あれ?ラスボスは誰?今何をやっているの?」なんて疑問に思うストーリー展開が中盤まで続きます。この目的の曖昧さを受け入れられるかどうかで第四部の評価は分かれる気がします。

 

個人的にはこのように日常の中で出会ってしまったスタンド使いと、こいつは敵なのかどうか腹の探り合いをしながら戦うのは好きなのですが、このような明確な目的無く日常が進んでいくことが嫌だとのジョジョファンもいるようです。

 

複雑な人間関係

自分たち以外のスタンド使いは敵である。ジョジョの奇妙な冒険の第三部や第五部以降ではこれが基本スタンスです。ところがこの第四部にはこれが当て嵌まりません。なにせ日常生活の中にスタンド使いが普通に存在する杜王町の話ですからね。例えば街中で偶然出会った人、例えば料理を食べに行った先の料理人、例えば同じ学校の生徒。彼らが実はがスタンド使いだったなんてことが溢れています。ディオのように誰か一人の大きな存在によって操られていたり作り出された者たちではありません。それぞれが勝手に仗助たちと同じように日常を送っているので、出会ったところでお互いに見ず知らずだったり、敵でも味方でもない関係性が当たり前です。この独特の関係性も第四部だけでした。(ジョジョリオン除く)

 

この複雑な人間関係もジョジョの奇妙な冒険では異質で、現在連載中のジョジョリオンは第四部バージョン2のようなストーリーなので、一応第四部だけと書かせていただきました。このジョジョリオンもいずれレビューを書けたらと思いますが、パラレルワールドでの第四部って感じの話です。意味が分からない人は第六部を読みましょう。

 

個性豊かなキャラクター

これまでもジョジョの奇妙な冒険の名の通り、ユニークなキャラクターたちが出てきましたが、これまでのキャラクターとこの第四部のキャラクターのユニークさの差は歴然で、その後のジョジョの奇妙な冒険を見てもぶっちぎりでおかしなキャラの宝庫です。

 

第三部とは違い、新たなスタンド使いが敵として現れて襲ってきて撃破、そして退場との流れではなく、最初から最後まで全ては杜王町一つの小さな町でのでき事です。出てきたスタンド使いは死亡しない限り、基本的に杜王町に居続けることになるので、新たなスタンド使いが出てくることイコール『キャラが増える』ことになります。要はキャラが増える一方なんです。なので、登場人物やスタンドの渋滞感は若干あって、前述もしましたが人間関係がこれまでのシンプルな物とは違い、非常に複雑でゴチャゴチャしています。

 

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