今回レビューするのは、めぞん一刻の第9話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
前回の「響子さん好きじゃあああ」の件以来、喧嘩をしている五代君と響子さん。そんなとき、死んだ夫に操を立てているのは良くないと、近所のおばさんにテニススクールに誘われます。テニススクールのコーチ三鷹さんは響子さんを気に入りアプローチ。五代君はその対抗心で、先日の告白は冗談ではないと告白するのですが…。
みどころ
- 三鷹さん登場
- 五代君再告白
初登場人物
- 三鷹瞬
感想
五代君と響子さんは喧嘩中
前回の「好きじゃあああ」は、五代君は自分が裸踊りしたと思い、あれは本気ではなかたと言ってしまっため、響子さんは『告白は冗談だった』と受け取り泣いてしまいました。そこから五代君と響子さんは喧嘩中…と言うか、響子さんの一方的な無視が続きます。
基本的に五代君と響子さんの喧嘩は、お互いに怒ってお互いに無視して…ということではなく、響子さんが怒って一方的に五代君を無視します。響子さんが怒っているので五代君は怖くて話しかけられず、結果的にお互いに話さない状態が多いです。これがさらにエスカレートすると家出になります。
テニススクールに誘われる
前回、中華料理店で出てきた近所のおばさんが2人が再登場。死んだ夫に操を立て、一刻館にこもっているのは良くないと、テニススクールに誘われます。このとき一の瀬さんも一緒に誘われていました。
やはりこの間のことは近所で評判になっているようで、五代君の告白を喜べば良いじゃないと言われていました。そして、一の瀬さんが「まさか死んだ夫に操を立てているんじゃないだろうね」と言って、響子さんが沈黙との流れ。
漫画だと響子さん自らの口で「死んだ夫に操を立てているんです」と言っていました。周囲がそう思っているわけではなく、響子さんが他の男とは付き合わないと確固たる決心を持って生きていました。
アニメの響子さんは漫画よりマイルドになっていると以前書きましたが、ここもその改変の1つでしょう。響子さんが鉄壁の女になりすぎないように、響子さん自ら操を立てているとは言わせなかったのだと思います。
三鷹さん登場
今回は五代君の恋のライバルとなる三鷹さんがテニススクールのコーチとして登場しました。恋愛物だとライバルは何人かで出てくる場合も多いのですが、めぞん一刻はずっとこの三鷹さん1人だけがライバルでした。この辺りの人間関係のシンプルさもめぞん一刻が見やすい理由かもしれません。複雑な人間関係や構図はありません。五代君のライバル=三鷹さん。これだけです。
1stガンダムもこんな感じで、アムロのライバル=シャアでした。シンプルな構図なので人間関係はどうだったのかわからなくなったり、複雑な話にならない分、話の内容そのものに集中できることが良いのかもしれません。複雑な話は話で良い面もあるのですが、そればかりでは疲れてしまいますからね。
三鷹さんは典型的な良い男、爽やかな男として描かれており、登場シーンでもそうでしたが、歯がキラーンと光っていました。うだつの上がらない五代君と対照的なキャラです。
【五代君】
- 19歳
- 三流大学1年生(一浪)
- 貧乏
- 自転車も持っていない
【三鷹さん】
- 25歳
- テニスコーチ
- 金持ち(のちに出てきますが家賃20万円のマンション暮らし)
- トヨタのソアラ(新車)持ち(350~360万円)(漫画では日産のシルビア(150~160万円))
五代君と三鷹さんのスペックでとても五代君が勝てるとは思えません。
このとき五代君はバイト中でした。氷の配達のバイトをしていたのですが、昔はこんなバイトがあったようです。以前、テレビで見たのですが、氷屋は今もあり、回りがどんどん撤退したせいで、残った氷屋は意外と儲かっているそうです。残存者利益と言うやつですね。綺麗な形や模様が入った氷などを、お洒落なバーや高級料理店などに売っているそうです。
響子さんはテニス部だった
コース分けのために三鷹さんからテストを受ける響子さん。一の瀬さんに聞かれて答えていましたが、響子さんは高校の時テニス部だったとか。ちょっとクラブでやったとは言っていましたが、それは謙遜でテニス部だったのでしょうね。
響子さんは久しぶりだったと言っていましたが、このとき響子さんは21歳です。3年までテニス部だったとしたら3年ぶりでしょうか。響子さんは1番上のAコースでした。
歯ぎしりする五代君
五代君はバイト中に響子さんがテニススクールに参加しているところを偶然目撃。金網越しに、三鷹さんに手取り足取り教えて貰っているところを見て悔しがるのですが、その間に配達中の氷が溶けてしまい…。クビになるのでしょうね。五代君の人柄は素晴らしいのですが、正直仕事はできないタイプです。
五代君はバイトが終わったあと一刻館に帰ってくるのですが、久しぶりに響子さんに「お帰りなさい」と喋り掛けられていました。これまで無視していたのになぜ急に…と思うのですが、体を動かして気持ち良かったと機嫌が良さそうだったのでそのせいでしょうか。漫画だと五代君の顔を見て驚き、咄嗟に言葉が出てしまったような描写でした。
五代君は金網越しに配達中の氷が全部溶けるほどの時間かぶりついていたので、真夏の強い日差しで顔に金網上の日焼けができていました。五代君は自分の顔なので鏡を見ない限り分かりませんが、響子さんと一の瀬さんはその顔の日焼けを見て全てを察していました。
五代君はバイトが忙しかった、テニスをやっていたなんて全く知らなかったとキリッと言うのですが、それに対する一の瀬さんは全くの無表情で「大変だったね~」と無感情で言うところは面白いです。五代君の嘘は分かっているけど、突っ込むのも面倒くさいから付き合ってやるか…的気持ちが読み取れます。
このオチまでが漫画の第10話です。アニメではAパートで第10話をやっていました。Bパートからは漫画の第11話です。
管理人さんの格好
このときは真夏だったので、響子さんは短パンにチューブトップのセクシーな格好。五代君は見とれてしまいます。響子さんを見た朱美さんは「わ~管理人さん凄い格好」と言うのですが…。スケスケネグリジェで、乳首まで完全に見えてる朱美さんが言うのかと突っ込んでしまいます。朱美さんは自分の格好がどれだけ『凄い格好』か自覚がないようです。
四谷さんもこのとき出てきて、五代君に届いた田舎からの仕送りを貰って…もとい、奪っていましたが、五代君も四谷さんももはや朱美さんのその格好には見向きもしないのですね。目の前に24歳のスケスケネグリジェの女性がいるのに、短パンにチューブトップの響子さんのことの方が気になるようです。一刻館住人の感覚がどんどんおかしくなっているような…。
五代君と三鷹さん初対決
五代君はまたしてもテニススクールの響子さんを見に来ていました。横には四谷さんもおり…。四谷さんは一体なにをしている人なのか…。一刻館では浴衣(?)、外ではスーツを来ています。
一の瀬さんに「あんたら暇だね」と言われていましたし、今回は五代君もバイトをしている様子がなかったので、やはり氷運びのバイトはクビになったのでしょうか。
響子さんは一の瀬さんに三鷹さんをお茶に誘うように頼まれていましたが、ここでもめぞん一刻らしい勘違いが炸裂。
響子さんにお茶に誘われた三鷹さんは、響子さんと2人で行くと勘違いするのですが、実は一の瀬さんだけどころか、見ず知らずの五代君や四谷さんもオマケで付いてくることに…。五代君はこのとき一緒に行くのを嫌がっていましたが、格差を見せつけられることがわかっていたのでしょう。
実際、車に乗った途端に一の瀬さんが車の話を切り出し、三鷹さんの車が新車で350~360万円することを知らされ、「あんたもがんばって自転車くらい買いなよ」と追い打ち。一の瀬さんはわかってやっていますよね。
三鷹さんの車は漫画では日産のシルビアでした。
アニメではトヨタがスポンサーに付いていたので、トヨタのソアラに変更。
そのため、漫画では車の値段が150~160万円と言っていたのですが、アニメでは前述のように350~360万円に変更。当時で350万円とは高級車ですね。
2度目の告白
五代君は前回、泥酔して「響子さん好きじゃあああ」と言ったものの、その後あれは冗談でしたと言い訳をしてしまったことにより、響子さんの中であれは冗談だったと片付けていた様子。しかし、今回五代君は三鷹さんへのライバル心から「冗談じゃありません…好きです」と告白。…。しかし、今回も響子さんに面と向かって言ったわけではなく、三鷹さんをガン見して告白する不思議な構図。
五代君が酔っ払っていない状態でハッキリ告白したので、これで響子さんは五代君が自分を本気で好きなんだと理解しました。
いたたまれなくなり帰ろうとする響子さん。転びそうになるところに手を出す三鷹さん。今で言うところとラッキースケベで響子さんの胸を触ってしまいます。この時点で五代君と三鷹さんは響子さんの胸を1度触っているので引き分け(?)でしょうか。
【差し替え】
おもしろけりゃいいんだよ
響子さんを追い掛ける三鷹さんを五代君は追い掛けようとするのですが、一の瀬さんと四谷さんはそれを許してくれません。2人がかりで阻止をします。なぜこんなことをするのかと言えば、おもしろけりゃいいからです。アニメと漫画では少しセリフを言う人が違いますが概ね同じです。
四谷「今度はコーチが迫る番です」
五代「あんたらどっちの味方なんだ?」
四谷「味方も敵もありませんよ」
一の瀬「おもしろけりゃいいんだよ」
一刻館住人の一の瀬さん、四谷さん、朱美さんの行動原理はなにかと言えば、この「面白けりゃ良いんだよ」です。別に五代君の味方でもありません。この住人のスタンスは最後の最後までブレません。
三鷹さんも実質告白する
外に出た響子さんを追い掛ける三鷹さんに対し、響子さんは自分は未亡人だと言っていました。五代君がそのことを知るまで7ヶ月掛かったのですが、三鷹さんはすぐに知りました。
三鷹さんは響子さんが惣一郎さんのことをまだ想っていることを知り、「相当時間がかかりそうですね…ま、ぼくは気の長い方だから」と実質告白していました。五代君みたいにストレートに好きだと言うわけではありません。スマートな大人の余裕がある告白です。このあたりの子供の五代君と大人の三鷹さんの対比が面白いです。
三鷹さんはプレイボーイですし、響子さんと出会ってまだ間もないので、このときはその他にいる、なんとなく良いかもと思っている多く女性の中の1人だったのかもしれません。
三鷹さんが車に乗って帰り、五代君が最後に響子さんのところへ行ったのはアニオリです。
作画監督によって大きく絵柄が変わる時代
この頃のアニメは当然手書きのセルアニメです。今のデジタルアニメと違い、手書きなので作画監督によって絵柄がガラッと変わることも少なくありませんでした。とは言え、この頃のそのような情勢を考えても、めぞん一刻ほど絵柄がコロコロ変わるアニメは珍しいと思います。
今回の作画監督は音無竜之介さんです。この筆名(ペンネーム)からも分かるとおり、めぞん一刻の音無響子から音無を、うる星やつらの竜之介から下の名前を取ったとのこと。
漫画よりも幼い感じで丸っこく、可愛い絵柄の時は大抵音無さんが作画監督です。
音無さんの作画はめぞん一刻の作風からすると少し幼すぎるきらいがありますが、可愛い絵柄なので好きです。
原作漫画では
総評
今回は五代君の長きにわたるライバル三鷹さんが登場しました。初期に出てきたキャラは、後半ではぞんざいな扱いをされ、違うキャラがメインとなってしまう場合も多いです。初期のキャラはいつの間にか出番が少なくなりフェードアウト…なんて漫画やアニメも多いのですが、めぞん一刻は最初の頃に出てきたキャラが最後まで丁寧に描かれます。これも私がめぞん一刻を好きな理由です。
脇役が出るシーンも多く時間も長いので、キャラが深く掘り下げられ、性格や行動が手に取るようにわかります。漫画やアニメの架空のキャラなのですが、まるで本当に存在するような錯覚を起こしてしまいます。
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