ストーリー
「ドラゴン桜」の鬼才が久々に描く、涙と汗の高校野球ドラマ!
埼玉県西部、樫野市にある県立樫野高校では、学校創立100年の記念イヤーに野球部が夏の選手権・決勝戦にコマを進め、まさに甲子園まであと一歩! ナインも生徒も教師もOBも栄冠へ一丸となっていた・・・・!
1千万円で甲子園を買え! 「ドラゴン桜」の作者が描く、完璧に新しい高校野球ストーリー。創立100年目での甲子園初出場を目指し地区大会決勝に挑む、埼玉の名門・県立」樫野高校。3年生の不動のエース・中村に圧し掛かる、とてつもなく大きな重圧。2年生のショート・七嶋は、中村に、かける言葉がない。涙も涸れる甲子園ロードが、今スタートする。
絵柄
女の子の顔のに少し癖がありますが、上手いわけでもないけど下手なわけでもないです。
填まり度
ただの高校野球の話ではなく、一捻りある変わったストーリーなので、先が気になり一気に読んでしまいました。
読みやすさ
試合も日常もテンポ良く進むので、サクサク読み進められました。ただテンポ逆に良すぎるかも。
総評
30年来の県立樫野高校の野球ファンのお爺さんが、新キャプテン七嶋に一千万円を託して甲子園に行ってくれと頼むのが話の大筋です。
高校野球と現金一千万円。全く相容れない二つの要素の漫画と言うことで興味を持ち、なんとなく読んでみたらこれが大当たりでした。
一千万円を使うのか使わないのか。何に使うのか。いくら使うのか。誰かにバレないのか。使い道は正しいのか。使った効果はあるのか。興味が尽きず読むのをやめられませんでした。正に続きが気になる漫画。それも最大級のです。
更に面白くしているのがダメ監督の存在です。たまたま甲子園に出たことがあるだけで地元では名監督と呼ばれ、采配や指導力は皆無(上手く誤魔化す能力には長けていますが)です。ところがそれを見破っているのは主人公でありキャプテンの七嶋とマネージャーのみなんです。しかし監督は監督ですから、誰を使うのか、どういう采配をするのか決めるのも勿論監督です。であれば監督に指導、采配させた(と思わせた)まま、どう監督の意図とは違う采配を七嶋が選手に送るか。または監督の心理を巧みに操り、七嶋がやりたい采配を監督自身で選んだ采配と思わせて采配させるか。最終的には転任の話があるので、なんとかそっちに持って行かせようとしますが、この辺の邪魔な監督との駆け引きが非常に面白いんです。
おそらく高校の野球部キャプテンに一千万円託して、甲子園に行ってくれと言うだけでは、この漫画はここまで面白くならなかったと思います。この無能で邪魔な監督がいるからこそ、この砂の栄冠と言う漫画が最高に面白い漫画になっているのだなと思います。
日常編では一千万円をテーマに。試合編では監督を騙すことをテーマに。このように上手く二部構成の形でメリハリを付け、飽きることなく次の展開まで引っ張るので、次が気になって気になって…。
この作者の前作ドラゴン桜は読んでいませんし、ドラマも見ていません。趣味で楽しむ時間は、できるだけ仕事や勉強のことから離れたいからです。なので、ドラゴン桜の作者と言うことで、この漫画も暫く見送っていたのですが、そんな心配は無用でした。勉強や仕事を思い出させる要素は全くないので、その辺が苦手な方でも安心して読めると思います。
ここまで良いところばかりを書いてきましたが、最後に少し気になる点を。
主人公のキャプテン七嶋がいつのまにかスーパーマンになってしまいました。一千万円を使っちゃえ!と言う黒い誘惑にかられることはありますが、投手としては145km弱のストレートを投げ、一人で連続完投してバシバシ抑え、打者としてはホームランや長打を駆け引きに余裕で勝って楽々打ちます。
最初の話では、三年が抜けて七嶋の代になったら、とても甲子園は目指せないので、OB会も父母会も諦めていると言う話だったのですが、蓋を開けて見れば、夏の甲子園後すぐの秋季大会で県大会準優勝、関東大会出場、全国有数の強豪校と延長十五回まで同点ですからね。うーん…ちょっと出来過ぎかなあ…。読みやすさで逆にテンポが良すぎるかもと書いたのはこの辺です。
ただここまで先が気になる漫画は最近で断トツなので、スポーツ漫画が好きで、野球を知っていて、頭を使った話が好きな人には超お勧めです。
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