漫画全話レビュー「めぞん一刻 第102話「「犬が好き」PartⅠ」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1985年5月15日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事

 

 

この頃の出来事
  • 5月1日 – コーセーが「雪肌精」を発売。30年以上続くロングセラー商品となった。
  • 5月2日 – 第11回サミット開催。
  • 5月7日 – 両国新国技館において第44代横綱・栃錦(春日野親方、当時日本相撲協会理事長)の還暦土俵入りが行われる。太刀持ちに第45代横綱・初代若乃花(親方・二子山)、露払いに第50代横綱・佐田の山(親方・出羽海)。
  • 5月11日 – ブラッドフォード・サッカー場火災。イギリス・ブラッドフォードのサッカー場で試合中に火災が発生し、56人が死亡。
  • 5月17日 – 男女雇用機会均等法が成立。
  • 5月17日 – 三菱南大夕張炭鉱でガス爆発事故、62人が死亡。
  • 5月25日 – バングラデシュでサイクロン被害、約1万人が死亡。
  • 5月25日 – 日本国の国籍法改正。国際結婚の際に夫婦同姓・夫婦別姓のいずれも選択可能になる。
  • 5月26日 – 横浜市南区で、介抱ドロを取り押さえた大学生コンビが、連行先の交番が留守だったために犯人の返り討ちに遭い、1人が刺されて死亡(勇気ある大学生殺傷事件)。「空き交番」が問題になる。
  • 5月29日 – ヘイゼルの悲劇。UEFAチャンピオンズカップ決勝会場のヘイゼル・スタジアム(ベルギー・ブリュッセル)で暴動発生、観客39人が死亡。この結果、サッカーの母国イングランドが国際舞台から姿を消す。
  • 5月29日 – アメリカ・オハイオ州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州と、カナダ・オンタリオ州を計41の竜巻が襲撃、76人死亡。
  • 日付不詳 – モスクワ科学アカデミーのアレクセイ・パジトノフがテトリスを開発。

 

あらすじ

明日菜さんとお見合いをした三鷹さん。犬が大好きすぎる明日菜さんとのお付き合いは無理と破談にしたはずなのですが、明日菜さんが三鷹さんのことを気に入り、まだ縁談は続いていしまいます。そんな三鷹さんは響子さんに回答期限を設けてプロポーズをするのですが…。

 

 

みどころ

 

はじめに

今回は三鷹さんが響子さんにプロポーズをし、そして忙しくなった五代君とすれ違いの日々を送る話です。三鷹さんのプロポーズはこれまでもあることはあったのですが、期限を決めてそれまでに決めて下さいと迫ったのは初めてで、それまでの三鷹さんとは違っていました。思えば、この頃から三鷹さんはどんどん自分の意思とは関係なく追い詰められていったんですよね…。

 

多忙な五代君

五代君は大学を卒業し、昼間はしいの実保育園でアルバイト、夜は保母試験のための夜学に通い始め、大学時代よりも忙しくなり、響子さんと挨拶くらいしか出来なくなっていました。

 

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もう五代君は親や社会に保護して貰える大学生ではないですからね。自分でしっかり進路を決めて就職しなければならず、大学時代より忙しくなっていました。五代君が浪人のとき、実家からお婆ちゃんが来ていましたが、「二浪させる余裕はうちにはない」と言っていたので、実家からの仕送りもこの時点で無くなったのでしょう。いくら一刻館の家賃が安いとは言え、昼間に目一杯バイトしないと苦しいはず。今で言うフリーターですね。当時はフリーターとの言葉はなく、就職浪人だとか無職と言っていました。ちなみにフリーターとは、1991年に厚生労働省が定義を儲けたそうです。

 

当初、この言葉には明確な定義は存在せず、雇用形態がアルバイトであることや、若者であることなどが、大まかなイメージとしてあるにすぎないものであった。その後、1991年(平成3年)厚生労働省が実態調査のために以下のような定義を設けた。しかし、各所で使用される「フリーター」という言葉は、依然として曖昧なままである。

 

 

ただでさえ忙しくなった五代君ですが、響子さんが三鷹さんのプロポーズで悩んでいるとき、夜学の友達の家に泊まっていました。作中出てくる五代君の友人は坂本と小林くらいで、小林もほとんど出てこないレアキャラなので、実質五代君の友人は坂本のみと言ってもいいのですが、きちんとと描かれていないところで友人関係はあったみたいです。

 

お見合いの行方

三鷹さんは、多数の犬を飼っている犬娘の明日菜さんとの縁談は無理だと思い、勝手に破談になったと思っていたのですが、先方の明日菜さんは三鷹さんのことをたいそう気に入り、縁談は進行していました。この時点できちんと断っていればね…。三鷹さんは明日菜さんとの縁談で基本的に人任せにしてしまい、それが後々追い詰められる要因にもなってきます。

 

九条家は三鷹さんの身上調査をし、の生活や女性関係を調べたのですが、そこでやたらと詳しい情報が入手出来たと思ったら、やはりそれは一の瀬さん情報でした。興信所の人にペラペラ聞かれてもないことを喋る一の瀬さんの姿が容易に想像出来ます。作中描かれていない、言葉だけの説明で読者がその絵を容易に想像出来てしまうのは、それだけめぞん一刻の世界観が確立していてキャラが立っているってことでしょうね。

 

しかし明日菜さんは変わっていて、好きな男性が今他の女性と付き合っていても気にしないようで、話して別れてくれればそれでいいと…。今付き合っている女性に話し合いで別れて貰おうとの考え方も凄いのですが、それで全く気にしないのも凄いです。百歩譲ってこれが恋愛百戦錬磨の女性ならともかく、ずっと女子校で男性に全く免疫が無く、付き合ったことも無い女性の思考回路ですからね。逆に男性や恋愛について疎いからこそ想像力が働かず、他の女性と付き合っていることに嫉妬を抱かなかった要因かも?

 

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響子さんv明日菜さん

今回は初めて響子さんと明日菜さんが出会っていましたが、このシーンもニヤッとする面白さがありました。めぞん一刻は爆笑したり声を出す面白さではないのですが、ニヤッとしたりクスッとした面白さが至る所に散りばめられていています。

 

明日菜さんは犬の散歩中、偶然響子さんと出会い、そしてそこで三鷹さんと別れて貰うように話すつもりだったのですが、気難しい犬のサラダちゃんが初対面の響子さんに懐いたことで、この人は良い人と確信し、そんな人に三鷹さんと別れてくれなんて言えないと立ち去ってしまいます。明日菜さんの中では犬の散歩中の設定なのですが、明日菜さんが立ち去るときにはハイヤーに乗って立ち去るという矛盾が…。何かを言いたげな明日菜さん、そして散歩中のはずなのにハイヤーで立ち去る明日菜さんを響子さんは訝しげに見送っていました。

 

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散歩中のはずなのにハイヤーに乗って帰る明日菜さんなんて実にめぞん一刻らしくて、言葉でハッキリ面白さを説明したり描写するわけではなく、その状況と絵だけで面白くするのは、自然に滑稽さが出るので好きです。

 

三鷹さんプロポーズ

三鷹さんは5年前、響子さんと出会ってすぐにプロポーズをし、それからも何回かプロポーズをしているのですが、今回は今までと違い期限を設け、そしてそれまでに回答してくれと迫っていました。この辺りからも三鷹さんが今までと少し違うこと、そしてめぞん一刻の物語としてもこれまでと違うことがわかります。もう冗談でチャンチャンと落ちて終わりとはならないのです。桜迷路を境に作風が変わると以前書いたのはこの辺りからもわかると思います。

 

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結婚しちゃおうかな

三鷹さんにこれまでとは違い、逃げ道がないプロポーズをされ、それを五代君に相談したい響子さんですが、五代君が忙しくすれ違いが続き中々相談出来ません。更に夜学で一緒に学ぶ女性を一刻館に連れてきたのを目撃した響子さんは、「結婚しちゃおうかな…」と呟いていました。

 

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こういったすれ違いは今までもあったのですが、やはり桜迷路後は物語の結末に直結するようなシリアスなすれ違いになっていきます。これまでは結末に繋がるようなすれ違いではないことが予めわかっていたので気楽に読めたのですが、ここからは結末に直結しそうなすれ違いや勘違いが多く、読んでいてハラハラします。

 

おわりに

今回、遂に三鷹さんが正式にプロポーズをし、期限設定までして回答を迫っていました。つい最近久々に三鷹さんが登場したと思ったら、突然物語の中心になりましたね。ただ、三鷹さんが不憫なのは、描かれ方としてはあくまで五代君と響子さんの仲を引っ掻き回す三鷹さんであり、響子さんは三鷹さんと2人のことを考えてはいないとのことです。三鷹さんがなにをしても五代君に相談しなきゃ、五代君への当てつけで、五代君さえしっかりしてくれれば…。響子さんの心中はずっとこれなんですよね。

 

これが三鷹さんはピエロとファンの間で言われる所以です。三鷹さんが響子さんにプロポーズ→五代さんに相談しなきゃ。三鷹さんが響子さんをホテルに連れ込む→五代さん助けて。三鷹さんが響子さんに何かをすると、それは全て五代君SOSになってしまいます。三鷹さんピエロなんですよね…。

 

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