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漫画全話レビュー「めぞん一刻 第127話「草葉の陰から」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1986年5月5日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1986年4月12日 音無響子、五代君と結婚を決意

 

この頃の出来事
  • 5月1日 – シチズン時計が「ビビ ウィズ・ソーラーセル」を発売。
  • 5月2日 – 世界ラリー選手権ツール・ド・コルスにおいて、ヘンリ・トイボネン/セルジオ・クレスト組が事故死。これにより同選手権におけるグループB規格が廃止になる。
  • 5月4日 – 第12回先進国首脳会議(東京サミット)開催。テロ問題でリビアを名指しで非難する。
  • 5月8日 – 英チャールズ皇太子とダイアナ妃が来日。
  • 5月10日 – アメリカでモスボールされていた戦艦ミズーリが再就役。
  • 5月27日 – エニックスがファミリーコンピュータソフト「ドラゴンクエスト」発売。
  • 5月28日 – 経団連第6代会長に斎藤英四郎が就任。
  • 5月31日 – FIFAワールドカップメキシコ大会開幕。

 

あらすじ

お墓参りに来た響子さんは、お墓に供えてある花束と落ちていた積み木を見て、五代君が来ていたのではと思います。しかし、そこへ現れたのは三鷹さん。丁度三鷹さんの話題が響子さんの母律子さんから出たことをチャンスと思い、上手いこと偶然を装って登場したのです。一方響子さんは、もう少しお墓参りしたいと、惣一郎さんに自分の気持ちを告げるのですが…。

 

みどころ

  • 響子さん、五代君との結婚を決意

 

はじめに

この辺りは週刊連載化の影響もあって、1話ごとの時間の進みが遅くなりましたね。じっくりひとつの行事を描いている感じです。この辺りの響子さんの気持ちの変化は重要なので、ストーリー上この週刊化は吉と出たと思います。作者の高橋留美子さんの大変さは置いておいて…ですが。

 

お墓の裏

前回、響子さん達がお墓参りに訪れたため、とっさにお墓の裏に隠れた五代君と三鷹さんですが、本来2人ともこのまま時を過ぎるのを待ち、出て行くことはしないはずだったのですが、ひょんなことから響子さんの母律子さんから自分の話題が出たことを見逃さなかった三鷹さんは、ここぞとばかりに上手いこと偶然を装って登場します。五代君と三鷹さんはお墓の裏でやっとこさ隠れていた滑稽な状態なのに、気付いたら三鷹さんが颯爽と登場する様には笑ってしまいました。三鷹さんは自分を格好良く見せる術は本当に長けています。一方五代君は、そんな三鷹さんに呆気に取られ、相変わらずお墓の裏で、響子さん達がいなくなることを待たなければならない状態です。

 

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しかし三鷹さんは、「惣一郎さんの5周忌に”偶然”現れる」とのわざとらしいシチュエーションなのを分かっていて、それでも出て行く勇気。この行動力、なりふり構わぬ神経の図太さは凄いです。つい先日、響子さんに今日お墓参りをすることを聞いていてこれですからね。これを偶然ですと言い張れる三鷹さんって凄い。しかしさすがに響子さんは引いていました。

 

五代君と結婚宣言

三鷹さんが突然現れ、両親と音無老人と喫茶店へ行く中、響子さんは惣一郎さんのお墓参りをもう少ししたいと1人残るのですが、そこで明らかに五代君と結婚する意思を惣一郎さんに伝えていました。重要な部分は言葉にしておらず、心の中だけで思っただけですが、これは重要ででしたね。

 

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響子さんが五代君のことを好きになった、もしくは好きだと自分で気付いたのは、入院エピソードだったと思うですが、それでもずっとそれでいいのかの葛藤が響子さんにはありました。ところが今回、最も報告しづらい惣一郎さんに直接心の中で語りかけ、五代君の名前は出していないものの、明確に五代君を想定した人物像に対し、再婚する意思があることを報告。今までは頑なに好きな人は惣一郎さんだけでなければならない、他の人を好きになったら惣一郎さんを好きだったことが嘘になると葛藤してきたのですが、今回の話でそれが響子さんの中では完全に決着が付いたことになります。あとは響子さんの言うとおり、五代君がしっかりしてくれれば良いだけ…なのですが。

 

そんな報告をしていた響子さんは、五代君がお墓の裏にいることに気付き、水を掛けて叱咤するのですが、その時惣一郎さんに語りかける体で、「夏まではひとりでいますから」と五代君に言っていました。直接五代君に言えばいいのに素直じゃないなあと思ったり。しかしこれは希望であると共にプレッシャーでもあります。夏まではひとりでいると言うことは…夏が過ぎたらどうなるのさ…と。そんな弱気な「もし」なんて考えては駄目ですし、響子さんに聞こうものなら幻滅されてしまいますね。ただタイムリミットを決められたようなもので、今回の保母試験に受からなかったと思うと…。

 

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三鷹さんは駆け引きしすぎ

響子さんが五代君と結婚する意思を惣一郎さんに伝えていたことを、つゆほども知らない三鷹さんは、響子さんの両親を籠絡しようと、歯の浮くようなセリフを言ったり、様々な策略に思いを巡らせるのですが、三鷹さんは昔から響子さんに対し駆け引きしすぎなんですよね。響子さんが惣一郎さんのような木訥な人と結婚したことを考え、日常の響子さんの言動を見ていれば、これが逆効果なのはわかると思うのですが、悲しいかな三鷹さんは一刻館に住んでおらず、圧倒的に響子さんを理解する時間が五代君と比べて足りません。三鷹さんの敗因はそこでしょうね。一刻館に住んでいれば、また結果は違ったのかも知れません。

 

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三鷹さんはモテモテなので、今まではこのような駆け引きで女の子を落としてきたのでしょう。三鷹さんなりの必勝パターンを響子さんに対してやっただけで、悪気や特別感は無かったのでしょう。人生の積み重ねで培われたノウハウは、本人意図せず言動の至る所で出てしまうので、こうしたら良かったのにと言ったところでどうにもならないものなのでしょうね。

 

またしてもサブタイトルの妙

今回もサブタイトルが上手いです。

 

「草葉の陰から」とのサブタイトルなのですが、草葉の陰とは「あの世から(見守る)」との意味です。

 

くさば‐の‐かげ【草葉の陰】
(草の葉の下の意から)墓の下。あの世。「―から見守る」

広辞苑 第六版 (C)2008  株式会社岩波書店

 

勿論、今回の草葉の陰とは、惣一郎さんのお墓参りなので、惣一郎さんを指していることは当然なのですが、もうひとつ、この時の五代君の状況は、慣用句の意味では無く、そのまま草葉の陰からの状況でした。普通草葉の陰と言えばあの世のことなのですが、五代君もひょんな事から現実で草葉の陰の状況になっていましたね。

 

おわりに

今回は響子さんが五代君と結婚すると決意していることが分かりました。ただし、夏まではとの期限を設けて…ですが。この発言により、五代君は希望を持ったと共に、今夏の保母試験は死んでも落とせなくなってしまいました。

 

めぞん一刻は時間が現実と同じように時間が進むので、また来年があるじゃないかとの、読者の緩んだ気持ちを引き締めさせるためだったのかも知れません。別に落ちても来年があるじゃないかと思ってしまうと、五代君の悲壮感や背水の陣感が無くなってしまいますからね。このあと、実際に五代君はラストチャンスとばかりに、悲壮感漂う保母試験に挑むのですが、これはこの時の響子さんの「夏まで」との言葉が大きいです。

 

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