今回レビューするのは、北条司、錦ソクラさんの漫画『今日からCITY HUNTER』です。
実は今、私が1番楽しみにしている漫画です。スピンオフを超えた面白さにドはまりしてしまいました。今回はその第3巻です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
未読の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
憧れの「シティーハンター」の世界に転生し、第2の人生を過ごす沙織。目の前で起こるでき事に一喜一憂しながらも少しずつ慣れてきたある日、沙織の前に「シティーハンター」で見たことのない少女が現れる。その少女を中心に「シティーハンター」には存在しない『事件』が起こる。
長所と短所
- ◎やはり絵柄に違和感ゼロ
- ○シティーハンターで描かれなかった裏側を描いている
- ○第二の転生者が現れオリジナル要素が動き出す
- ◎オリジナル展開でも面白い
- △ボリュームが少ない
感想
◎やはり絵柄に違和感ゼロ
やはりいくら読んでも北条司さん本人が描いているとしか思えない絵柄は素晴らしいです。『シティーハンターじゃない感』がゼロなので、読んでいて完全にシティーハンターの世界に入り込めます。途中で1つもコレジャナイという絵が出てこないのは、このような既存の漫画の世界に入る話では大きいことを改めて感じました。
今回は前巻の続きで、沙羅ちゃんの話がメインだったのですが、沙羅ちゃんも乳母の亜紀も全く違和感ありませんでした。
○シティーハンターで描かれなかった裏側を描いている
今回は少し変わったところとして、本来のシティーハンターでは描かれなかった裏側を補完的に描いている点が挙げられます。
シティーハンターでは沙羅ちゃんの実家である西九条家の警備をいつのまにか海坊主が片付けていましたよね。その片付けた様子を沙織が海坊主に付いていったことによって描かれていました。その他にも海坊主にシティーハンターを始末するように頼みに来た2人組をやっつける様子などもあったので、今後もシティーハンターをなぞる展開が続くなら、このような補完的要素を入れると飽きずに新鮮な気分で楽しめます。
シティーハンターの世界をただなぞり、沙織が傍観者としているだけでは、シティーハンターをこれでもかというくらい読み込んだファンは飽きちゃいますからね。この辺りを考慮したのかどうかは分かりませんが、上手くシティーハンターの補完的な話も追加していて興味深かったです。
○第二の転生者が現れオリジナル要素が動き出す
今回最大のポイントは、シティーハンターの世界に本来いないはずの現実世界からの第二の転生者が現れたことでしょう。その転生者は小学生の姿ですが、中身は41歳で沙織の大学で一緒だった漫研の先輩とのこと。今回は5話収録されているのですが、そのうち2話が完全にこの転生者のオリジナルストーリーでした。
いずれこのように本来のシティーハンターのストーリーから離れ、オリジナルの展開になるとはわかっていました。そうじゃないと終われませんからね。ただ、こんなに早くオリジナルの話になるとは思いませんでした。
まだ前回の美樹のエピソードと、今回の沙羅ちゃんのエピソードしかやっていません。もう少しこのようなシティーハンターの世界をなぞる展開が続くと思っていました。そうしたら意外と早く話がオリジナルの方向に動き出してビックリです。
◎オリジナル展開でも面白い
心配していたオリジナルストーリーですが…これまでと同等か、それ以上に面白くて驚きました。
元々物凄く面白いことが分かっているシティーハンターの世界をなぞれば、面白いのは当たり前とまでは言いませんが、ある程度の保証はありました。これまでこの『今日からCITY HUNTER』が面白いのはある意味妥当とも言えたわけです。しかし、そこから外れたらそのシティーハンターの面白さを借りる割合が少なくなるのでどうなのかな…と思っていました。ところが、今回収録された第二転生者の話が凄く面白かったんです。
ちなみに、構図としてはシティーハンターでよくあった『コブ付き』ですね。大人と子供のコンビです。今回の沙羅ちゃんと亜紀もそうですが、コブ付きエピソードだと、大人の視点や世界の話と、子供の視点や世界の話両方が同時にできて一気に話が膨らみます。シティーハンターではこのパターンが何回もあったように鉄板ネタです。
今回は最初に第二の転生者が現れた話が1話で、その後はその第二の転生者が通う小学校での話となり世界が広がりました。次巻予告を見ても小学校でのトラブルの話が続くようです。
△ボリュームが少ない
月刊連載を単行本にしており、5話収録の合計150ページくらいなので、1巻分としては物足りないです。あと1話入れて180ページくらいだと通常の単行本1巻分になるんですけどね。そうすると刊行ペースは半年に1回となってしまうので悩ましいところです。
総評
今回早くもオリジナル展開になり、それが面白かったことは良かったのですが、逆にこれはもしかして終わりの道筋が立ったのかな…と少し心配でもあります。
シティーハンターの世界の話をなぞっていれば、まだまだ続くことは容易に想像ができます。ストックはたくさんありますからね。ただ、原作をなぞっている限り終わらせることは難しいのですが、今回オリジナル展開を入れたということは、作者のオリジナルで終わらせられる土台ができてしまったのも事実。『終わらせるには絶対にオリジナル展開が外せない』との土台ができてしまったんです。
『漫画の世界に転生する』という、異世界転生物でもかなり変わった主旨であるだけに、20巻続くようなネタではないことはわかっています。しかし、私が今1番楽しみにしている漫画だけにできるだけ長く続いて欲しいです。さすがにここから一気にオリジナル展開で終わるようなことはないとは思いますが…。もう少しシティーハンターをなぞった傍観者の沙織の話を見たいです。
こんな人にお勧め
- シティーハンターが好きな人
- 異世界転生物が好きな人
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