漫画全話レビュー「めぞん一刻 第089話「体育祭の指導と管理」」 5/5 (2)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1984年10月30日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1984年9月26日 八神いぶき、五代君と体育祭の打ち合わせ
  • 1984年9月27日 八神いぶき、五代君に下着でアタック

 

この頃のでき事
  • 10月1日 - 住友製薬発足。住友化学と稲畑産業の医薬品事業を継承。
  • 10月4日 - 広島が横浜スタジアムの対大洋戦で勝利し、4年ぶりのセ・リーグ優勝決める。
  • 10月6日 - 日劇・朝日新聞社東京本社跡地に建設の有楽町マリオンが全面完成。
  • 10月7日 - “かい人21面相”から森永製菓の製品に青酸混入予告の脅迫状が報道機関に送られる。京阪神で「どくいり きけん」と書かれた紙が貼り付けられた森永製品10個を発見。
  • 10月9日 - ロサンゼルスオリンピックの柔道無差別級で金メダルを獲得した山下泰裕に国民栄誉賞が贈られる。
  • 10月11日 - コジローの4コマ漫画「いも虫ランド」がスポーツニッポン東京本社版で連載開始(大阪本社版は1986年4月1日から連載開始)。
  • 10月15日 - トヨタ自動車が「カローラFX」を発売。
  • 10月19日 - 山陽本線西明石駅構内で、上り寝台特急「富士」の客車がプラットホームに衝突、脱線する事故が発生(西明石駅列車脱線事故)。
  • 10月22日 - 広島が日本選手権シリーズで阪急を4勝3敗で下し4年ぶりの日本一。
  • 10月22日 - テレビ朝日系列で放送していた西部警察が最終回を向かえる。(最終回は月曜放送)
  • 10月25日 - オーストラリアからコアラ6頭が贈られて日本に初めて上陸。
  • 10月31日 - インド首相、インディラ・ガンジーが暗殺される。

 

あらすじ

教育実習もあとわずかとなり、体育祭の連絡にかこつけてなんとか五代君にコナを付けたい八神。響子さんが五代君の忘れ物を学校に届けに来たことにより、ムキになって強引な手段に出てしまいます。体育倉庫に呼び出した八神は下着姿で五代君に迫るのですが…。

 

みどころ

  • 下着姿で迫る八神

 

はじめに

今回は八神の猛アタックでも最も強引で危ない体育倉庫での下着でアタックの回です。この無鉄砲さ、後先考えない八神が凄いです。

 

八神はトラップ

今回は冒頭から五代君は八神になつかれて困っていましたが、本来これだけ可愛く聡明な子に好かれたら、男なら嬉しいはずなのですが、五代君は心底困っているこの設定が上手いです。

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前回も書きましたが、五代君は響子さんが絶対的に好きなので、響子さんの母校で八神に手を出してしまうと、情報が筒抜けになるので、状況的にも絶対に手を出してはいけない、言わば八神はトラップなのです。勿論、五代君の素直な気持ちとして、響子さん一筋なので…とのこともあるのですが、この物理的状況を作り出し、読者にも「そりゃあ手を出せないよな~出したら響子さんにバレるもん」と思わせるのは結構重要で、純愛との理想だけではなく、現実的で人間味のある状況が、五代君の葛藤などの物語をリアルにしています。

 

 

響子さんはまだまだ余裕

前回、八神が五代君に抱きついている写真を八神から送られ、宣戦布告をされた響子さんですが、まだまだ余裕です。五代君が女子高生に弄ばれてしまっているとの認識のようです。これが本心なのかどうかはわかりませんが、教育実習は2週間の期間限定なので、それが終われば響子さんが言うように「ジ・エンド」ですからね。響子さんの余裕の理由にひとつには、このような事もあったのでしょう。

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八神の猛アタック

八神は前回も次々と五代君に猛アタックをしていましたが、今回も体育祭の打ち合わせでスキンシップを図りアタック、打ち合わせノートに好きと書いてアタック、そして翌日には体育倉庫に呼び出し下着でアタックと、畳み掛けるように猛アタックをしていました。

 

下着でアタックは八神としては予定していなかったのですが、ライバルである響子さんが、好きと書いたノートを五代君の忘れ物として持ってきたのにカッとして、ある意味衝動的に行った作戦のようです。響子さんの訪問がなければ下着でアタックはありませんでした。

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ここで八神が面白いのは、これだけ五代君にアタックし、果ては下着でアタックなんて体を張ったことをしているにも関わらず、「その後」のことを一切考えていないことです。五代君が偶然倒れ込み、胸を触られたときのセリフでそれがわかります。次回は五代君の部屋に泊まりに来るのですが、この時も先のことを考えてない無鉄砲さが見て取れます。

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八神はこれだけ五代君に積極的にアタックしているのですが、それとは対照的に、その後と事は考えていない、想像できないウブさの二面性があり、そこがまた読んでいて八神を憎めず、また可愛いと思ってしまう所以です。

 

踏み止まる五代君

五代君は八神の下着でアタックにも流されず、なんとか踏み止まったのですが、ここを偶然響子さんと先生が見ており、結果的に響子さんはあれだけされても八神に手を出さなかったことと、八神との会話の中で自分の話題が出て、五代君は響子さんを好きとの情報がまた補強されたおかげで上機嫌。こんなことがあったにも関わらず、響子さんの中で五代君の評価が上がってしまいました。八神側から見ると…これは完全に失敗ですね。五代君の響子さんの信頼関係を深める結果となってしまいました。

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このように、八神は五代君と響子さんを引っ掻き回し、離れさせようとするのですが、結果的に2人の信頼関係が深まり、距離が縮まってしまうことばかりしているのです。このようなことが、「こずえちゃんではできなかったこと」なのです。こうやって響子さんの心を突き動かし、五代君と響子さんの距離を近付けるのは、作中でも八神しかできなかった事なのです。

 

総評

今回も前回に引き続き八神の猛アタックが止まりませんでした。しかしこの猛アタックが逆に五代君と響子さんの距離を縮めることになったのは皮肉なもので、八神の立ち回りはほぼ全て結果的に2人の関係を強めることになっていきます。

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八神はあくまでお邪魔キャラなので、嫌いな人もいると思いますが、このように八神でしかできない役回りがあったので、八神がいるとラブコメになるので面白いだけではなく、めぞん一刻の作品上、必要不可欠なキャラなのです。

 

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