目次
全体のあらすじ
平凡な高校生である泉新一は、ある日突然飛来してきた「パラサイト」の襲撃を受ける。間一髪で脳への寄生は免れるが、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活が始まることに―。周囲に真実を話すことができず悩んでいた新一だが、やがて新一とミギーは友情に近いものを感じるようになっていく。
しかし、新一とミギーの前には他のパラサイトが現れ始め、次々に人を殺し、また人がパラサイトを殺す事態に発展。新一の同級生・里美にも危険が迫る。その中で、高校教師として目の前に現れた田宮良子らパラサイトたちにもそれぞれの価値観が生まれ始める。 「われわれはなぜ生まれてきたのか?」
地球を壊し続ける人間たちを淘汰するために生まれてきたというパラサイトたち。そのパラサイトを殺し、生き延びようとする人間たち。「果たして生き残るべきはどちらなのか?」それでも、地球を、そして愛する人を守らなければいけない。ゆらぐ価値観の中で、新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく。
今回のあらすじ
後藤との決着がつき、本当の平穏が新一へと訪れた。ミギーからの一方的な別れに落ち込みはするものの、通常の生活を取り戻すべく受験勉強に励む新一。だがまたしても、その平穏を脅かす存在が新一と里美の前に現れる!最終話「寄生獣」。新一とミギーの奇妙な物語もついに幕を閉じる!!
原作漫画だと
- 第63話 「日常の中へ」
- 第64話 「きみ」
サブタイトルの元ネタ
サブタイトルは書籍名から取っているのですが、今回はこちら。
原作漫画との違い
インターネットで検索しているシーンの追加。
1年後に新一と村野が会うシーンに他のキャラが居る。そして季節は原作漫画の春から夏へ変更。
グロテスクなシーンカット。
今回はほぼ原作漫画通りでした。
寄生獣は名著
今回のサブタイトルは本作品名の「寄生獣」でした。今までこのアニメのサブタイトルは、古今東西の名著から取っていたわけですが、最終回はこの原作漫画のタイトルが使われました。これは、この寄生獣という漫画が、歴史に残るような名著だってことを言いたかったんでしょう。この最終回のタイトルは最初から予想していたので予想通りでした。
今回は原作に忠実
今回は原作漫画に忠実でした。気になるカットや改編は一切ありませんでした。さすがに最終回ですからね。完結していて、評価の高い原作漫画の最終回をアニメオリジナルにしたり、余計な解釈を生む追加シーンはありませんでした。ラストシーンは原作漫画読者でも少し意見が分かれたところなので、もしかしたらなにか追加したり修正するかとも思いましたが、それはありませんでした。
交通事故に気をつけろ
ミギーが眠りにつく別れ際、新一に「そんなこと(パラサイト)より交通事故に気をつけろ」と言っていましたが、パラサイトの存在ってその程度のリスクだって事ですね。人食いのパラサイトがいるにはいるのですが、そんなことより交通事故で死ぬ方が多く危険だってことです。パラサイトより怖いのは人間であることを暗に示しています。
人食いパラサイトより人間が運転する車の方が、よっぽど人を殺していて危険な存在なんです。皮肉なもんです。
ラストシーン
ラストシーンは、新一が村野を救うところで終わりましたが、ここは昔少し意見が分かれる描写だったんです。それはミギーが目覚めたのか、それとも新一の火事場の馬鹿力だったのか…です。
絵的には、村野はどう考えても手の届かない位置まで落下してしまっているのですが、これは絶望的な心象風景を大袈裟な表現で絵にしただけで、現実は手の届くところにいた。それを新一の火事場の馬鹿力で救った。ミギーが起きていない証拠に、右手のアップで何もなかったという見方が一つ。もう一つはミギーが起きて救ってくれたとの見方。これで意見が分かれるシーンだったのですが、のちの岩明均さんのQ&Aで解決しました。と、言うことで、ラストシーンではミギーが起きて村野を助けたことが確定しました。
ただ、だからと言って、ミギーは完全に起きて、また新一とミギーの生活が始まるかといえばそれは謎です。新一の尋常ならざる感情を察知して、一瞬だけ起きて村野を助けたのではないかなと個人的には思っています。あれだけ大仰にお別れをして、一生眠ったままかもと言ったのに、たった1年で起きましたでは、ミギーの別れの重みがなくなっちゃいますからね。また、ミギーが「疲れるから自分で持て」と心に語りかけるシーンも、再びすぐに眠りに入ったことを示唆していると、個人的には受け取っています。まあこればかりは誰にもわかりませんけどね。
最終回は良かった
ここ数話、申し訳ないとは思いつつも愚痴が多くなってしまいましたが、最終回は素直に良かったです。理由はいくつかあって、まずあのガチャガチャしたOPが無かったこと。もう一つはEDが最終回に合っていたこと。そしてなにより、原作漫画に忠実で丁寧に作っていたこと。やはり原作漫画が素晴らしくクオリティが高いので、アニメのクリエイターとしてはつまらない仕事になるのでしょうが、原作漫画に忠実に、そして丁寧に作れば、つまらなくなりようがないんですよね。そのことも最終回で再確認できました。それだけに、加奈が死んだあとからの手抜き感や適当感が実に勿体ないです。
また、最終回の服装を見ればわかりますが、季節は夏でしたね。驚くべき事に、アニメのスタッフに季節の概念があったんです。最初から最後までずっと冬で、しかも一冬の話にしてしまっていたので、てっきりこの世界は季節が冬しかないのかと思っていましたよ。
ラスボスは人間
この寄生獣は、当然ながらずっと人間vsパラサイトの物語を展開してきたのですが、ラスボスはパラサイトではなく、人間浦上でした。
たびたび話の中でも、パラサイトに同情的な描写があったり、人間の方が恐ろしいとの山岸や浦上の話があったりしましたが、結局最後に人間(新一)の敵になるのは人間でした。この辺の「パラサイトより人間の方が危険な存在」との描写は時折出てくるのですが、クライマックスに掛けてこの頻度が多くなり、本当に皮肉を効かせていました。
原作漫画を読んでいたときは、正直ラスボスが浦上なのは拍子抜けしたのですが、読み終わってこの話の全体像を考えると納得しました。
寄生獣=寄生虫
今更ですが、寄生獣との名前は、寄生虫から取っているのですが、なにもこれはギャグというわけではなく、本当に生態や立ち位置が寄生虫ってことなんですよね。
世の中には寄生虫が数多く存在し、その中でも宿主と共生関係にある寄生虫も数多くいます。この寄生獣に出てくるパラサイトも、この後者の人間と共生関係にある寄生虫ってことでしょう。「共に寄り添って生きる」との台詞が出てきましたが、それは、環境問題で取り上げられた人間と地球であり、新一と村野であり、そして人間とパラサイトなんでしょう。
総括
最終回は話の流れ、早さ、クオリティ共に良かったです。これくらいの原作漫画の補完や修正に止め、基本原作漫画に忠実に作り、ある程度のクオリティを保てば、絶対につまらなくなりようがないんですけどね。今回は原作漫画2話分だったので、このペースでやっていくと、およそ3クールの39話分必要になります。やはり2クールでは厳しかったみたいですね。
原作漫画を読んでいないアニメ視聴組がどうだったのかわかりませんが、原作漫画を読み込んでいるファンからすると、全体の印象としては実に「勿体ない」できだったと言わざるを得ません。勿論、原作漫画を読んでおらず、アニメから見始めて面白かった人の感想や意見を否定するわけではありません。何を面白く感じるかは、アニメでも映画でも本当に人それぞれなので、面白かったらそれで良いんです。ただ私は、怒りとかではなく、純粋に「勿体ない」できだったとの感想になります。
ここまでお付き合い頂き有り難うございました。
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