目次
特徴
- サイズ:148(W) x 184(D) x 42(H)mm
- 接続形態:内蔵
- インターフェイス》PC接続側:SATAポート×2 SATA電源コネクタ×1
- HDD接続側:SATAポート×2 SATA電源コネクタ×2
- 対応HDD/SSD:3.5インチHDD×1 2.5インチHDD/SSD×1(厚さ9.5mmまで)
- ホットプラグ:対応
- 対応OS:Windows Vista/7/8/8.1 その他SATAケーブルインターフェイス対応OS
- 付属品:・SATAケーブル×2 ネジ×4 2.5"HDD専用保護シート 取扱説明書 兼 保証書
長所と短所
- ○ホットスワップ対応PCなら稼働中にHDDを入れ替えられる
- ○電源のオンオフスイッチがある
- ○使用頻度の少ないHDDの電源のオフにできる
- ○3.5インチと2.5インチのHDD、SSDを入れられる
- ○鍵が必要ない
- ×LEDライトが眩しい
- ×3.5インチの扉の開け閉めが固い
はじめに
今回レビューするのは、オウルテックさんのリムーバブルケース『OWL-IE5CB』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
外観チェック
パッケージ内容は、リムーバブルケース、SATAケーブル×2、ネジ×4、2.5インチ保護フィルム、説明書。
リムーバブルケース本体はアルミケースで骨組みのみの開放型。筐体はアルミ製ですし、密閉していないので、放熱性は高いです。また、ファンは付いていないので、静音PCにも最適です。
正面から見ると、上に2.5インチのHDD/SSD、下に3.5インチのHDDを装着する扉があることがわかると思います。同時に使用することが可能です。
上下にスライドする電源スイッチがあるので、簡単にHDDの電源をオン/オフできます。これが実に活用方法が多いんです。詳細は本文をお読みください。
裏側には2.5インチ用SATA端子、3.5インチ用SATA端子、両用電源端子があります。両方同時に使用する場合でも、接続する電源ケーブルは1本で良い構造です。
SATAケーブルは2本付属していました。SATAケーブルは結構劣化して断線したり、挙動がおかしくなることがあるので、この付属は有り難いです。HDDの挙動がおかしかったらまずSATAケーブルを疑いましょう。
ネジと2.5インチ用保護フィルム。
どうも2.5インチのHDD/SSDはスペースがギリギリらしく、擦り傷ができてしまうようで、そのための保護フィルムらしいです。
説明書はさすがに日本メーカーのオウルテックさんなので、独立した日本語説明書でした。保証書も同紙に印刷されています。
以上、外観チェックでした。
動画チェック
ホットスワップ対応PCなら稼働中にHDDを入れ替えられる
使用しているPC(マザーボード、ドライバ)が対応していれば、PC稼働中にHDDを入れ替えできます。これをホットスワップというのですが非常に便利です。
人によって、このホットスワップをどう利用するかはまちまちです。主に考えられる用途としては下記あたりでしょうか。
- 使用頻度の少ないHDDの電源を切り節電したい
- 静音PCを目指しており、使用頻度の少ないHDDの電源を切って回転(音)を止めたい
- マウントしていないHDDが他にもあり、必要に応じて入れ替えたい
これ以外にもホットスワップ対応のリムーバブルケースを活用する方法があるかもしれません。人によっては色々可能性が広がるPCパーツです。
電源のオンオフスイッチがある
リムーバブルケースに搭載機能にも色々あります。その中で私が最も重要視しているのが、電源スイッチがあるかどうかです。
前述したように、使用しなHDDの電源を切って節電、静音性の向上目的の場合、電源スイッチがないと話になりません。任意で電源スイッチを切ることこそが、リムーバブルケースクを利用する目的なのですから。
このリムーバブルケースにはしっかりと電源スイッチが付いています。ただ、ボタン式ではなく、上下にスライドさせるスライド式です。これは好みが分かれるところですが、実用上や使い勝手では特に変わらないので、正直どちらでもいいかなと思います。
ただ、これまでいくつもリムーバブルケースを使用してきたのですが、押しボタン式の場合、作りが悪いと凹んだボタンが戻ってこず…なんてことも過去にありました。どうも押下感が中途半端で、押されているのかどうか微妙、目視でわかりづらいなんて欠点もあります。この辺りはボタン式だと押し返す反発力と、押下したときに引っ掛かる爪が必要な複雑な構造になるため、作りが悪いとこうなってしまうようです。
その点、こちらはスライド式ですので、構造はシンプルで切り替えに不満はありませんし、目視でも下がっているときはオン、上がっているときはオフとわかりやすいです。LEDライトが付いているので、PC動作中は勿論ボタン式もわかりやすいのですが、PCの電源が切れてLEDライトが消灯していると、ボタン式だとぱっと見分かりづらいんです。まあこれはそれほどデメリットでもないのですが、スイッチ式でわかりやすい点は加点材料かと思います。
使用頻度の少ないHDDの電源のオフにできる
前述もしましたが、なんといってもリムーバブルケースのメリットは、使用頻度の少ないHDDの電源を切れることだと思いますし、私もこの用途で利用しています。
使用頻度の少ないHDDの電源をオフにするとなにがメリットなのか、簡単に挙げたいと思います。
- 節電になる
- ディスクの回転が止まるので無音になる
- PCケース内の温度上昇を抑えられる
- 通算通電時間を少なくできるので耐久性が上がる
まず節電効果ですが、これは至ってシンプルで、使用していないのに通電させていれば電気代が掛かるのは当然です。ところが、使用頻度の少ないHDDの場合、私は数日に1回ファイルを読み書きする程度なので、待機電力が丸々無駄になっていました。この無駄をなくせることはメリット以外の何物でもないでしょう。とはいえ、最近のHDDは電源管理も優秀で、アクセスがないと20分後に回転を止めるスリープ機能などをPC側で設定していれば、待機電力は1W/h程度なので、気にしない人は無視してよいと思います。私はこのようなものはお金云々ではなくどうしても気になってしまうもので…。
ちなみに、1Wの電気代はというと、平成26年4月公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会新電力料金目安単価で見ると、0.027円だそうです。24時間稼働を1ヶ月の30日続けた場合、19.44円、1年間で236.52円となります。私はこのようなリムーバブルケースを3台使用しているので、年間で709.56円の節約になっている計算です。使用する時間も数日に1回あるので、厳密にはこの限りではありませんけどね。
年間236.52円の節約のために、3千円弱のリムーバブルケースを購入するのは、気にならない人には本末転倒かもしれません。ただ、私の場合、電気代が一番の目的ではなく、次に挙げる静音性の向上が主な目的なんです。
HDDを通電させていれば、当然ディスクの回転音がします。静音PCを目指し、ファンをできるだけ少なくしたり、水冷クーラーにしていればいるほど、このHDDの回転音、共振が騒音になるんです。そのHDDの音をできる限り抑えるとの目的で、このリムーバブルケースは非常に重宝します。
内蔵で9台のHDDを設置しているのですが、そのうち3台のHDDの電源を常時オフにできる環境を構築しています。単純計算でHDDの騒音は1/3少なくなる計算です。勿論、HDDの騒音は掛け算ではないので、9台中3台電源を切ったから1/3の音量になるわけではないのですが、確実に静音になっていることは長年使ってきた実感でわかります。
また、PCの天敵は熱です。熱暴走という言葉もあるように、PCは内部の温度が上がれば上がるほど不具合を起こしやすく、最悪強制終了してしまうことも…。自作経験が長い立場から言わせて貰うと、熱を甘く見てるととんでもないことになります。温度管理は重要です。
アクセス中のHDDを触るとわかるのですが、高温になると評判のSeagateの一部HDDでは触れないほど熱くなります。そこまで高温にならないHDDでも、余裕で50度近く行きます。これが狭く密集したPCケース内で起こり続けていたら…どうなるかわかりますよね。PC内部の温度は高くなり、空気が熱くなるので、CPUを冷やすことも大変になり、熱暴走を引き起こす要因となってしまいます。
リムーバブルケースは、HDDの熱を抑えるという点でも、PCケース内の温度上昇を抑えられる非常に有効な手段となります。
最後にHDDの耐久性について。HDDに限らず、精密機械は何でもそうですが、稼働時間が長ければ長いほど、それに比例して故障率は上がります。HDDも例外ではなく、あらゆる検証サイトでも、通電時間が長ければ長いほど故障が多くなっています。この通電時間による故障率の上昇を防ぐ意味でもリムーバブルケースは有効です。
ただ、ここは少し判断が難しいところで、電源のオン/オフを繰り返す方が故障の要因となるとの見方もあるので、この辺りはユーザーが判断するしかありません。私は電源のオン/オフを繰り返すより、通電時間の長さによる故障率上昇の方が深刻だと経験上結論付けています。
このように、リムーバブルケースは節電だよねと、皆さんが真っ先に思い付くメリット以外でいくつものメリットがあります。たくさんのHDDを内蔵していて、使用頻度の少ないHDDがある方は是非検討すべきPCパーツだと思います。
3.5インチと2.5インチのHDD、SSDを入れられる
リムーバブルケースは5インチベイに装着し、3.5インチのHDDをガシャポンすることが基本となるのですが、このリムーバブルケースは上に2.5インチのHDD/SSDを、下に3.5インチのHDDを入れることが可能です。さらに、同時に認識して稼働させることも可能なので、省スペースにもなります。要は、5インチベイ1つで、3.5インチのHDDと2.5インチのHDD/SSDを2台入れられるんです。5インチベイが少ないPCケースを使用している方は、スペースを有効活用できるリムーバブルケースだと思います。
ただし、注意点が1つだけあります。電源スイッチは両方に共通している1つしかないため、2.5インチのHDD/SSDと、3.5インチのHDDを個別に電源をオンにしたりオフにしたりはできません。電源を入れれば両方オンになりますし、切れば両方オフになります。この辺りは改善の余地ありかなと思います。
逆に良い面もあります。それは電源ケーブルを1本繋げるだけで良いことです。2.5インチの方にSATAの電源ケーブルを差し込むのですが、そこからバイパスで3.5インチの方にあらかじめ電源ケーブルが伸びているため、1本電源ケーブルを繋げるだけで、両方の電源を繋げたことと同じになります。この辺りは安価なリムーバブルケースの割には良くできているなと感心しました。
鍵が必要ない
このようなリムーバブルケースの場合、セキュリティ上の問題から、鍵付きの場合が少なくありません。また、鍵と電源ボタンが連動しており、鍵でひねらなければ電源をオン/オフできない物も昔は多くありました。これがもう面倒で面倒で…。
何故鍵付きが少なくないかというと、会社で使う場合もあるでしょうし、個人で使う場合でもそうなのですが盗難防止のためなんです。とはいえ、盗難を気にするような状況でリムーバブルケースクを使用する人がどれくらいいるかといえば、一般家庭で個人が使うPCではそんなにいないですよね。
私はこのリムーバブルケースを購入した大きな理由に鍵が付いていないからとのものもあります。スイッチ1つで電源のオン/オフができ、取り外しや装着ができるので、単なる1ユーザーにはこれが便利なんです。
気になるところ
最後に使用してみて気になったところを挙げていきます。
LEDライトが眩しい
リムーバブルケースに限らず、LEDライトが眩しいのはPXパーツのお約束なのでしょうか…。このリムーバブルケースはそれでも他のリムーバブルケースに比べれば、LEDライトの窓も小さいのでましなのですが、やはり眩しいことには変わりがありません。PCがある部屋で寝ている方の場合、これは致命的になりかねないと思います。
ちなみに、下が当リムーバブルケース。上は別のリムーバブルケースです。上の物はメチャクチャ眩しいですよね。それに比べれば、当リムーバブルケースのLEDライトはましなんですけどね。上のレベルまで光ってしまうと寝るときに本当に邪魔になるんです。
そこで対策をしてみました。ホームセンターやダイソーで売っている丸いシールをLEDライトに貼ってみました。小学校のときなどに、朝マラソンを何周走ったとか、給食を全部食べたかなど、成果をわかりやすくするためにノートや掲示板などに貼られたアレです。商品名はマイタックです。
1枚ではまだまだライトが透過するため、最終的には5枚重ねしたところで、ボヤッと光るくらいの光量になったので落ち着きました。私はロヂャースで購入したのですが、千枚以上入って137円でした。
100円程度で千枚ほど購入できるので、気にならなくなるまでどんどん重ねて貼っちゃいましょう。ただ、LEDライトが点灯しているかどうか分からないところまでやってしまうと、今電源が入っているのかどうか、ぱっと見で分かりづらくなるので気を付けてください。
3.5インチの扉の開け閉めが固い
3.5インチドライブの扉の開け閉めは固いと思います。他のリムーバブルケースに比べても抵抗を感じます。ただ、今同時に使用している他のメーカーのリムーバブルケースは、使用している内に可動部分がこなれたのか、自分が力加減や使い方を覚えたのか、随分スムーズになったので、このリムーバブルケースも使用していくうちにスムーズに稼働するようになるかもしれません。
逆に、2.5インチの扉の開閉は実にスムーズで力はほとんど必要ありませんでした。
2.5インチの方は開閉方法が少し変わっていて、左にあるシルバーのスイッチを右にちょこっとスライドさせてやると、扉がピョコンと開くようになっています。一見するとプッシュ式のボタンのように見えたのですが、実はスライド式でした。
総評
リムーバブルケースは使用したことのない人からすると、節電くらいしかメリットがないように思うかもしれませんが、実はこれまで挙げてきたように、いくつものメリットがあるんです。
使用頻度の少ないHDDがPCケース内に内蔵されている場合、今は3千円弱で購入できるので、試しに1個買ってみて試してみると良いかもしれません。自分の使い方によっていくつもの便利な応用方法が出てくると思います。
こんな人にお勧め
- HDDをたくさん持っている人
- PC稼働時にHDDの入れ替えをしたい人
- 使用頻度の少ないHDDの電源を切りたい人
- HDDを長持ちさせたい人
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