今回レビューするのは、めぞん一刻の第5話です。
思うところがあり、今回アニメ全話レビューの大幅な加筆修正に着手します。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
大学受験が終わった五代君ですが、響子さんに格好悪いところは見せられないと思い、1つ合格が出るまでは帰れないと家出してまいます。そんな中、心配する響子さんに元に、上京した五代君のお婆ちゃんから電話が掛かっていきます。お婆ちゃんと一緒に五代君からの連絡を待ってるのですが一行に連絡が来ず。遂に五代君が合格できる可能性のある最後の合格発表の日が来るのですが…。
みどころ
- 五代君のお婆ちゃん初登場
- 五代君大学合格
初登場人物
- 五代ゆかり(五代君のお婆ちゃん)
感想
五代君の逃げ癖炸裂
前回、大学受験の話がありましたが、今回はそれら大学受験が終わり、合格発表を待っている間の話です。
前回も本命の大学受験で、問題が難しく「こりゃアカン」と思って途中退出。その後現実逃避でパチンコに行ったり食事をしたりと、五代君の悪癖『逃げ癖』が出ましたが、今回はもっと大きな逃げで、一刻館へ帰らず家出状態になってしまっています。
なぜ家出をするのかと言えば理由は1つで、『響子さんにあわれみのまなざしで見られたくないから』です。五代君はこの後も逃げ癖を何度も発揮するのですが、基本的はこのスタンスです。響子さんにあわれみの目で見られたくない、情けない自分を見せたくない…と。家出まではいかなくても、響子さんに嘘を付く理由は大抵これです。
しかし、よく考えると『一刻館(アパート)から家出』はおかしいです。あくまで五代君はアパートでの1人暮らしであり、居候でも下宿でもありません。それなのに1人暮らしの自分のアパートから家出とは…。のちに何度も言われるのですが、もうこの頃から五代君と響子さんは物凄く特殊な関係性です。
坂本は親友
漫画では名無しの友人の家に泊めてもらっていたのですが、アニメでは坂本の家に寝泊まりしていました。漫画でも勿論1番の親友は坂本で、ことあるごとに助けてくれるのですが、アニメでは漫画の名無し友人の出番を坂本に代えているので、漫画以上に坂本の存在感が強く、より親友感があります。
坂本は「このままで良いのか?いつまでも逃げきれるわけじゃないだろ?」と言っていしたが、きちんとこういうアドバイスするんですよね。坂本の生態は実に不思議なのですが、そのことについては追々触れていきます。
パンツはアニオリ
坂本のところに家出中、着替えが足りなくなりパンツを取りに一刻館に戻る話がありましたが、これはアニオリです。このあとも五代君が一刻館から家出するエピソードがあるのですが、その時は漫画でも着替えを取りに戻る話がありました。ここからヒントを得て尺伸ばしでしょうか。
このとき、響子さんは「外泊するなら教えてくれれば良いのに」と怒っていましたが、これも変な話で、単なる管理人と住人の関係で、いちいち外泊を教えなければならない理由なんてありません。ただ、一刻館はこの当時でも古いアパートとの立ち位置でした。玄関は共同で戸締まりもするため…との理由が響子さんには一応あるようですが、他の住人にこのようなことを言ったことは1度もありません。
今回の林原めぐみと立木文彦
今回もモブキャラで林原めぐみさんが出演。アニオリでパンツを取りに行った帰り、コインランドリーに寄るのですが、そこで話しかけてきた女性の声優が林原めぐみさんでした。
また、立木文彦さんも、お婆ちゃんが上京してくる車内の客として出演。お婆ちゃんのお弁当の食べっぷりに驚いていました。さらに、響子さんとお婆ちゃんが会った場所の立ち食いそば屋の主人も立木文彦さんです。
五代君のお婆ちゃん初登場
今回、五代君のお婆ちゃんが初登場しました。あまりにも背が小さくデフォルメされているので、印象に残っている方も多いと思います。お婆ちゃんや賢太郎は出る度にどんどん背が小さくなり、極端なときは五代君たちの膝よりも低いことも…。
お婆ちゃんの登場シーンはアニオリで、汽車に乗っているところからありました。のちに出てきますが、五代君の実家は高橋留美子さんの出身地でも新潟県の新潟市です。この時代でも新幹線で行けたのですが、蒸気機関車での移動していたので、この辺は現実どうこうより、『田舎から出てくる感』を出したかったのでしょう。
響子さんと出会ったところは時計坂駅前の立ち食いそば屋でした。このとき、立ち食いそばの値段が150円となっていました。このような値段も時代を感じさせます。漫画だとこの立ち食いそばの値段は130円だったので、漫画連載時から多少物価が上がっのでしょうか。結構細かい微調整をしますね。
漫画だとお婆ちゃんが上京するのは、今回の大学合格発表の時と、同窓会のたった2回だけでした。ところがアニメの場合、それに加えて就職活動時期も上京し、閑話休題の野球回にも登場。八神とも絡んでいるため登場話数は非常に多くなりました。
響子さんの怒声が好き
私は響子さんの怒声が好きです。少しかすれたようなハスキーボイスで怒鳴る声。響子さんの声優の島本須美さんの怒声とも言えます。あとはこのめぞん一刻だと六本木朱美であり、前番組のうる星やつらでは弁天様の怒声もゾクゾクします。朱美さんの怒声はなぜかそれほど好きではないのですが、弁天様の怒声は好きでした。うる星やつらだとランちゃんの怒声も好きです。可愛い女の子がそれまでのキャラとは打って変わって怒る声の落差に痺れます。
今回は本格的な響子さんの怒声が初めて出ました。電話が掛かってきて、五代君だと思っていきなり怒り出したシーンです。勿論、その電話相手はお婆ちゃんだったんですけどね。
五代君のフルネームを初めて認識
時計坂駅から一刻館まで一緒に帰る道すがら、お婆ちゃんに五代君の名前が裕作であることを聞き、初めてフルネームを認識。大学受験のときも受験票を見ているので、目には入っていたはずなのですが覚えていなかったのね…。お婆ちゃんにも最初は「浪人さん」と言っており、頭の中で「浪人って名前じゃなかったのね…」と…。
視聴者にも裕作という名前をきちんと出したのはここが初めてです。これまでは皆五代君、浪人さんと呼んでいましたからね。
この回でちょくちょく出てくる黄色い電車ですが、西武鉄道の池袋線です。勿論、東久留米にも止まりますし、今後も色々なシーンでこの黄色い電車が出てきます。
全てお見通しのお婆ちゃん
五代君が家出していることを知らないお婆ちゃん。響子さんは心配させないため、五代君の家出を隠そうとするのですが、途中茶々丸に寄ったのが運の尽き。朱美さんや四谷さんに秘密にするように内緒話や腹芸をするのですが、当然通じるわけもなく…。と言うか、一刻館住人の行動原理はただ1つ。『面白ければなんでも良い』との1本筋が通ったものです。これも実はわかってわざと四谷さんはやったように思います。
お婆ちゃんも孫の五代君の性格はお見通しで、「あいつのことだから逃げとるんじゃろ?」とこの一瞬で全て理解します。そして、五代君は国立は無理だろう、明日の私立が実質最後合格発表になるだろうと。
お婆ちゃんのこのときのシーンで印象に残っていることが、「あいつは悩んでいるふりしているだけだから」との言葉。本気で悩んでいるわけではなく、悩んでいるふりなんだと。結構これはなるほどと思ってしまいました。自分も大抵はこれかもしれないと感心した記憶があります。実際に人生どうしようもなくなって悩んでいるのかと言えば、本当は他の道もあるので生きていけるはず。ですが、通過儀礼として悩んでいるふりをする。妙に納得してしまいます。
作者の高橋留美子さんはめぞん一刻連載開始時23歳です。その若さでこのようん深い言葉とか、男性の童貞心をわかっているような描写をしてきます。編集が有能だったのか、高橋留美子さん自らの発想なのか…。どちらにしても感心します。
五代君の実家はこのあと出てきますが、新潟の大衆食堂です。お婆ちゃん曰く、二浪させる余裕はないから明日ダメなら連れて帰る…と。ここも運命の分かれ道でした。この時点では五代君の響子さんの接点は一刻館しかありません。一刻館から引っ越したらそれで終わりです。このあとも一刻館から家出してしまい、響子さんとの関係そのものがピンチになってしまうとの話が何度か出てきます。
最後の最後まで五代君と響子さんの関係は恋人にはなりません。恋人同士ではないので別れる、別れないなんて恋人同士の『別れ話』はありません。ところが、これに相当するでき事が一刻館からの家出で表現されます。
恋愛物なので、本来付き合う付き合わないがあり、付き合ったあとは色々あって別れそうになったり…が基本線ですよね。しかし、めぞん一刻のこの2人は最後の最後まで恋人にならない特殊な関係なので、逆に別れる別れないなんて話もありません。本当に特殊なストーリーです。
五代君は一刻館住人のオモチャ
お婆ちゃんが茶々丸に来て、明日ダメなら連れて帰ると言ったとき、四谷さんは「遊び相手がいなくなってしまう」と残念がっていましたし、五代君の家出の時も響子さん以外は本気で心配していませんでした。しかし、五代君は一刻館のオモチャなのですが、そこに愛はあったはず。
五代君合格する
アニメだと第5話にして五代君が大学受験に合格しました。漫画でも6話目での合格なので浪人時代は短いです。しかし、何故か五代君は永遠の浪人生のようなイメージです。名誉浪人生と言うか…。漫画だと就職浪人もするのでそのイメージでしょうか。
合格発表時の五代君の受験番号は『4989』(四苦八苦)です。五代君の境遇やこれからの運命を暗示しています。
ところでこの合格発表の時、衝撃の大学名が出てきます。そう、『三流大学』です。嘘でしょと思うかもしれませんが、これはアニオリではなく漫画でもそうなんです。そしてこれが最後まで変わることはありません。凄いですよね、このドストレート。
五代君はどちらかと言えば…と言うか、ハッキリ言えば落ちこぼれなのですが、その冴えない五代君が通う大学が一流大学になってしまっては、めぞん一刻の『高嶺の花に恋してしまった五代君の物語』の根本が揺らいでしまいます。五代君の通う大学は一流大学はおろか、二流大学でもダメなんです。
落ちこぼれの五代君が通う三流大学なので、そこに実在の名前を出すのは勿論NGですし、似た名前でもあそこだろうなと連想されてNGだったはず。とは言え、架空の大学名にするでもなく三流大学という名前とは…。まあ、物凄く五代君の立ち位置が分かりやすいのですが…。この三流大学との名前は大学のランクを表す抽象的なものとして使われているわけではなく、五代君が通う大学名です。
五代君の大学はどこがモデルかと言うと、地理的条件や大学のランク、受験した学部をを考えると、諸説ありますが文教大学が有力と言われています。とは言っても、地理的条件などを考え、大学に取材に行ったりしたとはあまり思えないので、モデルはないのかもしれません。ちなみに、五代君の通う大学は下記のようなところです。
- 東久留米から通える
- 私立
- 教育学部がある
- 三流大学
三流大学と言うことで名前が挙がる大学は嫌な思いをするかもしれませんが、五代君が通っていた名誉ある大学と思えば…。
パンツを洗濯して落ちる
最後のオチはアニオリです。合格祝いを五代君の部屋(漫画では茶々丸)で行い、響子さんが洗濯したパンツを渡して五代君が涙して終了。
このパンツは、五代君が一刻館に取りに戻ったとき、二階から落下して結局持ってこられず、庭に落ちてしまったあのパンツでしょう。ちょっと大学合格の主旨と変わってしまったので、パンツに焦点を当てるのはどうかと思いますが…。アニメの場合、最後に大学合格ではなくパンツに話を持って行かれてしまっています。漫画は合格祝いでシンプルに終わりました。
原作漫画では
一部オリジナル
総評
今回で浪人五代君は終わり、次回から大学生の五代君になります。
めぞん一刻は連載雑誌の時間と同じく時間が進むリアルタイム漫画のため、このように人生の節目や季節のイベントが順に起こります。めぞん一刻の世界に入り込みやすいのは、このように、誰にでも起こり得るイベントを順を追ってを消化していくことも要因かもしれません。
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