今回レビューするのは、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOの第24話です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ちなみに、YU-NOの解説・考察は別記事にまとめましたので、気になる方はご一読ください。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
仮面の女を振り切り、地下牢を進むたくや達であったが、地下牢には龍蔵寺が拘束されていた。
龍蔵寺はたくやにある取引を持ちかけてくる。
そしてついに神帝のもとにたどりついたたくやであったが、そこで神帝の意外な正体を知ることになる…
みどころ
- 神帝の正体
- デラ=グランティアの謎がわかる
初登場人物
- アイ
感想
龍造寺と再会
今回は前回のたくやとユーノのチャンバラの続きからでした。いつ仕掛けたのかわかりませんが、開かなかった扉に仕掛けたダイナマイトに着火して爆破。その爆風で飛ばされたたくやは地下水道に転落。その先にデオとカーツと再合流していました。あの扉の先はなんだったのでしょうね。龍造寺の幽閉されていたところはこのあと別に出てきますし、単なる開かない扉というだけでしょうか。なにかあると思ったのですがなにも扉の先にはありませんでした。
このときユーノは記憶を失っているものの、クンクンのスカーフやセーレスの名に反応していたので、一時的に記憶がなくなっているだけだと、たくやはまだ希望を捨てていません。
その後、地下道を進むたくや、デオ、カーツ。その先に龍造寺が幽閉されている部屋を見つけます。ここにはオレンジ色のバリア状のものがありました。これは思念体の龍造寺を閉じ込めておくものだとか。神帝とマザーが協力して作ったそうです。
原作ではこのようなバリアはありませんでした。確かに龍造寺の本体は中身の思念体なので、このアニメの改変には納得がいきます。原作だとただ鎖に繋がれていただけです。
このような整合性のある補完なら納得できるので良いんです。ところが、このアニメは補完に止まらず話の根本をごっそりと変えており、どうしてそんなことするのかなあ…と残念に思ってしまいます。
確かに昔の作品なので、表現や演出など洗練されていない荒削り的なところはありますし説明不足の部分もあります。なので、そこを補完的に付け足すなら納得できるんです。しかし、これではクリエイター魂は収まらないのでしょうね…。自分が物語を作ってやる…と、自分を出したくなってしまうのでしょう。
他人の作品をアニメにするだけではつまらないのはわかります。しかし、そこを客観的に見て自己顕示欲を抑えるのもプロだと思うのですが、このアニメではそれができませんでした。
この辺りはジョジョがアニメ化上手いと思います。原作通りにやりつつ、当時疑問だったことや説明不足を補完する…と。まあ、ジョジョは長い歴史があり熱狂的な人気があるので、ファンを怒らせたら怖いと言う側面もありそうですけどね。
アニオリですが、龍造寺に近付いただけで事象測定器が揺れていました。事象を変えるほどの存在なんですね。
原作だとこの辺りの流れはだいぶ違っていました。物事の順番をだいぶ変えています。
【アニメでは…】
- 近衛兵に追われる
- 絵理子先生に助けられる
- 絵理子先生の講義
- ユーノと対峙
- 龍造寺を見付ける
- 龍造寺の講義
- 龍造寺を逃がす
- ユーノの記憶が戻り再会
- 神帝に斬りかかる
- 神帝の部屋で亜由美の講義
【原作では…】
- 龍造寺を見付ける
- 龍造寺の講義
- 龍造寺を逃がす
- ユーノの記憶が戻り再会
- 神帝に斬りかかる
- 近衛兵に追われる
- 絵理子先生に助けられる
- 絵理子先生の講義
- 神帝の部屋で亜由美の講義
前述の流れを見ていただけるとわかるのですが、原作では絵理子先生の講義と亜由美の講義が連続して行われていました。非常に長く難しい講義が2コマ続くようなものです。アニメはこれを分ける(2話に分けている)ように配置しています。
絵理子先生と亜由美の講義が続くのを避けたかったのでしょうか。以前から書いていますが、このアニメは物語を易しく作り直そうとしている意図が見て取れます。言ってみれば原作は難易度ハードモードのゲームで、アニメは難易度イージーモードのゲームと言った感じです。
確かに原作でここは怒濤のように襲ってくる解説があり、情報量が物凄くて理解するのが大変でした。ただ、それもまた一気に疑問が氷解してワクワクして嬉しかった記憶があります。しかし、これをアニメでそのままやれば良かったのか…と言われると、確かに即答できません。
一気に疑問が氷解する喜びはあるのですが、それはゲームで自分が文章を読み、理解できなければ読み直すことができる媒体であるからこそでした。これはYU-NOに限らずゲームと言う媒体の強みです。一方、アニメはキャラが喋る様をこちらは受け取るだけの受動的な媒体です。1度セリフが流れてしまえば基本聞き返すことはできません。聞き逃してもそのまま話はどんどん進んでしまいます。勿論、録画して巻き戻して見返すことはできるのですが、そこまでしてくれる視聴者がいるのかどうか。この辺りはゲームと言う自分でコントロールできる能動的なメディアと、アニメの情報を受け取るだけの受動的なメディアの違いは大きいです。
今回は能動的なゲームでも情報量が凄まじかったので、今回のように分割して説明したことは理解できます。どちらが面白いのか、正解なのははわかりませんけどね。アニメ化に際し、現代編では並行世界をどう一本道のアニメで表現するのかが難しいのですが、異世界編ではここをどうするかが1番難かったと思います。
一方その頃アマンダは…的構成
一方その頃アマンダは、謎の大きな扉を開けようとしてもできず四苦八苦。そんなところに偶然お城で下働きをしていると言うサラが再登場。鍵を上手いこと開けて協力していました。しかし、まさかここでサラが再登場するとは。神帝側にたくやを売ったかと思えば、今度はレジスタンスに協力するなど、少し立ち位置が分かりづらいキャラになっていました。
サラの出番を多くした意味はあまりないような気がします。原作ではただオアシス手一晩をともにする、成人ゲームならではのモブキャラなので不自然に感じて改変したのでしょうか。ちなみに、何故協力してくれたかと言うと、『レジスタンスが城に入り込んだのではもうこの城は終わりだからトンズラするわ。近衛兵とも一通り遊んだしね!』とのこと。原作でも奔放なキャラだったのを更に奔放にした感じでした。さすがにサラはここで退場でしょう。
今回の話の構成としては、海外ドラマで良くある2つの視点からの物語進行でした。たくやの視点とアマンダの視点です。たくや視点で話がある程度進むと、『その頃アマンダは…』との話の構成です。原作では完全にたくやだけの一人称視点で話が進み、このような他人視点の物語はありませんでした。この辺りも、情報を分散させて易しくする意図なのだと思います。ゲームでは亜由美にひたすら講義されるたくやのシーンですからね。
龍造寺の講義
絵理子先生や亜由美の講義よりも軽めではありますが、龍造寺の講義も今回ありました。言っていることは原作とアニメはほぼ同じです。ここでは主に巫女について語られました。
- ユーノの記憶がなくなっているのは、マザーを降臨させるために体の機能の一部を捧げたため
- 昔の巫女ケイティアは視力、前巫女のセーレスは声、現巫女のユーノは心を捧げた
龍造寺はユーノの心を取り戻す方法と引き換えに解放しろと交渉してくるのですが、次元犯罪者であることを絵理子先生から聞かされているたくやは拒否します。原作では絵理子先生からそのことを聞く前だったので解放してしまいました。アニメではここで登場したのが絵理子先生です。
絵理子先生は龍造寺…正確には中にいる次元犯罪者の思念体を追っていたので、ここで確保できてご満悦の様子。…なのですが、不用心にもたくやと歓談している間にデオとカーツにナイアーブを掛けられてしまい悠々と脱獄成功。あれだけA級次元犯罪者で危険だって言ってたのに…。しかし、次元犯罪者と知っているたくやは解放するわけがないので、ここはアニメでどうするのかと思ったらナイアーブを使ってアニオリキャラを利用しました。
このたくやと龍造寺の会話では、平川監督が自慢するコストカットが良く見て取れました。『龍造寺に剣を突きつけるたくや』とのシーンで何度も何度も全く同じ絵が使われていました。
ブログに画像を載せるため、毎回動画を見ながらキャプチャしているので、同じ絵が使われているとすぐわかります。確かに絵理子先生、龍造寺、亜由美との3つの講義は会話劇なので絵を使い回ししやすいのはそうなのですが、今回の龍造寺と亜由美の講義での使い回しはかなり露骨でした。おそらく今回は相当作画枚数をカットできたはず…。
たくやと記憶を取り戻したユーノが再会する
龍造寺が逃げたあと絵理子先生は追い掛け、たくやたちはユーノのいる祭壇へと向かいます。祭壇の部屋の前は警備が厳重でしたが、ナイアーブで操られて迷惑を掛けたとのことで、デオとカーツが揺動して警備兵を一掃。
部屋にたくやが入ると祭壇に寝ているユーノがいました。全裸だったので布を掛けてやるたくやですが、すぐにユーノが目覚めてまたチャンバラになってしまいます。クンクンのバンダナを見せたりセーレスの名前を叫んで正気を取り戻そうとするのですが、ユーノの振り回す剣が祭壇に突き刺さり、中の機械らしき物が壊れてユーノの記憶が戻りました。
原作だと記憶が戻る流れは夏期のようになります。
- 祭壇に全裸で寝ているユーノを発見
- 後ろに何か部屋があることを見付けて行ってみる
- 何か機械が動いている不思議な部屋を見付ける
- 祭壇からユーノが歩いてきて記憶を取り戻す
原作では特に記憶を取り戻す理由もなく戻ったのでこの改変もまあアリです。ただ、祭壇の機械が壊れるならもっと派手に壊した方がわかりやすいですし、あんなちょびっとの傷で壊れてしまうのもなんかな…と。前述したように、コストカット自慢の平川監督なので、ここで細々した機械を露出させてしまうと作画が大変になると思ったのでは…と邪推してしまいます。
新キャラ、AIのアイちゃん登場
そしてまだ物語の視点が変わり、一方その頃アマンダは…となります。陽動でたくやと別れたデオとカーツがアマンダ達と合流。サラが開けてくれた扉の中に入ると、アイちゃんと言う新キャラが登場します。で、このキャラはなんなのかと言うと、デラ=グラントの歴史を説明するAIだとか。正直、このキャラは難しい話をロリキャラが解説する狙いが露骨と言うか、ふざけすぎでちょっと馴染めません。
前述したように、このアイちゃんが説明する話も、原作では亜由美がたくやに話して聞かせる話でした。なので、今回の解説は亜由美とアイちゃん2人に分割させたことになります。これもやはり物語の難易度を下げてわかりやすくする工夫なのだと思います。
この辺りの講義はアニメらしく軌道などの図解やグランティアの演説などをアニメで表現していたので悪くなかったです。
原作だとゲームが1996年発売なので、アニメーションをふんだんに入れるどころか、静止画をたくさん入れることすら大変な時代でした。ほぼ会話の説明とたまに変わる静止画の説明で大変難しかったと記憶しています。しかし、このデラ=グランティアの歴史をアマンダやレジスタンスに説明することは意味があるのでしょうか。最終決戦にアマンダは絡んできますが、デオやカーツ、その他2人のレジスタンスメンバーもその最終決戦に居合わせるのでしょうか。
神帝は亜由美だった!
記憶を取り戻したユーノをその場に置いていき、「やることがあるから」と言って神帝の元へ向かうたくや。…なのですが、たくやのやることってなんなのでしょうか。セーレスが死んですぐに砂漠を越える時は「神奈ちゃんのために!」と決意していました。収容所でも「神奈ちゃんのために!」と脱獄を試みていました。セーレスのことを思い出したのは、砂漠のオアシスでサラと会った時のみで、「神帝をぶん殴ってやる!」と言ったきりです。その後も首輪から超念石が出てきたら「これで神奈ちゃんを救える!」と言っていました。
ここまでの流れを見ると、神帝に対して恨みがあるように見えませんし、少なくともそのように表現はされていません。原作ではずっと『セーレスを殺した神帝を土下座させてやる』との一貫した思いがあったので、神帝を待ち伏せして斬りかかる動機があったのですが…。アニメではセーレスが殺されたことに恨みを抱いている様子が全くと言って良いほどないので、別に神帝を襲う理由ないですよね…。
このシーンは原作だと、ずーっとたくやがセーレスの復讐を胸に生きていた描写が丁寧にあったので、プレイヤーも「やっと恨みを晴らせるぜ…一体神帝とはどんな奴なんだ…」と万感の思いがありました。しかし、アニメでは帝都に向かう目的も違ってしまいましたし、神帝への恨みもあまり描写がなかったので、このシーンになんの感情も湧き起こってきません…。
ところで、神帝が毎朝廊下を歩いているなんて情報はアニメだとないのですが、たくやは何故神帝のいる場所も時間もピンポイントでわかったのでしょうか。原作では龍造寺に毎朝何時頃祭壇へ通じる廊下を神帝が1人で歩いているとの情報を得ていました。そして、「君は神帝を倒せるかな?」と思わせぶりなことを言っていました。後から考えるとこれも伏線で、龍造寺は神帝が亜由美だと知っていたんです。このような細かい伏線も異世界編ではちょくちょく消えてしまっています。
廊下をカツカツ歩いてくる神帝。そこに斬りかかるたくや。なにかを感じたたくやは振り下ろす剣を止め…。仮面を取った神帝は亜由美でした。…ってもうバレバレですよね。原作だと神帝が亜由美だなんて、少なくとも私はこれっぽっちもわかりませんでした。だからこそ神帝が亜由美だった時にたくやと同じように飛び上がるくらい驚きました。絵理子先生もそうです。まさか絵理子先生が次元捜査官なんて存在とは知らず、異世界編に出てくることさえも想像していませんでした。
良い意味で読者や視聴者の想像を裏切ると言いますが、YU-NOは本来これが具現化したような物語でした。しかし、アニメはわかりやすくするために、謎を前倒しで発表したり伏線をわかりやすく強調したりするので、このような読者や視聴者の想像を良い意味で裏切ることが原作と比べて半分以下になっていると思います。
原作だとたくやが斬りかかる前に亜由美が誰かの存在に気付き、「そこに誰かいるの?そう…私を倒しに来たのね…。その前に話だけでも聞いてくれない?」と声を掛け、存在がばれたたくやが飛び出す…との流れでした。ここも神帝よろしく亜由美の気持ちがよく分かる良いシーンでした。
亜由美の言葉からもわかるように、自分が憎まれる存在であることや、倒しに来る心当たりが1人や2人ではないこと。そして、憎まれても仕方のないことを自分はやっていること。これらを亜由美は全部理解した上で、相当な覚悟をした上でやっているんだなとわかり切なくなりました。細かい事なのですが、この辺りは亜由美の哀しさがわかるシーンがなかったのは残念です。
ここは原作のシーンはドキドキして切なくなって秀逸でした。一歩一歩近付いてくる神帝の足音。バレないかドキドキするたくや。隠れている存在に気付いて声を掛ける神帝。覚悟を決めて飛び出すたくや。斬ろうとしたら知っている顔で驚愕するたくや。暫く無音、無言で風が流れ、たくましくなったわねと声を掛ける亜由美。
アニメは時間の制限もあるのですが、原作にあった溜めがまるでありませんでした。特に神帝に斬りかかった後、暫く無音、無言になる所なんてドキドキが止まりませんでした。この暫く無言、無音になって風が流れるだけのシーンは間としてやって欲しかった…。
亜由美の講義で疑問が氷解する
神帝に斬りかかろうとしたたくやは、正体が亜由美だったことを知り、斬れずにそのまま亜由美の部屋に行き、この世界の謎の講義を聞きます。この世界の謎を知るためには、絵理子先生と亜由美の講義は欠かせません。ちなみに、ここでは最初にリフレクターデバイスを返して貰っていました。これでリフレクターデバイスと超念石が揃ったので、アニメでは最大の目的である神奈を救うことが可能になりました。
この亜由美の講義でわかったことは下記のことになります。
- この神帝亜由美は龍造寺に銃を突きつけられた時の世界の亜由美である
- 前の時代に飛ばされていた龍造寺に亜由美は助けられる
- 龍造寺は操作方法が分からなかったグランドマザー(コンピューター)を亜由美に操作させる
- デラ=グラントの人々は長い年月の中でグランドマザーの操作方法を忘れている
- 龍造寺がグランドマザーを乗っ取りデラ=グラントを支配しようとしていることを知った亜由美は龍造寺を幽閉した
- 龍造寺幽閉後神帝を名乗った
- グランドマザーを操作できるので神帝として君臨するのに時間は掛からなかった
- 何千万年か前の地球に地球先住民と呼ばれる高度な文明があった
- 隕石が大量に落ちてくることを予測し地球に住めないことがわかった
- しばらくの間国ごと異次元に避難し、地球の環境が元に戻ったら帰る計画を立てた
- この異世界とは次元浮遊大陸デラ=グラントである
- 計画の実行責任者が女性科学者のグランティア
- 転移直後は過酷な環境の変化に人口が1/10になってしまう
- 過酷な環境に耐えるため生命自体を改良
- 幼年期が短く強い成年期が長い現在の異世界住人が上出上がる
- 生命改良の失敗作がボーダーに捨てられた
- 生命改良の失敗作が生き残ったのがボーダーの怪物の正体
- 改造の結果、超念石が無いと生きられない体になる
- 異世界人のケイティアや神奈には生きるために超念石が必要
- 軌道計算のミスで地球にぶつかる可能性が400年に1度あることが判明
- 有馬広大の400年周期説と一致、正しかった
- 巨大な大陸の制御をできるのはグランティアのみ
- グランティアは死後もマザーに意識を残す
- マザーの意識を投影してシンクロできる媒体が必要でそれが巫女
- マザーの検査プログラムが選び出し身体機能の一部を停止してシンクロしやすくなった女性が巫女
- 衝突は巫女がマザーとシンクロして大陸の軌道をコントロールすれば避けられる可能性がある
- 巫女にマザーの意識を降ろして衝突を回避する処理が400年に1度の儀式として言い伝えられる
- 儀式が成功しても巫女はおそらく消滅する
この辺りは1つ1つ解説していると長くなるので、後日アップする解説・考察記事で書きたいと思います。
いやあ…列挙してて自分でも驚きましたが亜由美の講義でわかること多いですね。確かにこれをアニメでやるのは悩むところだと思います。その結果、アニオリキャラであるAIのアイちゃんを出し、アマンダ達に説明するとの体を取って説明を分割したのだと思います。
しかし、ここで一気に謎が氷解するのはたまりません。ここまで張り巡らされた伏線が思い出され、「あそこのあれはああいうことだったんだ!」とバババッっと連続で襲ってくる感覚。
アマンダ達はあっさり信じましたね。いきなり出てきた人外の何かに突然説明されただけなのに…。レジスタンスとしての活動意義がグラついていた様子です。そんなレジスタンスを近衛兵が取り囲み今回は終了。しかし、こんな重要施設に近衛兵を入れてしまって良いのでしょうか。デラ=グランティアの真実が詰まっていて、情報の取り扱いによっては国が転覆しかねない情報です。
最終回の予想
そろそろ最終回が見えてきたので、最終回の予想をちょっとしたいと思います。
アニメの第一目標は原作と違って神奈を救うことになっています。なので、原作と同じエンディングの流れにはならないでしょう。神奈要素が入ることは間違いありません。原作では神奈は現代編のみで救えたので、ここは大きな改変になると思われます。それでいて原作の大筋を変えずに上手く着地させるにはどうするのか…。
ここから次のオレンジ色のマーカーまでネタバレが含まれます。
さすがに事象の根源へユーノと辿り着くのは原作と同じだと思います。ここを変えたらさすがに良識を疑うレベルなので…。
原作では事象衝突を衝突を避けようとした結果、元いた三角山へ飛ばされて最初のユーノと出会います。ここで一気に事象の根源へ旅立つわけですが、アニメではそうならず、一旦神奈の所へリフレクターデバイスを使って戻り救うのでしょう。そして、その後事象の根源へユーノと飛び立つのでしょう。
神奈を救いたいとは願っていますが、おそらくこでは神奈と別れるのだと思います。さすがに事象の根源へ神奈を連れて行ったり、ここで神奈と一緒に暮らしてエンドはないでしょう。…ないですよね…。
そしてここからたくやとユーノは事象を遡っていき、最終的に事象の根源に辿り着きます。つまり、その遡っている最中、たくやは俯瞰的に並行世界を『見る』のではないでしょうか。亜由美と、澪と、神奈と楽しく暮らしている別の並行世界、ifの様子を俯瞰で見て、あんな世界もあったんだなあ…と。そして原作どおり事象の根源へ。これだと一応物語に収拾は付きます。
まあ、素人予想なので外れても大目に見てください。今後YU-NOを見る楽しみのため、自分のためにメモがわりに残しておき、最後はどうだったのかもう1度見てみるつもりです。
ネタバレはここまでです。
総評
今回は後半の亜由美とAIのアイちゃんの講義でデラ=グランティアの謎が一気に氷解しました。原作でも絵理子先生の講義、亜由美の講義は物語のハイライトで、これまで張り巡らされていた伏線が一気に回収され、パズルのピースがガッチリ填まって気持ちの良かったです。ただ、アニメの場合は前述したように、謎の前倒し、伏線の強調、ゆっくり時間を掛けてネタばらししていくスタイルにより、この辺りの衝撃は原作に比べてだいぶ薄くなってしまいました。
アニメは時間の制約があるので駆け足になるのは理解できるのですが、今回は神帝に斬りかかるたくやと神帝のやりとりや間が表現されていなかったのが残念です。この短い間に、いかに亜由美が苦しんで神帝を名乗っているか、神帝が亜由美だったと知った時の衝撃のシーンがあまり再現できていませんでした。
神帝の正体を視聴者から隠すために仮面を付けたことは分かるのですが、そのためにたくやが斬りかかって神帝の顔を見てすぐに亜由美と気付いて振り上げた剣を止める。その際に流れる無言で無音の風が流れるだけの間。これがなくてドキドキが全くありませんでした。この神帝に斬りかかる時のやりとりや間は、YU-NOでかなり好きなシーンだったので残念です。
原作をやっていない方はわからないと思いますが、原作では本当にこの瞬間まで神帝の正体は隠されていました。プレイヤーに分からないよう、亜由美の話なんて1ミリも出てこず。前回の記事で書いたように、亜由美を意識の外へ完全に追いやることに成功。その状態で神帝が亜由美だとバーンと事実が分かった時の衝撃と言ったらもう…。
もっと言えば、絵理子の正体もそうです。異世界へ行くこともそうです。その瞬間までそんなことになるなんてわからない造りでした。本当にプレイヤーを騙すようにできていて、その瞬間まで絵理子先生が異世界に現れることや、自分が異世界へ行くことも全く分かりませんでした。少なくとも私は予感すらゼロでした。
これをアニメでは全くと言って良いほど表現できていません。物語を噛み砕いて易しくしたいがために、そんな予感を臭わせる情報が出てしまうので、見ていれば誰でもこれら先のことがわかってしまいました。敢えて情報を隠し、良い意味で視聴者を騙す演出は本当に下手と言わざるを得ません。
この衝撃をアニメ初見組に味わって欲しかったのですが、神帝をちょくちょく出すので、完全には分からなくても、もしかしてくらいは思ってしまいますよね。少なくともこの見せ方は現代編の誰かだなくらいには思ってしまいます。でもそれが致命的でした。作者の剣乃ひろゆきさんの狙いでは、本来このシーンまで少しでもそんなことを思っては駄目なんです。
どうして神帝の正体臭わせちゃったかなあ。本当に残念でなりません。神帝の正体が全く分からず、それが亜由美だった時の衝撃をアニメ初見の人にも味わって欲しかったです。
こんな人にお勧め
- タイムトラベル、タイムリープものが好きな人
- 異世界ものが好きな人
- 壮大な話が好きな人
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