漫画全話レビュー「めぞん一刻 第156話「不幸な人々」」 5/5 (3)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1987年3月16日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1986年11月 五代裕作、しいの実保育園へ就職が決まる

 

この頃のでき事
  • 3月2日 - キヤノンが「EOS650」を発売。同じ日には旭光学工業が「ペンタックスSFX」を発売。
  • 3月3日 - 日立製作所が全自動洗濯機「静御前」を発売。
  • 3月3日 - 武田薬品工業が「アリナミンV-DRINK」を発売。アリナミンシリーズでは初の栄養ドリンク。
  • 3月5日 - 岩手靖国訴訟で、盛岡地裁は首相の靖国公式参拝合憲判決。
  • 3月9日 - トヨタ自動車や東京電力などの出資で日本移動通信(IDO)設立(現在のKDDIの前身)。
  • 3月13日 - 中国残留孤児の定期訪日調査終了。
  • 3月14日 - 日本の南極商業捕鯨終了。
  • 3月17日 - 朝日麦酒が日本初の辛口ビール「アサヒスーパードライ」を発売。
  • 3月18日 - 神戸市営地下鉄西神・山手線の学園都市駅 - 西神中央駅間が開業し全通。
  • 3月18日 - 舞鶴若狭自動車道の丹南篠山口IC - 福知山IC間が開通(舞鶴若狭自動車道では最初の開通区間)。
  • 3月21日 - 中曽根内閣が佐藤内閣・吉田内閣に次ぐ戦後3位の長期政権へ。
  • 3月22日 - アップルコンピュータが「Macintosh II」と「Macintosh SE」を発表。
  • 3月23日 - 予讃線高松駅 - 坂出駅・多度津駅 - 観音寺駅間、土讃線多度津駅 - 琴平駅間が電化(四国では初の電化)。
  • 3月28日 - シャープがパーソナルワークステーション「X68000」を発売。
  • 3月30日 - 安田火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札する。
  • 3月31日 - 三井物産マニラ支店長誘拐事件の被害者がフィリピン・ケソンで誘拐から137日ぶりに釈放される。
  • 3月31日 - 吉本興業の劇場・なんば花月(大阪市南区。現中央区)が閉館、4月から近隣に新築したなんばグランド花月にその役割を譲る。

 

あらすじ

五代君は響子さんと結ばれ、保母試験にも合格し、残すはプロポーズと就職のみです。一刻館住人に邪魔をされて中々プロポーズをできない五代君ですが、一方の就職活動も、良い感触を得るもなかなか就職が決まりません。そんなとき、以前勤めていたしいの実保育園の園長がぎっくり腰になり…。

 

みどころ

  • 五代君の就職決定

 

はじめに

遂に今回は五代君の就職が決まる話です。また、就職の決まり方も実にめぞん一刻らしく、普通に就職活動をし、面接をし、そして合格との流れではありませんでしたね。

 

大学受験と言い、新卒時の就職活動と言い、今回の保育園の就職過程と言い、ギリギリで決まったり、人脈を駆使した人柄での合格ばかりです。めぞん一刻は普通の人々の物語なのですが、その五代君は普通に受験に合格や就職ができません。

 

五代君の就職活動

五代君は保母試験に受かり有資格者となったので、やっとのことで堂々と就職活動ができるようになりました。いつの世も、どの業界もそうですが、やはり無資格者より有資格者の方が有利ですからね。更に五代君はアドバンテージがあり、バイトとは言え、しいの実保育園での実務経験、そしてそのしいの実保育園からの紹介状もある状況。この状況なので五代君も結構余裕の感じで描かれていました。…が、こういうときは得てして上手くいかない物で、やはりすんなり就職は決まらず。五代君の面接先は、一緒に面接に来ていた子持ちのできなそうな人の方を同情で雇ってしまいました。そして五代君へ伝えられた不合格の理由が「あなたならどこでも活躍できるから」でした。いやあ…これね…。就職活動経験がある人なら耳を覆いたくなるような言葉でしょう。そんなこと言われても不合格じゃしょうがないじゃないかと。かと言って相手を責めるわけにも行かず、自分の非を言われたわけでも無く、なんとも気持ちのやり場が無く、なんとも言い表しがたい気分。思い出してしまいますね…。

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黒木さん結婚

その五代君の就職活動前、大学時代の同期で人形劇部で一緒だった黒木さんが結婚するとの描写がありました。この黒木さんって要所要所で重要な役割果たしますね。

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思い起こせばめぞん一刻中、最もおしゃれで良い話の「桃色電話」の切っ掛けも黒木さんでした。五代君が就職浪人したとき、しいの実保育園を紹介したのも黒木さんでした。そして今回、五代君就職の切っ掛けになったのも黒木さんでした。黒木さんはレギュラーキャラでは無く、時折ちょっとしたアクセントとして出てくるキャラだったのですが、時たま出てくるたびにかなり重要な役割を果たし、五代君が保母を目指し、ついには一生の仕事とする道筋を立てた人物になってしまいましたね。ちなみに、アニメでは就職浪人の五代君にしいの実保育園を紹介したのはこずえちゃんになっていましたが、これは少し違和感がありました。以前にも書いているのですが、これだと昔の恋人のこずえちゃんが、五代君の一生の仕事を決めてしまったことになり、一生昔の恋人こずえちゃんの存在が五代君からは離れなくなってしまい、これはちょっとスッキリしないかなあと。

 

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恋人同士

保育園の就職面接を終えた後、喫茶店で五代君と響子さんは待ち合わせをし、他人から「恋人さんですか」と言われていました。確かにこの時点でそうなのですが、五代君はまだピンとこないと呟いていました。これは読者も一緒ですね。今までずっと恋人になれなかったですし、その期間が永遠に続くようなそんなお話だったので、この2人が恋人と言われても読んでいるこちらもピンきません。しかし一方響子さんは、恋人と言われても何の反応もせずすんなり聞き入れていたようで、この五代君と響子さんの反応、気持ちのギャップも興味深いです。

 

五代君にとって響子さんは高嶺の花で、最初からずっと、そして今でも雲の上の存在でピンとこないのでしょうが、響子さんにとっては、結ばれたときにずっと前から好きだったと言ったように、だいぶ前から現実的なこととして意識していたのでしょう。

 

棚からぼた餅で就職決定

結局、五代君はしいの実保育園の園長がぎっくり腰になったことで、男手が必要なしいの実保育園に無事就職が決まりました。ここもめぞん一刻らしい流れで、最初は黒木さんが結婚するんだから欠員が出る、それじゃあ五代君が就職決定だとの流れなのですが、そうは素直に話が進まず、一旦黒木さんが「そのはずだったけど…」と否定。そしてまたしても五代君は駄目なのかと思わせておいて、やはり園長が男手が必要だからうちで働いてくれとの流れ。この一旦持ち上げ、落とし、また持ち上げるパターンはめぞん一刻で本当に多いです。

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最初読者に「ああこうなるんだろうな」と予測させるんです。今回で言うと園長のぎっくり腰のシーンです。ここで読者は、「五代君はこれが理由で就職決定かあ」と思うんです。ところが、途中の黒木さんの否定で、「え?また五代君駄目なの?」とビックリさせておいて、すぐさま次のシーンで最初の予想通りのオチとなります。つまり今回だとしいの実保育園に就職が決まるオチですね。めぞん一刻は、基本的に最初に見せた事、予感させたことがそのままオチになることが多いのですが、途中で一旦ビックリさせて「まさか」と思わせる手法が多いです。大局的に見ると、めぞん一刻がそもそもそんな話で、最初から五代君と響子さんがくっつくことは予想できました。じゃあどうやってくっつくのか、その過程をどう面白く見せるのか。こういう漫画なので、細かいエピソードでもこんなスタイルなんだと思います。

 

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総評

さて、今回で遂に五代君のハードルは全てクリアしました。響子さんと恋人になること、保母試験に受かること、就職が決まること。あと残すはプロポーズのみです。プロポーズに関しては、これまでのハードルと違い、五代君が言えば響子さんがOKするのは明らかなので、ハードルとは少し違いますね。

 

しかし浪人生だった五代君ももう24,5歳。就職も決まり立派な社会人となりました。大学入学前の18,19歳なんてまだ子供ですからね。その頃から現実の時間の経過と同じ時間の流れと速度で五代君を見てきたわけですから、五代君の成長はなんとも言えない気持ちになってしまいます。

 

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