今回レビューするのは、HUAWEIさんのスマートフォン『P30 lite』です。
今回は全3回ほどレビューする2回目となります。3回目の今回は実際にメインのスマホとしてしっかり使ってみて感じたことを詳しく見ていきたいと思います。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
目次
動画
スペック(クリックで拡大)
使い込んでわかったこと
OS
OSはAndroid 9です。HUAWEIはアメリカからスパイウェアなどを入れている疑惑で閉め出され、Googleからもサービスを受けられなくなるので、今後Androidも使えなくなり、Google PlayからアプリもDLできなくなるようですが、このP30 liteは問題なくGoogoleのサービスを全て使用できます。
正確にはAndroid 9をベースにした独自OSのEMUIと言う、以前からHUAWEIのスマホでは使われている独自OSではありますが、ほぼピュアAndroidと言って差し支えないと思います。余計な謹製アプリはほぼなし。
HUAWEI同士のスマホだと、独自アプリの『Phone Clone』が入っており、スマホの設定やインストールされているアプリやそのアプリの設定、写真や動画まで、最初のセットアップ時に全て新しいスマホにコピーすることができます。
ネットワークを使用せず、Bluetoothでデータを転送してクローンを作るので非常に便利です。
性能
この価格帯としては珍しく内蔵ROMが64GBあります。ヘビーユーザーでなければSDカードをを入れなくても問題なく使用できます。SDカードは512GBまで使用できるので、音楽を数千曲入れるとか、動画もいっぱい入れたい場合はSDカードを増設すれば良いです。
私はゲームをやらないので、性能的には全く問題ないどころか全てサクサク動いて満足です。上下左右のスワイプは引っ掛かりなくスイスイ動きます。動画の再生もフルハイビジョンで早送りやシーク、ジャンプも全く引っ掛かりません。WEB閲覧やSNS、メールなど一般的に使用するアプリも全て軽快に動きました。
基本的に名前の通ったメーカーの格安スマホの場合、3Dゲームをするには厳しいのですが、逆に言えばそれ以外だと全く問題ありません。名前をあまり聞いたことのない1万円前後の格安スマホの場合、通常のアプリでもたつきを感じる場合もあるのですが、HUAWEI、ASUS、OPPOなど名前の知られている有名メーカーでそのようなことはまずありません。
バッテリー
バッテリーは3340mAh搭載です。大画面でフルハイビジョン以上の高解像度のこのスマホではやや不安。しかし、画面解像度はデフォルト設定だと『スマート』になっています。これは、使用している状況によって、最適な画面解像度に変更されます。例えばなんのアプリも立ち上げていないホーム画面を見ているとき、高解像度でも人間の目にわからないので下げ、動画を再生しているときは綺麗に観るために上げる…なんて具合です。
デフォルトで画面解像度が自動変更になっているため、このバッテリー容量でも日常使用で全く問題はありませんでした。以下にその実験結果を記載します。
スマホで映画の『ゼロ・グラビティ』をループ再生し、バッテリーがどれくらい持つのか実験しました。その結果、14時間37分でバッテリーが0になって切れました。
電力管理のアプリ『Battery Mix』でのグラフがこの画像になります。
実際は0%まで使用できるわけではなく、2%で強制的に電源がオフになりました。厳密に言うと100%から2%までに動画を再生できた時間となります。
次は電子書籍でどれくらいバッテリーが持つのか実験してみました。動画のように再生して放置するわけにもいかかず、100%から0%まではとても実験できないので、5%減るのにどれくらい時間が掛かるかを見て、それを20倍して計算します。今回は75%から70%まで使用しました。その結果、漫画ですが電子書籍を読んだときは、5%減るのに41分掛かったので、それを20倍して、電子書籍では約13時間42分バッテリーが持つことになります。
電力管理のアプリ『Battery Mix』でのグラフがこの画像になります。
バッテリー持ちはAQUOS Sense 3の圧勝です。そちらは48時間近く持ちました。とは言え、一般的なバッテリー持ちの範疇です。大体このクラスの格安スマホの場合、長くて16時間、短くて12時間くらいです。許容範囲ではありますが、大画面で高解像度なのでバッテリー持ちはやや悪い部類に入ると思います。
不思議なことに動画の再生よりも電子書籍の再生の方がバッテリーは持ちませんでした。ただ、スマホに表示する画面は黒ければ黒(暗い)いほど消費電力は少なくなり、白ければ白い(明るい)ほど消費電力は多くなるので、この辺りは再生する動画や読んだ電子書籍の差かもしれません。
ちなみに、充電はどれくらい掛かるかも実験しました。
空から満充電に掛かった時間は急速充電(2A)で1時間49分でした。約2時間と考えて差し支えないと思います。2時間を切るので非常に速く充電できました。
電力管理のアプリ『Battery Mix』でのグラフがこの画像になります。
グラフを見るとわかりますが、動画の再生でも電子書籍読みでも充電でも綺麗な右肩上がり、もしくは右肩下がりなので、バッテリーの質は良さそうです。また、スマホによってはバッテリー保護の観点から、90%など一定以上になったら充電速度を1Aに落とす場合もあります。しかし、こちらは最後まで2Aの急速充電ができました。これも充電速度が早い理由になっています。
画面
画面解像度は2312×1080。サイズは6.15インチです。先日購入したnova lite 3は2340×1080の6.21インチでした。それより若干小さいのですが、持っても、見ても、重ねても全く大きさの違いは分からないくらいです。
この画像では左がP30 liteで、右がnova lite 3です。大きさ、厚さ、ノッチのしずく型や位置など全く同じと言って差し支えありません。
画面はさすがにフルハイビジョン以上の高精細なので綺麗です。文字も見やすくにじみもほぼありません。電子書籍をよく読む方や、WEB閲覧メインの方も問題なし。ただ、液晶画面は他のスマホと同じく光沢のあるグレア液晶です。動画を観るには発色が良くて綺麗なのですが、マジマジと画面の小さい文字を見るような場合、反射が強くて目が疲れてしまいます。文字をよく読む方はアンチグレアの液晶保護フィルムを貼り付けることをお勧めします。
ちなみに、文字のにじみのなさや読みやすさでは、先日購入したAQUOS Sense 3の方が上でした。P30 liteでも全く問題ないのですが、定評のあるIGZO液晶で間違いないので、さらに1段上の文字の読みやすさを求めるなら、数千円高くなってしまいますが、そちらも検討することもお勧めします。
視野角は素晴らしく、上下左右角度を付けて見ても逆サイドまでほぼ変色や暗転がありません。どんな体勢でどこから見ても見やすいです。
画像でも逆サイドまで暗くなったり色が変化していないことが分かります。
電子書籍の漫画も単ページ表示で読むことは十分に可能でした。7インチのタブレットと比較した様子です。
ただ、縦長の19:9に近いなので一般的な16:9よりも、漫画が表示される表示領域は小さいです。電子書籍をたくさん読む方なら、7インチか8インチのタブレットを購入した方が快適になります。
縦長なので上下に無駄な黒帯ができてしまいます。昨今流行の縦長スマホは、WEBの閲覧やSNSでは情報量が多くなり便利になるのですが、電子書籍や動画の視聴だと無駄な領域が出てきてしまいます。
カメラ
このスマホで1番良かったのはカメラの画質が良いことです。同メーカーの廉価版nova lite 3より良いことは勿論ですが、3万5千円ほどするSHARPのAQUOS Sense 3よりも良かったことには驚きました。
具体的になにが良いのかと言うと下記になります。
- ハッキリくっきり映る
- ピント合わせが早い
- シャッターを押してから実際に撮影するまでが早い
- ピンボケが自動で補正される
- デジタルズームが綺麗
質の悪いカメラだと輪郭がぼやけてしまうのですが、こちらはハッキリと撮影できました。作例を上げるとこの画像のように輪郭がハッキリしてぼやけていません。(クリックで拡大)
ちなみに、最も近寄れる距離は画像のようになります。20cmくらいでしょうか。これ以上近付くとピントが合いません。これ以上近付いての撮影をしたい場合、ズーム機能を使いましょう。
いつものガンプラを撮影してみました。設定はなにも弄っておらず、AI機能だけオンにしています。適当に撮影してもボケません。手ぶれでボケたとしても自動的に補正してくれます。また、ピントは手前のガンプラに合わせているので、後ろにきちんとボケ味が出ています。(クリックで拡大)
今度は同じ場所からピントだけ後ろのAmazon Echoに合わせた様子です。今度はきちんと手前のガンプラにボケ味が出ています。スマホはボケ味が弱い物も多いのですが、P30 liteのカメラはデジカメのようなしっかりとしたボケ味があります。(クリックで拡大)
ピントは画面内をタップするだけで簡単にどこにでも合わせられます。ピント合わせも早いです。nova lite 3はこのボケ味が弱かったのですが、P30 liteはしっかりとあり、食べ物などブツ撮りする方は対象物だけを際立たせることができます。
同じ場所から今度は広角レンズにして撮影した様子です。左右が広く撮影できていることが分かると思います。広角撮影にするとピント合わせはできません。全てにピントが合う感じです。ピント合わせが苦手な方や、ボケ味が嫌いで全てハッキリ映って欲しい方は広角を常用しても良いと思います。ピント合わせはできませんが、明るさをどこ基準にするかはタップでできます。(クリックで拡大)
標準画角の撮影と広角撮影ではどれくらい違うか作例を上げます。
まずは標準画角での撮影。長方形のプリンタ用紙を真上から撮影しています。なんの変哲ありません。(クリックで拡大)
一方、、広角カメラにすると上下左右広く撮影できるのですが、いわゆる魚眼レンズなので端に行けば行くほど半円状に歪んでいきます。ドライブレコーダーやアクションカメラは大抵魚眼レンズです。端は歪むとは言え、真ん中かは歪まないので、ピント合わせの手間もないので常用しても良いかもしれません。(クリックで拡大)
作例を見ていただければ分かりますが、魚眼レンズの広角カメラとは言え、端の歪みはかなり少ない部類だと思います。
カメラの画質が良いこと、広角カメラが便利なことに加え、もう1つ驚いたことはデジタルズームが綺麗なことです。カメラのズームには2種類あります。光学ズームとデジタルズームです。
光学ズームはレンズで拡大するため画質の劣化はありません。しかし、デジタルズームは単純な拡大なので画質が劣化します。そのデジタルズームでも綺麗な物、綺麗ではない物がカメラによって違うのですが、P30 liteのデジタルズームはかなり綺麗です。
デジタルズームは最大6倍まで可能。nova lite 3では4倍まででした。6倍ともなると汚くなるかなと思ったのですが、作例のように意外と綺麗で驚きました。(クリックで拡大)
6倍とはどれくらい拡大するのか作例を上げておきます。まずは通常(1倍)の撮影。(クリックで拡大)
次に実際に前述の状態から6倍のズームをした画像です。ここまで拡大できて電子番組表の文字がハッキリ読み取れます。三脚に固定して撮影したので撮影位置は変わっていません。(クリックで拡大)
格安スマホのデジタルズームなんてオマケだから使えないと思っていたのですが、P30 liteのデジタルズームはかなり優秀だと思います。ちなみに、ズーム方法は画面内をピンチアウトするか、『1x』のアイコンをスライドするかでできます。
格安スマホだと感じる点は設定項目が少ないこと。私は全く問題ないのですが、拘りがあって細かく設定したい方には向かないかもしれません。写真撮影の解像度なんて3つしかありませんし、動画撮影では4K撮影ができません。
勿論、普通に写真撮影したり動画撮影する際になんら問題はありません。寧ろ簡単な設定だからこそ誰でも全ての機能を把握して使用できるとも言えます。ちなみに、マニュアルで撮影モードを色々選べるのですが、AI撮影をオンにしておくと自動で最適なモードにしてくれます。前述した電子番組表を撮影した時、きちんと文字撮影のモードになったとは驚きました。
デザイン、サイズ
デザインは昨今流行の狭小ベゼルなので、スマホを見るとほぼその全てが画面のため見やすく操作しやすいです。
インカメラはしずく型のノッチで液晶画面を邪魔する部分は最小限です。これも狭小ベゼルに一役買っています。
大画面なので片手で全て操作するのは成人男性でもほぼ不可能です。片手で持ったときに親指は逆サイドまでは届きます。上か下のどちらかまでもとどきます。しかし、上下が長いので、上に届くように持てば下まで届かず、下に届くように持てば上に届かず…となります。
認証、セキュリティ
認証の方法や起動速度は素晴らしかったです。当然指紋認証はあります。指紋認証パネルは裏面上部に丸いパネルがあります。登録した指でタッチすると、1秒たたずにパッと画面が点灯してロックが解除されホーム画面になります。
顔認証の制度や起動速度も素晴らしく早かったです。以前購入したAQUOS Sense 3よりも早かったです。また、部屋を暗くして液晶画面くらいの明るさしかないい状態でも認証しました。この状態だとAQUOS Sense 3は認証しませんでした。しかし、部屋を真っ暗にした状態や口を隠した状態だと認証せず。これはAQUOS Sense 3でも同じでした。
なにより素晴らしいのは、スマホを持ち上げると画面が点灯する設定があるのですが、それを有効にして顔認証と組み合わせ、ダイレクトロック解除も設定すると、スマホを持ち上げて顔を向けるだけで、あっと言う間にロックが解除されてホーム画面になります。
下記のロック解除の流れが便利すぎて爆速です。どれくらい早くロックが解除されるかは動画にアップしたので、詳しくはそちらをご覧ください。スマホを持ち上げてから2秒かからずにパッとホーム画面になる挙動は気持ちが良いです。
- スマホ持ち上げると画面が点灯
- 顔認証
- ダイレクトでロック解除
- ホーム画面が点灯
GPS、その他センサー
GPSは素晴らしい精度でした。AQUOS Sense 3よりも良かったです。ズレは2mもありませんでした。画像はほぼ自分が実際にいる位置とピッタリです。格安スマホで、しかも2万5千円くらいでこの精度は予想外で驚きました。
当然、Googleマップでの使用も正確で、きちんと曲がる手前で案内してくれます。また、向いている方向もビックリするくらい正確でキビキビ動きました。これまで格安スマホの場合、向いている位置は少しタイムラグがあり、数秒後に反映されることも多かったのですが、こちらはほんの少し向きを変えただけですぐに反映されて驚きました。ナビに使用する方は格安スマホならP30 liteがベストだと思います。
ネットワーク
wifi接続もドコモもauもソフトバンクも全て問題なく接続できました。
SIMカードは2つ入ります。ただ、1つはSDカードと排他制御になっており、SIMカードかSDカードしか入れることはできません。
最近の格安スマホはコストカットの影響か、プリセットのMVNOはほとんどありません。簡単ですがほとんどの場合、自分でAPNを設定する必要があります。
Bluetooth
Bluetoothはいくつかのワイヤレスイヤホン、キーボードを接続しましたが問題なし。イヤホンでは音ズレはありませんでしたし、キーボードでも遅延は感じませんでした。ただ、Bluetoothのバージョンは最新の5.0でなく4.2です。
その他
スピーカーの音質はモノラルでそれなりではありますが、受話口ではなく下面右側にスピーカーがあります。AQUOS Sense3はスピーカーと受話口が一緒になっており、そのせいでスピーカーの音質が少し悪かったです。しかし、P30 liteはスピーカーが独立しています。やはりスピーカーは独立していた方が良いです。
通知ランプはきちんと上にあります。狭小ベゼルのスマホの場合、通知ランプを設置する位置が上になく、下に設置する物もあるのですが、こちらはオーソドックスな位置で見やすかったです。また、電話の着信やLINE、メールの通知なども問題なく点滅、点灯しました。
総評
最近、同メーカーのnova lite 3とSHARPのAQUOS Sense 3も購入しました。
P30 liteとnova lite Sense 3を比較した場合、かなり似た部分があるのですが、下記の項目はP30 liteの方が優れていました。
- カメラの画質
- GPSの精度
- 内蔵ROMの容量(P30 liteは64GBでnova lite 3が32GB)
これらを重視するのであればP30 liteを、逆にこの要素を重視せず、安い方が良いならnova lite 3を購入すると良いと思います。
とにかくカメラの画質は4万円以下の格安スマホの中ではトップレベルだと思います。3万5千円のAQUOS Sense 3より上です。カメラの画質重視の方はP30 liteを購入すると良いでしょう。
AQUOS Sense 3との比較は下記になります。
- カメラ画質はP30 liteが上
- 認証の速さはP30 liteが上
- 画面の綺麗さはAQUOS Sense 3が上
- バッテリー持ちはAQUOS Sense 3が上
- AQUOS Sense 3はほぼ完全防水
- AQUOS Sense 3はFeliCa(おサイフケータイなど)を使える
P30 liteとAQUOS Sense 3の比較をピックアップすると、カメラの画質と認証の速さはP30 lite。画面の綺麗さとバッテリー持ちはAQUOS Sense3。それに加えて付加価値としてAQUOS Sense 3にはFeliCaと完全防水と言ったところ。
カメラの画質を重視するならP30 lite。画面の綺麗さとバッテリー持ちを重視するならAQUOS Sense 3でしょうか。ただ、AQUOS Sense 3とP30 liteは現在1万円ほどの価格差があります、これを考えると、P30 liteのコスパは凄いです。
AQUOS Sense 3は画面が綺麗とは言っても、P30 liteが汚くて見ていられないわけではありませんし、バッテリーも普通のスマホ並みには持つので、FeliCaと防水が必要ないなら安いP30 liteで良いと思います。
HUAWEIはnova lite 3も良いスマホでしたし、このP30 liteなんてカメラの画質は格安スマホトップレベルですし素晴らしくコスパが良いです。こんな良いスマホを出すのに、今後Googleのサービスが使用できなくなり、Androidでもなくなるのは残念です。次のP40はどうなるのでしょうか。
第1回と第2回の記事
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