漫画全話レビュー「めぞん一刻 第023話「帰らざる彼」」 5/5 (1)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1982年1月30日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1982年1月3~13日 五代裕作、帰郷し中々帰って来ず

 

この頃のでき事
  • 1月15日 - 広島市の電話市外局番が3桁化され「082」となる。
  • 1月24日 - 第1回大阪国際女子マラソン(当初は大阪女子マラソン)が開催。関西テレビによる全国ネットの中継もこの時開始。
  • 1月25日 - 日産自動車が「ローレルスピリット」を発売(「1981年にFF化された「サニー」の姉妹車)。

 

あらすじ

年が明けてから帰郷した五代君。何故か一刻館へ帰る予定が次から次へと伸び、響子さんもイライラを隠せません。やっとの事で帰ってきた五代君ですが、今まで帰郷できなかった理由は実にくだらないものでした。

 

みどころ

  • 五代君の実家
  • 白昼夢全開
  • 響子さん謎のイライラ

 

はじめに

今回は五代君が実家に帰ったことにより、初めて五代君の実家がどういうところなのかが明らかになりました。また、高校の時はラグビー部であることも判明。五代君はスポーツマンだったのです。

 

響子さんイライラ

響子さんは五代君や三鷹さんの言動にイライラすることが良くあるのですが、この原因やイライラの仕方、イライラしていく段階が面白いんです。

 

今回の例で言うと、まずイライラの原因ですが、別に店子の1人がいつ田舎から帰ってこようが管理人にはどうでも良いはずなんです。それなのに響子さんはイライラしてしまいます。これは最後まで一刻館の住人達に突っ込まれます。そして響子さんがイライラしていく「段階」がまた面白いんです。

 

音無響子「これも親孝行ですよ。五代さん、夏休みも帰らなかったんですから。」

 

最初はこのように余裕の発言。ところが帰りが2度3度伸びたらどうなるのかと言えば…。

 

音無響子「どーのこーの言ったって、まだ子どもですもの。困るわ本当に。お家賃だって納めてもらわなくちゃいけないし……」

 

この変わりようですよ…。

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響子さんは最初は余裕だったのに、こうやって次第に怒っていくパターンが少なくありません。

 

響子さんは基本的に五代君のことも三鷹さんのことも、自分から好きというアピールは一切しません。そうすることで余裕の自分を演じているのか、はたまたこれが惣一郎さんに操を立てている体を守っているのか、あくまで終始待ち体勢です。だからこそ、五代君や三鷹さんに嫉妬したり怒ったりして、自分からその存在を求めることはしません。嫉妬や怒りを表に出してしまうと、この自分のスタンスと違うので、あくまで余裕のふりをするのです…最初は…。

 

 

ところが堪えきれず、徐々に嫉妬や怒りの感情が出てくる。これが響子さんなんです。だからこそ響子さんは愛を込めて、ファンからも作者自身からも「面倒くさい女」と言われているんです。

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響子さんは操りやすい

響子さんの性格や、一刻館住人がいかに響子さんを玩具にしているかが、わかりやすいシーンがあったので紹介しておきます。

 

一の瀬さんが「(五代君が帰ってこなくて寂しいのなら)三鷹さんになぐさめてもらえば?」と言うのですが、当然響子さんは自分の意思ではないので拒否。ところが一の瀬さんが言うたった一言でころっと意見が変わり、一の瀬さんの言うとおり、三鷹さんとお茶に行くことになります。

 

一の瀬さん「五代君が帰ってこないから、さびしいんだってさ。」

 

このたった一言で響子さんは、「そんなことないです!」と反発し、その証明として三鷹さんとお茶に行くのですが、その時の一の瀬さんの笑顔が「してやったり」と言う表情。こうやって響子さんをちょっとからかうと、すぐに「あなたの言っていることが違うことを証明するために○○します」となるんです。本当に響子さんは扱いやすいです。

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ただこれは、あくまで響子さんを玩具として遊ぶ場合にだけ適用されるお「面白さ」であって、本気で響子さんを好きな人の場合、この響子さん意地の張り方は面倒以外の何者でもありません。

 

五代君の見栄

五代君はのちに就職浪人をしたり、人生が行き詰まったときに、響子さんに本当のことが言えなかったり、逃げてしまいます。これは大学受験で合格発表が中々なかったとき(第006話「サクラサクカ!?」)もそうで、基本的に「情けない自分を好きな人に見られなくない」との感情だと思うのですが、今回もその五代君の性格が良く表れている話でした。

 

顔のアザなんてなんでもないんですけどね。どうせいずれ消える物ですし、逆にこのでき事を話のネタにだってできるのですが、そんなことより五代君は情けない自分、格好悪い自分を見せたくないとの、響子さんに対してのみ発揮される見栄だったみたいです。

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また、お母さんがついでに成人式に出ればと勧めるのですが、五代君は悩むことなく却下。成人式は結構重要なイベントだと思うのですが、そんなことよりも響子さんに会いたいんだそうです。そしてそれを一瞬で見透かしたのがお婆ちゃんでした。

 

総評

今回は響子さんの理不尽なイライラと、五代君の見栄を張る性格が両方出て、面倒くさい話になり掛けました。今回は理由が理由なだけに、物語後半のような拗れた話にはなりませんでしたが、この2人の性格が同時に出てしまうと、後半はとんでもない行き違いを生んでしまうんです。

 

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