目次
掲載情報
掲載雑誌
- ビックコミックスピリッツ 1986年3月23日号
アニメでは
時系列とでき事
- 1987年12月 五代裕作、プロポーズをいまだ言い出せず
この頃のでき事
- 3月2日 - キヤノンが「EOS650」を発売。同じ日には旭光学工業が「ペンタックスSFX」を発売。
- 3月3日 - 日立製作所が全自動洗濯機「静御前」を発売。
- 3月3日 - 武田薬品工業が「アリナミンV-DRINK」を発売。アリナミンシリーズでは初の栄養ドリンク。
- 3月5日 - 岩手靖国訴訟で、盛岡地裁は首相の靖国公式参拝合憲判決。
- 3月9日 - トヨタ自動車や東京電力などの出資で日本移動通信(IDO)設立(現在のKDDIの前身)。
- 3月13日 - 中国残留孤児の定期訪日調査終了。
- 3月14日 - 日本の南極商業捕鯨終了。
- 3月17日 - 朝日麦酒が日本初の辛口ビール「アサヒスーパードライ」を発売。
- 3月18日 - 神戸市営地下鉄西神・山手線の学園都市駅 - 西神中央駅間が開業し全通。
- 3月18日 - 舞鶴若狭自動車道の丹南篠山口IC - 福知山IC間が開通(舞鶴若狭自動車道では最初の開通区間)。
- 3月21日 - 中曽根内閣が佐藤内閣・吉田内閣に次ぐ戦後3位の長期政権へ。
- 3月22日 - アップルコンピュータが「Macintosh II」と「Macintosh SE」を発表。
- 3月23日 - 予讃線高松駅 - 坂出駅・多度津駅 - 観音寺駅間、土讃線多度津駅 - 琴平駅間が電化(四国では初の電化)。
- 3月28日 - シャープがパーソナルワークステーション「X68000」を発売。
- 3月30日 - 安田火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札する。
- 3月31日 - 三井物産マニラ支店長誘拐事件の被害者がフィリピン・ケソンで誘拐から137日ぶりに釈放される。
- 3月31日 - 吉本興業の劇場・なんば花月(大阪市南区。現中央区)が閉館、4月から近隣に新築したなんばグランド花月にその役割を譲る。
あらすじ
就職も決まり、あとは響子さんにプロポーズするだけの五代君。そんな雰囲気を響子さんの両親も感じ取り、喜ぶ律子さん、反対するお父さん。そんな中、やっとのことで五代君は響子さんにプロポーズをするも、鈍い響子さんはわかってくれません。そんなことをしているうちに、再婚に大反対の父が五代君の勤め先に現れ…。
みどころ
- 五代君の伝わらないプロポーズ
はじめに
今回は五代君がプロポーズをするも響子さんが鈍くて伝わらない話です。また、響子さんのお父さんは物語の最初から一貫して娘の再婚に反対しており、今回風邪で伏せっているところを無理して五代君へ結婚を許さないと言いに家を出てしまいました。
お父さんが何故そこまで娘の再婚に反対するのか…。これには実に納得のいく父の気持ちがあるのですが、詳細は次回となります。次回は作中でも有数の泣ける話です。今回はその前振りのような話でもあります。
両親に再婚の気があることを話す響子さん
今まで響子さんは頑なに再婚する気が無いと周りに意思表示をし、再婚しろとせっつく母・律子さんとは何回も対立していたのですが、今回遂に響子さんの方からそれとなく再婚の意思があることを伝えていました。そして今まで全く名前を覚えられなかった可哀想な五代君ですが、律子さんはすっかり五代君の名前が脳にインプットされたようです。ところが、再婚を喜ぶ母とは対照的に、この期に及んでも再婚に反対のお父さん。響子さんのお父さんは物語の最初から一貫して娘の再婚に大反対です。何故そこまで反対するのか、ただ娘が可愛いからだけなのか、手元に置いておきたいだけなのか。いい加減お父さんは響子さんの幸せのために賛成してあげろよと思った読者も多いと思いますが、このお父さんへの読者の反発が強ければ強いほど、次回のお父さんの気持ちを知ったときに涙が…。
このような振り幅を作らせたらめぞん一刻ピカイチなんです。映画でもそうですが、激しいアクションの前に平和で幸せな日常を描く。そしてそこから物事が急展開して怒濤のアクションシーンへ。こんなスタイルがよくありますが、初めからアクション、最後までアクションでは物語に抑揚が無く飽きてしまいます。また、最初の平坦な物語を描くことで、その対比としてその後のアクションがより際立ちます。漫画やアニメも本来そうで、あしたのジョーの少年院の話や、Fのレースと関係ない話のように、前振りの物語はその後爆発的に面白くするために必要だと思うのですが、昨今は読者や視聴者がこれに耐えられなくなっていることがひとつと、人気が無いと即打ち切りになってしまうシステム、1クールアニメでそもそも遊びの時間が無いことなどで、この前振り、準備運動の物語が無くなってしまっていて少し残念です。
…と、横道にそれてしまいましたが、めぞん一刻はじれったいほどしっかり前振りをし、そしてそこからオチを付けるので、感情が上に下に右に左に揺さぶられるんです。この響子さんのお父さんの頑なな再婚反対もそのひとつです。更にお父さんの姿勢は一切ぶれませんでしたからね。三鷹さんが来ても反対、五代君が来ても反対、何が何でも反対。ずーっと最初から最後まで反対でした。となると、じゃあなんでそこまで反対なんだ?との疑問が読者の中でどんどん膨らむのは必然です。ただ、逆にこれだけ前振りをしてしまうと、よっぽどきちんとした説得力のあるオチじゃ無いと読者も納得しないでしょうし、取って付けたような陳腐な物と受け取られると泣けないので、作者としてはハードルが物凄く上がった気がしますが、それでもそれを軽く超えてきましたからね。さすがと言わざるを得ません。
鈍い響子さん
五代君は、連載時でも既に古臭いプロポーズの代名詞だった「あなたの作った味噌汁が飲みたい!」をプロポーズの言葉として選んでいましたが、響子さんは鈍いので、その言葉のまま味噌汁を五代君に作ってあげていました。そして五代君もその味噌汁を普通に飲むと言う…。
完結数年後に読んだので、断言はできないのですが、この当時でも、五代君のプロポーズのセリフは古臭かった(はず)です。この感覚のジョークは、当時読んでいた人しか分からず、のちに時代が変わってしまうと、わからなくなってしまうジョークです。こればかりは当時読んでこそでしょう。
今初めて読んだ場合、今からすると古いのは当たり前なのですが、これが当時としても古臭い言葉だったというのがわかりませんからね。そうなると、「当時はこれが王道だったのかな」なんて勘違いをしてしまい、「古臭いプロポーズをする五代君」とのジョークが色褪せてしまいます。
ところで、この頃の響子さんは27歳なのですが、物語の初めや中盤より逆に若返っているような絵柄で可愛らしいです。逆に五代君は、この頃響子さんとの体格差が強調され、大きく描かれたり、輪郭やクビが筋張っている感じで描かれていて、大人の男の感じが出ています。この辺りも興味深いですね。
そして響子さんは、プロポーズしてくれない五代君に、いつまでもプロポーズしてくれなくてグズなんだからとぷんぷん怒っていましたが…五代君しっかりプロポーズしているんですけどね…。プロポーズの段階になっても、このめぞん一刻独特の2人のすれ違いは続いています。
総評
今回は、プロポーズを中々できない五代君、もとい、プロポーズをわかってくれなかった響子さんの話と、響子さんのお父さんが結婚を邪魔しに五代君の職場、しいの実保育園へ出向いた話でした。
既にもう五代君と響子さんの間には何の障害もありません。惣一郎さんの影も吹っ切りました。保母試験も受かりました。就職もしました。そしてきっちり結ばれて恋人にもなっています。さああとはプロポーズするだけ…だったのですが、そういえばお父さんが頑なに響子さんの再婚に反対していたなあとの話にきっちりケリを付けに来ました。こうやって一個一個丁寧に疑問や、昔からあった話、伏線を潰していく丁寧さがたまらないんですよね。こう言ったことを全てに対して行っているので、何も疑問も無く綺麗スッキリ終われたんです。
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