アニメ全話レビュー「めぞん一刻全話レビューを終えて」

全話レビューを終えて

今回、たまたまCSの日テレ+でめぞん一刻の再放送をしているのを見付け、最も好きな漫画なので、折角だし全話レビューしてみようかなと、無責任にも思い立ったのが始まりでした。

 

全96話の長丁場なので、最後まで続けられるかわからず、出来る限りとのスタンスで臨んだのですが、結果最後まで完走することが出来ました。

 

一日一話のペースが丁度良かったのかも知れません。Blu-rayも持っているのですが、これを一日数話見て感想を書くスタイルだったら、全96話のレビューは出来ていなかったでしょう。一日に一話を見て感想を書く。夏休みの日記的な無理のないペース配分が、丁度「日課」となって良かったんではないかなと思っています。

 

アニメの気になったところ

今回、アニメを原作漫画と比較しながらじっくり細部まで見たのですが、それでアニメの気になった点をいくつか挙げたいと思います。全話レビューで何回も書いていることだったりして、内容が重複になってしまうかも知れませんが、纏め的な意味合いでも一回整理しておこうかなと。

 

五代君が就職浪人をしないこと

これは原作漫画からアニメになって最も変わった所ですね。これは物凄く大きい変更点でした。何故そうしたかの理由は分かりません。私の個人的な想像ですが、夜7時半のお茶の間ど真ん中の時間帯で放送するアニメなので、就職浪人するのは悲惨すぎるから省いたのかななんて思っています。これはのちに書きますが、響子さんの性格改変と同じような理由じゃないかなと。とは言え、「オナペット」を放送しますし、「やりてえよ~」なんてのも放送しているので、一寸一貫性がないんですよね。めぞん一刻は全96話で何回か大幅にスタッフが変わっているので、その辺で個性が出ちゃったのかも知れませんし、最初の方針から軌道修正することも、別におかしなことではありませんけどね。

 

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ただやはり、この就職浪人のエピソードを無かったことにしたのは、アニメの失敗だったと思っています。

 

五代君は苦労人であり、苦労に苦労を重ねて、最後にやっと幸せを掴むからこそ、見ている者の心を揺さぶり感動させるのですが、その五代君の人格、めぞん一刻の中核を成す「五代君の苦労」が、一気に少なくなってしまったんです。

 

確かに、読んでいて就職浪人の頃の話は胸が痛くなります。辛くなることもありました。でもこの苦労話があったからこそ、五代君が最後に幸せを掴んだときに、「良かったね五代君」と感動し、感極まったんです。言ってみれば感動のフィナーレのための「助走」が足りないんです。五代君が苦労したという助走。この助走があるからこそ大きく飛べるわけで、この助走は物凄く大事だったんです。

 

そしてもう一つ、五代君が就職浪人しなかったことにより、話に引っ掛かってしまうことがありました。響子さんとの将来を語っても、絶望しても、結局は大学四年だったことです。就職浪人することにより社会で揉まれ、社会の厳しさ、就職の厳しさ、惨めさを知るからこそ、五代君の言葉や決断に重みが出るのですが、「大学四年が言っている言葉」とふと思ってしまうと、途端にアニメの五代君の言動が軽く見えてしまうんです。

 

響子さんと結婚したいと真面目に言っても大学四年ですからね。アニメでは就職浪人話がなかったので、就職過程で苦労話を盛り込んできましたが、苦労している、悩んでいるとは言っても、現役の大学四年で、最終的には新卒で就職が決まりますからね。

 

極めつけは人生を決定付ける試験の位置付けで、原作漫画では就職浪人中の保母試験だったのですが、アニメでは大学の卒業試験でした。原作漫画の保母試験の場合、まさに背水の陣で、ここで合格出来なかったら、一刻館に居られなくなるくらいの人生の分岐点でした。ところがアニメは大学の卒業試験です。ほとんど合格する試験なので、そこまで追い詰められるのは少しおかしいんです。

 

響子さんが性格が改変されたこと

これはファンの間でよく言われることですが、響子さんの性格が原作漫画アニメでは結構違うんです。

 

原作漫画の響子さんは、作者の高橋留美子さん自身も言っているように、「女の嫌な部分」がかなりあるんです。理不尽な嫉妬をしたり、ヒステリックに怒ったり、ネチネチ五代君に嫌味を言ったり。ところがアニメの場合、そういった女の嫌らしい部分の表現をかなりオブラートに包んでいます。

 

有名なところだと、八神に嫉妬してほうきを折るところがカットされていました。何故かアニメでは、惣一郎さんをなでていたら力が入ってむしるとの描写に変更されていました。

 

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あとは、八神が無理矢理五代君に家庭教師をしてもらっていたことを、担任に報告に行くところもカット。いわゆる「チクり」ってやつですね。チクってでも八神を排除しに掛かる。そうまでして五代君にまとわりつく八神が邪魔になってきた。この心情の変化が大事だったのですが、残念ながらアニメでは、買い物の途中に偶然会った担任に、世間話のついでとして話す描写になっていました。

 

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嫉妬深く怒りっぽい原作漫画の響子さんと比べて、アニメの響子さんは、女神のような優しい女性に近いんです。勿論、アニメの響子さんも、嫉妬もしますし怒りますが、原作漫画の響子さんの怖さはアニメの比じゃないんです。

 

これも、何故改変されたのか謎ですが、前に書いたように、おそらく夜7時半というお茶の間の時間に放送するので、そういった嫌らしさは排除したんじゃないかなと勝手に思っています。

 

放送時期に合わせて季節を変えてしまったこと

アニメのめぞん一刻は、放送時期に合わせて、作中の季節を変えてしまったことにより、話をミックスしたりシャッフルしたり、そこにオリジナル要素を入れてきたりをしょっちゅうやっていました。

 

これはこれでアニメ制作側の事情があるので、別に本気で文句を言うわけではないのですが、かなり無理がある展開になることがありました。

 

これで思ったのは消費者金融からお金を借りる恐ろしさ。季節を変えるから無理が出る。無理が出るから改変する。改変したらまた無理が出る。無理が出るから…。以下ループ。消費者金融で借金をしてしまい、借金を返しても返しても利息分だけ返して、元本が減らない恐ろしさに似ているかも?

 

八神の退場の仕方に無理があったこと

八神の退場シーンは、季節を放送時期に合わせて変えたことにより、最も大きく変更を余儀なくされた部分ですね。

 

この辺の経緯は「全話レビュー「めぞん一刻 第80話 「五代ドッキリ!突然八神のバニーガール!!」」」 や「全話レビュー「めぞん一刻 第66話 「八神の挑戦!未亡人なんかに負けないわ」」」に書いてあるので良かったら読んで下さい。

 

お婆ちゃんが出過ぎなこと

原作漫画では、お婆ちゃんはあくまでレアキャラで、たまに出るからこそ「実家のお婆ちゃん」と言う感じだったのですが、アニメでは頻繁に出てくるので、レア感や実家のお婆ちゃん感がかなり薄くなっていました。なにせしょっちゅう一刻館に来ていましたからね。あくまでお婆ちゃんには重要なときだけ五代君を見守る、そっと背中を押すような、あくまで脇役でいて欲しかったのですが、アニメでは存在感が大きすぎました。

 

まとめ

と、まあここまでアニメの気になったことを書き連ねてきましたが、好きだからこそ気になる訳で、そこはアニメを貶しているとか、原作漫画しか認めていないとか、決してそういうわけではないのでご理解下さい。好きだからこそアニメと原作漫画を比べるのもまた楽しいんです。

 

アニメの良かった所

好きな漫画がアニメになるだけで嬉しい

これはもうそのままで、大好きな漫画アニメになって色が付き、動き、声が付くだけでファンとしては物凄く嬉しかったです。

 

声優がばっちり合っていたこと

声優は誰も彼も全部がばっちり合っていました。

 

五代君、響子さんは勿論、一刻館の住人、果ては八神までピッタリイメージと合いっていました。個人的には特に八神がドストライクの声でした。優等生であり活発であり、大胆である。その八神の声にピッタリのイメージでした。

 

基本的な軸はしっかり通したこと

原作漫画から季節を変えたり、話を前後させたり、エピソードをミックスさせたり、台詞をカットしたりと、色々書いてきましたが、最終的には最初から最後まで原作漫画の通りやってくれました。そもそもこのアニメはめぞん一刻の連載中に始まったので、終わりまできちんとやるのか、出来るのか相当不確定だったのですが、最終回まできっちりやってくれて、ちゃんと完結したので、その部分は本当に良かったですね。

 

これだけストーリーがきちんと続く話なのに、途中で終わられたらたまりませんからね。特に当時を振り返ってみると、途中までやって第一期。人気があったから第二期なんてシステムは皆無で、一度終わったらそれでもう二度とやらないか、良くてOVAか劇場版で続きをって時代でした。きちんとTVアニメで最初から最後までやりきると言う事は、そう簡単なことではなかったんです。

 

まとめ

アニメの気になるところを、上で色々書きましたが、結局大好きな漫画が、アニメになって動いて声が付いているだけでファンとしては大満足なんです。そもそも日本の漫画は白黒ですから、色が付いただけでも嬉しいわけで、そこにアニメーションと声が付けば、嬉しいに決まっているんです。ごく希にアニメ化しない方が良かったなんてのもあるにはありますが…。

 

アニメも大好きだからこそ気になるところや、原作漫画との比較をたくさん書いてしまいましたが、好きだからこそであり、比較もまた楽しみだと言う事を理解して貰えると有り難いです。

 

めぞん一刻全話レビュー終了

放送分の96話は、先日の記事で終わりましたが、総括で今回この記事を書きました。その総括もこれにて終了。これでめぞん一刻全話レビュー、それに関する記事は本当に終わりです。長いことこんな感想文にお付き合い頂き本当に有り難うございました。めぞん一刻は、放送終了から30年近くたった今でも、再放送がたまに行われ、それを楽しんで観ている人も存在するので、おそらくこの後も10年20年と再放送が続いていくでしょう。

 

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コメント

    • M3
    • 2014年 9月 26日

    アニメ版の「めぞん一刻」が放送された当時、自分は小学生だったためそこまではっきりとしたことは覚えていませんでした。
    それからアニメ版をちゃんと全話見直したいと思っていたものの、なかなかチャンスがなかったのですが、半年ぐらい前にBDで販売されたのを機に、やっとアニメ版全話を観ることができました。

    アニメ版を見終わって案の定喪失感を感じ、ボケーッと「めぞん一刻」をキーワードにネットを漂っていたら、こちらのサイトを偶然に見つけ、即効で第一話から読ませて頂いた次第です。

    自分は「めぞん一刻」がホント好きで、漫画版に関しては何度も読み返しているのでそれなりに「めぞん一刻」のことは知り尽くしていると思っていました。
    なのでレビューと言ってもただアニメの各1話の内容をまとめたものだと思って読み始めたのですが、
    いやはやなんとも、こちらでのレビューは時代背景、登場人物の心情などより細かく調査、推測されており、
    本当に新しい発見が多くあり大変楽しませて頂きました。

    改めてこの全話レビュー総括を読ませて頂いて全て共感することができ、
    「めぞん一刻」いちファンとして同じ感想を持っていることが大変うれしく思います。

    >響子さんの性格
    最初の方はそんなでもなかったのに、半分過ぎたあたりから急に温和な感じになった気がします。
    特に最後に近づけば近づくほど、響子さんは五代くんを好きな気持ちが強くなっていき、
    嫉妬心も大きくなっていくわけなので、これは少し残念でした。

    >お婆ちゃんが出過ぎなこと
    >お婆ちゃんには重要なときだけ五代君を見守る、そっと背中を押すような
    これホントそうですよね~

    あとはやっぱりアニメで”契り”が無かったのが本当に残念ですね。
    ラブホテルの方は無くてもそれほど問題無いと思うのですが、
    これは無いとアニメ版しか見てない人は、結局響子さんが五代くんのことを好きだってことを全く知らないわけですから。。。
    なんか五代くんが響子さんをゴリ押しした結果になってしまうような。
    まあ雰囲気で察しはできますけど。。。

    >声優がばっちり合っていた
    私個人的には、五代くんの声はちょっとネチっとした?感じが少し好みではなかったです…

    兎にも角にも、ジェーニオさんの書かれてる通り、
    やっぱり自分の好きな漫画がアニメ化されたうれしさは半端ないですね。
    しかもほぼ全て原作に忠実でしたし、最後までやってくれて完結してくれたので大変満足です。

    ちょっと熱くなり長くなってしまい申し訳ありません。
    最後になりますが本当に全話レビューお疲れ様でした。
    アニメ見て喪失感漂い、このレビューが終わってしまってまた喪失感を感じることが大変辛くもありますが(笑)、
    こんな素敵な内容を提供して頂き、本当にありがとうございました。
    また「めぞん一刻」の何かが始まるのを期待しております。

      • ジェーニオ
      • 2014年 9月 26日

      >>M3さんへ

      アニメはアニメで素晴らしいのですが、「これは抜いちゃ駄目だろ」って部分を所々抜いちゃっているんですよね。『契り』もそうですし、個人的には『桜迷路』や、以前M3さんとも意見が一致した『今夜 待ってる』なんかもですね。ファンとしては、この辺の話をアニメで動いて声が付いているのを見たかったですねえ。

      >私個人的には、五代くんの声はちょっとネチっとした?感じが少し好みではなかったです…

      これは他の方の感想だったり見ると確かに良く目にしますね。私の場合、総集編だったりTVでの懐かしアニメで、本編を見る前に事前に頭に入ってきていたので違和感少なかったんでしょうね。

      こんな独りよがりの駄文に長いこと付き合って頂いて、こちらこそ有り難うございました。

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