目次
あらすじ
冴羽リョウ、通称シティーハンター依頼人の望みに100パーセントこたえる街のスイーパー。ボディーガードから、殺しまで手広く請け負うが、依頼は美女絡みか、依頼人の本音に「心が震えた時」しか受けない。今は亡き親友の妹、槇村香をパートナーに病んだ都会の闇に蠢く悪を撃つ!!
長所と短所
- ○絵が綺麗
- ○毎回物語が1から楽しめる
- ○リョウが格好良い
- △ボディガードばかり
はじめに
今回レビューするのは、北条司さんの漫画『シティーハンター』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
絵が綺麗
子供の頃初めて読んだとき、シティーハンターの何に目を奪われたかと言えばその絵の綺麗さです。もっと具体的に書くと女性の綺麗さです。連載誌が少年誌だったので、他の連載漫画の人物の絵は、どこかしらデフォルメされていました。現実とは違って目が大きかったり、髪の毛が現実ではあり得ない物だったり。これはこれで漫画だから良いんです。ところが、その中に突然少年誌に似つかわしくない劇画調の人物絵ですからね。驚きました。
前作のキャッツ・アイでも劇画調の人物像はそうだったのですが、シティーハンターでは更にそれが進んだ感じがしました。キャッツ・アイの瞳や浅谷君を見ても、少年漫画らしくもっと目が大きかったんですよね。
下の画像がそのキャッツ・アイの瞳の絵。まだそこまで目が小さくなくて劇画調…とも言えないですよね。リアルな絵ではありますが、まだ少年漫画の範疇に入っている感じ。
そして下の画像がこのシティーハンターの絵。随分と目が細く長くなり、より写実的になっています。また、髪型や髪の流れるさらさらな感じ、ふわっとしら感じなどが一気にリアルになりました。この髪の艶やかさもシティーハンターの人物絵でびっくりしたことです。
このようなシティーハンターの女性は北条美人と言われています。それくらい当時異端で特徴的だったんです。また、女性の体のラインが綺麗で、ピッチリした服が多かったのも個人的には印象的です。
ちなみに、この頃のジャンプやサンデーなど、少年誌だったのですが胸がもろに出るようなサービスカットが当たり前にあったのですが、もっこりネタ満載で最もそこに近いと思われるシティーハンターでは、逆にそれは1度たりともありませんでした。まあ、この絵柄で胸が出ちゃうと写実的すぎて冗談にならないのでしょうが…。この辺りも面白いです。ただ、結構女性が皆肉感的です。いわゆるスレンダーな女性キャラはほとんどいませんでした。このあたりは作者の女性の好みが出ている気がします。
毎回物語が1から楽しめる
絵が綺麗、女性が綺麗なことは絵に関する事柄でしたが、ストーリーに関することだと、最も特徴的なのは毎エピソードごとに物語がリセットされることです。
物語を通じて軸になるストーリーはあります。死んだ親友の槇村秀幸の話だったり、ユニオン・テオーペだったり、香を裏の世界に置いておいて良いのかの葛藤だったり。しかし、それ以外の各エピソードを見ると、ゲストヒロインと出会い、事件が起こり、事件が解決する、そしてゲストヒロインとの別れ…となっていて、それだけで物語が完結してしまうんです。
多くのエピソードではゲストヒロインがリョウを好きになります。しかし、これらエピソードが全て繋がってしまうと、リョウを好きな女性が20人も30人も周りにいることに…。これは現実的ではないですし、話が渋滞してしまいます。なので、毎エピソードの最後には必ずと言って良いほど別れで終わります。まれに近所に住んで準レギュラー化する女性もいますけどね。
中にはリョウに結婚しましょうと迫って終わるなんて、本来ストーリー漫画ならできないオチで終わるエピソードもいくつかありました。まさにこれがシティーハンタ独特のオチなんです。本来こんなことは無理なんです。
そして次の話はどうなるかと言うと…そんなことはなかったかのように全く新しいエピソードが始まり、前回のことには一切触れられません。そして、そのゲストヒロインの多くは2度と出てきません。本当にこれはシティーハンターならではなんです。1つのエピソードで恋愛が始まり、発展し、そして終わる。また新しいエピソードではこれが繰り返される。この『繰り返せる』構成はシティーハンターのシステムならではです。
ちなみに、アニメのシティーハンターで顕著だったのですが、別れに空港が登場することが多かったです。これは、『2度と登場しない』との説明がそのシーンだけで無理なく表現できるのからだと思いますが、こんなことからシティーハンターでは『空港エンド』なんてネタで言われることもありました。
準レギュラー化した例で言うと、泥棒稼業の麻生かすみは、海坊主と美樹が経営する喫茶店キャッツ・アイに住み込みのバイトとなりましたね。
このように、言ってみれば1エピソードが1つの漫画単体として成り立っているんです。本来、ストーリー漫画の場合、その後の展開も考えて制限が掛かります。この登場人物まで主人公を好きになってしまうと、話がこんがらがる、おかしくなる、だから辞めとこう…なんて具合に。しかし、シティーハンターは毎エピソードごとに話がリセットされ、ゲストヒロインは退場するので、このような制限がなく好きに描けるんです。これは大胆な発想ですし、シティーハンターが面白くなった大きな要因だと思います。
シティーハンターのエピソードについては、下記ページで全て書き出しています。
リョウが格好良い
読み切りから連載初期は、シティーハンターの作風が後のものとはだいぶ違っていて、ギャグは少なくハードボイルドなシティーハンターでした。当時の話を調べると、連載当初は人気が芳しくなかったそうです。しかし、その後編集のアドバイスで、もっこりなどシティーハンターの特徴的なギャグを入れたところ一躍人気作になったとか。
このようにシリアスとギャグのバランスが良いのもシティーハンターの特徴ですね。リョウも締めるところ締めるんです。普段はおちゃらけているけど、いざとなると強い、格好良いなんて少年が憧れる主人公像ですもんね。これにピッタリ合致したんでしょう。
気になるところ
最後に読んでみて気になったところを挙げていきます。
ボディガードばかり
作者本人も作品の中でネタにしていますが、何でも屋、スイーパーとは言っていますが、シティーハンターはボディーガードの依頼ばかりです。
当初はハードボイルド路線だったので、普通に人を殺していましたが、その後少年漫画向けにギャグを多く入れるようになりました。この路線変更から、人を殺すなどのダイレクトな犯罪をリョウが行うことは完全になくなってしまったんです。
だからと言って、ボディガード以外になにかできるのかと言われると…。特に思い付きません。作者自身だって他に色々やって変化を持たせようとしたはずですができませんでしたからね。ただ、それでも一生懸命変化を付けようとしたことは伺えます。
ボディガードの依頼の仕方がそれぞれ違っていました。中には幽霊に依頼されるなんてオカルトな変化球もありましたし、リョウの親族を名乗る人物からの依頼もありました。たまたまお近づきになったら狙われていたので、こっちからボディガードを提案する、大人の女性ではなく小さい女の子のボディガードをすることになる…などなどです。
ボディガードの依頼ばかりとは言っても、内容はそれぞれ違ったので楽しめたんですけどね。
総評
シティーハンターを久々に今回再読しましたが、やっぱり面白いですね。なんと言っても出てくる女性が物凄く綺麗で目を奪われます。それだけでもシティーハンターの大きな特徴で魅力です。毎回ゲストで登場する女性のボディガードをし、段々信頼され、最後は惚れられる。恋愛漫画としても十分に成り立っています。そして、それはそのエピソードだけで完結するので、また次のエピソードからは新しい恋愛が始まるんです。恋愛漫画好きの人も十分に満足できると思います。
また、内容もシリアスとギャグのバランスが非常に良くて、ふざけるところはふざけ、締めるところは締めるのでリョウが格好良いんです。シティーハンターを読んで新宿という大都会に憧れました。
ちなみに雑誌の連載時、編集部のゴタゴタがあり、打ち切りは4週後だと急に告げられたそうです。そのため、作者自身このときに満足いく話を描けなかったため、単行本で30ページの大幅な加筆修正がされました。なので、雑誌しか読んでいなかった人は、最終巻だけでも買って読むと良いかもしれません。
追記:CITYCITY HUNTER好きなら読むべき『今日からCITY HUNTER』
もしCITYCITY HUNTERの世界に転生したら…の『今日からCITY HUNTER』のレビュー記事を書きました。CITYCITY HUNTER好きには絶対お勧めなので、良かったらその記事も合わせてお読みください。
追記:20年ぶりのCITYCITY HUNTER劇場版を観てきた
20年ぶりにアニメ化されたCITYCITY HUNTERの劇場版を観てきたので感想をアップしました。
こんな人にお勧め
- 女性が綺麗な漫画が好きな人
- 主人公が格好良い漫画が好きな人
- 恋愛漫画が好きな人
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