漫画全話レビュー「めぞん一刻 第122話「沈黙は金ヅル」」 評価はまだありません

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1986年3月15日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1986年3月 五代裕作、キャバレーでバイトを始める

 

この頃のでき事
  • 3月1日 - 渡辺美智雄通産相、野党支持者に「毛ばり」発言。
  • 3月3日 - 埼京線の新宿駅直通運転開始と京葉線の暫定開業。
  • 3月4日 - サントリーが麦芽100%ビール「モルツ」を発売。
  • 3月5日 - 青函トンネルの本州と北海道が結合。
  • 3月6日 - G5[1]、初の協調利下げで合意。
  • 3月8日 - 前年8月19日に打ち上げられたハレー彗星探査機『すいせい』が彗星に最接近(15万km)。
  • 3月16日 - スイスが国民投票で国際連合加盟を否決。
  • 3月23日 - 関東地方の大雪の中、西武新宿線田無駅付近で後続の列車が前方に停車中の列車に追突する事故が発生。
  • 3月25日 - 皇居半蔵門とアメリカ大使館に過激派が火炎弾を発射する事件が発生。

 

あらすじ

しいの実保育園をクビになった五代君。響子さんに本当のことを言えずに仕事へ行く振りをしてしまいます。そんな中、坂本の紹介で全国チェーンの宣伝門のクチが空いているとのことで紹介して貰うのですが…。

 

みどころ

  • キャバレーのバイトをする五代君
  • 一刻館住人に集られる五代君

 

初登場人物

  • キャバレーバニー店長(飯岡)

 

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はじめに

前回、保育園をクビになり、響子さんには本当のことが言えず、いつも通り仕事に行く振りをして公園でお弁当を食べる非常に切ない話がありましたが、今回は突然訪ねてきた坂本が五代君の窮状を知り、高校の先輩の働いている会社を紹介する話でした。

 

また、それを知った一刻館住人は、作中最も酷い集りを仕掛けてきます…。

 

高校の先輩?

未だに五代君は保育園をクビになったことを響子さんに言えません。そんな中坂本は五代君を訪ねて借金をお願いするのですが、無職の五代君はお金が無く、たまたま側で金の無心を聞いていた響子さんが立て替えることに。立て替える響子さんも良い人なのですが、悪びれる様子も無く借りてしまう坂本も凄いです。一切遠慮無く、すぐに貸して貰っていましたからね。

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その後五代君の窮状を知った坂本が、高校の先輩の会社に五代君を紹介していたのですが、それが何を隠そうキャバレーでした。まあ確かに坂本が言うとおり、全国チェーン(のキャバレー)の宣伝部門(呼び込み)ですけどね…。

 

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ここで坂本は、飯岡さん(漫画では名無しでしたが、アニメで晴れて飯岡との名前を与えられていました。公式に入れて良いのかどうか難しいところですが)を「高校の先輩」と行っていたことが見逃せません。一般的に高校の先輩と言えば、在学中の先輩であることが多く、その例に当て嵌めると、飯岡店長は五代君と坂本の最大でも2個上と言うことに…。この時、五代君は23~24歳なので、飯岡店長は25~26歳ですか…。あの顔で…。まあOBと接点がある人もいて、その場合は先輩と行っても5個上だったり10個上なんて事もあるのですが、飯岡店長の場合どちらなのでしょうね。

 

五代君は坂本を恨んでいましたが、兎にも角にもこれで日銭は稼げることになりました。おそらく大学を卒業してからは実家からの仕送りが止まっており、自活しなければならなかったはずで、無職でいるわけにはいきません。この辺りも今で言うフリーターですね。

 

四谷さんに見付かる

キャバレーの呼び込みに慣れてきた五代君ですが、そんなとき運悪く声を掛けてしまったのが四谷さんでした。もうこうなると終わりの始まりであって…。当然、その他の一刻館住人である、一の瀬さんと朱美さんにも情報が伝わってしまいます。響子さんに言わないでくれと五代君は頼み、その条件として奢って貰ったのですが、この五代君の言葉を逆手に取り、響子さん「だけ」には言わないと解釈。以前、八神が五代君の家庭教師に収まるときもそうでしたが、この辺りの言葉遊びや解釈の仕方で相手を煙に巻くのはめぞん一刻のお約束ですね。激しい動きや謎がある作品では無いのに、こういった会話の遣り取りがもの凄く面白いんです。

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しかしこの集り方は本当に最悪で、キャバレーに毎晩3人の酒飲みが来て、ぐでんぐでんに酔っ払うまで奢ると言うことは、どんなに少なく見積もっても毎晩2万円は行くはず。五代君の日給は多く見積もっても1万円前後でしょう。どう考えてもバイトをすればする程赤字になるんですよね…。

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サブタイトルの上手さ

今回もサブタイトルが上手いですね。めぞん一刻はサブタイトルが内容と実に上手くリンクしており、それでいてちょっとした言葉遊びにもなっていることが多くて面白いです。以前の「青田枯れ」なんかもそうでしたね。サブタイトルに全く気を遣わなかったり、ストレートに内容をそのまま言葉にするだけの漫画も多いのですが、めぞん一刻は内容と合っていて、それでいて言葉遊びになっている物も多く、話を読み終わってもう1度サブタイトルを見ると、なるほどなと思うことも少なくありません。

 

 

めぞん一刻を既に読んでいる人も、サブタイトルに注目しながらもう1度読んでみると、新たな発見があるかも知れません。

 

今回で言うと、沈黙とは五代君が響子さんに本当のことを言えないことを表していて、金ヅルとは一刻館住人にとって、五代君が金ヅルになったと言うこと。五代君が沈黙するから、一刻館住人の金ヅルになってしまったと言うことですね。「(五代君が)沈黙は(するから一刻館住人の)金ヅル」。上手いです。

 

ちなみに、本来のことわざである「沈黙は金」ですが、意味は以下のようになります。

 

沈黙は金(キン) [句]
〔西洋の ことわざから〕
だまって何も言わないのが、最上の分別(フンベツ)だ。
「雄弁(ユウベン)は銀、━」
→ ちんもく【沈黙】
三省堂国語辞典 第七版 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2014

 

五代君の沈黙(響子さんに言わないこと)は真逆の現象を引き起こしてしまいましたねえ。

 

総評

今回は坂本の紹介で日銭を稼ぐことはできるようになったものの、響子さんに言えない秘密がまたひとつ増えてしまいました。保育園をクビになったこと、そしてキャバレーでバイトをしていること。嘘を付くと、その嘘を通すためにまた嘘を付き、またその嘘を隠すために…の悪循環ですね。そしてこの五代君の響子さんに秘密にしておきたい弱みに付け込み、一刻館住人の最悪の集りが始まってしまいました。

 

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