特徴
- CPU:Kirin658, 16nm, 4×2.1GHz+4×1.7GHZ A53, 64-bit
- OS:Android 7.0 + EMUI 5.1
- ディスプレイ:約5.2インチ FHD(1920×1080ドット) IPS 2.5Dディスプレイ
- メモリ:RAM : 3GB / ROM : 32GB(最大128G Micro-SDスロット)
- カメラ リア:1200万画素
- カメラ フロント:800万画素
長所と短所
- ○バッテリー持ちはやはりかなり良い
- ○カメラの画質は格安スマホトップクラス
- ○動画撮影合格点
- ○通知ランプの挙動が安定している
- ○Antutuベンチマーク5万千万前後
- ○やはり液晶のタッチ精度は良かった
- ○GPSの精度はかなり良い
- ○温度は許容範囲内
- ○USBホスト機能が使える
- △ワイヤレスイヤホンに相性があるかもしれない
はじめに
今回レビューするのは、Huaweiさんの格安スマートフォン『P10 lite』です。
前回の記事の続きとなります。読んでいない方はご一読なさってからこの記事を読むと、よりこのスマホの評価が分かりやすいと思います。
今回は前回の記事のように、1日使っただけではわからなかった部分、1週間使い続けたからこそわかった部分などを中心に書いていきたいと思います。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
バッテリー持ちはやはりかなり良い
バッテリー持ちの実験をしてみました。
以前、Priori4の記事でも同じ実験をしましたが、その時と全く同じ条件です。
簡単に実験環境を書くと、使用する動画再生アプリは『MX Player』で、自分でエンコードした動画をバッテリーが切れるまで流し続け、何時間持つかの実験です。音量と明るさはともに現実的に見られる数値である5で、GPSはオフにしています。
[(映画) (洋画) ゼロ・グラビティ (吹替) (2013米)
1920×1080 8Bit AVC/H.264 High@4 1:1 23.98fps 130873f 4381.40kb/s
AAC 48.00kHz 2.0ch(2/0 L+R) LC 192.16kb/s
[Extra][2] MP4 v2
MetaData
[MPEG4] 01:30:58.494 (5458.494sec) / 3,122,939,467Bytes
さて、実験結果を先に書いておくと、電池100%の満充電からバッテリーが切れるまで10時間40分掛かりました。Priori4が同実験で12時間55分持ったので、それよりは2時間15分短いことになります。ただ、バッテリー容量は両者大きな差があり、Priori4は4000mAh、P10 liteは3000mAhなのでこの差は仕方がないでしょう。寧ろこの容量差にもかかわらず、2時間15分差で済んでいるのは健闘していると思います。
ちなみに、厳密に書くと0%まで再生できていません。2%の時点で警告がポップアップし、自動的に電源が切れました。
次は電子書籍でバッテリー持ちをテストしていきます。
こちらもPriori4の記事と同じ条件で実験していきます。ただ、読む漫画は違った物になっていますが、カラーでもなく同じ白黒で、白黒比も際だって違うこともないので、差が出ても誤差の範囲だと思います。
実験の環境ですが、電池が99%から94%になるまで普通に電子書籍を読んでみます。その結果掛かった時間を20倍して、満充電でどれだけ電子書籍を読めるのかを試算します。
ちなみに、何故99%から始めたかというと、スマホやタブレットのバッテリー残量表示には癖があるからです。いくつもスマホやタブレットを使ってきましたが、100%から99%に減る時間は非常に長く掛かることが少なくありません。それ以外では1%に5分減るのに、100%から99%では30分たっても減らないなんてことが珍しくないのです。なので、バッテリー消費を計るなら、100%から99%は参考になりません。
さて、結果ですが、電池5%で読めた時間はちょうど50分でした。11時36分に電子書籍を読み始め、12時26分までで5%減りました。つまり、これを20倍すればP10 liteでどれだけ電子書籍を読めるかがわかります。つまり、40分×20=800分となり、約13時間20分電子書籍を読めることになります。
以前購入したPriori4の同実験結果が、11時間40分なので、動画再生テストとは違い、電子書籍のバッテリー持ちではP10 liteの方が1時間40分の勝ちとなりました。ただ、この辺りは読む本、画面の明るさ、タップ回数などに多少左右されるので、参考までに見ておいてください。
次に、待機中の消費電力はどれくらいか計測もしてみました。GPSとBluetoothをオフにした状態で、1時間に0.7%のバッテリー消費でした。
これは、睡眠中など全くスマホを弄らない状態でのことなので、日中ネットを閲覧したり、電話をしたら当然その分バッテリーは減りますが、待機中だと約143時間(約6日間)持つことになります。待機中のバッテリー持ちも、現状のスマホの中では素晴らしいと思います。
大容量バッテリーのスマホだと、中にはPriori4のように4000mAhのバッテリーを搭載している機種もあります。一方、このP10 liteのバッテリー容量は3000mAhです。Priori4と比較して、1000mAも少ないので、バッテリー持ちはどうなのか気になっていたのですが、今回の検証結果を見ても分かるとおり、動画再生ではさすがに差が出ましたが、電子書籍では逆にP10 liteの方が勝つという結果になりました。
動画再生では負けてるとはいえ、フルハイビジョン動画を10時間以上再生できました。スマホで2時間映画を5本観ることはさすがに希も希だと思うので、これだけ持てば十分かと思います。また、5.2インチなので、このスマホで電子書籍をガッツリ読めるかどうかは人によりますが、夜10時から朝の6時までの一晩8時間読んだとしても、まだ40%近くバッテリーが残っている計算になります。
待機中の消費電力も素晴らしく抑えてあり、1時間に0.7%の減りのため、一晩を8時間として消費する割合は5.6%です。70%の状態で充電せずに寝ても、朝にはまだ65%近くバッテリーは残っているので、そのまま充電せずに家を出ても、その日は十分に持ちます。3000mAhと数値的には決して大きくはなく、ごく一般的なバッテリー容量なのですが、非常に優秀な電力管理、省電力性能だと思います。
私の日常の使い方としては、1日数回の電話、メールのチェック、返信、LINE、少しのWEB閲覧程度です。この程度の使い方でヘビーに使用しない人なら、余裕で3日は持つと思います。今回はこれらに加えて色々実験したので、ナビや乗り換え案内、動画の再生に電子書籍とかなりヘビーに使用しましたが、1日でバッテリーがなくなることはありませんでした。
カメラの画質は格安スマホトップクラス
ここでいう格安スマホとは3万円以下のスマホのことです。特に格安スマホにいくらまでとの明確な定義はないのですが、個人的には3万円を超えるスマホに格安と付けるのは違和感があります。もっと正直に書くと、ただ安いわけではなく、『格段に』安いとまで謳うのなら2万円を切って欲しいところ。語呂が悪いですが、2万円以上3万円以下は、厳密にいえば安スマホといった感じでしょうか。
かく だん【格段】(名・副)
〔程度や段階が〕だんちがいに差があるようす。
「━のちがいだ」「━に進化した」三省堂国語辞典 第七版 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2014
前回の記事でもP10 liteのカメラは画質が良いと書きましたが、今回この記事に載せるために色々と撮影し、同メーカーの『MediaPad T2 Pro』のカメラと比較しましたが、やはり3万円以下の格安スマホの中では頭1つ抜けている画質だと感じます。
誤解のないように書いておくと、Media Pad T2 Proも2万円のタブレットカメラとしては相当良いです。ただ、P10 liteのカメラはそれを遙かに上回っていました。
写真撮影で設定できる解像度や撮影モードは画像の通りです。
その他細かい設定は下記の項目ができます。
個人的には8Mで十分だと思います。最高画質の12Mで撮りたい気持ちは分かるのですが、8Mと12Mの容量差ほど画質がアップしているようには思えません。画質と容量の差を考えると、8Mが一番使い勝手が良いと個人的には感じています。
今回はオート設定で撮影をしているのですが、『プロ写真』モードで好みによってISO感度や露出の変更はできます。ISO感度は1600まで設定できました。
また、最近のスマホにはほぼあるパノラマ撮影にも対応。これまではどれくらいのスピードでスマホを動かせば良いのか分かりづらかったのですが、画面上部にガイドが表示されており、どれくらいのスピードで動かして、今はどの辺りの位置なのかもリアルタイムでわかるので便利でした。
フィルタの種類も十分で、オーソドックスなモノクロやノスタルジアを初め必要十分な種類があります。また、文字だけではなく、今の画面をどのフィルタで加工したらどうなるのか、一覧で見られるのでわかりやすい選択画面です。
続いてスマホにもはや必須のでHDR機能ですが、勿論P10 liteにもありうます。HDRは、暗いところが苦手なスマホでは非常に有用です。ただ、複数枚撮影して合成するため、スマホを静止していなければならない時間があります。このため、やや使い勝手に難ありなのですが、このP10 liteのHDRでは、複数枚撮影していることを意識しないでもよいくらい一瞬で撮影できました。
以下がHDR無しの状態で撮影した写真です。光源はPCモニタの明かりのみで、部屋は太陽光も届かない真っ暗な状況です。なんとか対象物が何か分かるといった感じです。
そして下記がHDRで撮影した写真です。模型のみならず、背後の時計の針もハッキリ分かりますし、その後ろのペン立ても写っています。
基本的に夜景でもオート撮影で問題のない明るいカメラだとは思いますが、光源が本当に乏しい真っ暗な公園や部屋、もしくはもっと明るく撮りたい室内での撮影で有効に活用できると思います。
さて、それでは今回も言葉で説明するより、実際の写真を見た方が速いので作例を載せていきたいと思います。全て解像度は8Mで統一しています。P10 liteの最大解像度は12Mなので、使用するときは好みによって使い分けてください。また、撮影モードは全てオートで、一切調整の設定は弄っていません。
クリックすると元画像を見ることができます。最大で2Mほどのサイズになるので注意してください。
まずはMedia Pad T2 Proで撮影した千円札です。
精細な模様や線が入り組んでいる物をアップで撮ると、さすがに画質が厳しいことが分かります。この時点でもう結構ボケています。
次にこのP10 liteで撮影した千円札。
ブログへの縮小画像の時点で、上記写真と明らかな違いがあることが分かります。輪郭や線ががくっきり映るので非常に引き締まった写真になっています。
それでは前回と同じく細部を拡大して見ていきたいと思います。まずはこちらがMedia Pad T2 Proで撮影した写真の些細部を拡大した物。先ほどもボケているのがわかりましたが、拡大すると更によく分かります。
そしてこちらがP10 liteで撮影した物を拡大した物。上記と比べて線がくっきり写っており、拡大してもボケはあまりありません。
室内の作例は前回の記事でもアップしたので、ここからは屋外の写真を載せていきます。
Media Pad T2 Proで撮影した夜のスーパーです。
室内では明るく撮影できていたMedia Pad T2 Proですが、屋外の夜景となると黒潰れしてしまいました。暗いところは苦手のようです。
そしてこちらはP10 liteで撮影した物。Media Pad T2 Proと比べると違いが一目瞭然です。夜で明かりが乏しい場合も非常に明るく撮れています。その代わり、前回の写真でもわかるように、室内光だと青みがかるようです。上記写真と比較しても黒潰れしていないことがよくわかります。『出口』案内板後ろの家がハッキリくっきり映っています。一方上記写真で同じ所を見てみると、暗闇の中真っ暗でほぼなにがあるのかわかりません。ちなみに、前述もしましたがオート撮影で設定は一切弄っていません。
こちらも拡大して見ていきましょう。Media Pad T2 Proでは『出口』の回りがほぼ真っ黒となっていますが、実際はグレーに近い色です。やはり暗いところは苦手で黒潰れしていることがよくわかります。
一方、P10 liteは元の色に近いグレーとなっており、暗い場所でもきちんと黒潰れせずに元の色を再現していることが分かります。
輪郭のボケ具合はどちらも同じか、若干P10 liteの方がマシかなといった感じでしょうか。仮に輪郭のボケ具合が同じなら、暗所を明るく撮れる方が良いに決まっています。
暗所(夜景)でも圧倒的にP10 liteの勝ちです。しっかりと暗所でも黒潰れせずに明るく撮ってくれるので、夜景の撮影や記念写真にも余裕で使用できます。
続いては日中…といっても曇天ですが、花を撮影してみました。Media Pad T2 Proで撮った花その1。
同じくP10 liteで撮った花その1。上記写真より色が鮮やかで葉っぱはきちんと緑に写っています。
そして今回も拡大していきます。Media Pad T2 Proの花の色は、やはり白飛び傾向にあるようで薄くなってしまいました。また、輪郭もこれまでと同じくぼやけてしまっています。
P10 liteは色の濃淡がハッキリ出ており、花びらの輪郭も上記に比べてくっきりしています。
Media Pad T2 Proで撮影した花その2。これはなにも語らなくても白飛びしきっていて、花『びら』が見えません。
P10 liteで撮った同じ花その2。上記と違い、きちんと花『びら』が写っていますし、花びらの上の雨水もしっかり写っています。白飛びもしていません。
もう結果は見えていますが拡大していきます。Media Pad T2 Proで撮った物は白飛びというか、もはや発光しているような感じでなにがなんだかわかりません。
P10 liteは拡大しても花『びら』、水滴、葉っぱがきちんと写っており、輪郭もぼやけずにしっかり撮れています。
前回に引き続き、今回は屋外の写真も含めて、Media Pad T2 Proのカメラで撮影した物と、このP10 liteのカメラで撮影した物を作例としてアップして比較してきましたがいかがだったでしょうか。P10 liteを無意味に持ち上げるためにカメラの画質が良いと書いているわけではなく、実際に画質が良いことがお分かりいただけると思います。
スマホのカメラは白飛びと黒潰れが鬼門です。小さいスマホの小さいレンズにセンサー(光を取り込む物)を装備せねばならず、どうしてもこのセンサーが小さくなります。デジカメや一眼とは違い、光を取り込むことが苦手です。結果、暗い場所は少ない光を取り込めず、暗いところがより暗く写って(黒潰れ)しまいますし、明るい場所は無理に光を取り込んで増幅しようと過剰反応し、白い物体が光るようになる白飛びという現象が起こってしまいがちです。
しかし、このP10 liteは黒潰れも白潰れも今回何枚か撮影した感じでは確認できませんでした。もっと撮影をし、色々な状況で試せばきっとするのでしょうが、起こる頻度が少ないことは間違いないと思います。
スマホでガンガン撮影し、その場では写真のできをチェックせず、あとから確認する方も多いと思います。そして、後になってから白飛びしていたなんで気付くこともあるのではないでしょうか。そうすると、過去に戻って同じ写真は撮れないので、致命的な失敗となってしまいます。その点、このP10 liteは黒潰れも白飛びも起こりづらい優秀なカメラなので、安心してガンガン撮影できると思います。
最後にまとめておくと、P10 liteのカメラをオートモードで撮影すると、以下のような特徴があると感じました。
- 輪郭がハッキリ写りボケないので引き締まった写真が撮れる
- 暗所(夜景)にも強く、黒潰れせずに撮影できる
- 明るい場所の白い物体の撮影でも白飛びしない
- 室内光で撮影する対象物によってはかなり青みがかった補正がされる
- 8Mと12Mでは拡大しても違いがない
前回の記事でも思いましたが、もはや3万円以下の格安スマホのカメラのレベルではないと思います。思い出に残したい記念撮影も、P10 liteのカメラで十分だと思います。
私はデジカメも持っていて、ブログにアップする記事はこれで撮影する場合が多いです。室内ではそれで良いのですが、今は誰も彼もスマホで写真を撮るので、わざわざ外でデジカメを取り出してスナップ写真を撮ると、目立つので躊躇してしまいます。例えばスーパーの中で面白い商品があったので撮影したい場合などです。
デジカメは画質も良く、速攻で写真を撮れるので便利なのですが、さすがにスマホよりはかさばりますし大仰です。このような場合は、やはり手軽さで飛び抜けているスマホのカメラが便利だなと感じます。要はケースバイケース、適材適所で使い分けた方が良いってことでしょう。外のスナップショットにはP10 liteで十分すぎるので、これからP10 liteの活躍の場が多くなりそうです。
動画撮影合格点
P10 liteのカメラでの写真撮影で画質が良いことは前述の通りですが、今度は動画撮影をチェックしていきたいと思います。
できる解像度は下記の通り。フルハイビジョン撮影が可能です。
また、ビデオ撮影で設定できる項目は下記の通り。
実際に動画を撮影して確認しましたが、こちらも静止画と同じく必要十分で綺麗な画質でした。
自宅周辺で自分で確認する用としては撮影しましたが、サンプルとして載せられるような動画は撮影できていないので、次回その後分かったこと編でできたら動画のサンプルも載せたいと思います。
通知ランプの挙動が安定している
通知ランプが上部右にあるのですが、この挙動が安定しています。LINE、メール、電話の着信などではきちんと点灯します。また、充電中はオレンジに光り、90%以上充電されると色はグリーンとなります。ただ、充電が完了しても通知ランプは消えません。もし通知ランプの不満点があるとしたらここくらいでしょうか。
こんなの当たり前だと思うかもしれませんが、格安スマホだとここが安定していない機種も少なくありません。また、キャリアから出している高級機でも、メーカーの詰めが甘いとおかしくなることもあるようです。よくある不具合は、着信やアプリの通知があったのに点灯しないとの現象ですが、P10 liteは今のところ完璧に通知ランプが機能しています。
Antutuベンチマーク5万5千前後
最も広く普及しているベンチマークソフト『Antutu』でテストをしてみました。
何回かテストしてみましたが、5万4千~6万程度の間に全て収まりました。少し幅がありましたが、概ね5万5千前後と考えて良いようです。
以前私が使用していたGalaxy S4は3万をやっと超える程度でした。また、更にその前に使用していたGalaxy NOTE 2は2万を切る程度です。4年前にキャリアから発売されていた、その当時ハイスペックとされているスマホの2.5倍ほど高性能ということになります。
調べてみると、キャリアから発売された最新スマホと同じくらいの性能のようです。画像をご覧にただくとわかると思いますが、Galaxy S5以上、S6 Edge未満といったところです。スマホの性能アップは凄まじいので、ハイスペック機だと、15万を超えてたりするのですが…。
このようなことから、格安スマホのリーズナブルな機種で、キャリアが出している2年前の最新機種と同等のスペックということになると思います。
格安スマホのスペックは、キャリアが出した2年前の性能と同等であると覚えておけば良いと思います。
やはり液晶のタッチ精度は良かった
液晶のタッチ精度が良いことは前回の記事でも書きましたが、実際にどうなのか目に見える形にするため、タッチ精度を計測するアプリ『Test Touch』で実験をしてみました。
タッチスクリーンは基本的に斜めのスワイプが苦手なので、タッチ精度の質は斜めの挙動でよく分かります。指でスーッと斜めになぞると、感知している部分をラインで引いてくれるアプリなのですが、質が悪い液晶の場合、上記で引いたラインが飛び飛びとなってしまいます。何故かといえば、タッチしているのにタッチしていないと判断する部分があるからです。その点、この液晶は飛び飛びになることもなく、きちんとラインを引けているので、どの位置でも誤タップがないことがわかります。
アプリでの実験結果でもわかりますが、実際にスマホを1週間使用してみて、タッチ感度が悪く「ん?」となることは本当に1度もありませんでした。3万円以下の格安スマホはいくつか使用してきましたが、このタッチ感度のスムーズさは初めてです。抜群のタッチ感度だと思います。
GPSの精度はかなり良い
ナビでおそらく200kmほど使用したと思いますが、やはりGPS感度は素晴らしいです。こちらもカメラ、タッチスクリーン感度とともに、格安スマホのレベルを超えていると思います。
屋内ではさすがにどうしようもなく、15mほどずれてしまうのですが、屋外では2m程度ずれるかどうかのレベルです。数キロ散歩で使用してみましたが、徒歩ナビとしても全く問題なく使えました。知らない街を車で走る際に、GPSの精度が悪いと案内がワンテンポ遅かったり、逆に早かったりして、1本前後した道を曲がってしまうこともあるのですが、P10 liteは全くそんなことはありませんでした。知らない街をナビのみを頼りで走っても全く問題のない精度でした。
温度は許容範囲内
スマホは薄く小さい筐体の中に精密機器を詰め込んでいるため、熱くなることがあります。そして精密機器の熱は天敵です。どれくらいこのP10 liteが熱くなるのかも気になるところ。そこで、Antutuベンチマークを繰り返し実行して温度はこれくらい上がるのかを実験してみました。ちなみに、ベンチマークソフトは、スマホの性能の限界を測る(=無理をさせる)ため、最も負荷が掛かる状態になる傾向になります。
環境は、気温25度の6月13日午前中に行い、直射日光は一切当たっていない状況です。さて、結果ですが、Antutuを繰り返し実行した結果、温度は36.0度でした。
また、『充電しながら』動画を再生しての計測もしてみました。。バッテリー持ちの実験で使ったゼロ・グラビティを1時間再生したところでの温度です。こちらの動画再生中の実験結果は36.0度となりました。
格安スマホは3Dゲームに向いてはいないのですが、できないわけではありません。そのような負荷が掛かるゲームをする場合、もっと温度が上がるかもしれませんが、決して爆熱とか、熱くて困るようなスマホではないと思います。実際に手で持っていても熱くて不安になるようなことはありませんでした。
どちらの実験でも偶然同じ36度になりましたが、普段使っていて私の使い方でこの温度を超えることは1度もありませんでした。
USBホスト機能が使える
もはや今のスマホでは当たり前になっているのかも知れませんが、P10 liteでUSBホスト機能が使用できました。
USBホスト機能とは、スマホのUSBポートにUSB端子を接続し、マウスやキーボードなどのUSB機器がPCと同じように使用できる機能です。
実際にP10 liteにマウスやキーボードを繋げてみましたが、しっかりとマウスカーソルが出ましたし、キーボードで入力することができました。スマホを長時間使用する方で、操作性の向上を目的とするなら有用な機能です。
気になるところ
最後に使用してみて気になったところを挙げていきます。
ワイヤレスイヤホンに相性があるかもしれない
かなり限定的な状況でのことですが、ワイヤレスイヤホンとは相性があるかもしれません。
Googleマップでナビを頼りに走ると、何故かワイヤレスイヤホンから一部音声が聞こえませんでした。「400m先を右に曲がります」の「右に曲がります」が消えるのです。なので、私に聞こえる音声は「400m先を…」までです。右に曲がるのか左に曲がるのかわかりません。それも1車線ならもう1度直前で「右に曲がります」とアナウンスされるので良いのですが、2車線や3車線の場合、予め車線変更をして曲がる準備をしておかなければならないので困りました。
SDカードの読み込み速度に問題があるのかと思い、本体にアプリを移動しました。アプリのデータやキャッシュを削除しました。アプリの初期化もしました。アプリをアンインストールして入れ直しました。ワイヤレスイヤホンを3つ試しました。それでも駄目でした。もう原因が分からないので諦めかけ、最後に4つめのイヤホンを試したところ…アナウンスの音声がほぼ全部聞こえるようになりました。…が、未だに「400m先を…ぎに曲がります」など、1文字程度消えることもあるので、ワイヤレスイヤホンとの相性なのかな思っています。
ただ、音楽を聞く分には一切途切れないので不思議です。一瞬途切れるのはナビだけなのです。ナビの音声案内は、音楽を聞いていても割り込んでくるため、その切り替えが内部で上手くいっていないのか…。現在も試行錯誤中なので、なにか変化があったら追記したいと思います。
ちなみに、ナビは必要なのでGoogleマップの代わりのアプリを探し、Yahoo!カーナビをインストールして使用したところ、こちらもナビの最後だけ尻切れで音が途切れる傾向にあるのですが、Yahoo!カーナビは最後の部分に無音部分を入れて数秒余裕を持たせてあるのか、アナウンスの声は最後の1文字程度消えることはあるものの、使用には問題ないレベルで聞くことができました。例を挙げると、「400m先を右に曲がりま…」という感じです。
このあたりのナビの途切れ方というか、Bluetoothの音声の割り込み方は不思議です。色々試した結果、ワイヤレスイヤホンとの相性がシビアだとの仮説が有力だと思っています。しかも、その相性問題が出るのは、音声の割り込みのみだと思います。う~ん難しい…。
当然ですが、ナビの際にBluetoothで音声を聞かず、スマホ本体のスピーカーから聞けば一切音は途切れませんし、有線のヘッドホンの場合も同じく途切れません。あくまで、ナビを使用する際にワイヤレスイヤホンで音声を聞く場合、アナウンスの一部分の数文字聞こえないという非常にニッチな現象です。ただ、音声のみを頼りにナビを使用するであろう、バイクや自転車のナビには不便を感じるかもしれません。
そもそも私の端末の不具合かもしれませんので、全ての端末でこうなるとは限りません。とはいっても、こんな超限定的な現象で端末を交換してくれるとも思えませんし、これを言葉で説明するのも難しいので、なんとか改善できるように試行錯誤しています。
追記:ワイヤレスイヤホンに相性があるかもしれない(やはりBluetoothの相性だった模様)
ナビの音声割り込みでおかしなところがあったので、試行錯誤すると前述しましたが、その結果やはりワイヤレスイヤホンとの相性だと分かりました。
合計8個のイヤホンで試したのですが、そのうち4個で「400m先を右に曲がります」が、「400m先を…」と実用上問題あるほど音が消えてしまいました。そして2個は「400m先を右に曲がりま…」など、最後の1文字程度消えたり、極端に小さい音になる物で、完璧ではないものの実用上の問題無いレベル。そして、2個は最初から最後まで全く音が途切れることがない完璧な状態となりました。
8個のイヤホンで検証した結果、実用できないほど音が途切れてしまう物が4個。実用上問題無いレベルが4個だったので、5割が駄目だったことになります。
傾向として興味深いのは、価格の高いイヤホンの方がナビの音声が途切れなかったことです。使用したイヤホンの中で、価格の高い上位2機種(5千円と7千円)で問題なく使用することができました。安いイヤホンを使用している方は注意が必要かもしれません。
ちなみに、これは超限定的な使い方のみで起こる現象だったので、10人中9人以上には関係ない話だと思います。ただ、Googleマップナビとワイヤレスイヤホン(スピーカー)の組み合わせで、ナビを音声のみで聞いている人の場合には影響があるかもしれません。具体的に例を挙げると、徒歩ナビ、自転車ナビ、バイクナビとして、ワイヤレスイヤホンの音声のみを頼りにしている人です。更に言えば、私の引いた端末個体の問題かもしれないので、他の端末で全て起こる現象とは限りません。
散々検証した結果推測できることは、Bluetoothの音声での割り込みに癖があるのかなということです。音楽を流しているときは勿論、流してないときも、突然Bluetoothの音声が0から1に変化するので、割り込み制御が発生します。なので、音楽を流していなくても、前述したようにナビの音声が途切れることが、イヤホンの機種によっては起こりました。
Googleマップのナビは、1文節ごとに空白の時間を入れて間を開けるしゃべり方をするので、もしかしたらこの無音の部分を、『ここで音声は終わり』と判断して接続を切ってしまうのかもしれません。無音部分があると、トラックが違うと判断する音楽プレイヤーやアプリもあるのですが、挙動としてはあんなことが起こっているのかなと思います。イヤホンによってはこのようなことがなかったので、問題がなかった機種には、この無音部分の処理をどうするのか制御するチップやプログラムがあるのかなんて思ったり…。
最後にまとめると、私の端末のみの問題かもしれませんが、Googleマップをナビとして使用し、ワイヤレスイヤホンの音声のみを頼る使い方をする場合は注意が必要だと思います。ちなみに、次善策として、Yahoo!カーナビではどのイヤホンでもほぼ問題なく使用できたのは前述の通りです。
総評
非常に総合力の高い格安スマホだということが、1週間使い、様々な実験や検証をした結果よくわかりました。3Dゲームをヘビーにしないのであれば、基本的なスマホの機能はこれで全て賄えると思います。発売日に既に3万円を切っているのこの安さで、この弱点のなさと総合力の高さは驚異的だと思います。
特にカメラは格安スマホのレベルははるかに超えていると思います、詳しくは作例とともに前述しているので省略しますが、大切な旅行の記念撮影にも十分使用できると思います。
また、GPSの精度も十分実用レベルになっているので、P10 liteとGoogleマップかYahoo!カーナビで、十分カーナビとして使用できました。よほど細かいお店を探したり、純正のカーナビのこの機能が必要なんだとの拘りがなければ、十分この組み合わせでカーナビとして使えます。
格安スマホや、SIMフリー機でハズレを引くと、余計な設定の詰め方や、不具合の解消の方法などをネットで調べなければならず、時間や手間が掛かってしまいます。ガジェット好きはこれもゲーム感覚、実験感覚で楽しめるのですが、スマホを購入した後にそこまで面倒なことに巻き込まれたくないなんて方には物凄くお勧めできます。何故なら、不具合やこの機能をもっと便利にできないかななどの不満点が、全くといって良いほどないからです。購入してセットアップしたら、そのまま普通に使えるという、当たり前ですが有り難い格安スマホです。
こんな人にお勧め
- 弱点のない格安スマホが欲しい人
- カメラの画質の良いスマホが欲しい人
- タッチスクリーンの感度、精度の良いスマホが欲しい人
- GPS感度の良い格安スマホが欲しい人
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