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漫画全話レビュー「めぞん一刻 第138話「きざし」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1986年9月1日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1986年7月 三鷹瞬、九条明日菜と一夜を過ごす

 

この頃の出来事
  • 9月6日 – 土井たか子が日本社会党の委員長に就任。日本の主要政党で初の女性党首に。
  • 9月15日 – 韓国でのちに未解決連続殺人として有名になる華城連続殺人事件の最初の殺人事件が発生する。(その後1991年4月3日まで殺人は続いた)
  • 9月22日 – 安中公害訴訟の和解が成立し、東邦亜鉛が住民に4億5000万円を賠償した。

 

あらすじ

保母試験前日に遅くまでお酒を飲んでいたことに怒ってビンタをする響子さん。一方その頃三鷹さんは、お酒によって明日菜さんに不満を漏らしたところ、本心を理解した明日菜さんは、結納を中止すると言い出します。

 

みどころ

  • 三鷹さんと明日菜さんの一夜

 

はじめに

今回は色んなことの前触れになる前段階の出来事が起こった回です。それはサブタイトルにも現れていて…これは少し長くなるのであとに譲ります。

 

めぞん一刻では、天国と地獄のような振り幅があるのですが、今回は三鷹さんにとって、明日菜さん自ら結納は取りやめますと言い出し天国だったはず。ところが明日菜さんと一夜を供にしてしまったことにより…ね。また、五代君の保母試験が始まった回でもあり、この回を切っ掛けに一層物語がめまぐるしく展開していきます。

 

兆しと気ざし

またまためぞん一刻のサブタイトルの妙。きざしと平仮名であることに注目してみましょう。「兆し(萌し)」、「気ざし」。きざしと言えば主にこのふたつです。

 

きざし【兆し・萌し】
(1)草木が芽を出すこと。芽生え。
(2)物事の起ころうとする前ぶれ。兆候。法華義疏(長保点)「預(あらかじめ)疑謗の萌(キサシ)を杜(ふさ)ぎ」。「病気回復の―」

き‐ざし【気ざし】
気持。こころざし。傾城禁短気「是非に今日は貰ふ―ぢや」

広辞苑 第六版 (C)2008  株式会社岩波書店

 

「兆し(萌し)」とは、主に「物事が起こる前触れ」です。もうひとつの意味の「気ざし」は「気持ち」のこと。今回のサブタイトルにはこのふたつの意味を掛けており、そう言った意味で平仮名だったのでしょう。

 

もう少し子細に見ていくと、「兆し(萌し)」とは、三鷹さんと明日菜さんの関係がこの回を切っ掛けに動くのでその「兆し」ですね。また、五代君と響子さんの関係も、響子さんのビンタを切っ掛けに、五代君は保母試験に打ち込み、一刻館を一時離れる「兆し」となりました。

 

簡単に書くと、予感の「兆し」と、気持ちの「気ざし」の両方の意味を込めたでのサブタイトルで、平仮名の「きざし」なのでしょう。

 

もう一方の気持ちを意味する「気ざし」は、三鷹さんの不本意な婚約に対する「気ざし」、三鷹さんに振られた明日菜さんの「気ざし」、そして一晩を供にした両者の「気ざし」でしょう。そして五代君と響子さんは、響子さんの五代君をビンタした「気ざし」、五代君の響子さんに対する「気ざし」、保母試験に対する「気ざし」と、今回は色々な気持ちの交錯があったので、それを称しての「気ざし」なのでしょう。

 

本来、ここまでサブタイトル捻ったり考えなくて良いんですけどね。めぞん一刻はそれやるんですよね。気付かない人はなんとも思うこと無くただスルーしてしまいますし、むしろそれが普通です。伝わらないだろうなとのこのようなこのようなサブタイトルや小道具、細かい過去の話も本当に事細かく拾うんです。

 

めぞん一刻は会話の応酬ひとつ取っても、コンパクトに全ての情報が詰まっているので面白いのですが、こういった物は言葉のセンスなんでしょうね。日本語の発想と言うか、切り口と言うか、その面白さを見たらめぞん一刻はピカイチだと思います。

 

言い訳は出来ない五代君

五代君は響子さんに保母試験前日に夜遅くまでお酒を飲んでいることを怒られビンタされるのですが、これ五代君言い訳出来ないんですよね。「いきがかり上…」と言うのが精一杯で、じゃあどういうことなのか詳しく説明してと言われたら…出来ないんです。三鷹さんと喧嘩するために遅くなり、そこでたまたまお酒を飲みましたなんて言えるわけありません。響子さんのために喧嘩をしたなんて言ったところで響子さんは喜びませんし、今以上に怒って呆れてしまうでしょう。それをわかってか五代君は言い訳しません(出来ません)でした。

 

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しかし試験前日の夜遅くに、他人にすぐ看破されるくらいお酒を飲むってのは、さすがに五代君は誰が見てもどんな理由だろうと怒られますよね。多分、一刻館住人に見られても呆れられます。そしてこの状況で保母試験に落ちたら響子さんの気持ちがどうなるのか…考えただけでも恐ろしい結末が見えてきます。

 

三鷹さんと明日菜さん一夜を過ごす

一方三鷹さんは、五代君と別れた後も前後不覚になるほどお酒を飲んでしまい、これもまた人生に影響を与えてしまいました。

 

お酒の力で普段言えなかった婚約に対する不満を明日菜さんにきっぱり言えたところまでは、お酒の力有り難うなんですけどね。そこから先のお酒はの力は、明日菜さんに抱きつき、キスをして、そして記憶が無いと言うマイナス方向に…。

 

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この三鷹さんと明日菜さんの一夜を供にする描写は、読者にも「本当にやっちゃったのか?」と思わせる描写でした。…が、響子さんを抱擁してしまった時に忍び込んだ、トラブルメーカーの明日菜さんの犬サラダちゃんがいて、三鷹さんの犬マッケンローに誘われる描写が…。これで後に起こることを少し予感させましたね。ただ、マッケンローもご主人の三鷹さんと同じく、歯をキラキラさせていたので、三鷹さんと同じくプレイボーイであり、三鷹さん×明日菜さんと、サラダちゃん×マッケンローの2カップルが出来たんだなとだけ、最初読んだときは思っていました。ところがまさかこれが伏線であんなことになるとは…。初見の時は騙されました。2回目以降読むと、明らかにあの伏線なんですけどね。初見の時読むとわからず、全てを知っている2回目に読むと、「そりゃこれはあの伏線だよな」と思わせる作りも上手いです。

 

ただ三鷹さんも記憶を無くし、お酒の力で女性とやってしまうような人な訳で…100%同情出来るかと言われれば…ねえ。そういう人だったんだから仕方ないよねとも言えてしまうわけでして…。これはまた後に色々出てくるのでその時々書いていきます。

 

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試験を受ける五代君

試験前日の夜遅くに、保母試験を頑張る大きな原動力でもあった響子さんに引っぱたかれ、試験を受けるのすらどうなるのか危惧していましたが、ほとんど眠っていない状態で精神的ショックを引きずったままでしたが、結局試験は受けていましたね。

 

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響子さんと結婚するために早く一人前になりたい、保母試験を合格したいと願っていたわけですから、この精神的ショックは大きいです。

 

また、ここで五代君はウルトラマンのお面を被っていますが、これはアニメではうる星やつらのコタツネコのお面に変わっています。権利の問題でしょう。

 

おわりに

今回は五代君の保母試験が開始され、三鷹さんと明日菜さんにもなにやら急展開が起こりそうな、サブタイトル通りのきざしの回でした。

 

一の瀬さんが最後に帰ってこない五代君を見て、「じゃ、逃げたんだ。」と言っていましたが、確かに今までの五代君ならそうでした。大学受験でなかなか合格出来ず、坂本の家に逃げ込みましたし、響子さんと三鷹さんが結婚すると誤解して引っ越して逃げてもいました。そして最近でも、三鷹さんの部屋で響子さんと三鷹さんが抱き合っているのを見て、言い訳も聞かずに逃げました。ところが今回の五代君は逃げません。これも五代君の成長の証でしょう。

 

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