アムロとシャアの戦い遂に完結「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編」レビュー 5/5 (1)

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始めに

ホワイトベースは、再び宇宙へと飛び立った。ニュータイプとして覚醒したアムロは、ガンダムで迫りくるジオン軍を次々と撃破、すさまじい戦果をあげていく。運命の少女ララァの乗るエルメスと交戦したとき、アムロの精神は、激しく共鳴をはじめた。だが、その戦いは、恐ろしい悲劇につながっていく。ひとの革新とは本当にあるのか?果てしなき喪失感を越えて、アムロの還える場所は…。

 

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副音声

最後の第三作、めぐりあい宇宙の副音声ですが、このめぐりあい宇宙は前二作とは違い、特別に二種類の副音声が入っています。今まで同様、司会はアニメ・特撮研究家の氷川竜介さん。一本目のゲストは、シナリオ担当兼SF考証の松崎健一さんと、プロデューサー(現アニプレックス、A-1ピクチャーズ社長)の植田益朗さん。二本目はメカ作画の板野一郎さんと、演出兼フロアディレクターの関田修さんです。

 

宇宙感

このめぐりあい宇宙はなんと言っても「宇宙の感じ」が大好きです。勿論私たちは宇宙へ行ったこともなければ、宇宙で戦闘をしたこともないので、想像するしかないのですが、宇宙って本当にこんな感じなんだろうなと思わせてくれました。

 

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それは無重力感だったり、宇宙空間の広さや暗さの表現だったり、または宇宙の冷たさを感じられる色使いだったりです。特に宇宙空間の冷たさの感じは大好きで、モビルスーツやコアファイターの光の反射、宇宙の暗黒を感じられる黒さにそれを感じることができました。

 

二機のガンキャノン

劇場版ガンダムでは、単純にTV版の総集編をしただけではなく、かなりの修正が加えられました。そのうち嬉しかったことのひとつが、TV版では宇宙でもハヤトはガンタンクだったのですが、それがガンキャノンになり、ガンキャノンの二機体制になったことです。この「宇宙でのガンタンク」は物凄い無理がありましたからね。この変更を初めて観たとき「おお!」と唸ってしまいました。

 

ガンタンクのコックピットは、頭部にあり完全に露出しており、ガラス一枚で宇宙空間と隔てられた、非常に恐ろしい空間でしたし、そもそも戦車タイプなので、360度から敵が来る宇宙空間では、真下が完全に死角だったんです。物凄く太った人が、階段を降りるときに下が見えなくて危ないみたいな感じです。

 

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こんな状況のガンタンクに乗らなければならないハヤトが不憫で仕方がありませんでした。それが劇場版ではガンキャノンに変わったので、違和感がなくなりました。そしてこのガンキャノンには108、109とのナンバリングが印字されており、この数字から他の部隊にもガンキャノンがいることが暗に示唆されて、兵器感が強調されていました。実際に上の画像にあるように、三機目のガンキャノンがハッキリと映像として出ています。

 

宇宙は狭い

ホワイトベースが寄港したサイド6で、サイド3以来行方不明になってたアムロの父テム・レイとアムロが偶然街中で出会うのですが、こんな偶然が宇宙規模の世界で起こるとは…。宇宙って意外と狭いんでしょうか。

 

ちなみにテム・レイは酸素欠乏症で頭がおかしくなっている設定なのですが、長いことそんな病気は創作だと思っていたのですが、きちんと実在の病気としてあるんですね。

 

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テム・レイの頭がおかしくなった描写として、アムロに役に立たないポンコツのメカを渡すシーンがあるのですが、実はこれ過去にジョークグッズとして、景品としてではありますが、USBハブ製品になっているんです。その名も「テムレイメカ」。劇中のポンコツ設定を生かし、当時でも既にUSB2.0が主流だったにも関わらず、わざと古い規格のUSB.1.1を採用し、また大きさも無駄にでかく、役立たずのポンコツを表していました。

 

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そしてテム・レイは死んだのかどうかは議論が良くされますが死んでいます。富野由悠季総監督の小説で、ハッキリと死亡したと書かれているんです。

 

ミライとブライトとカムランの三角関係

サイド6ではミライとブライトとカムランの三角関係もありました。今更ですが、これもとても子供には理解できない話です。またブライトが強がったのか、余裕を見せたかったのか、ミライがカムランに気がないことを察し、安心しポロッと出た言葉なのか、ミライにカムランと仲良くするようにとのニュアンスのことを言うのですが、その言葉の裏に含まれる色々な思いや感情、状況など非常に複雑な言動をこの辺りで描いていて、この辺りは大人になってから理解できました。

 

ガンダムは何重にも重なった話があるので、いくつになって見ても面白いんです。言ってみれば切り取る場所によって、違う絵が出てくる金太郎飴のような物です。見る年齢やその時の状況によって、色んな受け取り方ができるんです。

 

作画監督の安彦良和

ガンダムと言えば富野由悠季総監督と、作画監督の安彦良和さんが有名ですが、TV版の時はこのめぐりあい宇宙に当たる三十話後半から安彦さんが病気で倒れ、作画から外れてしまっていたので、この劇場版のめぐりあい宇宙では、安彦良和さんが全面的に新規作画をしたそうです。

 

めぐりあい宇宙では、やたら新規作画が多かったのは知っていたのですが、こういう理由だったんです。自分の納得いく作品に仕上げたいとの事なので、ある意味職人気質でもありますね。

 

無頼漢スレッガー

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スレッガーは前作哀・戦士にチラッと出てきたくらいで、本格的な活躍はこのめぐりあい宇宙からなのですが…バシバシ人を殴ります。一回目はミライに言い寄るカムランに対して。そして二回目はカムランの好意を邪険にするミライに対して。

 

スレッガーは帽子の被り方や汚れ方、金髪で顎が割れていることや言動から、ステレオタイプのアメリカ人って感じですよね。勿論このガンダムの世界には、国という概念がないのですが、このスレッガーはアメリカ人っぽいですし、ハヤヤト・コバヤシは柔道をやっていましたし、名前からしても日本人っぽいです。

 

アムロ・レイは富野総監督が無国籍のキャラにしたかったらしく、日本人にいないような名前を付けたそうですが、のちに安室奈美恵がブレイクしたときに、「しまった!日本人にある名前だったのか!」と思ったそうです。

 

ちなみに私はこの安室奈美恵がブレイクしかかっている時、安室との名前を耳に挟む程度でそれほど興味がなく、情報が右から左へ抜けていました。そのせいで若者に安室が人気、安室がブレイクしているとの音だけが頭に入っていたので、「何故今更渋谷のギャルなどに、ガンダムのアムロ・レイが人気なんだ…」と本気で一、二週間勘違いしていました。

 

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話はスレッガーに戻りますが、TV版ではビグザムにビームが効かない描写が丁寧にされ、その後仕方なくスレッガーがコアファイターが神風特攻するので、神風する理由がわかりやすかったんです。ところがこの劇場版では、ビグザムにビーム兵器が効かない描写は一応されてはいるのですが、ビームが効かない絶望感や打つ手のなしの様子がないので、スレッガーが神風する理由がいまいち分かりづらく、やや唐突に見えてしまいました。

 

このガンダム劇場版は、TV版を細切れにして大胆に再編集をしたり、大きなオデッサ作戦をカットしたりと、かなり無茶をしています。それにも関わらずストーリーが無理がなく繋がっているのですが、私が唯一分かりづらいなと思うのがこの場面でした。

 

ニュータイプとは

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ニュータイプとはなんぞやと言う疑問は、ガンダム好きなら考えたり、友人と議論したりしたことがあると思いますが、今作ではガンダムのシナリオ担当である松崎健一さんが、そのニュータイプとはなんぞやという疑問に副音声で答えていました。書き起こしましたので参考になればと思います。

 

「まあ」とか「あの」とか、意味のない前置きだったりはカットしていますが、完全に書き起こしているつもりです。

 

シナリオ担当の松崎健一さんが語る「ニュータイプとは」

 

劇場版 機動戦士ガンダム Blu-ray トリロジーボックス プレミアムエディション「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙」副音声より

 

普通のエスパーではないなと言うのは、当然富野さんだって言っちゃ悪いけど捻くれた性格してますから(笑)。そんな物出す訳がないと。時期的な問題からすると…時期的ってのは制作とかそういうのではなくて、ガンダム世界の中での時期的な話で、丁度宇宙に植民が始まって、ある程度時間がたったところ、世代も交代し始めてるってところで、宇宙に適応したたタイプの人種として、段々そういう者が生まれてくるんじゃないかって言う考え方で出した訳ですよね。だから富野さんの本来の考え方とは違ってるかもしれないけど、自分の考え方としては、遺伝子の中に一種の未来の記憶みたいな物を全ての動物が持っていると。人間が宇宙に出て、そういった物が発動し始めたタイプの人間として描いている訳ですよね。自分としては。

 

他のお話なんですけども、例えば犬とか猫とかって家畜化されてますよね。他の動物ってのは野生動物なんてのは、本当ただの野生なんですけども、例えば狐みたいな動物を一世代飼ったとしても、本当に野性に目覚めちゃったら駄目なんですけども、何世代も繰り返して、家畜化できそうな性格のものを選びながら世代を重ねていくと、本当に犬のような性格になっていくんですね。肉体自体も変化していくんですよ。そんなに早く遺伝子が突然変異でなる訳がないんで、そう言った物が元々組み込まれてた物が表に出始めると言う。だからそういうことが人間にもあるんじゃないかなと。

 

そういう物があるんで、人間として宇宙に出てくと、そういった隠された未来に対応する遺伝子が発動するんじゃないかと言う考え方で。例えばニュータイプは、ある程度予測的な考え方も入ってますよね。能力として。あれは普通の自動車とか飛行機とかの運転レベルだったら、今の運動能力で済むけども、宇宙になったら下手するともう見えない物が飛んで来たりする。そうするとそういう物が予測できるような能力がなければ生きていけないんじゃないかと。そういった物がガンダムの中では戦争に応用されてしまっていると言う、そう言う考え方の能力。

 

ただこれは、松崎健一さん本人も言っているとおり、総監督の富野さんとは違う見解の可能性があるので、その辺は留意しておいて下さい。しかしさすがにガンダムのシナリオを書いた人の見解ですからね。一応これは公式見解と言って良いと思います。

 

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ニュータイプは戦争に利用されているとは、劇中でもシャアが言っていましたし、この副音声でも松崎健一さんが言っていましたが、最後はそのアムロのニュータイプ能力が、人殺しの道具ではなく、ホワイトベースクルーの人助けへと使われていました。これはどんな力でも使い方次第って事かと思います。

 

アムロとララァとは二回しか出会っていない

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実はアムロとララァは運命的な出会いをし、濃密な繋がりがあるような印象を受けるのですが、実は二回しか会っていないんですよね。一回目は雨宿り先で偶然出会った白鳥の場面。二回目はアムロのバギーが悪路に嵌まって抜け出せなかったところを、通りかかったシャアとララァに助けられた場面。しかもそのうち会話したのは、最初の白鳥の場面一回のみなんです。それで一生引きずるトラウマになりますからね。よく考えるとちょっと不自然です。しかしこれも見方を変えれば、それだけニュータイプ同士の感応力が凄く、わかり合えるんだとも受け取れます。

 

ちなみにガンダムファンの間では、シャアはロリコンとネタにされていますが、この時のララァは16歳で、シャアは19歳なんです。まあ普通ですよね。そののちに逆襲のシャアで、クエス・パラヤをたぶらかしてしまうのですが…。それでも肉体関係はなく、利用しただけなんですけどね。

 

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これも今更な小ネタですが、ララァ搭乗のモビルアーマー「エルメス」ですが、当時商標が取れなくて、ガンプラではずっと「ララァ専用モビルアーマー」との名前で販売されていました。のちに解決してきちんとエルメスとの名前で発売されているはずと副音声で言っていましたがこれは間違いで、未だに解決しておらず、エルメスの名前では販売できません。

 

とんがり帽子との呼び方

エルメスをとんがり帽子と呼ぶパターンだけではなく、ガンダム全般で言えることなのですが、相手側の新兵器や未知の兵器に対して、別称を使うんですよね。ホワイトベースを木馬と言ったり、ドムのことをスカート付きと言ったりなどです。よく考えればこれも当たり前で、相手の新兵器の正式名称なんて、戦争中ですしすぐにわかるわけないんですよね。こういう細かい面でも戦争のリアル感を感じていました。

 

アムロとフラウ

アムロとフラウは幼なじみであり、フラウはオープニングでアムロを気にして世話もしていました。アニメの定石で言えば、アムロとフラウがくっつくのが既定路線でありお約束のはずなのですが、ガンダムでは敢えてそれをしませんでした。そのアムロとフラウの幼馴染み関係が終わっていく過程は、見ていて哀しくなってしまいます。

 

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アムロとフラウの関係にひびが入り始めたのが、一作目のアムロ脱走からでした。折角能力があり、みんなを救えるのに現実逃避してしまうアムロを見て好感度マイナス。哀・戦士でマチルダにぞっこんのアムロを見てまた好感度マイナス。そしてそう言った積み重ねで、アムロから心が離れていったフラウの真情が吐露されたのが、「アムロは別世界の人間で、自分達とは住む世界が違う」と言った、ソロモンで負傷離脱したハヤトを介抱するシーンです。

 

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最初は仲の良い幼馴染みだったのですが、戦争に巻き込まれていく過程で、白い悪魔とジオンから恐れられるほどの鬼神兵士ぶりを発揮したアムロ。味方からすれば当然頼もしいに決まっているのですが、ふと冷静に考えると、今まで近くにいた人がスーパースターかスーパーアイドルになってしまったような距離を感じるのか、もしくは近しい人間からしても、人間離れの戦闘を見せられ、腰が引けてしまうのか。

 

兎にも角にも、アムロはフラウやハヤトのような普通の人間からすれば、もはや理解不能の領域に行ってしまいました。そう言う意味でも普通の人間同士で共感し合える、アムロとの差に寂しさや無力感を感じる者同士、ハヤトとの仲が急接近していったんですね。同じ価値観を共有するのは人間大事ですからね。「孤高」と言う言葉があるように、一人高みに行ってしまうと、わかり合える人間がいなくなってしまうんでしょう。

 

ミライとスレッガーとブライト

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ミライとブライトとカムランの話もそうでしたが、またこの三角関係も子供にはわかりませんね。当時のアニメはそのほとんどが子供向けだったのですが、ガンダムはこうやって、一体誰に向けた話なのかわからない大人な話があるんですよね。まあそのお陰で未だに何回見ても面白いのですが。

 

好きな女性が他の男性に心引かれている。それを認めて俺は待つから好きにしろ。きっと俺の所に戻ってくるはずだ。信じて待つ。レベル高いですブライトさん。

 

レビルは実はニュータイプ

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小ネタですが、実は連邦のレビル将軍はニュータイプなんです。ソロモン攻略後にレビルが、ララァのビット攻撃に反応して頭痛を感じていましたが、この感応力はニュータイプ独特の描写なんです。のちに出たゲームの「ギレンの野望」でも、レビルはしっかりとニュータイプ設定でした。まあニュータイプレベル1でしたが…。それでも進化した人類であるニュータイプに、こんな高齢の人がいるのは珍しいです。もしかしたら人類初のニュータイプなのかもしれません。

 

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他にニュータイプは、同じように感応した描写を見ると、セイラとミライもそうです。こちらもギレンの野望でニュータイプでした。残念ながらブライトはニュータイプではありません。とは言え、ブライトは最後まで宇宙戦国時代とでも言う激動の時代を、常に戦争のまっただ中にいながら生き残りました。

 

ギレンの演説

BSアニメ夜話でも触れていたので、知っている方も多いと思いますが、ジオンの勢いがわかりやすくギレンの演説を通して表現されているんです。

 

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一回目は一作目のガルマの国葬で、非常に広い会場から、全宇宙へ向けた生中継をしていて、ジオンの勢いの強さをよく表していました。二回目はこのめぐりあい宇宙で、連邦に最後の防衛線ア・バオア・クーまで追い詰められた中、そのア・バオ・アクー内の小さな空間。以前あった全世界へのテレビ中継などは勿論なく、物凄く小さい規模の演説となっているんです。

 

ジオンの栄枯盛衰がこのギレンの演説規模に如実に現れているんです。

 

宇宙規模の兄弟喧嘩

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連邦に追い詰められ、ここで踏ん張れなければ敗戦するとの状況にも関わらず、ギレンとキシリアは、結局兄弟喧嘩で身を滅ぼしてしまいました。またその前を振り返れば、ギレンはソーラ・レイで父のデギンを闇に葬ってしまったので、これは親子喧嘩ですね。更にその前はドズルとギレンの戦略の違いによるいざこざもありました。結局ジオンはお家騒動に振り回されていたんですね。国民や兵士からするとたまったもんじゃありません。

 

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ギレンがキシリアに殺されたときは、キシリアが後ろから頭を銃で撃ち抜いていましたし、キシリアがシャアに殺されたときは、キシリアの首が吹っ飛んでいました。今じゃこの描写は無理ですよね。

 

主人公も戦争の中ではちっぽけな存在

以前の記事でも書きましたが、主人公のアムロもホワイトベース部隊も、結局大きな戦争の中では戦局を左右するほどの存在にはなれず、戦争に、そして時代に翻弄されるんです。本当に今までのアニメとは違いますよね。今までのアニメは、主人公や主人公一行が世界の行方を決定付けてしまいますからね。

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今回の最終決戦ア・バオア・クーでも、ホワイトベースやガンダム以外にも大量の味方や敵がいて、数多くの戦艦やモビルスーツの中に、埋もれているような画があるのですが、そういった描写も戦争の中でのちっぽけな存在である事を認識させてくれます。

 

この最終決戦の後に終戦協定が結ばれ、一年戦争は終わるのですが、本拠地を制圧したのも、主要な人物を拘束したのも、主人公たちではありませんでした。主人公たちがア・バオア・クーで小競り合いを続けていたら、いつの間にか味方のどこかの部隊が本拠地を制圧し、終戦に持って行ったんです。

 

これには当時衝撃を受けました。今までのアニメと言えば、個別の戦いも、戦局を変えるのも、争いを終わらせる決定打も、主人公が関わっていたのに、このガンダムと言うアニメでは、戦争を終わらせることはおろか、戦局を変えることもできませんでした。戦争の中では一人の人間が、いかにちっぽけな存在なのかに衝撃を受け、そして呆然としました。

 

最後はガンダムもホワイトベースもぼろぼろ

最終決戦ですから激しい戦いなのは当たり前で、ガンダムの形を残しておく必要もないので、必然的にガンダムもホワイトベースもぼろぼろになりました。今までどんなことあっても破壊されなかったガンダムやホワイトベースが、次々に激しい戦いで破壊されていき、ぼろぼろになっていく様は実に哀しかったです。

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この頃になると、最早ガンダムやガンキャノンはただのロボットではなく、人格を持ったキャラとして見ていましたし、ホワイトベースはまさにクルーの家でした。ガンダムのアニメが43話で終わりと言う、アニメと言う媒体が終わりだっただけではなく、アニメ作中でもガンダムやホワイトベースが破壊されたことにより、主人子たちの物語も完全に終わってしまいました。ガンダムとホワイトベースがあそこまで壊れてしまっては、想像で続編を考えたりもできませんからね。アニメのガンダムも、ガンダムの中の物語も、完全に終わったんです。

 

最後は肉弾戦

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今までモビルスーツや戦艦で戦ってきたのですが、最後は人間同士の肉弾戦でした。

 

シャアとアムロは、これまでサイド6の車のシーン以外で会話をしたことはなく、その会話も戦争やニュータイプとは関係のない、車を引き上げるためだけの会話でした。最後にこの肉弾戦があったお陰で、アムロとシャアはお互いに相手に言いたいことや主義主張、思想を全て相手にぶつけることができて、見ているこちらもスッキリしました。これまで散々ライバル関係を繰り広げてきた二人が、ほとんど会ったこもなく、会話もろくにしたことがないまま終わるなんて消化不良ですからね。

 

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それとこれも有名なのですが、劇場版ではシャアが生き残っている描写が追加されています。ア・バオア・クーからグワジンが離れていくのですが、その窓に明らかにシャアの影が…。TV版ではあくまで生死不明だったのが、シャアの生存が確定した瞬間でもありました。この演出にはゾクッときました。

 

最後のメッセージ

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And now... in anticipation of your insight into the future.

 

そしてこれは最後の英文メッセージです。意味は「そして、今は皆様一人一人の未来の洞察力に期侍します」です。

 

私は、「君らもニュータイプになれよ」、もしくは「なれるから頑張れ」みたいな意味だと受け取っています。将来人間は進化するはずだから、君たち若者がそうなれみたいなことかなと。アニメ・特撮評論家の氷川竜介さんは、「アニメを卒業しろ」とのメッセージと受け取ったそうですが、本意は何だったんでしょうね。制作者が真意を語っていない以上、受け取り方は人それぞれで良いと思います。

 

非常に今更なガンダムのレビューなのですが、ここまで駄文に付き合って下さって有り難うございました。

 

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こんな人にお勧め

  • ガンダムが好きな人
  • DVDから更に高画質が欲しい人
  • 副音声で裏話を聞きたい人
  • いわく付きの特別版を欲しい人

 

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