目次
あらすじ
陸自自衛官伊丹耀司が金髪エルフのテュカとともに北の辺境から戻って数日―。伊丹が偶然にも北で見つけた「ガラス」のおかげで『門』を造る材料が揃い、特地アルヌスでは、魔導師レレイが中心となり『門』の再建が本格的に始動した。ところが、『門』開通を快く思わない何者かによる妨害工作が頻発し、作業は遅々として進まない。揚げ句、物流拠点であるイタリカで、更なる混乱を招く事態が起こる。燃料・食糧の底も見え始め、いよいよ危機感を募らせていく自衛官達。まさに絶対絶命の状況下、それでもレレイは諦めずに『門』開通の道を探るが―。超スケールの異世界エンタメファンタジー!大人気の外伝シリーズ、ついに完結!
長所と短所
- ○一応これにて完結
- ○レレイの過去が明らかになる
- △謀略が多い
- △余韻があまりない
はじめに
今回レビューするのは、柳内たくみさんの『ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 外伝4 -白銀の晶姫編-』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
レレイの過去が明らかになる
このでははやっとレレイがヒロインになりました。外伝の1巻ではピニャ。2巻ではテュカ。3巻ではロゥリィが主人公というか、完全に1人だけのヒロイン的立ち位置になっていたので、これでやっと主要キャラの3人+ピニャが、それぞれ1巻ずつヒロインを勤めたことになります。全員にスポットライトが平等に当たったのでスッキリしました。
まあ、あとはヤオがいるのですが、これは現在読んでいる外伝5巻で、半分ほどの本当の外伝であり、短編で主人公になっています。登場の仕方や話の流れ上、どうしてもヤオはこの3人+ピニャから1段扱いが落ちてしまいますね。私はヤオの「此の身は~」との言い方が凄く好きなんですけどね。
ただ、外伝1巻のピニャ、2巻のテュカのような冒険譚でもなければ、外伝3巻のロゥリィのように、派手な戦いや劇的な過去があるわけではありません。魔道士、賢者のキャラクター上、どうしても研究室に籠もって研究や作業をするシーンばかりなので、これまでのような爽快感や物語上の動きはあまりなく、退屈に感じる方もいるかもしれません。個人的には、レレイも伊丹と一緒に冒険して欲しかったかなと思いますが、そうすると今までと同じような話になっちゃいますからね…。難しいところです。
ちなみに、肝心のストーリーですが、閉じてしまったゲートを開くため、レレイが四苦八苦するという物です。当然、ゲート開通には快く思わない人間もいるわけで。邪魔が入りまくりますが…。そこでその邪魔を防いだり、邪魔されてもなんとか乗り越えたりって話になるので、アルヌスから舞台が移ることはほとんどありませんでした。この辺も『動きが乏しい』と感じた理由です。
謀略が多い
ゲートを邪魔する勢力は、前巻の外伝にポッと出てきたレディでした。このレディは、てっきり前巻だけのスポットキャラかと思ったのですが、この巻では終始邪魔をする謀略の黒幕として登場。出番としては、ピニャやテュカ、ロウリィなんかよりもよっぽど多くて驚きました。
レディがとにかくしつこくゲート開通の邪魔をするので、三歩進んで二歩下がる的展開がずっと続き、この辺はちょっとテンポを悪く感じる部分もありました。
余韻があまりない
この外伝4巻の最後にハッキリ完と書いてありますし、画像の帯にも書いてあるように、これにてゲートの物語は完結のようです。外伝は次巻もあり、一応巻数としては続巻となるのですが、過去に戻って隙間時間を描いているため、正当なゲートの物語はこの巻にて終わりです。もし正当な続きをやるなら、ゲートが再開通してからの話になりますが…やらないでしょうね。やっても多分同じような話になりますし、もう帝国と戦争は終結しているので、テーマである自衛隊活躍の場もありません。万が一あるとすれば、海がほとんど出てきていないので、海の向こうの国と戦争をするか…。
終わり方なのですが、せっかくこちらの世界と特地で時差が生じ、特地で1年半のことが、こちらでは4年たっていたとの話が出たのですが、これについて周りがどうなったかはあまり触れられませんでした。菅原とシェリーの年齢の問題が解決したので、そのあたりのことも少しやって欲しかったかなと。このあたり、終わり方は凄く淡々としていました。
また、この巻のヒロインがレレイヒだったため、テュカやロゥリィやヤオ、ピニャが活躍する場がほとんどなく、なんとも言えない終わり方に…。外伝であり、レレイ1人がヒロインとのテーマ(縛り)が徒になり、主要キャラが置いてけぼりのまま終わってしまいました。
一応これにて完結
前述もしたように、これにてゲートは完結です。本編5巻+外伝4巻ですね。本編とはいっても、その本編5巻では正確には終わっておらず、この外伝4巻まで含めた9冊で1本のゲートの物語でした。外伝5巻も出ているのですが、こちらは本当の外伝で、ヤオをヒロインとした短編、栗林主人公の短編、ピニャの立ち上げた騎士団の奮闘記の3本立てで、完全に外伝といって良い物です。
総評
物語の中途の話なら、謀略が多すぎて爽快感がない物の、これはこれで面白い話ですし、レレイがヒロインで過去のこともわかっったので良しとしたのですが、これで最終巻です、完結ですといわれると、なんというか、「終わった~」感がないと言うか、「え?終わり?」というか…。どうにも消化不良な気持ちになってしまいました。本当に綺麗に終わらせるなら、誰々がヒロインとの縛りをなくし、もう1巻続け、主要キャラそれぞれに活躍の場を与え、スッキリ終わってほしかったというのが率直な感想です。面白いんですよ。レレイの奮闘や工夫なんかがありますからね。でもこれで終わりなんですといわれると、まだやり残した感があり、テュカやロゥリィがほとんど出てこなかったこともあり、終わった感じがしないんです。
とはいえ、アニメで無茶苦茶はまったゲートの続きを知ることができ、ずっと先まで続いていた物語の最後を見届けられて良かったです。アニメのゲートは本編の3巻終盤までなので、小説の6巻分がアニメになっていなかったことになります。アニメは2クールで、しかもかなり詰め込んでいたので、もし続きをやったとすると、単純計算であと4クールの52話必要となります。この分量の私の知らないゲートがあったんですよね。小説を読み慣れないからと敬遠していたら、ずっとこの続きや終わり方を見られなかったわけです。そういう意味では本当に読んで良かったです。
こんな人にお勧め
- ゲートの本当のラストを見たい人
- レレイが好きな人
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