今回レビューするのは、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOの第18話です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ちなみに、YU-NOの解説・考察は別記事にまとめましたので、気になる方はご一読ください。
先の展開のネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
異世界・デラ=グラントにたどりついたたくや。
そこで、話すことができない少女・セーレスと出会う。
助けを求めて入った一軒の家で、2人は女剣士・アイリアと出会う…
みどころ
- 異世界編突入
初登場人物
- セーレス
- アイリア
感想
遂に異世界編開始!
今回から遂に異世界編が始まりました。異世界編は原作ゲームでも実は賛否両論あります。簡単にまとめると下記のようになるかと思います。
【賛成意見】
- 全く別の世界なんてビックリ
- 新しい世界新しい物語にワクワクする
- 現代編の謎が次々解けていって面白い
【否定意見】
- 一本道でゲーム性がない
- 主人公が無能化する
私は前者で賛否の賛です。異世界編のお話も大好きです。ただ、まるで選択肢がない正真正銘の一本道には少々驚きました。できればゲーム性、分岐があって欲しかったのも事実なので、異世界編を100%賛と言うわけでもありません。なんでも0と100ではないですからね。良いところも多くて大好きだけど、ここはちょっとな…。そんな普通のスタンスです。
原作者の菅野ひろゆき(剣乃ひろゆき)さんは、本来この異世界編も現代編のA.D.M.Sのように分岐した世界を作りたかったそうです。異世界編にもA.D.M.Sがあったらどんなことになっていたのでしょう。現代編だけで30時間くらいプレイ時間が必要だったので、前代未聞のアドベンチャーゲームになっていたのだと思います。アイリアやその他救われないキャラを救うルートがあったり…。やってみたかったですね。
『ここがデラ=グラントかあ』と言う言葉の軽さ
異世界へ行ったたくやが最初に言ったセリフが『ここがデラ=グラントかあ』です。…多分、原作を知らない方にはなんでもないセリフなので、イチャモンと思われそうですが、これって原作の魅力を知っている方だとガッカリする大きなポイントだと思います。
原作では異世界に急に飛ばされたたくやは、見ず知らずの景色、植物に戸惑い、「なんだよここは…境町じゃない…のか?」と『戸惑う』んです。しかし、アニメでは神奈を救うために異世界へ行くと決意し、自らわかって行っていますし、名前もデラ=グラントとわかっているので、この原作にあった戸惑いがなくなってしまいました。
異世界に飛ばされたことはプレイヤーにも衝撃で、主人公のたくやと一緒に「なんだ?なんだ?」と戸惑うことで感情移入できるポイントでした。そして、戸惑いながらも周囲を探索したり、順応しようと必死になるたくやも、異世界編導入部分の面白さだったのですが、こんなお手軽に、「へーここが異世界なんだ」と言われたら…。原作で得られた不安感、焦燥感、恐怖感がほぼゼロになってしまうんです。
原作の『知らない世界に突然放り出された』状況から、アニメでは『異世界と分かって行った』に変わってしまったので当然です。異世界の神秘性や怖さがなくなってしまい残念です。原作だとデラ=グラントと名前が判明するのは、異世界に来てから実に4年後でした。4年たってもこの自分がいる世界の名前すら分からない。読者様のご指摘がありました。デラ=グラントの名前は原作でもアイリアから語られていたそうです。失礼しました。その無力感、不安感は異世界編の重要な要素だと思っていたのですが…。
そもそも、原作だと異世界編は現代編とガラッと世界が変わるだけではなく、目的がしばらくは『生きるため』だけになるので、シリアスなサバイバル感が強かったです。しかし、前述の軽いセリフと言い、OP前の遊び感覚のような火起こしシーンと言い、原作の深刻さ、サバイバル感味が本当になくなってしまい残念です。
OPとEDが変わった
OPとEDが前回の総集編でも告知されていたように変わりました。OPでは原作だと異世界編には登場しないはずの神奈がユーノやセーレスに並んでいました。
平川監督の先日のインタビュー記事で、新キャラが出ることが語られていました。その新キャラに関して、OPとEDを見るとおそらくこのキャラかなと思える部分がありました。
平川氏:
ゲームではいろいろな人に恋をしますが,それをそのままアニメにはできないところですね。みんな好きだというわけにはいかないですから。
少しだけ突っ込ませて下さい。だからこそカオスの矯正で記憶がなくなるように原作ではなっていたではないですか…。では何故わざわざ記憶があるようにアニメでは改変したのでしょう。
本題に戻って…OPでアマンダはたくさんの人に囲まれていましたが、このシーンは原作にありませんでした。アマンダはあるグループのリーダーなので、その仲間や部下なのだと思います。アニオリの話があると平川監督は言っていたので、おそらくアマンダのグループとしての話があるのだと思います。
また、EDではアマンダの左右に、これも原作に見覚えのないキャラがいます。アマンダがあるグループのリーダーであることは前述しましたが、おそらくこの2人はその仲間か部下でしょう。で、この容姿はどこかで見覚えありますよね。左が結城、右が豊富にそっくりです。異世界編の追加キャスト発表で、現代編の結城、豊富、北条の声優さんがあったのですが、おそらく結城の声優さんが左、豊富の声優さんが右でしょう。そして、お約束として現代編のキャラと同じような性格、たくやとの関係になるのでしょう。左の結城のようなキャラはたくやと仲良くなり、右の豊富のようなキャラはたくやと反発し合い…。
このEDの絵を見ただけでも、アマンダの話を相当膨らませているのだろうなと想像が付きます。別にそこに文句はないのですが、ならもっと丁寧にやるべき原作の部分があったような…。今回で言えば後述しますが、アイリアの話はもう少し時間を掛けて丁寧にやって欲しかったです。
ところで、現代編の結城と豊富のキャラを考え、アマンダの側にいることを考えると、アニオリのストーリーが見えてくると思います。あくまで現段階でも想像なので、外れたらゴメンナサイですが、異世界の偽豊富は間違いなくアマンダに言い寄るでしょう。そして、アマンダに拒否されたり、たくやと争って負ける…とのポジションだと思います。当然性格は最悪の嫌み野郎でしょう。
異世界の偽結城は…どうなるのでしょう。結城は澪に横恋慕していたので、こちらもアマンダに行く気もしますが、サラと言う異世界のキャラも話が膨らむような記事を前に見たので、そちらに行くのか…。たくやを慕ってくるのは間違いないと思います。
じゃあ残りの北条の声優さんはと言うと、今回も少し出番がありましたが、神帝の側近だと思われる男性だと思います。EDにもいました。
怪物が怪物ではなくなっていることにガッカリ
セーレスが襲われているところを助けに入るたくやですが、このとき襲ってくる怪物が…。小さい頭に羽が生えただけのしょぼい怪物でした。原作のPC98版、サターン版、近年再リメイクされたPS4やスイッチ版よりしょぼくなっており…。理由としては以下のことが考えられると思います。
- 大きくて毛むくじゃらの怪物を動かすのは面倒(コストカット)
- たくやが追い払えるくらいだから大きな怪物であることはおかしい
どちらかだと思いますが…。個人的には両方かなと思っています。ただ、コストカットの効率の良い作品を作ることを、過去にTwitterで自身の長所と平川監督は言っていたので、8:2の割合でコストカットだと思います。ただ、ここは原作通りの怪物の方が良かったのではないかと思います。
リフレクターデバイスを持っている!?
現代編と同じように、異世界編も色々変えるだろうと覚悟していたのですが、たくやがリフレクターデバイスを持っていてビックリです。原作ではリフレクターデバイスは異世界に持ち込めず、だからこそ現代に帰れず困った…となるのですが、持っているのであれば異世界に来て困ることはなにもないです。異世界の重み、特別感、絶望感、恐怖感、サバイバル感、シリアス感。こう言ったものが全てゼロになってしまいました。何故ってリフレクターデバイスでロードすれば神奈のところにお手軽に帰れるんですもの。
もしかしたら今後、原作と同じように異世界ではリフレクターデバイスを持っていても使えませんとなるのかもしれませんが、今のところの描写で考えると、例えば異世界でどんな大ピンチになっても、リフレクターデバイスでロードすればなかったことにできてしまいます。異世界での後戻りできない深刻な状況がまるでなくなってしまいました。
自分が怪物に襲われているところ、アイリアが死亡したところなどでも宝玉ロードしなかったですし、「うかつに使うと神奈ちゃんのところに戻れなくなる」と、リフレクターデバイスを見ながらたくやは言っていたので、やはりアニメのセーブは1カ所だけって設定っぽいですね。他の設定や伏線はこれでもかというくらい説明するのに、こちらは全然説明がないのはバランス悪いです。
前述したように、この世界でリフレクターデバイスを使えてしまうと話がおかしくなるので、異世界では使えない設定にするとは思うのですが、なにせこのアニメは悪い意味で予想とは違ったことをして来るので、この辺りどうなるのかよくわかりません。
リフレクターデバイスを持っていることによるストーリー破綻
今回、この『リフレクターデバイスを異世界に持ち込んでいて、いつでも使おうと思えば使える』状況も、かなりストーリークラッシャー設定の予感が…。アイリアと出会ってから死ぬまで1,2日なので仕方がないとは言え、たくやの状況を考えると、アイリアに対してはたくやがこう考えたことになってしまいました。
- リフレクターデバイスで過去に戻れる
- アイリアが死ん(死にそう)だけどリフレクターデバイスでやり直さなくて良いや
これはかなり不味いことになると思います。この先も重要キャラがピンチになったり死んだりするのですが、リフレクターデバイスで戻れるのに、戻らずにその人を敢えて見殺しにすることになってしまいます。彼女たちよりも神奈の方が大事だから…と。
原作を知っている方は、この先誰が死んでしまうのかわかっていると思いますが、『彼女らの死でもやり直して救おうとは思わず、敢えて見殺しにするたくや』との状況ができ上がってしまいます。リフレクターデバイスを持っている、使えるとの設定は大丈夫でしょうか。これまで散々、現代編のヒロインを何回もやり直して救ったのに…です。
さすがにこのレベルの破綻に気付かない、放置はあり得ないと思うので、なにかしら方策は練っているのだとは思いますが…。
セーレスと出会う
前回の総集編最後にあった、今後の異世界編ダイジェストでわかってはいたのですが、セーレスが出てきてたくやと出会いました。喋れないので1文字ずつセーレスの名前を聞いていく部分は原作と全く同じでした。ここは原作だともう少し試行錯誤して長かったですし、この世界のことや境町のことを聞くのにも時間が掛かりました。ここをサクッとまとめたのはアニメでは良かったです。こういうところを省くのは良いんです。
セーレスは喋れないので声優さんどうするんだろうなと思ったのですが、心の中の声が結構ありましたね。この辺りはアニメで膨らませても良いと思います。
アイリアが好き
本筋から少し逸れるのですが、私は個人的にアイリアが凄い好きです。好きと言うかこの物語の中で一番同情する人物です。
- たった1人僻地の防人として派遣される
- 家族、友人、知り合いもおらず、誰とも喋ることのない孤独な生活
- 病気になってしまい余命が幾ばくもないことを悟る(アニメではなし)
- 病気でも看病してくれる人も心配してくれる人もいない
- たくやとセーレスを守って深手を負う
- 怪物に負わされた傷が元で病もあって衰弱(アニメではなし)
- 現れたどこの馬の骨ともわからないたくやに自分の使命を託して(アニメではなし)死亡
こんなの可哀想すぎるでしょ…。普通、このようなゲームではどこかで救われるルートがあったりするのですが、前述もしたように異世界編は一本道なのでこれでこのままアイリアは退場。その後の思い出話以外では出てきません。この異世界にもルート分岐があればアイリアをなんとしても救いたいです。
さて、そんなアイリアですが、たくやとセーレスを怪物から守って死んでしまいました。このアニメでは怪物にやられてその場で死んだのですが、原作だと怪物を倒した後、その傷も一因となり、元々病に侵されていて弱っていたアイリアがベッドの上でどんどん衰弱して死んでしまうとの流れでした。
アニメだと『アイリアがたくやに使命を託す』流れがなくなってしまいました。自分が死ぬことが分かっていて、どこの誰ともよくわからないが、一縷の望みをたくやに託すバトンタッチの切ない物語がなかったことになってしまい、印象の薄いモブキャラレベルになってしまいました。
前述したように、アイリアはこの背景込みで好きで、最も同情すべきキャラだと思い入れがあったので本当に残念です。アイリアの強固な意志、使命感、責任感。自分でやり遂げたい使命だけど、それができないのでたくやに託す。たくやもアイリアの切実な思いを汲んで、わかったと了承する。そして静かに、安心したように息を引き取る。アイリアは登場後すぐに死んでしまうのですが、その短い中にあるこの物語が良かったのに…。
アイリアは妹のアマンダの思い出も語っていましたが、アイリアが登場してから死ぬまで15分程度でした。詰め込むのは仕方がないのですが、これまでのこのアニメの中でも、ここは最も駆け足だった気がします。原作だとアイリアに感情移入したり同情するためからか、もっとじっくりゆっくりやっていました。この駆け足と背景描写の薄さだと、アイリアのことは視聴者にすぐ忘れられそう…。本当は凄く良いキャラで良い話なんですけどね。
実は原作だと、アイリアの死はたくやにとってもう1つ重要な意味を持っていました。たくやの周りには喋れないセーレスと、今会ったばかりのアイリアしかいませんでした。前述しましたが、原作だとたくやは何も知らない状態で異世界に突然飛ばされたので、この異世界のことを聞けるのはアイリアだけだったんです。
ところが、そのアイリアは原作だとすぐに死んでしまいました。つまり、全てが謎であり、この世界の名前さえ分からないシビアなこの状況で、唯一の情報源が死んでしまったわけです。そこで絶望するたくやのシリアスさはまるでなかったことになってしまいました。
謎の異世界で希望のアイリアと出会うものの、すぐに死んでしまう絶望感は、プレイヤーもヒシヒシと感じることができましたし、原作ゲームをやっている時はこのたくやの状況にのめり込めました。感情移入の度合いも凄かったんですけどね。
しかし、アイリアは原作だと境遇が不憫で可愛そうだったのですが、アニメでは話自体だいぶカットされて不憫です。つくづく救われないです。
砂漠は広すぎて超えられない
砂漠を越えようと挑戦するたくやですが、広すぎて超えられませんでした。この絶対に超えられない砂漠の描写は今後のためにも必要です。ただ、何故たくやが砂漠を越えようと思ったかと言うと、砂漠にあると言う採掘場に行き、超念石を取ってくる。つまり、神奈を救うためになっていました。本当に異世界の目的は神奈を救うことなんですね。
…と思ったのもつかの間。すぐにセーレスとガッツリとキスして…。「神奈のことは?」とどうしても頭に疑問が浮かんできます。「神奈と一緒に暮らそうとまで言ったじゃないかたくや」…と、このように思ってしまうので、異世界編に現代編のキャラを、愛情を持ち越しては駄目だったんです。
ちなみに、原作だとここで結ばれました。アニメでは今回その描写がなかったのですがどうなるのでしょう。これで結ばれましたってことなんですかね。それともまた次回、きちんと結ばれる描写をやるのでしょうか。
そもそも、アニメだと神奈が死にそうに、または死んでしまって急いで三角山の洞窟へ行き、異世界へ到着。その後セーレスとアイリアと出会い、砂漠を踏破しようと出掛けたところまでで大体1,2日です。
1,2日前に一緒に暮らそうとまで神奈に言って抱きしめ、死にそうになっているので急いで駆け付けた異世界で、速攻で他の女性と良い雰囲気になってキスしますかね。もうたくやの性格無茶苦茶じゃないですか…。どうもこのアニメを作っている方は、キャラの気持ちとか状況を分かっていないと言うか、人の気持ちが分からないと言うか…。
原作だと現代編は現代編で、シュバルツシルト半径(運命)に囚われていないヒロインは全て救えました。勿論、神奈も現代編のみで救えました。だからこそ、心置きなく現代編から異世界編へ行けましたし、セーレスが正妻になることに違和感も障害もありませんでした。
カオスの矯正でそのルートの記憶はほぼ消える。だからそのヒロインへの愛情も一旦リセットされる。そして次のヒロインへ無理なく行ける。ギャルゲーならではのご都合主義ではあるのですが、このおかげで上手く話が回っていました。しかし、アニメはカオスの矯正でも記憶を引き継ぎ、ヒロインとの恋愛感情も引き継ぐとしてしまったのでおかしなことになってしまいました。
マザーに神帝に出し過ぎでは
今回、神帝が喋っているシーンもありましたし、セーレスがマザーについて回想しているシーンもありました。これまで何回も書いてきたように、やはりこのアニメ…と言うか、この制作スタッフは謎や伏線を前倒しして見せることが好きなようです。
本来、神帝もマザーも原作だとずっと出てきませんでした。神帝の存在は物語の中の時間だと4年後まで知りませんでしたし、マザーなんて出てきたのはラストシーン直前です。だからこそ、「そんな存在があったのか!」とプレイヤーは驚きました。何もハッキリ存在を明示しなくても良いはずなのですが、どうもこの制作スタッフは『隠すこと』が下手なのか、あるいは嫌いなのか…。
これも前に書いたのですが、難しい設定や伏線はかなり前倒しして出し、ゆっくり丁寧に説明しようとしているようです。そんなことをしなくても、物語が進むと自然とわかる作りになっていたはずですが、制作スタッフはこれを唐突だと思ったのでしょうか。正体不明の謎だからこそ引きつけられることもあるんですけどね。
総評
異世界と分かって行ったこと。名前がデラ=グラントだとわかっていること。リフレクターデバイスを持っていること。リフレクターデバイスでいつでも現代に帰れること。これらのおかげで異世界のシリアスさがまるでなくなってしまいました。
もう2度と現代に戻れない。だから必死で生きる。必死でセーレスと生きた結果愛が芽生える。そして…。とても自然な流れだと思うのですが、この動機や心の動きがかなり軽くなってしまいました。アニメの絵としては画面に映らない部分ではありますが、話を見るとやはりこの辺の心の動き、動機付けは大事だと思います。しかし、どうもこのアニメはこの辺を随分軽く扱っているような気がしてなりません。
不満を多く書いててきましたが、実は今回、神奈のことを救う目的のおかげで話がおかしくなっている部分以外、結構よくまとめていたと思います。セーレスとの出会い。アイリアとの出会い。死別。セーレスとの愛情の芽生え。だからこそ、神奈要素があることにより、よりおかしなところが目立ってしまいます。神奈要素はやはりいらなかったのではないかなと残念でなりません。
『神奈を救うために異世界に来た』、『異世界と分かって来た』、『異世界の超念石を取りに来た』。この3点セットは、物語そのものを破壊する破壊力があります。
前述した平川監督のインタビュー記事一部を下記に引用しました。平川監督的には、これは『変な改変』ではないみたいです。
平川氏:
一介の学生が,いきなり「異世界に行くぞ,探検するぞ」とはならないですよね。アニメでは,ゲームのように宝玉を集めたから行く,というのでは動機が弱いかなと。
しかしあまり変な改変をするのも嫌だったので,設定を活かして動機が作れないかと考えました。そこで神奈編を現代のラストにして,神奈を助けるために異世界に行く,ということにしました。神奈は超念石がないと生きていけないのですが,この世界では超念石を結晶化できない。だから異世界で超念石を取ってきて,戻ってきて神奈を助けるというわけです。
ちなみに、たくやが異世界に行く動機…と言うか行った理由は、『死んだと思っていた親父が他の世界線で生きているかもしれない。亜由美さんを悲しませやがって。1発ぶん殴ってやる。』でした。ぶん殴ってやるというのはたくや的な照れ隠しの表現で、普通に親子愛ゆえだと思います。
父親が死んだと思っていたら生きているかもしれない。だから目の前に落ちているヒントを辿って追い掛ける。これのどこが動機が弱いのでしょうか。原作ではそのヒントを辿っていった結果、予想だにしなかった異世界へ飛ばされただけで、別に「異世界へ行く!」って思って行ったわけではないです。
ここまでの改変を見てもそうですし、先日の4Gamerのインタビュー記事を見ても思いましたが、やはりこのような心の機微を、アニメ制作スタッフはくみ取れていないような気がします。
こんな人にお勧め
- タイムトラベル、タイムリープものが好きな人
- 異世界ものが好きな人
- 壮大な話が好きな人
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