今回レビューするのは、めぞん一刻の第15話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
五代君の大学祭に行きたいと言う響子さん。1人で来るかと思いきや、案の定一刻館の住人たちが付いてきます。そんな中、五代君が籍を置いている人形劇クラブの出し物を見学に行きます。彼との待ち合わせで抜ける神坂さんに代わり、響子さんが人形劇に参加することになります。私に劇なんてできないと嫌がる響子さんですが…。
みどころ
- 園児にウケる人形劇
- ノリノリの響子さん
- お洒落なオチ
- 新しいエンディングテーマ
初登場人物
- なし
感想
三大学園祭始まる
サブタイルの前、五代君は大学の人形劇クラブで大学祭の準備をしていました。人形を作っており、またまた白昼夢が炸裂。このあと響子さんが来たとき、五代君が作った人形が響子さんにが似ていると部員に言われてモデルだと判明するのですが、その人形を作っているところでした。
五代君の大学は三流大学と言う信じられないストレートな大学名なのですが、垂れ幕で『三大学祭』と堂々と書いてありました。このあたりはアニオリですですが、五代君の大学名が三流大学と言うのは漫画でも同じです。
その後に三大駅前との駅がアニオリで出てきました。結構大きな大学みたいです。
響子さんが大学祭に行きたいらしい
学祭の準備から帰ってきた五代君ですが、玄関に響子さんが出てきて、大学祭に行きたいと五代君に言ってきました。しかし、五代君は帰ったときに「ただいまー」と声を出しているのですが、本当に珍しいアパートです。それぞれ他人のはずなのですが、帰ったらただいまと言うって…。本当にここの住人は仲が良いと言うかもはや家族のようです。
五代君の「ただいまー」を聞いた響子さんは玄関に出てくるのですが、なぜか正座をして大学祭に行きたいと頼み、喜んだ五代君も同じく正座で対面し…。ここに酔っ払って帰ってきた朱美さんは「いい年しておままごと?」とからかっていました。これは2人はおままごとするほど仲が良いんだね~と揶揄したってことですね。
朱美さんの意図を察した響子さんは、「私たちはそんな仲じゃありません!」と全力で否定。五代君は「そんなに否定せんでも…」としょんぼり。このパターンもめぞん一刻は多いです。外野がこのように五代君と響子さんが仲良いことを揶揄。それを響子さんが力一杯否定。五代君はそこまで否定しなくても…とガッカリとの流れ。めぞん一刻はこのようなお約束というか、黄金パターンがあり、それが上手くはまって面白くなった印象を受けます。
留美子指
どちらにしろ響子さんが五代君の大学の学園祭に行きたいと言ったのは事実なので、部屋に帰って喜んで小躍りする五代君。その時の五代君の指は、ファンの間でよく言われている『留美子指』でした。親指、人差し指小指を立て、その他はグーの形です。やってみると意外と難しいです。
留美子指は嬉しいとき、ビックリしたとき、引いたときなど、感情があらわになった際、ちょっと面白い絵面にするためによく使われます。うる星やつらでもめぞん一刻でもらんま1/2でもその後の漫画でもちょくちょく出てきます。凄く特徴的なポーズです。
喜ぶ五代君に現実を突きつける住人
響子さんが学祭に来ると喜ぶ五代君ですが、一の瀬さんと四谷さんが現実を突きつけます。
五代「なにしにってだから大学祭に…」
四谷「わけありですな」
朱美「あるある、絶対ある」
五代「訳ありって…」
四谷「パターンその1、この間豆蔵とま・めぞんを間違えた単なるお詫び」
朱美「パターンその2、単なる気まぐれ」
四谷さん「パターンその3、ひとりで行くとは限らない」
朱美「ひとりで行ってもおもしろくな~い」
五代「ぼ、僕がいるじゃないですか」
四谷「誰と行くんでしょうね」
朱美「きっとテニスのコーチとよ、悔しい~」
五代「決めつけないでください、人がせっかく良い気分でいたのに」
朱美「妄想は体に毒よ」
五代「(そーだなー、今までのことを考えると過大な期待は抱かん方が…)」(アニメではカット)
良い気分になっていた五代君に水を差してオモチャにする四谷さんと朱美さんとの構図です。『すっかり水を差されてしょんぼりする五代君』が面白いポイントだったのですが、アニメは最後に五代君がしょんぼりした様子をあまり描けていないのは残念でした。この五代君がしょんぼりするところがオチだったんですけどね。
なぜここをカットしたかと言うと、アニメでは実際に住人が付いて行ってしまうので、四谷さんと朱美さんの言ったその通りになってしまうからでしょうか。
漫画での流れは下記の通りでした。このテンションの上げ下げが面白い要素でした。
- 五代君が響子さんが1人で来るとお思って喜ぶ(テンション上がる)
- 四谷さんと朱美さんに釘を刺されてしょんぼりする(テンション下がる)
- でもやっぱり響子さんは1人で来た(テンション上がる)
しかし、アニメで五代君が最後にしょんぼりした様子を強く描いてしまうと、テンションの上げ下げが緩やかになるので、面白さが薄くなると思ったのかもしれません。
- 五代君が響子さんが1人で来るとお思って喜ぶ(テンション上がる)
- 四谷さんと朱美さんに釘を刺されてしょんぼりする(テンション下がる)
- やっぱり響子さんは住人と来た(テンション下がったまま)
響子さんに1人で来るか聞いたばかりに…
五代君は昨晩四谷さんと朱美さんに言われたことが気になり、大学祭には1人で来るのか玄関先で掃除していた響子さんに聞きます。響子さんは1人で行きますと言うのですが…。
ここからはアニオリで、玄関でこの会話を聞いていた賢太郎が「俺も行く!」と言い出し、次いで四谷さん、朱美さん、一の瀬さんが話を聞きつけ出てきて、結局皆で行くことになっていました。漫画だと響子さんが1人で大学祭に行っていました。
この話は漫画だと1話なので、30分アニメにするのは厳しいと感じたのか、尺伸ばしのためのような気がします。実際、その後明らかにストーリーに関係ない、大学祭の様子をただ延々と見せるシーンもありました。
響子さんたちが大学祭に来る
結局、響子さん、一の瀬さん、賢太郎、四谷さん、朱美さんが大学祭に来てしまいました。このとき、大学の校舎に『うる星やつら』や『炎トリッパー』など、高橋留美子さんの漫画のタイトルの横断幕が掛けてありました。
『第15回大学祭』との垂れ幕もありましたが、五代君が通う三流大学の歴史は結構新しいのでしょうか。まあ、アニオリなので深く考える必要はないとは思いますけどね
一刻館住人と大学祭に来響子さんですが、一の瀬さんたちは日本酒研究会に入り浸ってしまい、漫画と同じように結局響子さんは1人で行動していました。ここからは尺稼ぎで大学祭の様子をひとしきり見せたあと、漫画の話の通りに進んでいきます。
ダーティペアネタとうる星やつらネタ
うる星やつらネタは作者が同じなのでここまでちょくちょく出てきましたが、ここではダーティーペアネタがありました。喫茶店に入る響子さんの後ろにケイとゆりがいました。
なぜここでダーティペアネタかと言うと理由があります。この話の作画監督が有名な土器手司さんなのですが、ダーティーペアのキャラクターデザインも土器手司さんだからです。この頃の遊びは面白いです。
あとプラネタリウム(?)を見る響子さんの後ろに、これまでの園児の姿とは違い、ラムちゃんとランちゃんがそのままの姿で登場。ここでうる星やつらネタというのは、プラネタリウム=宇宙=宇宙人のラムちゃんとランちゃんということでしょうか。
さらに響子さんが人形劇クラブに来たとき、人形劇を観ている子供の中にまたしてもあたる、しのぶ、メガネが登場。さらにさらに、その後こちらも園児姿のラムちゃんまでいました。今回は遊びが多かったです。
坂本の安心感
途中で響子さんは坂本に会っていましたが、坂本や響子さんが言うように、このとき響子さんは22歳なので、大学生と変わりない年齢です。響子さんは1度所帯を持つと生活感が滲み出てダメね…と言っていましたが、実際にまだまだ若いんですよね。
響子さんは何回か坂本に会っているのですが、このときもまだ名前を覚えていませんでした。響子さんからすると、坂本は男性として全くストライクに入っていない様子。坂本もそれで全くショックを受けていないので、坂本自身も響子さんをどうこうしようという気は全くないことがわかります。私はこの描写が凄く大事だと思っています。
ラブコメですから、恋のライバルが出てきてドロドロもあります。親友と1人の女性を取り合う漫画やアニメもたくさんあります。しかし、めぞん一刻はこのように響子さんと坂本はどうにもならないことがわかりやすく提示されているので、坂本になんの疑いの目も向けず、五代君の純粋なる親友(味方)として見ることができます。
坂本は響子さんとどうにかなろうなんて下心は最後まで微塵も出てきませんでした。男性なら自然と出てしまうようないやらしい目ですら見ていません。ずっと五代君を応援しています。これが全くブレませんでした。だからこそ坂本は好きなんです。
- 響子さんは坂本に興味がない
- 坂本は響子さんに興味がない
- だから響子さんと坂本の絡みを安心して見ていられる
この三段論法が坂本の安心感に繋がっているのだと思います。絶対にこの2人がどうにかなることはないと、今回のような描写があるのでわかります。
人形劇クラブでは黒木さんが響子さんを見て、「どこかで見たことがある」と言っていましたが、対面したのはこのときが初めてです。ではどこで見たことがあったかと言うと、五代君が作った人形が響子さんそっくりだったので、見た気がしたと思っていたんです。
今回の林原めぐみ
今回の林原めぐみさんは、以前桃色電話のエピソーでで出てきた部員のコイズミさんで再登場。
漫画では黒髪のコイズミさんが彼と待ち合わせしているので…と途中で抜け、そこを響子さんに変わってもらっていたのですが、アニメでは茶髪の方の神坂さんが抜けていました。
ここは別にどちらが抜けても良かったので、声優の林原めぐみさんの方を残したかったのでしょう。このあたりからも林原めぐみさんが着実に評価されていったことがわかります。一生懸命頑張ったのでしょう。今では大御所中の大御所、林原めぐみさんの貴重な下積み時代です。段々評価されていったことがよく分かります。モブでも頑張っているとこうなるんですね。
響子さんが人形劇にノリノリで参加する
代役を頼まれた響子さん。最初は私にはできませんと嫌がるのですが…。次の瞬間、既にやる気100パーセント。ノリノリで演じる響子さんがそこにいて…。
この突然の落差には笑ってしまいました。見せ方が凄く上手いです。コイズミさんも凄い迫力と圧倒されており…。五代君まで引いていました。響子さんは夢中になると周りが見えなくなるタイプのようです。
響子さんの迫力に圧倒される五代君。さらには熱中する響子さんに胸を押し付けられたりして平常心を失い、劇がすっかり飛んでしまい、いつもの五代君と管理人さんの会話を人形でやってしまいます。ところがそれまで人形劇に飽きていた子供たちは一転、笑いが起こり夢中で観るようになり…。黒木さんは「受けている…」と心中複雑そうでした。
頑張って作ってきた人形や劇ではなく、五代君と響子さんのアドリブで無茶苦茶になった方が喜ばれているわけですからね。人形劇が好きでやっている人にとっては複雑なのでしょう。最後は黒木さんも諦めたようで悟ったような表情で拍手していました。
このあたりの黒木さんの心理も手に取るように分かって面白いです。これもキャラの性格が確立しているからこそ、視聴者がその心理を読めてしまうのだと思います。
オチがまたまたお洒落
桃色電話の回に続き、今回はまたしてもオチがお洒落でした。
一刻館に帰る途中、劇をメチャクチャにしてしまったと謝る響子さん。でも盛り上がったから良いんだと答える五代君。ここでさっき使った人形を取り出し、メチャクチャになったのはあたなですよと笑う響子さん。「でもあなたが擦り寄ってきたから」と人形で表現して言う五代君。「またっ!」と言って人形で叩く響子さん。
これはもう恋人同士みたいです。イチャイチャしています。響子さんも今回は素直に楽しそうでした。桃色電話に続き、笑いオチではなく、ほっこりオチでした。
普段笑わせる話をやっておいて、たまにこのようにほっこりさせるオチが来ると、身構えていない状態で見せられるので、驚くとともにこれまでの落差で余計良い話に見えてしまいます。こち亀でたまに少年時代の良い話をやるような感じです。
新しいエンディングテーマ曲はピカソの『シネマ』
今回から新しいエンディングテーマ曲になりました。ピカソさんの『シネマ』です。
めぞん一刻のテーマ曲は、OPが朝や昼をテーマにしており、EDは夕方や夜をテーマにしています。今回も歌詞、アニメーションともに夜がテーマになっています。
原作漫画では
総評
漫画にアニオリを加えるのはこれまでも多用してきていたのですが、今回は少し尺稼ぎがあからさまでした。全て悪いとは思いませんが、大学祭をただ見せているだけのシーンはさすがに少し違和感を覚えたのも事実。ただ、このような尺稼ぎでも、じっくり見ていると分かるような小ネタ(ダーティペアやうる星やつら)も挟んできたり、工夫はしているようでした。
桃色電話と同じく、初期では異質なお洒落オチのユニークな話でした。笑える話が多い初期でも違和感なく、このようなほっこりする話を入れてくるのはたまりません。笑いを期待したらこのようなほっこりオチでニヤニヤしてしまいます。
めぞん一刻が現実の話であったとしたら、桃色電話とこのエピソードで相当仲良くなっているはず。三鷹さんはこの時点で相当差を付けられていると思います。
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