アニメ全話レビュー「めぞん一刻 第91話 「響子ガク然!朱美と五代は意外な関係?!」」

あらすじ

1988年01月27日放送。

 

一刻館に代理の管理人が就任したと聞いて焦る響子さん。気になって一刻館へ様子を見に行き、代理の管理人が五代君と知り、一安心してまた実家に戻ってしまいます。

 

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一方五代君はその夜、キャバレーのバイト中に朱美さんから電話で呼び出され、ラブホテルの支払いをしに行くのですが、偶然そこから出てくるところをこずえちゃんに見られ、見事にふられてしまいます。

 

管理人業務で忙しく、響子さんを迎えに行けない五代君に代わり、一の瀬さんが響子さんを説得しに行き、こずえちゃんへのプロポーズが誤解であること、そしてこずえちゃんと別れたことを響子さんに伝えます。遂に一刻館へ帰ることを決意する響子さん。しかし一刻館へ帰る途中、こずえちゃんと会ってしまい、五代君と朱美さんのことを聞かされ…。

 

 

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五代君の家出と対になっている話

この話は、初期に五代君が一刻館から家出する、第30話「エッ響子さん結婚!? 五代君涙の引越」第31話「一刻館スキャンダル五代君が同棲中!?」の話と対になっています。最初から高橋留美子さんがこうしようと考えていたとは思えませんが、今回の響子さんの家出話を考えたときに、「これは使える」とその話をトレースしたのではないでしょうか。

 

五代君の場合は、響子さんと三鷹さんが結婚するとの勘違いで家出をしました。響子さんの場合は、五代君がこずえちゃんにプロポーズをしたと勘違いして実家に戻りました。

 

道すがら取り敢えず寄ってみた場所も茶々丸で同じでしたし、そこにいたメンツも全く同じでした。

 

戻れないと焦った理由も、五代君の場合は、響子さんから聞かされた嘘が原因で、全ての空き部屋が埋まったと思ったことでした。響子さんの場合は、音無のお爺さんから聞いた代理の管理人の就任でした。

 

そして誤解が解けた理由は、五代君の場合は茶々丸のマスターから、響子さんの場合は一の瀬さんから真相を聞いたことでした。両者とも第三者から真相を聞いた流れでしたね。

 

このように、五代君の家出と響子さんの家出は見事にシンクロし、対の話になっているんです。纏めると以下のような感じですね。

 

 

五代君(第30-31話)の場合 響子さん(第90-91話)の場合
家出の切っ掛け 勘違い(響子さんと三鷹さんが結婚) 勘違い(五代君がこずえちゃんにプロポーズ
家出した場所 新たに借りたアパート(大宇宙ホール) 実家(高嶺ハイツ)
帰りたくて寄った場所 茶々丸 茶々丸
茶々丸にいたメンツ 一の瀬さん、四谷さん、朱美さん、茶々丸のマスター 一の瀬さん、四谷さん、朱美さん、茶々丸のマスター
戻れないと思った理由 戻る場所がないと勘違い(五号室含め全室埋まってしまった) 戻る場所がなくなると勘違い(代理の管理人が就任してしまった)
誤解が解けた理由 第三者から聞いて(茶々丸のマスター) 第三者人から聞いて(一の瀬さん)

 

この対になる話は見事でした。じっくりめぞん一刻を見ている人からすると、五代君と響子さんの人物が入れ替わっただけで、同じような騒動を起こしているので、ニヤッとしちゃうんです。

 

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ちなみに響子さんの実家のマンションは「高嶺(たかみね)ハイツ」なのですが、これって響子さんは「高嶺(たかね)の花」と掛けてるんですかね。

 

たかね‐の‐はな【高嶺の花】
ただ見ているばかりで、手に取ることの出来ないもののたとえ。

広辞苑 第六版 (C)2008  株式会社岩波書店

 

危険な言葉が一杯

今回は朱美さんのラブホテルの話が誤解の大元であり、こずえちゃんにふられる切っ掛け、響子さんが帰る切っ掛けなので、ここは外すことが出来ず、夜7時半のお茶の間に放送していたアニメとしては、ギリギリの言葉がありました。

 

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この様な際どい言葉は放送していますし、朱美さんのラブホテルもやるのですが、のちの五代君が響子さんに告白する際のラブホテルエピソードはやらないんですよね。

 

言い回しが面白い

朱美さんの冗談、「やっちゃうよ」関連での言い回しが面白い回でもありました。

 

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「朱美さんの場合、冗談を実行したりするから。」。これなんて個人的には物凄く気に入っているフレーズです。

 

一の瀬さんや四谷さんや朱美さんは、物事の核心をズバッと一言で表したり、流れるような会話で言ったりするので、面白くて心に残るんです。これこそがめぞん一刻の特徴である「会話のテンポの良さ」なんです。会話に削るところがないんです。全てが必要な会話であり合理的で、読んでいて頭の中に流れ込んでくる感じがするんです。こういった会話はめぞん一刻で数え切れないくらいあって、これだけの頻度の会話を全て計算して出来るとも思えないので、おそらく高橋留美子さんの才能でありセンスなんでしょう。

 

この会話のテンポの良さ、素晴らしさは、他の高橋留美子作品でも見られるのですが、その質の高さと多さでは、このめぞん一刻が断トツです。会話を読んでいる、観ているだけで「気持ちが良い」んです。会話を読んでいる、観ているだけで気持ちが良い漫画アニメって他に記憶がありません。

 

朱美さんはラブホテルで一体何を…

ところで、朱美さんはラブホテルでなにしていたんでしょう…。

 

このあと茶々丸のマスターとあっさり結婚するので、この時に本気で付き合っていた人がいたとは思えませんし、どうも朱美さんの言動からして、単なる遊びなのか…。

 

で、ここで頭を過ぎるのは、「まさか朱美さん売春してた?」だと思うのですが、多分これはないです。何故かと言うと、もしこれが売春だったとしたら、相手の男性からお金を貰うわけで、「お金がないから五代君迎えに来て」となるのはおかしいんです。売春でお金を貰っていたら、お金が足りなくて五代君を呼ぶなんてことはないですからね。とは言え、物凄く軽い女の人だとは思いますが。

 

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ちなみに、原作漫画であった「一発やってく?」はアニメではカット。さすがにこれは放送に乗せるの無理でしたね。しかし一歩間違うと、朱美さんとくっつくルートも五代君にはあったのかも知れません。作中三回キスしていますからね。そして朱美さんの場合、一の瀬さんも言うように、冗談を実行する性格なので…。

 

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遂にこずえちゃんにふられた

五代君は、偶然朱美さんとラブホテルから出てきたところを目撃され、めでたく(?)ふられたわけですが、この終わり方はさすがにしんどいです。男女として付き合っていないとしても、四、五年仲良くしてきた友人ではあるわけで、その友人とこんな最悪の別れ方をするのはなんかねえ。

 

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五代君が誤解を解いて、もう一回ちゃんと別れ話をしたいとの気持ちも分かります。ただ、一の瀬さんと朱美さんが言うように、「どうせ別れるんだから蒸し返すんじゃない」、「綺麗に別れたいなんてムシが良すぎる」との意見も最もなんです。それと、この五代君とこずえちゃんの別れ話に、四谷さんが絡んでおらず、女の一の瀬さんと朱美さんのみがアドバイスをする構図も好きです。四谷さんが入ってきたら、恋愛話でこういう真面目なアドバイスの方向に進みませんからね。そこはこずえちゃんの気持ちが分かる女の人が、まともなアドバイスをする方が理に叶っていてすんなり聞けました。

 

ちなみに、アニメのこずえちゃんは、この時まだ銀行に勤めておらず大学四年なので、銀行ではなく自宅で五代君からの電話を受け取っていました。しかしやはりこずえちゃんも話を聞かない…。

 

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響子さんとこずえちゃが会ってしまった

響子さんが帰りにこずえちゃんと会ってしまいましたが、ここでこずえちゃんに会わずにそのまま帰れれば、何も問題なかったんですけどね。そうは問屋が卸しませんでした。

 

また、ここでも勘違いの会話が面白くて、こずえちゃんは朱美さんのこと(五代君の好きな人)を言っているのに、響子さんは自分のこと(五代君の好きな人)を言っていると思い、お互い違和感なく途中まで会話が進むんです。全く同じ会話をしているのに、心の中で思っていることが違う。こういう勘違いもめぞん一刻の特徴ですね。

 

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伏線が上手い

ところで今回は凄く伏線が上手いんです。Aパートで響子さんが一刻館の様子を見に行くときに、茶々丸に寄っていましたが、ここで朱美さんが冗談とは言え、五代君と「やっちゃおうかな」と言ったことが、最後のこずえちゃんの目撃情報を、響子さんが信じてしまう結果に繋がっているんです。

 

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この朱美さんの冗談がなかったら、おそらくこのこずえちゃんの話を聞いても信じていなかったでしょう。少なくとも話半分にこの時は聞き、ちゃんと五代君に事情を聞いていたかも知れません。ところがこの朱美さんの冗談を先に聞かされていたことにより、朱美さんならやりかねないと思ってしまったんです。なにせ朱美さんは一の瀬さんが言うように、冗談を実行する人ですからね。

 

原作漫画では

 

最後の難関

三鷹さんが退場した時点で、もう五代君と響子さんがくっつくのは明白なのですが、本当に素直に問題が解決しません。三鷹さんが退場したらそのまますんなりゴール一直線でも、話としてはおかしくないですし、問題ないのですが、そうは上手く纏めず、いくつもいくつも難題を用意して、観ている物に「まさか…な」と思わせるハラハラさせる展開は心憎いばかりです。

 

本来、三鷹さんが退場した時点で一直線に話が終わってもおかしくない展開だった話を、ここから何回も何回も観ている物を楽しませてくれるなんて、有り難いとしか言いようがないです。さらにこの延長戦とでも言う話は、めぞん一刻の特徴である、「勘違い」、「すれ違い」、「テンポの良い会話」が盛りだくさんなので、最後の最後にめぞん一刻を思う存分味わえるんです。 とは言え、この朱美さん問題で遂に最後の難関は終わりです。この問題が解決したらあとはゴール一直線です。

 

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