今回レビューするのは、めぞん一刻の第21話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
酔った勢いで坂本の飼い猫を1週間預かることになった五代君。他の住人に隠れて預かることになるのですが、その猫の名前は響子。猫を呼ぶときに響子さんと同じ名前を連呼するため、だんだんと住人や響子さんに怪しまれ…。
みどころ
- 響子と呼び捨てにする五代君
- 五代君に呼び捨てにされたと思って怒る響子さん
初登場人物
- なし
感想
坂本旅行のため猫を預かる
原作の漫画では帰郷すると言っていた坂本ですが、アニメではなぜか伊豆の方へ旅行へ行くことになっていました。作中の時間だと1月中旬を過ぎているので、この中途半端な時期に帰京はおかしいと思っての修正でしょうか。
アニメや漫画の背景でお店などが描写される場合、メニューと値段が描かれることがよくあります。このようなところから当時の状況が垣間見えて面白いです。めぞん一刻のアニメは1986年放送開始だったので、当時はこの値段が一般的だったようです。
五代君は坂本のおごりだと言われ酒を勧められ、案の定記憶がなくなることに…。翌日、坂本の部屋で目が覚めた五代君は、昨日の酒の席で猫を預かることを了承したと坂本に言われます。
五代君は『猫ってなんだ?(なんの話だ?)』と聞くのですが、坂本は五代君の意図をわかってふざけ、猫という動物そのものについて説明を始めます。そして、五代君は『そういうことじゃなくて』との突っ込み。このパターンもめぞん一刻は多いです。
五代「猫?なんだそれは?」
坂本「猫知らんのか?小さな声でニャーと鳴く…」
五代「誰もそんなこと聞いとらん、俺がいつ猫を預かると約束した」
今回は坂本がこのパターンで会話の面白さを表現していましたが、四谷さんや朱美さんが五代君をからかうときによく使われます。
「○○とはなんだ?(どういうlことだ?)」
「(○○そのものの)説明」
「そういうことじゃなくて!」
なぜ五代君が猫を預かることを了承したかというと、猫の名前が響子だからでした。これには五代君もすぐに納得。とは言え、この時点でもそれはやっぱり無理と断ることもできたはずなのですが、結局預かってしまうところが五代君の優しさなのか響子さんに弱いところなのか。
猫の名前は響子
なぜ猫の名前が響子なのか。それは坂本が響子さんのファンだからだそうです。これはアニオリで、原作の漫画だと芸能人『真野響子』さんのファンだからと言っていました。アニメでは色々制約があるので実名を出せなかったのだと思います。また、アニメの訪英日は連載から5年後のことなので、連載当時は旬だった女優も、アニメ放映時には少し人気に陰りが…なんてこともあったのかもしれません。
五代君はアパートで猫なんて飼えないぞと言っていたので、一刻館はペット禁止のようです。響子さんはあんな堂々と惣一郎さんを飼っているのに…。また、坂本の家もアパートのようですが、猫の登場シーンなどを見ると、外に出ている猫が帰ってきた様子でした。坂本のアパートはペットOKだったのか、それともNGだけど基本外に出ているからとのことで隠れて飼っているのか…。
坂本の生態は謎
以前の記事でも書きましたが、坂本の生態は結構謎です。アニメでは漫画よりもずっと登場回数が多く、彼女が途切れる様子がないのでさらに謎です。
今回も坂本は漫画と違い、帰京ではなく伊豆へ旅行と言っていたことから、さらに財力や彼女の有無に謎が…。アパート暮らしで五代君と一緒にバイトに明け暮れることも多いのですが、五代君よりよほど良いアパートに住んでいますし、家具も結構お洒落。アニオリですが今回もおそらく彼女と旅行です。
隠れて猫を預かる
坂本から預かった猫を一刻館に連れて帰る五代君。紙袋に入れてまず第一関門の門番こと響子さんを突破。この門番の響子さんは本当に掃除が目的だったのか、朝帰りの五代君を待っていたのか…。後者だと思います。
五代君を見付けた響子さんは、朝帰りをするなら連絡くらいくださいと開口一番怒っていました。五代君を待ってこれを言いたかったのでしょう。しかし、一応下宿ではないアパートなのに、帰れないときは連絡必須だったり、共同玄関の鍵締めがあるので実質門限があったり、いくらこの当時とは言え、実際には物凄く生活に不便そうです。だからこそ、このようなスタイルのアパートは廃れていったのでしょう。
この猫の響子には厄介な癖があります。『響子』と呼ばないと反応しません。一刻館は壁が薄く、音も簡単に漏れてしまうため、五代君が猫の響子を呼ぶ度に、管理人の響子さんが『なんですか?』と五代君の部屋に来る状況になってしまいます。
バレそうになるたびに苦しい言い訳をする五代君。いまいち納得できないものの、渋々納得して引き下がる響子さん。しかし、いくらなんでも猫を叱るために大声を出したとは言え、玄関で掃除する響子さんにまで聞こえる遮音性のなさ。
四谷さんと朱美さんにバレる
結局、五代君が秘密で猫を預かっていることは同じ階に住み、なにかとずけずけ五代君の部屋に入ってくる四谷さんと朱美さんには速攻バレてしまいます。面白いのは今回、1階の一の瀬さんと響子さんにはバレていないことです。大抵、このように五代君が秘密を持ったり、響子さんにバレて欲しくない情報は、一の瀬さん、四谷さん、朱美さんにバレます。そしてこの3人が、『響子さんにバラして欲しくなければ飯や酒をくれ、奢れ』。このパターンが多いです。
今回は1階と2階で猫のことを知っている組と知らない組が別れました。一の瀬さんはが知らないので、五代君の不審な行動の本当のところを知りません。そして、断片的な情報で勝手に想像し、良かれと思って響子さんに伝えて誤解や怒りが増幅する原因になりました。
以前にも書きましたが、四谷さんと朱美さんは意図して嘘情報を流すことが多いです。一方、一の瀬さんは勝手に想像して良かれと思い嘘情報を流すことが多いです。
今回の代償
猫の響子を秘密にした結果なにが起こったか。下記の通りになります。
- 【四谷さん】秘密にしてもらう代わりに夕食の天丼(天丼はアニオリ)1回分奢る
- 【朱美さん】誤魔化すために五代君に襲われたと響子さんに言われる
- 【一の瀬さん】ばれなかったものの、坂本との電話を聞かれ、五代君と響子さんがくっついたと誤解され響子さんに激怒される
四谷さんは五代君と『管理人さんに秘密にする』との約束をしました。なので、この約束に入っていない朱美さんには速攻バラしてしまいます。管理人さんにバレなきゃいいんでしょ…と。
朱美さんは猫の名前に驚いて響子と叫び、またしても響子さんが五代君の部屋に来るのですが、なんとか誤魔化してと頼まれた朱美さんは、五代君に襲われた言う始末。すぐに誤解は解けたのですが、なぜそんな嘘をつくのか、からかっているのかと響子さんはますます疑ってしまいます。しかし、『なんでも良いから誤魔化して』と言ったら、五代君に襲われたって言うって…。猫を隠すより大事になるのに…。
【差し替え】
大学にも猫を連れて行く五代君
原作漫画ではなかったのですが、五代君が大学に猫を連れて行く様子がアニオリで描かれていました。確かにこの時期は大学がとっくにあった時期です。漫画ではなかったこの描写は整合性がとれていて良いと思います。
坂本は伊豆に旅行に行っているので、この大学の講義風景にはいませんでした。アニメではたまに出てくる名無しのリーゼント(?)の友人が隣にいいました。
結局、猫は講師に見つかって五代君は怒られていましたが、三流大学でこれはやはり落伍者だよな…と。
その後、大学から帰る五代君ですが、門番をする響子さんに、なにか隠し事はないか問い詰められていました。最近、惣一郎さんが五代君を見ると飛びついていくので怪しいとか。猫の響子は惣一郎さんと最後は仲良く寝ているシーンがあるので、アニメならではの伏線になっています。
一の瀬さんの誤解
今回は珍しく四谷さんと朱美さんが秘密を守っていたのですが、逆に猫のことを知らない一の瀬さんが誤解を広めることになってしまいます。
朱美さんの騒動から2,3日は何事もなく過ぎたのですが、五代君が坂本に状況を報告している電話を一番近い部屋の一の瀬さんが聞いてしまいます。当然電話なので五代君の話しか聞こえません。坂本の話も聞けていれば猫のことだってわかったのでしょう。
この状況の作り方は丁寧です。五代君が坂本に電話を掛けたり、響子さんが電話を受けたのではなく、一の瀬さんが電話を受けて五代君に取り次いだので、一の瀬さんが聞いてしまった理由が納得できます。たまたま五代君の電話を聞いてしまったわけではなく、一の瀬さんが取ったから聞けたんです。
五代「もしもし、よー坂本か」
五代「響子?元気だよ」
一の瀬「なんだい、あいつ管理人さん呼び捨てにして」
五代「あー、毎晩抱いて寝てるんだぜ-、気が付くと布団の中にいるのな」
一の瀬「(な、なんと、ふたりはできていたのか)」
この五代君だけの話をピックアップすると…そう取れますよね。一の瀬さんは猫の響子の存在を知りませんし、坂本が猫の様子を尋ねる話も聞けないわけですからね。
一の瀬さんもこのとき、五代君を直接問い詰めれば良いのですが、それはせずに響子さんと会ったときに聞いてしまいます。しかも、めでたいことだと一の瀬さんの中では疑惑ではなく確信になっていた様子。
一の瀬さんはこのように良かれと思って偽情報を発信するのでたちが悪いです。今回は響子さんが五代君本人を問い詰めたのですぐに解決しましたが、基本的に一の瀬さんの思い込みからの噂話は訂正することが難しいので被害が大きくなってしまいます。
響子さんのバレる
一の瀬さんから話を聞いた響子さんは当然激怒。「私は夜這いなんてしていません」と全否定。夜這いなんて単語も今はもう死語ですよね。漫画連載時やアニメ放送時でも、もうとっくに古い言葉になっていたと記憶しています。
一刻館に戻った響子さんはすぐに五代君の部屋に行き、鬼の形相で五代君を問い詰めます。時計坂商店街で一の瀬さんと話していた服と同じ格好だったので、部屋に着替えに戻りもせず、すぐに五代君の部屋に来たようです。それだけ怒っていたと様子。
誤解だと言う五代君ですが、一の瀬さんは「私は聞いたもん」とそれでも信じていません。思い込んみが激しいです。しかし、その一の瀬さんが部屋が魚臭いことに気付き、響子さんはキャットフードを見付けたことから、すぐに響子とは猫のことだとわかります。
響子さんは「猫なら猫と最初から言ってくれれば良いのに」と言っていましたが、めぞん一刻のトラブルは大体これで解決するんです。最初に言えば良いだけじゃないかと。それを言ったらおしまいですが…。
惣一郎さんと響子
いなくなった猫を探すため、五代君も響子さんも一の瀬さんも響子響子と連呼。自分の名前を呼ぶのに戸惑う響子さん。
猫の響子はどこにいたかというと、小学校から帰ってきた賢太郎が、犬の惣一郎さんと仲良く一緒に犬小屋で寝ているところを発見。五代君、響子さん、一の瀬さん、賢太郎でそれを眺めて終了。犬と猫ではありますが、惣一郎さんと響子さんは仲が良いね…とのオチでした。
漫画では猫を見付けたのは響子さんと賢太郎だけで、五代君はこれを知りませんでした。しかし、アニメだと五代君も一の瀬さんも一緒に見ていました。少し漫画とアニメでは終わり方の意味合いが違っています。
アニメは皆で見付け、五代君もニッコリとのオチだったのですが…。果たして五代君はこれを見付けてニッコリするでしょうか。五代君の性格やこれまでの描写からすると、おそらく見付けたらしょんぼりします。猫の響子でさえも犬の惣一郎と仲良くなるのか…と。
なぜなら、これまで五代君は犬の惣一郎さんに嫉妬している描写もありました。坂本が響子さんに告白のお手本を見せようとしただけでも嫉妬しました。このように、響子さん本人ではなくとも、響子さんに関連する事柄だけで嫉妬していたので、おそらく五代君はこれでも嫉妬や落胆したはずです。このシーンに限って言えば、少しアニメは五代君のキャラを掴めていないかも…。
原作漫画では
総評
今回は猫の響子を預かることによって起こる騒動で、恋愛とは関係のない単純なコメディ回でした。
最後のオチは漫画の場合、響子さんと賢太郎しか猫の響子が犬の惣一郎の元でスヤスヤ眠っていることを知らず、五代君はまだ探している最中で、知らない五代君は少し可愛そうだな、もしくは滑稽だなとなりました。アニメは五代君のキャラと少し整合性は合わないのですが、皆笑顔だったのでこれはこれで良いのかなとも思います。
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