今回レビューするのは、めぞん一刻の第20話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
新潟の実家に帰省した五代君。もう帰るもう帰ると言いながら、なぜかなかなか一刻館に帰ってきません。実は目に青たんを作って恥ずかしくて帰れないだけなのですが、それを知らない響子さんは、なかなか帰らない五代君にイライラしてしまいます。
みどころ
- 五代君が帰らずイライラする響子さん
- イライラする響子さんをからかう一刻館の住人
初登場人物
- 五代君の母
- 五代君の父
感想
五代君は高校時代ラグビー部だった
今回は五代君が新潟の実家に帰るものの、なかなか一刻館に帰ってこなくて響子さんがイライラする回です。四谷さんはアニオリですが五代君が帰る予定の前日にどこかから帰ってきていました。実は漫画だと四谷さんの出番は一切ありませんでした。
五代君は高校時代ラグビー部だったことが今回で判明。スポーツマンだったようです。しかし、ラグビーの描写はおかしいです。全員同じユニフォームで全員同じ方向(ゴール)に走り、さっきまでパスを回していた人たちがボールを持っている五代君にタックル。アニメでも漫画でも同じ描写でしたが一体なにをやっているのか…。
漫画だとこの練習(?)前に後輩に発破を掛けるシーンがあり、ラグビー部OB感がありましたがアニメではなし。今年も花園に行けなかったと笑いながら後輩が言っているのを見て、五代君のいたラグビー部は弱小だったのだなとわかりました。高校時代ラグビー部のスポーツマンではありましたが、強豪でバリバリやっていたわけでもないので、趣味の延長みたいな感じだったのかなと。
漫画だとタックルをされた五代君が、仲間の膝に顔面をぶつけて目に青たんができるのですが、アニメでは前を良く見ずにゴールポストに突っ込んで青たんができました。
高橋留美子さんはラグビーが好きなのでしょうか。それとも多少造詣があるので描いただけか…。うる星やつらで小さい宇宙人が出てきたときもあたるたちがラグビーをやっていました。
五代君の実家などが判明する回
先ほどのシーンで五代君が高校時代にラグビー部だったことが分かりましたが、今回は帰省した話なので実家も出てきます。賢太郎と話しているときに子供の頃の回想で出てきましたが、五代君の実家は食堂です。お洒落な食堂でも喫茶店でもなく、本当にザ・食堂といった感じです。
このときはまだ新潟との地名は出てきませんでした。以前の放送で五代君の小学校時代の回想で、アニオリですが車のナンバーが新潟だったことはありました。
五代君帰宅せず
五代君は左目に青たんができてしまったので、響子さんにみっともない姿は見せられないと、本来帰宅する予定だった1月6日を取りやめ、2,3日実家にいることを響子さんに伝えます。
このとき響子さんは、せっかくの機会なんだから親孝行ですよと、一の瀬さんと朱美さんにからかわれても余裕の様子。このときは管理人室で響子さん、一の瀬さん、朱美さんの3人。当時そんな言葉はありませんでしたが今で言うと女子会です。この3人だと恋の話をストレートにします。五代君は響子さんを好きとか、三鷹さんはどうだとか。四谷さんが入るとキャラ的にもこのような話はできません。
前回の年末2人きりの話も回収しており、なにもなかったとの響子さんを問い詰めていました。この頃は一応1話完結のコメディなのですが、このように縦軸でも一応緩やかなストーリーの繋がりがあるのは良いですね。これも時間が現実と同じように進んでいるからでしょうか。
きちんと時間の流れがあるので、『この間さあ…』や、『去年の今頃は…』などの思い出話が作中でできます。なおかつその思い出話のシーンはきちんと過去に放送しているので、読者や視聴者も体験していますし、なんなら観返せます。この辺りがめぞん一刻の世界が本当にどこかにあるような錯覚を生む1つの要因だと思います。キャラクターの体験は視聴者も同じようにしています。
延々ループのサザエさん時空だったり、名探偵コナンのように季節は巡るものの実際は半年しかたっていません…などだと、このような作中での時間経過を懐かしむことがほぼできません。
五代君の母親と父親初登場
今回は五代君の母親と父親が初登場。今見ると五代君の母親は美人です。中学生当時に読んでいたときは、女性として見ることは一切なく、単なるモブのおばちゃんとしか認識していなかったのに…。
アニオリでお婆ちゃんに響子さんとのことをからかわれていましたが、五代家で響子さんと直接会っているのは、最後の最後までお婆ちゃんだけです。母親も父親も姉も響子さんとは作中で五代君が紹介しに帰省するときまで会っていません。お婆ちゃんは響子さんの存在を家族に話しているのかもしれませんが、親から響子さんの話が出ることもなし。
五代君は実家が定食屋で忙しく、子供の頃はお婆ちゃんに育てられていました。そのお婆ちゃんだけが、一刻館に響子さんという美人管理人がいて、五代君が恋心を持っていて、優柔不断な五代君はいつまでたっても距離を縮められないことを知っています。
五代君の現状を知っているのが、親ではなくお婆ちゃんだけとのシチュエーションも面白いです。五代君はお婆ちゃんとの繋がりが強いんだなとわかります。
三鷹さんにはチャンス
三鷹さんは響子さんが捻挫した第16話以来の登場。五代君がいないのでチャンスですが、いかんせん一刻館にいないので、五代君が帰宅していないと聞いたのは1月8日になってからでした。
週に何回あるのかわかりませんが、響子さんに会う機会も一刻館の情報が分かるのもこのテニススクールのみで、週に1,2回しかありません。年が明けてからもっと前にテニススクールがあったらこのことは聞いていたはずなので、今年初めてのテニススクールでしょうか。
響子さんは五代君が今日帰ってくるかもしれないと思いつつ、三鷹さんの誘いを受けて喫茶店でお喋り。三鷹さんは東京生まれなので田舎がなく、響子さんも父の仕事の関係で転校が多くて田舎がないとか。
三鷹さんは「五代君が帰ってこなくて寂しいんですか?」などまた恋の駆け引きをしていましたが…。響子さんは引いていました。響子さんは朴訥な惣一郎さんを好きになる人ですから、このようなスマートな恋の駆け引きは多分苦手なはず。友達にはなれるのでしょうが、根本的に恋愛の相手としては水と油くらい相性悪いですよね…。
二回目の青たん
左目の青たんが治りかけた1月8日。明日帰ると響子さんに電話を掛けようとしたところ、父親にゴロゴロしてるなら家を手伝えと出前に狩り出されます。その出前の最中、明日帰って響子さんに会えるんだと思うと嬉しくて白昼夢が発動。
自転車での白昼夢…。危険すぎます。案の定、これまでの白昼夢から壁や電柱にゴチン…で痛かったな…との軽いものではなく、今度は左右両方の目に青たんができてしまいました。
こうなるとまた帰宅は延期です。響子さんにまた3,4日帰れない旨の電話を掛けます。漫画では響子さんが1人で電話を受けたのですが、アニメでは管理人室に一の瀬さん、四谷さん、朱美さんが集合していました。
こずえちゃんにも連絡を取っていた
翌日、時計坂商店街で買い物をする響子さん。偶然こずえちゃんと会うのですが、五代君はどうなっているのか聞かれます。響子さんに電話したように、こずえちゃんにも連絡をしていたようです。何故かと言うと、10日に映画を観に行く約束をしていたので、そのキャンセルのためだったようです。
作中ではハッキリ描写されていないのですが、このようにこずえちゃんと連絡している様子は見て取れます。めぞん一刻は基本的に五代君と響子さんの物語なので、こずえちゃんサイドのことは少しはしょっているようです。
作中全くこずえちゃんが出てこなくても、実は描かれていないところで連絡を取ったり会ったりしていることが仄めかされます。そうじゃないと『散々放置されているのに付き合ってると勘違いしている子』になってしまいます。
ここでは響子さんとこずえちゃんの対比が面白いです。五代君が帰ってこなくて寂しいなあと素直に言葉にするこずえちゃんなのですが、響子さんはそれに対して無反応、無言でした。漫画だと響子さんとしては意地なのか、まだ惣一郎さんが心の中にいるからなのか、五代君が帰ってこなくて寂しいなんて口が裂けても言わないぞという感じがします。
待ち焦がれてるよね…
真冬の1月10日。寒いのに玄関前を掃除する響子さん。いわゆる門番(五代君待ち or 八神待ち)です。はんてんを着込んで寒そうにしながら玄関を掃除。ただ掃除しいてますは無理があります。明らかに五代君を待っています。
アニオリですが、五代君の両親はさっさと帰れと一見厳しい言葉を息子に掛けるのですが、今見るとこれも優しさだよなと感じます。親は基本的に先に死にますからね。それまでにきちんと自立させないといけないわけで…。
一方、響子さんは13日までに帰ってこない五代君に遂にイライラが爆発。最初は親孝行のために良いことだと言っていたのですが、この頃には真逆の意見になり、「どーのこーの言ってもまだ子供」だと言う始末。挙げ句の果てには、まだ10日ほど先で良い家賃も払ってもらわなきゃ困るのにとプンプンしていました。一刻館の家賃払い込みは月末の25日前後のようです。
イライラする響子さんに、一の瀬さん、四谷さん、朱美さんは目の前で密談をするのですが、当然目の前なので全部丸聞こえです。密談の体をして響子さんをからかっているのが笑えます。この3人は人をからかうときは息がぴったりです。ちなみに、漫画ではここに四谷さんはいませんでした。女性の部屋だからか、漫画では管理人室に頻繁に入るのは一の瀬さんと朱美さんばかりで、四谷さんはほとんど入って来ません。
遂に五代君が帰ってくる
1月1日に帰省してから12日後の1月13日になって、ようやく五代君が帰ってくるのですが、扉が開く音を聞いた響子さんは、風の音だと思って動かず。その場にいた一の瀬さん、四谷さん、朱美さんは玄関を確認しに行きます。ここで3人が五代君が帰ってきたと思って嬉しそうに確認しに行くところは好きです。一刻館のオモチャ扱いとは言え、やはり五代君は好かれているんだなと感じられます。
響子さんも五代君が帰ってきたことが分かり、出迎えに行こうとするのですが、青たんを見られたくない五代君はわざわざ呼ばなくて良いと…。その声を聞いてしまった響子さんは意地になって動きません。住人に無理矢理連れてこられた五代君の顔にできた青たんを見て、響子さんにやっと笑顔が戻りました。
住人も響子さんも五代君の青たんを見て、なぜなかなか帰ってこなかったのかを一瞬で理解して大爆笑。イライラしたり気分が沈んでいた響子さんが笑顔になっただけではなく、静かだった一刻館が嘘のように明るくなりました。五代君は一刻館に最も必要な人なのかもしれません。
五代君の好きな人には格好悪いところを見せられない気持ちはわかるのですが、実際はこのような間抜けな話もネタになって盛り上がるんですよね。
アニメのめぞん一刻作中の時間は1986年で確定
漫画の時系列は下記になります。漫画の時点では連載時期と同じで1982年が作中の舞台です。
- 1982年1月01日-(金曜日)五代君新潟の実家に帰省
- 1982年1月03日-(日曜日)高校のラグビー部訪問の際に練習で目に青たんができる
- 1982年1月06日-(水曜日)五代君から一刻館に帰る日が遅れると電話があり、響子さん「これも親孝行ですよ」
- 1982年1月08日?(金曜日)五代君出前中に電柱にぶつかって再度目に青たんができて、帰るのが遅れることを響子さんとこずえちゃんに電話する、響子さん「どーのこーの言ってもまだ子供ですもの」
- 1986年1月09日?(土曜日)響子さんとこずえちゃんが時計坂商店街で偶然会う
- 1982年1月10日-(日曜日)こずえちゃんと映画の予定だったが9日の電話でキャンセル
- 1982年1月13日-(水曜日)五代君帰宅
※?は漫画の描写からの予想
アニメだと響子さんが五代君の帰宅日に丸を付けていたカレンダーを見ると、6日が月曜日になっているので1986年に変わっているようです。まあ、だからなんだって話ですが…。ア二メでは作中の時間は1986年です。
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- 1986年1月01日-(水曜日)五代君新潟の実家に帰省
- 1986年1月03日-(金曜日)高校のラグビー部訪問の際に練習で目に青たんができる
- 1986年1月05日-(日曜日)四谷さん帰宅(アニオリ)
- 1986年1月06日-(月曜日)五代君から一刻館に帰る日が遅れると電話があり、響子さん「これも親孝行ですよ」
- 1986年1月08日?(水曜日)三鷹さんとお茶、五代君出前中に電柱にぶつかって再度目に青たんができて、帰るのが遅れることを響子さんとこずえちゃんに電話する、響子さん「どーのこーの言ってもまだ子供ですもの」
- 1986年1月09日?(木曜日)響子さんとこずえちゃんが時計坂商店街で偶然会う
- 1986年1月10日-(金曜日)こずえちゃんと映画の予定だったが9日の電話でキャンセル
- 1986年1月13日-(月曜日)五代君帰宅
※?はアニメの描写からの推測
響子さん笑顔になる
漫画だと五代君悪いと思い、必死で笑うのを我慢するのですがそれでも抑えきれず…。五代君はしょんぼりとの構図。
一方、アニメだと五代君に「お帰りなさい」と言い、、五代君が「ただいま」と返し、響子さんも五代君も我慢しきれずに2人で笑って終了でした。アニメの終わり方もほのぼのしていて良いです。
原作漫画では
総評
今回は五代君が一刻館になかなか帰ってこない話でしたが、一方で五代君が一刻館にいないとどうなるのかも少し分かりました。
一刻館のオモチャと言われる五代君ですが、五代君がいないだけで笑いが少なくなります。また、あれだけ宴会が好きな一の瀬さん、四谷さん、朱美さんですら、五代君がいないと宴会のモチベーションが上がらない様子。響子さんがいなくても一刻館の話は作れそうですが、五代君がいないと一刻館の話は成り立ちそうにありません。
響子さんは五代君が帰ってくる日にカレンダーに丸を付けたり、端から見るとどう考えても五代君のことが気になっています。危なっかしいから放っておけないお姉さん的立場だとしても、随分五代君のことを気に掛けている様子が分かります。
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