今回レビューするのは、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOの第17.5話です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ちなみに、YU-NOの解説・考察は別記事にまとめましたので、気になる方はご一読ください。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
感想
今回は総集編…だけど最後に異世界編のネタバレ多し
今回は案の定総集編でしたね。18話は次回とのことなので、話数にすると今回は17.5話でしょうか。前回の記事にも書きましたが、EPGでは今回、別のサブタイトルだったので、制作が間に合わずに急遽総集編を差し込んだのか…。ただ、ナレーションがきちんんとたくやがやっていたので予定通りなのか…。
最後1分程までは総集編だったのですが、最後の最後に異世界編のシーンをダイジェストで少し先行して放送していました。…で、これ結構問題の気が…。
異世界に行ったたくや。怪物に襲われているセーレス。謎の少女…今更白々しいので書きますがユーノ。謎の生物クンクン。女騎士アイリア。神帝。勘の良い人はこれ結構わかってしまうのでは…。まあ、23年前のゲームなので、今更ネタバレも何もないと言われればそうなのですが、原作を知らずにただアニメを追っている方もいると思います。その層は無視なのでしょうか。どうせ観てる人は知ってるんだろ的造りなんですかね。ちなみに、私はこのYU-NOで一番同情するのがアイリアです。境遇やその後のこと含めて、一番可愛そうなキャラだなと胸が締め付けられました。
良かったこととしてはセーレスが出ること確定したこと。まあ、出ないなんて重要度から考えてあり得ませんよね。それでも、まさかと思わせる改変をこれまでしてきたので少し不安でした。
今回はほぼ総集編で語るところもないのですが、折角なので現代編の総括をしたいと思います。まずはやはりおかしいところからになります。
下ネタ入れすぎ
今回の総集編での香織ルートでもっこり的な下ネタがありましたが、アニメはやたら下ネタを出すことが気になります。
原作のゲームだとプレイヤーの分身であるたくやが、女性の胸や下着をクリックすると下ネタが出ることが多かったです。もしくは、落ち込んでいるヒロインを元気づけるための冗談など。はたまた、思うだけで口には出さないことも多かったです。
原作は主にプレイヤーが自分でわかって下ネタが出た『能動的』なものだったのですが、アニメはただ見ているだけで強制的に来るので『受動的』になってしまいます。メディア、媒体の違いですが、これが非常に大きな違和感を生み出してしまいました。
能動的な下ネタと受動的な下ネタの違いを鑑み、もう少し抑えめで良かったと思います。実際、神奈ルート最後の17話は下ネタが1つもありませんでしたが、それで何の違和感もなく見ることができました。下ネタは別に必要ないんです。
各話切りどころのおかしさ
OPに入るところ。物語の終わり方。これらの切る部分は、『次が気になる』ような、いわゆるクリフハンガーで終わることが昨今のアニメでは多いです。次の話への飢餓感も面白さの要素になるのですが、これが全くと言って良いほどこのアニメはありません。
盛り上がりもない平坦なところでブツッと切ってOP。次の話が気になるようなシーンではない、特に盛り上がらない部分でエンディング。YU-NOは時間や世界線の移動が頻繁に起こるミステリアスな物語なので、クリフハンガーにする部分は多いはず。この辺りの構成が非常に残念です。
カオスの矯正で記憶が無くならないことの矛盾
原作だとカオスの矯正で世界から飛ばされた時は記憶がなくなっていました。それまでやってきたことは全て覚えていないため、亜由美が自殺した世界線のことも忘れていました。そのため、亜由美のことを気にせずに次のルート(ヒロイン)へ行くことも納得できました。
アニメではカオスの矯正で飛ばされても記憶が保持していると設定が変わったため、亜由美や美月の悲惨な最後を知っているのに、それを無視して他のルートに行くことになってしまい…。一応、美月のことを心配して電話を掛けたりはしていましたが、あんな悲惨な死に方をした美月をそれだけで済まして良いのでしょうか。…と言うような疑問が頭をよぎることになってしまいました。
ネタばらしの前倒し
難しい設定やワードは早めに出し、ゆっくり説明するようにとの配慮なのか、アニメは何故か色々な謎を前倒しして説明しています。パッと思い付くだけでも下記のようなことが挙げられます。
- シュバルツシルト半径
- ナイアーブ
- アーベル
- 次元捜査官
- 異世界があること
- 異世界の名前がデラ=グラントであること
特に驚いたのは絵理子先生の次元捜査官との正体と、その恋人アーベルとの話を現代編の早い段階でやったことです。以前も書きましたが、本来これは異世界編の終盤でやっと明かされることでした。ただ、原作はこの辺りの情報が一気に絵理子先生から語られるので、詰め込んでいる感じは強かったです。それを解消したかったのでしょうか。
伏線の強調
伏線をこれでもかと協調することもこのアニメの特徴でしょうか。神奈ルートでこれが顕著でした。たくやが4回も5回も「神奈ちゃんを家族のように感じる」と言っていました。個人的にこれは大NGです。これ言っちゃ駄目でしょ…。他のアニメですが、シュタゲで例えるとダルが鈴羽に会ってすぐ、「鈴羽は家族みたいに感じるお」と言うようなもの。それってもうこの後の答えが分かっちゃうレベル。
おそらく監督やスタッフは親切のつもりで悪意はないのだと思います。分からない人に丁寧に作ろうとしているのでしょう。ただ、伏線が分からない人は、それはそれで置いていって問題ありません。そこまで配慮すると謎のある物語なんて作れません。分からない人は置いていって良いと書きましたが、それは何も馬鹿にしているわけでも切り捨てているわけでもありません。ネタばらしをすれば、結局あれはああいうことだったんだとほとんどの人に結局分かるはずなのです。
それでもわからない人はそこまで填まって見ていないと思うので、その層に向けて親切に作っても仕方がありません。100パーセントに面白いと言われる作品などないのですから。100パーセントに好かれようとして作品を作ってしまうと、結局支持率が低くなる作品になってしまうと思います。
良かったところもある
悪いところばかり挙げるのもフェアではないので、良かったところも挙げておきたいと思います。
キャラデザは悪くない
キャラデザは悪くないです。個人的にはPC98版やサターン版の方が好みですが、さすがに23年前の物なので、そこは現代風にある程度描き直すことには納得しています。
作画に大きな崩れがない
2クールアニメだと制作スケジュールがきつく、作画が破綻するアニメが多いのですが、このアニメは作画に破綻がほぼないと思います。少し前はこの作画の破綻を防ぐため、分割2クールなんて放送形態がありました。それくらい2クールアニメのスケジュールはキツイようですが、今のところ作画は安定していると思います。
サービス回は意外と良かった
たくや、神奈、澪、結城で海に行くサービス回の完全アニオリですが、個人的には結構好意的に捉えています。境町から離れられない神奈が電車で遠出したり、突然野犬が神奈のペンダントを奪ったり、設定上首を傾げたくなる部分も多々ありましたが…。
原作では神奈が救われるような話は一切なく、ただひたすら可愛そうなキャラだったので、澪という友達ができ、海に遊びに行ったのは救われた気分になりました。
異世界編の展望は…
次回から異世界編ですが、展望としてはあまり明るくないかなと…。スタッフが総入れ替えするわけでもないので、前述したおかしなテイストはそのまま異世界編でも続くと思われます。ネタばらしの前倒し、伏線の強調、切るところのおかしさなど。
セーレスがきちんといたことはホッとしました。怪物に襲われているところをたくやが助けるところや、ユーノ、クンクン、神帝。この辺り主要な部分は抑えているみたいです。
次回からOPが変わることが決定
2クールアニメだと、前期と後期でOPやEDの曲が変わることが多いのですが、YU-NOは2クール目に入っても変わりませんでした。ずっと同じなのかなと思ったら、次回の異世界編からOPとEDが変わることが確定。
最後の異世界編ダイジェストで新OPとEDの曲が掛かっていました。後期OPは前期と同じ鈴木このみさんで『MOTHER』との曲。そして、後期ED曲はこちらも前期と同じく亜咲花さんの『神の数式』。タイトルからしてケイティアこと恵子のことがテーマなのでしょうか。そこまでフィーチャーするとなると、登場人物としても異世界編に出てきそうな予感が…。
クールごとではなく、内容で前期と後期を区切って曲を変えてきました。この区切りは良いと思います。現代編と異世界編でガラッと世界も物語も登場人物も変わるので、曲やアニメーションを変える絶好のタイミングです。
総評
今回は予定通りなのか、制作が間に合わなかったのかわかりませんが総集編でした。
「どうせ総集編だから見なくても良いかな」と思いながらも、一応リアルタイムでAT-Xを見たところ、最後1分ほど今後の異世界編ダイジェストが流れて驚きました。やはり現代編から異世界編へ舞台がガラッと変わるのはワクワクします。神奈を救うためとの目的が明確に出てしまったのは嫌な予感がしますが、異世界編が面白くなることを否が応にも期待してしまいます。
こんな人にお勧め
- タイムトラベル、タイムリープものが好きな人
- 異世界ものが好きな人
- 壮大な話が好きな人
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