今回レビューするのは、北条司、錦ソクラさんの漫画『今日からCITY HUNTER』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
未読の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
第2の転生者・百合華のクラスで起きた事件は、無事解決したかに思われた。だが、プライドを傷つけられた犯人は常軌を逸した凶行に走る……!?そして獠の前に、「シティーハンター」には登場しない謎の少年が現れる。冷酷な殺し屋である少年は、あの悪魔の薬“エンジェルダスト"の実験体だった。自分たちが転生したことで、変わっていく「シティーハンター」の世界に沙織たちは不安を募らせていく…。
長所と短所
- △オリジナルエピソードのみの巻
- △事件の規模が小さい
- △オリジナルキャラはシティーハンターの世界から浮いている
- △沙織の出番が少ない
- ※Kindleで予約購入が便利すぎて感動
登場人物
- ジャック・ジェイムス(JJ)
感想
△オリジナルエピソードのみの巻
これまではシティーハンターのエピソードに、現実世界から転生してきた主人公の香(作中では偽名を名乗っており沙織)が参加する形で、前巻の3巻からは第2転生者の百合華もそこに加わったのですが、本巻は全てオリジナルエピソードで、シティーハンターのエピソードは一切ありませんでした。シティーハンターの世界、話にファンの主人公が加わることに面白みを感じていたので、さすがに全てオリジナルエピソードというのは驚くとともに、正直なところいまいちに感じました。
前巻最後のシティーハンターのエピソードは沙羅ちゃんだったので、本来なら次はレオタードの泥棒、麻生かすみの話になるはずでした。その次は香の姉、立木さゆり、銃弾を受けて車椅子生活になった少女、牧原こずえと、この辺りのエピソードも大好きなだけに、ここにシティーハンターファンである転生者の沙織を参加させた話が見たかったんです。
以前にも記事に書いていますが、この漫画は長寿になるようなネタではなく、あくまで瞬発力勝負の1発ネタ漫画に分類されると思うので、このオリジナルエピソード連続は、終わりが近付いているる気が少しだけします。沙織や百合華も本来ないはずの話になっていることに危機感を抱いていましたし…。もっともっと『シティーハンターのエピソードに参加する沙織』を見たいのですが、それは今後叶わないのでしょうか。
△事件の規模が小さい
少し気になったのは事件の規模が小さいことです。前半のエピソードは前巻からの続きで、百合華の通う『小学校の体育着の盗難事件』です。そこから先もっと大きな展開になるかと思ったらそれもなし。シティーハンターでは毎エピソードごとに明確なゲストヒロインが登場するのですが、それがなかったことも物足りなさを感じた原因かもしれません。
ゲストヒロインは基本1エピソードで退場なので、必ず別れという切ないエンディングがやってきます。これがないので出会いや別れ、ヒロインが追い掛ける夢、それをサポートするリョウだちなんてドラマもありませんでした。シティーハンターは男性読者向けにヒロインを出すだけではなく、ドラマを作る上でリョウと女性(ヒロイン)の関係性も重要なんです。やはりシティーハンターに物語を作る上でヒロインは必須だと思います。ところが今回は収録されている2つのエピソードでヒロインはなし。寂しい。
△オリジナルキャラはシティーハンターの世界から浮いている
後半のエピソードでは17歳の少年、ジャック・ジェイムス(JJ)と名乗る殺し屋が登場し、リョウに勝負を挑んでいました。そして、その勝負とは自分が沙織を殺すので、リョウは守れというもの。これってどこかで聞いたことがありますよね。そう、銀狐が香を狙ったエピソードです。あの銀狐役がこのJJになり、香役が沙織になりました。まだこのエピソードは始まったばかりなので、さすがに銀狐のエピソードをなぞるだけなんてことにはならないのでしょうが…。
登場するJJなのですが、明らかにシティーハンターの世界から浮いていました。1番目に付くのはやはり絵柄です。どう考えても北条司さんが描くような絵ではないです。北条司さんの描くキャラの特徴に艶やかな髪があるのですが、その感じがゼロでした。これはもう物凄い違和感で、こち亀のモブキャラ並みに浮いていました。レギュラーキャラである沙織や百合華は頑張って北条司さんのキャラに似せたようですが、ゲストキャラまでは力が入らなかったのでしょうか。
本巻はヒロインが出てこないと前述しましたが、この後半のエピソードでは沙織がヒロインになりそうです。銀狐のエピソードでもヒロインは香でした。そして、遂に物語の中心に転生者の沙織が来ると言うことは…終わりが近いのでしょうか。まだ4巻ではあるのですが、前述したように長寿になるようなネタではないと思うので、あっさり終わってしまうのが今1番怖いです。まだまだシティーハンターのエピソードに沙織が絡む話が見たいです。それだと漫画家として創作していてあまり楽しくないのかもしれませんが…。
△沙織の出番が少ない
今回は百合華の小学校での事件と、殺し屋のJJの話の2エピソードだったので、主人公の沙織の出番があまりありませんでした。沙織が知っているシティーハンターのエピソードに一喜一憂したり、どう絡むのかが個人的には面白いポイントだと思っていました。また、オリジナルエピソードだとしても、やはり沙織がシティーハンターの既存キャラたちとどう絡むのかがワクワクしたのですが、このようなシーンはほとんどありませんでした。
※Kindleで予約購入が便利すぎて感動
蛇足ですが、今回初めてAmazonのKindle版を『予約購入』しました。発売日の0時になったら自動的に配信してくれ、0時10分頃にメールでのお知らせも来ました。驚くほど便利で感動。
KindleはAmazonが販売している専用端末だけで読めるわけではなく、PCのソフトでも、スマホアプリでも読めるので、どの端末でも読めるのでお勧めです。
私はWindowsPCとAndroidタブレットでこのKindleのソフト、アプリを入れ読んでいます。1つのアカウントになら複数の端末に配信してくれて読めるので、ベッドの上ではタブレットで読み、机に座っているときはPCで読み…なんて柔軟なことができるのも最高です。
総評
これまでは手放しで絶賛していて、今1番読むのが楽しみな漫画とまで書いていたのですが、正直な感想を書くと本巻は微妙でした。理由は前述したとおり、シティーハンターのエピソードがなかったこと(私はそれを期待して読んでいたので)、そのオリジナルエピソード自体、事件の規模やキャラ、話自体微妙だったことが挙げられます。このエピソードが終わったら、以前のようにシティーハンターのエピソードに沿った話をやってくれないかな…。
こんな人にお勧め
- シティーハンターが好きな人
- 異世界転生物が好きな人
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