目次
あらすじ
1988年02月03日放送。
やっと一刻館へ帰る気になった響子さん。その道すがらこずえちゃんと偶然会い、五代君と朱美さんが、ラブホテルから出てきた話を聞いてしまいます。途中茶々丸に寄り、朱美さんに事情を聞くのですが、朱美さんも核心を言わないので、どんどん疑惑が膨らんでしまい、連絡を貰って駆けつけた五代君と喧嘩をして、茶々丸を飛び出して行ってしまいます。
追いかけて事情を説明する五代君。信用できない響子さん。そして遂に五代君は真正面から響子さんに告白します。
一方その頃こずえちゃんは、偶然電車で会った四谷さんに、五代君と朱美さんの件が誤解だったと知らされます。こずえちゃんは五代君のバイト先のキャバレーへ行き、これまでのことを色々話し、遂に五代君と別れることになるのでした。
二階堂ではなく四谷さんがこずえちゃんの誤解を解く
こずえちゃんと電車で偶然会って、五代君と朱美さんのラブホテルから出てきた話の誤解を解くのは、原作漫画では二階堂だったのですが、アニメでは二階堂が存在しないので、四谷さんになっていました。
しかし四谷さんは最後まで謎でした。職業どころか下の名前すら一回も出てきませんでしたからね。しかも今回は英字新聞を読むという謎っぷり。
切ない別れ
このエピソードは個人的には作中最も切ない話として観ているかもしれません。と言うのも、こういった「嫌いじゃないのに別れる」事って、人生であるんですよね。勿論男女に限った話ではなくです。
中学、高校、高校卒業後もずっと仲良く遊んでいた親友と、就職して時間がなくなって。結婚したり、子供ができて家庭を優先しなければならなくなって。引っ越して物理的に距離が離れて。なんて理由で、喧嘩別れしたわけではないのに、自然と会う時間が減っていき、いつの間にか会わなくなり、そして多分もう一生会うことはないんだろうなと言う別れ。こんな事は30歳も過ぎた頃になると、誰しも経験しているんじゃないでしょうか。
こずえちゃんとの別れは、自分のこういったことを思い出して切なくなるんです。五代君とこずえちゃんも嫌いで別れたわけでもなければ、喧嘩して別れたわけでもありませんからね。しかしこの別れで、おそらく五代君とこずえちゃんは、もう一生会うことはないでしょう…。こずえちゃんは名古屋に引っ越しちゃいましたからね。ただ、こずえちゃんの実家が一刻館からそれほど遠くないので、帰省した時に会う可能性はゼロではないものの、五代君と響子さんは、数年もすれば一刻館から引っ越すでしょうし、面積的に狭いと言っても、東京は人口が1000万人ですからね。偶然会うこともないでしょう。
何気なくこずえちゃんがタクシーに乗ってサヨナラをするシーンですが、あれはいつもの日常の話なら、なんでもないただの一シーンなのですが、この話に限って言えば、おそらく今生の別れのシーンなんですよね…。それを思うとウルッときちゃいます。男女の仲ではないにしても、四年も五年もずっと仲良く遊んだりした仲なのは間違いないわけですから。
作中一番の名言かも
茶々丸で朱美さんが響子さんに掛ける言葉が名言過ぎます。
このシーンはめぞん一刻ファンなら、誰しもが名シーンであり名言であるとの意見に異論はないでしょう。めぞん一刻の魅力の一つに「テンポの良い会話の応酬」があるのですが、もう少し掘り下げてみると、その台詞に無駄が一切なく、必要な情報をめいっぱい詰め込んでいるんです。この朱美さんの名台詞も、一切台詞に削る部分がなく、この文字数の中に最大限の情報が詰まっているんです。
そして何より心に残った理由としては、観ている者がずっと響子さんに対して思っていたことを、そのままストレートに言ったからでしょうね。ここまで通常の漫画版で14冊分。アニメで92話分。観ている者がずっと響子さんに言いたいと思っていた言葉です。
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「ろくに手も握らせない男のことで、泣くわわめくわ、どうなってんの。」
「あんたみたいな面倒臭い女から、男とるほど、あたし物好きじゃないわよ。バカ。」
う~ん…痺れる…。朱美さん素敵すぎる。
さらに朱美さんの台詞が良かったのは、喧嘩して感情的になって出たような、投げやりな台詞ではないって事もあります。あくまで冷静に、妹を諭すような余裕のある台詞回しが最高でした。これはアニメになって良かったことで、感情的ではなく、抑揚のないトーンで、朱美さんの大人の余裕も見て取れるので、声優の三田ゆう子さん(うる星やつらの弁天様)の力量でもあるんでしょう。
ラブホテルのエピソードは丸ごとカット
原作漫画では、五代君が響子さんに告白するのはラブホテルの前であり、そして失敗との流れなのですが、アニメではこの流れが完全にカットされていました。しかしまあ夜7時半放送のアニメですからね。非常に残念ではありますが、これは致し方がないのかなと。
とは言え、この五代君と響子さんが、一回失敗するとのエピソードも、別に読者サービスを入れたとか、そんな事ではなかったんです。きちんと大きな意味があったんです。
五代君と響子さんの最大の障害は何かと言えば、それは三鷹さんでもなく、五代君の就職問題でもなく、もっと言えばお互いの性格や言動でもなく、「惣一郎さんの影」なんです。その惣一郎さんの影をこの二人がどう乗り越えていくのか。これが五代君と響子さんのテーマであり、もっと言えばめぞん一刻のテーマとも言えるんじゃないでしょうか。
今までの話の中にも、「死んだ人は無敵」とか、「好きなまま死んでしまった」とか、「これでは好きな人が二人になってしまう」なんて台詞や描写がありました。ここまで散々「惣一郎さんを引きずる響子さん」を描いてきたので、この大問題に完全に決着を付けないと、このめぞん一刻の物語は終われないんです。これを無視したまま五代君と響子さんがくっつくことはあり得ないんです。なので、一度この失敗で、その惣一郎さんの影の問題を表に引っ張り出し、そしてそれを乗り越える過程を観ている者にわかりやすく提示する意味で、この失敗は物凄く重要だったんです。
アニメでも次回に惣一郎さんの影が出てはくるのですが、一回失敗したこの話がなくなってしまったので、その重み、そして乗り越えたときの達成感が薄くなってしまいましたね。
動きが滑らか
今回の話は、何故かアニメーションが、劇場アニメのように、ヌルヌルと凄く滑らかに動きました。特にわかりやすかったのが、茶々丸で髪の毛を弄る朱美さんでしたね。重要なエピソードなのでスタッフが気合いを入れたのでしょうか。
その代わりというのも変ですが、また目が小さくなっていましたが…。
原作漫画では
五代君と響子さんだけ
今回、こずえちゃんが退場したことにより、遂にめぞん一刻に登場する主要キャラで残っているのは、五代君と響子さんの二人だけになってしまいました。八神が響子さんを叱咤激励し退場。三鷹さんと明日菜さんは婚約して退場。そして今回こずえちゃんが結婚を決めて退場してしまいました。遂に残るは二人だけですよ…。寂しくなりました。
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