「まだ結婚できない男/国内ドラマ」レビュー ~なぜ今ひとつだったのかを考える~

今回レビューするのは、国内ドラマの『まだ結婚できない男』です。

 

それでは早速レビューを書いていきたいと思います。

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未視聴の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。

 

あらすじ

建築家の桑野信介は、前作で良い関係になりつつあった早坂夏美とは破局し、53歳になっても「まだ結婚できない男」だった。

 

そんな中、正体不明の「やっくんのブログ」で自身のことを酷評され続けたことから、そのブログを止めさせるために、弁護士で独身を続けている吉山まどかに法律相談することになる。

 

長所と短所

  • ×吉田羊の演技は『怒』の表現が強すぎる
  • ×お隣さんに可愛さがない
  • ○稲森いずみが美人
  • ○姪が可愛い
  • ×無駄なキャストが多い
  • ×女子会が多い
  • △ストーリーが前回を微妙に変えているだけで目新しさがまるでない
  • ○一部良かったエピソードもある

 

感想

※はじめに

サブタイトルからもわかるように、私は今回の『結婚できない男』の続編『まだ結婚できない男』は失敗だったと思ってます。ネットニュースや視聴率を見ても概ね失敗と思われている方が多いようです。

 

今回は『何故失敗したのか』に焦点を当てた記事になるので、このドラマを凄く楽しく観ていた方で、ネガティブな意見は聞きたくないと言う方は読まない方が良いかもしれません。このようなネガティブな記事を書くと、どんなに丁寧に描いても罵詈雑言を貰うことがままあるので…。それがこのブログのコメント欄を閉じた理由です。

 

念のために書いておくと、面白いと思った方を否定する気は全くありません。どんな高評価な映画やドラマでもつまらないと思う方もいるので、エンターテインメントの評価は人それぞれです。そして、たまたまあまり面白く思わなかった私の意見もあったと言うだけです。

 

前置きはこれくらいにして本題に入りたいと思います。

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×吉田羊の演技は『怒』の表現が強すぎる

吉田羊さんに何の恨みもありません。好きでも嫌いでもありません。ただ、吉田羊さんはこの結婚できない男のヒロイン役、阿部寛の相手役としては明らかにミスキャストでした。

 

前作のヒロインの夏川結衣さんのキャスティングは絶妙でした。怒っている中にもかすかな笑いの表情や演技が入り、「ああ、この人は本気で怒ってないんだな」、「呆れているんだな」と言うことが、その表情や演技から見ているこちら側に伝わってきました。本気で怒っていないからこそ、こちらは阿部寛さんと夏川結衣さんとの喧嘩を見て笑えたんです。

 

しかし、今作の吉田羊さんは喜怒哀楽の『怒』の成分が強すぎます。前作の夏川結衣さんが怒り7笑い3だとしたら、怒り9笑い1くらいでしょうか。シーンによっては怒り10に見えることも…。阿部寛さんが捻くれたことを言い、それに相対するヒロインが反論する。このヒロインが本気で怒っているように見えては笑いの成分がなくなってしまいます。コメディドラマとして成立していないんです。ただ単に本気で怒っている吉田羊さんを見るだけに…。

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阿部寛さんと夏川結衣さんの掛け合いは「呆れてるw呆れてるw」と笑えたんですけどね。今作はこれがないんです。「うわあ、本気で怒ってるよ」となってしまうんです。この差はいかんともしがたいです。阿部寛さんの相手役の演技が変わるだけでこうも可笑しさがなくなるもんなんだなと驚きました。

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ちなみに、吉田羊さんを責める気はありません。キャスティングした人が悪いです。何故ってそりゃあ役者にも特徴や個性があるので、自分の範囲外の演技をしろと言っても無理だからです。特に阿部寛さんと掛け合いをする相手役は、前作のようにちょっとした表情や呆れた笑いで感情を表現することが求められるので、演技ではなく素の表情の造りなんかも重要なはず。そうなると演技からは外れてしまいますからね。

 

簡単に言うと吉田羊さんは怒っているときの表情が怖いんです。これが致命的に阿部寛さんと喧嘩する役どころに合っていませんでした。

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×お隣さんに可愛さがない

前作のお隣さんは国仲涼子さんでした。こちらも夏川結衣さんと同じく可愛らしかったです。阿部寛さんに呆れつつも付き合っていて、ちょっと良い人かななんて思って迷ったり。しかし、今作のお隣さん深川麻衣さんは表情も演技も硬いです。

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後から知りましたが、元乃木坂46のメンバーだそうで、こちらも吉田羊さんと同じく、好きでも嫌いでもないと言うか、このドラマで始めて認識しました。

 

女優設定も無理があるように思います。お隣さんのプライベートシーンだけではなく、女優として活動しているシーンも当然あるのですが、映画やドラマの中での女優設定、そしてその女優の仕事している演技って、通常の演技よりかなり難しいと思うんですよね。

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既にドラマの中で女優をやっているのに、更に劇中劇で女優に見えなければ駄目なわけで…。女優を演じつつ、その女優が女優をやっている二重構造のような複雑なことに…。これって相当演技がないと白けてしまうパターンで、さすがに深川麻衣さんは女優に見えませんでした。

 

なにもこんな難しい役どころを元アイドルで演技の経験も少ない人にやらせることもないのに…。これも深川麻衣さん自身の問題ではなくキャスティングした人が悪いです。もしくは女優設定にした脚本、設定が悪いです。せめて女優役でなければもっとマシだったはず。

 

○稲森いずみが美人

主要な女性登場人物は、前述の吉田羊さん、深川麻衣さん、そして稲森いずみさんの3人です。そして、この稲森いずみさん無茶苦茶美人ですね…。久々に見たのですが、スタイルも良くて顔もシャープで涼しげな美人でびっくりしました。調べたら47歳だそうですが綺麗すぎてびっくりしました。

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稲森いずみさんの役どころは前作で言うと高島礼子さんですよね。阿部寛さんの変な言動を指摘して止めてあげる、修正してあげる。そして距離的にはヒロインやお隣さんよりはある感じ。ただ、今作ではこの稲森いずみさんが1番阿部寛さんに好意を持っていたような様子。

 

立ち位置としてはよく行く喫茶店の店主という微妙なところですが、このキャスティングは個人的にはアリでした。

 

○姪が可愛い

キャスティングで良かったところは、単純な理由ですが姪の平祐奈さんが可愛かったこと。ちなみに、稲森いずみさんでも可愛いとか美人と書きましたが、なにも外見的なことだけではなく、演技含めてかわいらしいと言うことです。コメディドラマなので、吉田羊さんのようにプリプリ怒っているようにしか見えない人だとやはり見ていて笑えないんです。

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顔や表情、演技に柔和な部分があったり、性格に抜けたところがあって、女性、男性問わず可愛らしい部分がないと、コメディとして成立しないので、メイドの話なんかは良かったです。

 

吉田羊さんももう少しでこうなりそうなエピソードはあったんですけどね。親と喧嘩していつまでも電話できずにいた話です。あそこはもっと吉田羊さんの抜けた部分が見えるとまた違ったはずなのですが、こんなわかりやすく吉田羊さんをある意味バカに見せる話ですら、全てに対して怒っているようににしか見えず…。

 

×無駄なキャストが多い

キャスティングミスを指摘してきましたが、その他モブとは言えない、しかし主要キャストとは言えない登場人物が多すぎて渋滞しています。

 

具体的には吉田羊さんの弁護士事務所のアシスタント。稲森いずみさんの喫茶店のバイト女性。阿部寛さんの建築事務所のキツイ経理。阿部寛さんの部下の塚本高史さんの婚約者。こんなに出す意味あったのでしょうか。

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話に絡むならわかるのですが、絡みそうで絡まない中途半端な役ばかりでした。経理の女性なんて阿部寛さんに厳しく当たる役なので、ここで一悶着あるのかなと思ったらなし。話を広げられそうなのに…。なら何故あんな特徴的なキャラで出したのか…。キャスティングがおかしなとこばかりです。

 

キャスティングで良かったことは姪の平祐奈さんと、前作から同じですが塚本高史さんは外見も演技も全く変わっておらず良かったです。

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あと無駄なキャストとは少し違うかも知れませんが、お隣さんがこの話にいる意味が全くありませんでした。

 

前作では国仲涼子さんが阿部寛さんを『ちょっと好きかも?』となる、結婚するかしないかと言う、話の根幹に関わるエピソードがあったので、結婚できない男にお隣さんがいる意味がありました。しかし、今作はお隣さんが阿部寛さんに好意を持つ持たないの話が全くないのでいる意味がないんです。

 

今回のお隣さんは前作のお約束だったから取り敢えず出しとこう感がありました。このお隣の女優さんはマスコミの記事でも叩かれていました間女優さん本人の問題だけではなく、このような設定、脚本にも大きな問題があったように思います。

 

×女子会が多い

前作と大きく違っていたのは女子会がやたら開かれたことです。前作は女性キャストの夏川結衣さん、国仲涼子さん、高島礼子さん3人が集まっての女子会は皆無でした。しかし、今作は吉田羊さん、深川麻衣さん、稲森いずみさんの女子会が頻繁に行われていました。女子会との言葉を前作の時代から違って聞くようになったので無理に入れたような感じ。

 

しかも、その女子会が阿部寛さんの隣の深川麻衣さんの部屋で行われ、そこに阿部寛さんが乗り込む展開もあり…。阿部寛さんの役どころの性格ってこんなんじゃなかったはず。そもそも1人が気楽だから独身生活を満喫しているわけで、鬱陶しい女子会なんか誰が行くかって性格のはずなんですけどね。

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△ストーリーが前回を微妙に変えているだけで目新しさがまるでない

キャスティングミスばかり触れてきましたが、肝心のストーリーはと言うと、こちらも実に微妙でした。どう微妙なのかと言うと、前作と全く同じ事をしているだけで、目新しさがまるでありませんでした。

 

偏屈な阿部寛さん、可愛いお隣さん、言い争いになる喧嘩相手の女性、その喧嘩を諫める女性、犬のブルドッグ。極めつけは阿部寛を誹謗中傷するブログの男。全部人間関係の構図同じじゃないですか…。

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結婚できない男2と言うより、結婚できない男 Ver1.1と言った感じ。もしくはウイニングイレブン2017と2018の違いでしょうか。人間関係も構図も繰り広げられる話も前作からちょっと変えただけで、同人かと思うくらい変化がないです。

 

13年ぶりの新作なのですから、この辺の設定は思い切って変えて良かったと思うのですが、まさかお隣さん、お隣さんが飼う犬まで同じとは…。なら前作でその構図の話は完成しているのでやる必要はなかったのでは…。

 

○一部良かったエピソードもある

一部良かったと言うか、個人的に好きなエピソードはいくつかありました。母親と喧嘩する話と、姪がメイド喫茶でバイトしている話です。

 

母親と喧嘩するエピソードは世界共通の普遍的な家族愛の話なので、わかりやすくて誰もが共感できる話を上手くまとめていたところが1つ。もう1つは母親役の草笛光子さんが怒っていながらも仕方ないわね的な演技が上手かったこと。

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やはり、吉田羊さんの話でも前述しましたが、この『本気で怒っていない演技』が、このコメディドラマの結婚できない男に大事なんです。寧ろそこさえ抑えておけばなんとでもなると言っても良いくらいです。あとは結婚できない頑固者、偏屈なあるあるネタを入れておけば形になるんです。

 

もう1つは姪のバイトの話。こちらも前述したように、マジメで生意気な姪が、留学費を稼ぐためによりによってメイド喫茶でバイトするという抜けた話でギャップがあって良かったんです。かわいらしさと言うか、可笑しさと言うか、バカっぽさと言うか、抜けた話は大事なんです。

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吉田羊さんは怒る演技が強すぎるのもそうなのですが、怒るところと可愛いところ、もしくは抜けているところのギャップも少なかったです。

 

総評

  1. 吉田羊さんの演技に『怒』成分が強すぎる
  2. 吉田羊さんが本当に怒っているように見えるので阿部寛さんとの掛け合いが笑えない
  3. お隣さんに魅力がない
  4. お隣さんがいる意味がない
  5. 阿部寛さんを取り巻く人間関係が前作と全く一緒で目新しさがない
  6. エピソードが前作の焼き直しレベルで目新しさがない

 

主題歌は前作がEvery Little Thingの『スイミー』で、今作がEvery Little Thingのボーカルである持田香織さんの「まだスイミー」。本人によるセルフカバーです。この時点でこのドラマの立ち位置ってわかりますよね。前述したように続編でもないです。代わり映えもしないです。Ver1.1です。人間関係も話の骨子も前作をちょっとアレンジしただけです。さすがにこれで大ヒットや絶賛はないです。これで大当たりすると思っていたとしたらさすがに考えが甘すぎます。

 

ゲームだとファンディスクと言ったところでしょうか。点数としては決して赤点の20点とか30点ではないです。物凄くつまらないわけでもないです。やっていれば見て損はないですしそこそこには面白いです。ただ、前作はコンセプトや話自体もコメディドラマとして面白かっただけに、前作と比べるとね…と残念ながらなってしまうドラマでした。

 

どうせやるならもう少し間を空けずにやった方が良かったように思います。もしくはここまで間を空けるなら、結婚しない男として面白みがある40前後の全く別の役者でやるか…。ここまで前作をちょっとだけ変える程度のドラマであるならば、逆に結婚できない女なんてのでも良かったんじゃないですかね。

 

見て損したとは思いませんでしたが、『う~ん…』と微妙な気持ちになるドラマでした。もし前作を見ていない方がいるなら、話もキャスティングもそちらの方が遙かに完成度が高いのでお勧めします。

 

こんな人にお勧め

  • 結婚できない男が好きだった人
  • コメディドラマが好きな人
  • 阿部寛が好きな人

 

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