目次
掲載情報
掲載雑誌
- ビックコミックスピリッツ 1986年12月8日号
アニメでは
時系列とでき事
- 1986年9月28日 五代裕作、響子さんにキスをされる
- 1986年9月28日 七尾こずえ、銀行の先輩のプロポーズを断れず
- 1986年9月28日 五代裕作、響子さんにビンタをされる
この頃のでき事
- 12月1日 - 三洋電機が東京三洋電機を吸収合併。同時にCI導入。
- 12月9日 - ビートたけしが彼の写真記事をめぐり、弟子(たけし軍団)らを連れて講談社本社のフライデー編集部に乱入、同誌記者らに暴行を加えて逮捕される(フライデー襲撃事件)。
- 12月15日 - ダイハツ工業がスペシャリティー軽自動車「リーザ」を発売。
- 12月19日 - ソ連が反体制物理学者アンドレイ・サハロフ博士夫妻の流刑を解除。
あらすじ
こずえちゃんとキスをしたことを問い詰める響子さん。釈明する五代君を信じない響子さんですが、響子さんがこずえちゃんと同じように、騙し討ちで五代君にキスをしたことで気持ちが楽になります。一方こずえちゃんは、五代君にプロポーズされたと勘違いし、断るはずだった銀行の先輩のプロポーズを断れなかったと、泣いて一刻館を訪れるのですが…。
みどころ
- 五代君と響子さんのキス
- 響子さんのビンタ
はじめに
またしてもめぞん一刻お約束の天国から地獄の話です。前半は五代君がこずえちゃんとのキスの誤解を解き、まさかの響子さん自らのキスで天にも昇るような気持ちだったのですが、後半こずえちゃんが一刻館を訪れ、五代君にプロポーズされたと泣き叫んだことにより、またしても響子さん大激怒。一旦幸せを予感させ、そして同じ話の中で地獄に落とす。めぞん一刻はこのパターン好きですね。たかだか20ページくらいなのに、その落差を無理なく描いています。本来、2話にしてもいい密度の話なのですが、1話にギュッと詰め込むことで、1話を読んだときの満足感が凄いです。それでいて無理の無い展開でテンポ良く進みます。
後半のこのストーリーのギュッと詰まった感は凄く、読んだときの満足感が高いです。この頃は毎話読み終わった後にため息をつき、テンポの良さやストーリーの濃さに感嘆し、次の話が楽しみでたまりませんでした。
作中唯一五代君を真正面から問い詰める
めぞん一刻は五代君と響子さんがお互いに思っていることを言わず、不満があっても指摘せず、問い詰めたいことがあっても勝手に自分の中で処理するだけで、そこから生まれる齟齬が物語を作っているのですが、今回響子さんは作中唯一、「あれはどういうこと?」と真正面から問い詰めていました。いつもこれなら今までの勘違い、すれ違いは起こらなかったんですけどね。2人の性格上仕方がありません。
五代君はこずえちゃんに騙されてキスをされたと本当のことを言うのですが、当然そんな言い訳じみたことは響子さんも信じてくれません。そこで五代君はこずえちゃんに騙されたやり方そのままを響子さんに対してしようとするのですが敢えなく失敗。ここで五代君は自分が馬鹿なんじゃ無いだろうかと気付きます。正確には馬鹿なのでは無く、人を信じすぎるんでしょうね。この五代君の素の態度に、本当に騙されたのだと察した響子さんは、逆に五代君にキスの騙し討ちを仕掛けるように見せて…しません…と思いきやしました。この流れも可笑しいです。
こずえちゃんとのキスを目撃されたのは、2人にとって大ピンチだったのですが、結果的にはこのこずえちゃんのキスを目撃したからこそ、2人もキスができたんですよね。なにがどう繋がるかわかりませんねえ。
こずえちゃんの誤解は解けていないまま
響子さんにキスをされて有頂天の五代君ですが、こずえちゃんの誤解は解けていないまま。響子さんとキスしたから全ての問題解決とはいかず、こずえちゃんとの問題は何も解決していないません。
そんなこずえちゃんはその日のうちに早速襲来。五代君にプロポーズされたと思い込んでいるこずえちゃんは、折角五代君がプロポーズをしてくれたのに、銀行の先輩のプロポーズを断れなかったと泣きつきます。それを見た響子さんは当然激怒してビンタ。しかしこずえちゃんの思考回路はどうなってるんだと…。喫茶店での言葉はどう良く解釈してもプロポーズでは無いのですが、あれがこずえちゃんにとってはプロポーズと受け取ったようで…。
ここは少し捻くれた考え方をしてみると、こずえちゃんの策略なのかなと思ったりもします。五代君への騙し討ちのキスから始まり、それをキスしてもらったと解釈した振りをし、プロポーズしたい人がいるとの言葉を自分だと思った振り、そして曖昧な言葉をプロポーズとわざと曲解し、響子さんがいる前でのプロポーズされました宣言。もしこれを全て計算でやっていたとしたら…恐ろしい女です。…まあ本当に天然でしょうけどね。
そして響子さんが五代君をビンタするシーンも面白くて、五代君の胸に顔を埋めて泣いているこずえちゃんだけが、五代君が響子さんにビンタされたことを知らないんです。その他の一刻館住人は全てを見ているのにです。もしこずえちゃんがこのシーンを見てしまうと、五代君が好きな人は響子さんで、響子さんも五代君を好きだと、いくら天然のこずえちゃんとは言えわかってしまいますからね。ここはこずえちゃん見ては駄目なんです。こずえちゃんだけがこのシーンを見ない体勢、構図は上手いです。これしかありませんでした。
総評
しかしこの辺りは天国から地獄に突き落とす話がうまいですね。前半天国で「やった~」、後半「え~そんな~」。読んでいて高橋留美子さんの思惑通り感情が揺さぶられます。高橋留美子さんの手の平で弄ばれているこの感じ。
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