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漫画全話レビュー「めぞん一刻 第117話「弱虫」」

掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1985年12月30日号

 

アニメでは

 

時系列と出来事
  • 1985年12月24日以降 八神いぶき、五代君を諦める

 

この頃の出来事
  • 12月1日 – 森祇晶、西武ライオンズの監督に就任(在任9年間で8度のリーグ優勝を果たしたが、1994年限りで勇退)。
  • 12月1日 – 日本たばこ産業が煙管用たばこ「こいき」を発売(民営化初の新商品第1号)。
  • 12月1日 – 横浜エフエム放送(当時の愛称:FM横浜、現在の愛称:Fm yokohama)開局。エフエム東京系以外で初、かつネットワークを持たない独立民放FMラジオ局第1号。
  • 12月2日 – パイオニアが40型プロジェクションモニター「TVM-400PJ」を発売。
  • 12月2日 – シチズン時計がエレクトロニクス水深計「スポルバ ダイバー デプスメーター」を発売。
  • 12月12日 – アロー航空1285便、DC-8が、カナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州のギャンダー国際空港の離陸直後に失速、墜落。エジプト・カイロから帰国の途にあったアメリカ陸軍第101空挺師団所属248名と乗員8名の256人全員死亡。カナダ国内で発生した最悪の航空機事故。
  • 12月27日 – ローマ空港・ウィーン空港同時テロ事件。19人が死亡。
  • 12月28日 – 第2次中曽根第2次改造内閣発足。
  • 日付不詳 – スーパー銭湯の第1号といわれる「万葉ポカポカ温泉」が富山県高岡市にオープン。

 

あらすじ

今年も好例のクリスマスパーティーを茶々丸で行う一刻館住人たち。何故かそこに八神も参加。五代君が職場の同僚との付き合いで遅れる中、八神は響子さんにズケズケと質問して悩ませます。その後、担任に響子さんの前夫への気持ちを聞き、響子さんの気持ちの強さに身を引き、最後にライバルである響子さんを励まし、そして五代君の前から姿を消します。

 

 

みどころ

  • 八神退場

 

はじめに

遂に来てしまいました。そう、八神の退場です。最後にエピローグ的な形で1コマ出てきますが、物語中八神が登場するのはこれが最後でもう2度と出てきません…。凄く悲しいです。もの凄く良いキャラで大好きでした。しかし八神がいつまでもいたのでは、五代君と響子さんの決着は付きませんからね。どこか物語の途中で退場させるのは必然だったので、こうやってきちんと気持ちに決着を付けて退場させたのは、中途半端にならずに良かったです。

 

茶々丸でクリスマスパーティー

今年もやってきた好例の茶々丸でのクリスマスパーティー。五代君が入院している時は、茶々丸でのパーティーに一刻館住人は参加しませんでしたが毎年の恒例です。ここでは何故か一刻館住人でも、いつもの商店街のおっちゃん連中でもない八神が当たり前のように参加し、しかも高校生がお酒を飲んでいました。四谷さんに家庭教師をして貰っているので、この頃の八神は自由自在に一刻館に行く理由が出来たので、そこでこのパーティーのことを聞きつけたのでしょうね。

 

 

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絡む八神

お酒を飲んでいるせいもあるのか、今回の八神はいつも以上に響子さんに絡み、そしていつも以上にズケズケと響子さんの気持ちを聞いてきます。八神は五代君や一刻館住人ほど、響子さんが惣一郎さんのことを忘れられずに苦しんでいることを知りませんからね。そしてこずえちゃんとは違い、響子さんにライバル心もあるので、今まで登場したキャラでは聞けなかった響子さんへの質問をどんどんしてしまいます。それでどれだけ響子さんが悩み、葛藤しているのか知らずに…。

 

響子さんもお酒を飲んで少し酔っていたからか、八神の難癖に対し、ポロッと本音を言ってしまうシーンもありました。しかし八神は前述したように、響子さんの事情を知らないので意味が分からずポカーンです。これがのちに担任から事情を来たとき、八神が言い過ぎたと思う伏線ですね。知らずに傷付けていたのだとあとから知ってしまいます。

 

八神は響子さんの事情を知らなければ、自ら身を引くことはなかったのでしょうね。知ってしまった以上、響子さんの思いの強さを嫌でも理解してしまい、自分の恋に恋する軽さでは対抗出来ないと思ったのだと思います。こうやって大人になっていくのでしょう。…普通はね。ただ、八神の場合は最後…ねえ。

 

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弱虫

今回のサブタイトルは「弱虫」なのですが、この話の中、実は2回弱虫と八神が言っていることを忘れている人もいるのではないでしょうか。この2回言うことも重要です。2回タイトルの言葉を言わせるのは、初期の一の瀬さんの「納得しました」でもそうでしたね。あれと同じで、1回目と2回目では意味が違います。

 

一の瀬さんの納得しましたの場合、1回目は響子さんの母律子さんに騙され、律子さんの言い分に対して「納得しました」と言い、2回目は響子さんの言い分が正しいことが分かり、前言を撤回し、響子さんの言い分に「納得しました」でした。両方一言一句同じ言葉なのに、言っている意味はまるで違いました。今回もこれと同じような形で、1回目の「弱虫」は、茶々丸でお酒に酔った八神が、響子さんを”罵倒”する意味での「弱虫」です。そして最後に八神が響子さんに言った「弱虫」は、事情を知った八神が”叱咤激励”の意味での「弱虫」でした。こちらもやはり一言一句同じ「弱虫」との言葉なのに、言っている意味がまるで違うのです。最後の八神退場の際の弱虫との言葉が印象に残っていて、茶々丸の前振りっである「弱虫」は、結構聞き流している読者もいるかも知れません。この弱虫との言葉の使い方、込められた意味の変わり方は面白いです。

 

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そしてもうひとつここで触れなければならないのが、八神はお別れを五代君に言っていないことです。ある意味、八神はお別れを響子さんに言って、そして退場していったのです。普通、これだけ五代君好きとアプローチしていたのですから、五代君にさようならを言う、もしくはそうとわかるシーンで退場させるのが一般的な流れだと思います。しかし八神は実際どうだったかと言うと、このように響子さんを叱咤激励して五代君の前から消えました。

 

このことからも、何回か書いてきましたが、八神の役割が「響子さんを動かしてあげること」だと言うことがおわかりいただけると思います。五代君五代君と八神は言っているので見失いがちなのですが、八神の役割はあくまで、それまでテコでも動かなかった響子さんの気持ちを動かしてあげることなんです。これはこずえちゃんでも無理、三鷹さんでも無理、当然他の人でも無理でした。八神にしか出来ない役回りで、これこそが八神の存在意義だったんです。

 

おわりに

遂に…遂にこれで八神が作中から消えてしまいました。この先、八神のことが語られることもなく、最後のエピローグ的1コマ以外、1コマたりとも出てこない完全退場です。未だにこの話を読むと切なくなり、八神の退場に待ってくれと思ってしまいます。八神が引っ掻き回す話は、典型的なラブコメで最高に面白かったのですけどね。

 

本来ならこの五代君、響子さん、八神の面白三角関係でラブコメ物を1本書き上げても良いくらい、関係性としっかりした人物描写が出来ていたと思います。ところがめぞん一刻は、この完成された世界を、初期のコメディと終盤のラブストーリーの中継ぎとして入れてくるんです。その物語の厚みには驚きます。めぞん一刻は1粒で3度美味しい話だと過去に書いたたことがありますが、それはこのような完成された別個の作品が3つ(初期のコメディ、中盤のラブコメ、後半のラブストーリー)入っている作品だからなんです。

 

そして賞賛すべきは、登場人物にきっちりケリを付けさせる退場の仕方です。この先もどんどん登場人物の人生に決着が付いていき、それぞれの道を別々に歩み始めるのですが、その際、全ての主要登場人物に最終回を用意しているのです。ここまできっちり全ての登場人物に最終回を与えた漫画は未だ記憶にありません。

 

長期連載物…と言うには15巻は微妙ですが、登場人物の数は少なからず出てきたわけで、他の漫画だと、あの人はどうなったの的な自然消滅、フェードアウトが少なくありません。それだけに、全ての登場人物に最終回と綺麗な退場シーンを与えためぞん一刻は異例で、モヤモヤする感がまるっきりありませんでした。

 

とは言ってもやはり大好きなキャラなので、八神の退場には後ろ髪を引かれます…。もっと八神の引っ掻き回す話を見たかった気はするのですが、めぞん一刻はテンポ良く進むことも魅力なので必然だったのでしょう。八神はこのあとどうやって五代君を我慢したんでしょうね。その辺りの最終回後日談(結婚式2日前の話)は、オリジナルではありますが、劇場版の完結篇に八神が出てきます。物凄く絵に違和感は感じますが…。

 

 

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