今回レビューするのは、川崎直孝さんのちおちゃんの通学路です。
どんな話なのか調べてみたところ、女子高生が通学する際に起こるドタバタをギャグにした漫画だとか。ユニークで面白そうなので、先日既刊8巻まで一気に読みました。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ちなみに、未読の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
自称「中の下」を行く女子高生のちおちゃんこと三谷裳ちおは、自宅から学校まで徒歩通学している。しかしその登校途中には、思わぬ通行止め、微妙な距離感の同級生との遭遇から、道をふさぐ暴走族など、あらゆる障害が待ち受ける。ちおちゃんは今朝も無事遅刻せずに登校できるのか?
長所と短所
- ◎女子高生の通学路ギャグ漫画
- ○キャラが立っている
- △1巻のボリュームが少ない
感想
通学路で起こる話しだけで成り立っている
作者の川崎直孝さんって成人漫画を描いていた人ですよね。『よつばと!』の作者でああるあずまきよひこさんもそうですし、今では成人漫画出身の漫画家が一般向けに転向するのも珍しくはありませんが、人気作になり、アニメ化まで行くのは凄いです。
それはさておき…、このちおちゃんの通学路は、主人公の女子高生、三裳谷(みもや)ちおが、学校へ行くまでの通学路で起こるでき事だけをテーマにした実にユニークな漫画です。こんな縛りがあって話が成り立つのか?漫画が成り立つのか?と疑問でしたがきちんと成り立っていました。
あるときは、工事中でいつもの通学路が塞がれており、このままだと遅刻してしまうので、仕方なく民家の屋根伝いにショートカット。
またあるときは、明らかなヤンキーが道を塞いでおり、狭い道をどう絡まれずに通るのか悩む。
またあるときは、おしっこが我慢できずトイレを探し、一番近い男子トイレに入ってしまい脱出に苦労する。
またあるときは、学校のヒエラルキー上位にいるクラスメイトに挨拶され、登校中どう対応するか悩みに悩む。こんな話で成り立っています。
ちおちゃんの言動はぶっ飛んでいます。リアルな日常ものとは少し違い、現実ではそんなことしないだろって行動が多々あります。リアルな日常物を期待すると、少し肩透かしを食らうかも知れません。ギャグの強度としては、『ハイスクール!奇面組』あたりでしょうか。日常生活の場が舞台ではありますが、現実離れしたギャグもたくさん出てきます。ちなみに、通学路での話が基本ですが、その前日夜にゲームで夜更かししてしまった話や、回想での学校での様子はたまに出てきます。
とにかく発想が面白いです。通学路の間に起こる事柄だけをテーマにした漫画ですからね。漫画は歴史も長いため、未出のテーマなんてもうないと思っていましたが、こんな着眼点があったとは…。よくこんなテーマ思い付くものだなと感心します。
ちおのキャラが面白い
主人公のちおちゃんのキャラが面白いです。平穏な生活を望むため、目立たない中の下を理想としているとか。また、極度の海外ゲームヲタクで、FPSに深夜までどっぷりはまり、寝不足で学校に行くこともしばしば。決して学校でヒエラルキー上位なわけでもなく、目立つ存在でもありません。だからこそ、小市民的な周囲への気の使い方、ちょっとしたことを勘ぐってビビる様など、心の中の動きが実に面白いんです。
サブヒロインの真奈菜が良いキャラ
主人公のちおちゃんに負けず劣らず物語を面白くしているのが、親友でありサブヒロインの野々村真奈菜です。ちおちゃんと同じく、クラスでは目立たない中の下の存在です。
そして最も面白いのがちおちゃんと真奈菜の関係性です。真奈菜は時としてちおちゃんを裏切ります。中の下の存在で満足しない真奈菜は、ちおちゃんを利用し、クラスのヒエラルキー上位へステップアップしようとしたり…。まあ結局そんなことは敵わずちおちゃんの元に帰ってくるんですけどね。
ちおちゃんは主人公なので当然、心の中の動きを語るモノローグが頻繁に出るのですが、その次にモノローグが出るのが真奈菜です。モノローグはこの2人が飛び抜けて多いので、この点から見ても副主人公、サブヒロインと言って差し支えないと思います。
ちなみに、真奈菜もかなり変わったキャラです。独特の言動で周りに合わせようとしたり、その言動をちおちゃんと議論したり…。
1巻のボリュームが薄い
内容に関することではないのですが、1巻のボリュームが少ないですね。もっと簡単に言うと薄いです。月間連載なので1話30ページ前後です。そして、1巻に収録されている話数は5話+アルファなので160ページ前後です。
ちなみに、プラスアルファとは、単行本描き下ろしの数ページの漫画です。ただし、下書き並の雑なものですけどね。あとは各話最後にも4~5コマの書き下ろしがあります。こちらも下書きみたいな雑な物です。アニメになったらこれがCパートで最後に入るんですかね。
総評
女子高生が通学するだけの漫画です。この着眼点は非常にユニークです。まさかこんなテーマで面白い漫画になるとは思いませんでした。ただ、これ月刊連載なんですよね。なので、およそ半年に1巻、1年でたった2巻しか出ません。面白いと思えば思うほど、続きが中々読めないのは苦しいです。
こんな人にお勧め
- ドタバタコメディが好きな人
- 日常ギャグ漫画が好きな人
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