漫画全話レビュー「めぞん一刻 第151話「好きなのに…」」 5/5 (2)

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1987年2月9日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1986年10月11日 五代裕作、響子さんとラブホテルに入る
  • 1986年10月11日 七尾こずえ、五代君に会いに来る

 

この頃のでき事
  • 2月1日 - この日限りで国鉄広尾線(愛国駅と幸福駅が有名)が廃止。
  • 2月2日 - ピジョンが赤ちゃん専用の電子体温計「チビオン」を発売。
  • 2月9日 - NTT株が上場。財テクブーム。
  • 2月10日 - 厚生省はエイズ予防で血友病患者に特例措置決める。
  • 2月22日 - 先進7カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)開催(ルーブル合意)。
  • 2月23日 - 超新星 SN 1987A が観測される。肉眼で見られる超新星の発見は1604年以来。また、超新星爆発によるニュートリノが初めて観測された。
  • 2月23日 - 公定歩合が2.5%と当時としては戦後最低に。

 

あらすじ

響子さんに遂に告白した五代君。意地を張るのにも疲れ、体を合わせれば楽になるのかなとラブホテルに入ります。しかし部屋での会話中、犬の惣一郎さんの話が出たことで、五代君は亡夫惣一郎さんを思い出してしまい、何もできずに終わってしまいます。そして、落ち込んでキャバレーのバイトへと向かった五代君の前に、振られたはずのこずえちゃんが現れます。

 

みどころ

  • 五代君と響子さんのチャレンジ失敗
  • 惣一郎さんの陰

 

はじめに

五代君と響子さんが結ばれそうになるも失敗する話です。中学生や高校生の恋愛物ならまだしも、20代中盤の恋愛物ですからね。結婚がゴールなのがめぞん一刻ですからここは避けて通れません。

 

ラブホテルに入りました、時間がたちました、そして結ばれました。このように、肝心の部分を省略することもできるのですが、敢えてリアルにこの部分をやったのは良かったです。時間にして5年この2人を見ているわけですからね。この現実的な部分を飛ばされてしまうと、一気にめぞん一刻の世界観が嘘くさくなってしまうと思います。超現実的な結婚をゴールに設定しているので、この辺りはとことんリアルで良いんです。

 

 

楽になりたい響子さん

五代君に告白された響子さんは、偶然目の前にラブホテルがあったことにより、そのまま五代君とラブホテルに入るのですが、理由は意地を張るのに疲れたから、楽になりたいからでした。確かに、今までの響子さんと五代君の関係、くっつきそうでくっつかない遣り取り、誤解から招く事件を見ていると…疲れますよね。そもそも響子さんが五代君を好きと認められなかった理由は、新しく好きな人ができてしまうと、惣一郎さんへの想いが嘘になると言う自分ルールに縛られてのことです。

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五代君の本当のライバルは惣一郎さん

ラブホテルに入った2人ですが、いざこれからって時に、響子さんから「(茶々丸に置いてきてしまった犬の)惣一郎さんが気になるから…」との言葉が。これを五代君は「(亡夫の)惣一郎さんが気になるから…」と受け取ってしまいます。こんなところでもめぞん一刻の勘違いパターンが炸裂するとは…。響子さんも配慮が足りないと言うか、またしても言葉が足りないと言うか…。

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これはアニメ全話レビューでも書いているのですが、五代君の本当の恋のライバルは惣一郎さんです。現実に生きている人間として、三鷹さんと火花を散らす三角関係を展開してきましたが、実は最大の恋のライバルは三鷹さんではなく、今は亡き惣一郎さんなんです。ここからの話ではそれがハッキリとわかるシーンがいくつか出てきます。今更ですが、三鷹さんが恋のライバルと言うには若干力不足でした。細かく読んでいくと、響子さんには最初から最後まで三鷹さんにその気が無かったのがわかります。そのような意味でも、既に亡くなっているとは言え、響子さんの気持ちが向いている惣一郎さんの方が、よっぽど五代君が乗り越えなければならないライバルであり、また乗り越えなければならないのは響子さんも一緒なんです。

 

そしてここで五代君は、響子さんの中に未だに存在するかも知れない惣一郎さんショックを受け失敗です…。いくら大人のラブストーリーだとは言っても、ここまで徹底的にリアルに描いてくるとは思いませんでした。大人のラブストーリーだからリアルに描いてくるんだろうなあとは思っていた物の、それ以上のことをやってきてビックリです。

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こずえちゃん現る

亡き夫の惣一郎さんのことを考えて失敗した五代君は、とぼとぼバイト先のキャバレーに行くのですが、そこには五代君に愛想を尽かしたはずのこずえちゃんが…。偶然会った二階堂にラブホテルの件の事が誤解だと聞かされたので会いに来たんです。今まで何を言っても暖簾に腕押しで話が通じず別れられなかったので、またしてもここでこずえちゃんが五代君と寄りを戻しに来て一騒動かと誰もが思ったはず。ところが…ね。

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総評

いやあ…今回はいくら青年漫画誌のビックコミックスピリッツとは言え、そこまでリアルに描くかってくらい、五代君と響子さんのベッドでの失敗を描いていましたね。そして最後に立ちはだかるのは…惣一郎さんだったんです。今まで三鷹さんとわかりやすい火花をバチバチ散らして、響子さんを奪い合っていたので忘れがちなのですが、響子さんの心の中には惣一郎さんと五代君が存在しているわけですから、最終的にこうなるのは必然でした。

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