目次
あらすじ
ルナツー内へ到着したホワイトベース。だが、ブライトやアムロたちを待っていたのは、ワッケイン司令による厳罰措置であった。連邦軍の最重要機密に触れた少年たちは牢獄へと幽閉され、ガンダムや他の新兵器も封印されてしまう。一方、シャア少佐は部下とノーマルスーツでルナツーへ潜入する作戦を決行しようとしていた。
見どころ
- ホワイトベース部隊の立場
- 連邦の官僚体質
- パオロ艦長死亡
- キラキラアムロ
初登場人物
連邦軍
- ワッケイン
死亡登場人物
連邦軍
- パオロ・カシアス(サイド7戦闘時の傷が元で死亡)
ジオン軍
- マチュウ(ガンダムに撃破され死亡)
- フィックス(マゼランの爆風に巻き込まれ死亡)
初登場メカ
連邦軍
- マゼラン
- サラミス
はじめに
今回はサイド7をなんとか脱したホワイトベースが、宇宙唯一の連邦軍拠点ルナツーに逃げ込み、連邦からの指示を受け、シャア達と再び戦う話です。連邦の官僚体質や司令官の横柄な態度などに注目です。
放送内容
キラキラアムロ
今回、このガンダム始まって以来、最初の作が崩壊がやってきます。まず一番目立つのが、少女漫画のように目がキラキラするアムロです。このキラキラアムロはこの後も時たま出てきます。キラキラアムロが出てきたら、作画崩壊の回と覚えておいて差し支えありません。
また、途中で出てきたガンダムのスタイルや顔も一目で分かる程可笑しかったり、シャアザクで色が可笑しなシーンがあったり、記念すべき作画崩壊1回目でもありました。
ルナツー
アニメでは詳しく説明者されていませんが、この連邦軍軍事拠点のルナツーは、宇宙にある連邦軍唯一の拠点です。そこまで連邦はこの1年戦争の9ヶ月でジオンに圧倒されていたんです。
これは、ガンダムオタクのバイブル的ゲーム「ギレンの野望」をプレイすると、連邦が如何に追い込まれていたかの状況がよく分かります。連邦はMSが開発されるまではジオンにやられっぱなしで、戦略でどうにかなるレベルではないんです。1年戦争の状況や、各勢力がどのような選択をして戦争が進んでいったのかが手に取るように理解できるので、もしやっていない人がいたらお勧めです。と言うか、1stガンダムが好きならばやるべきゲームと言っても過言ではありません。それくらい考証がしっかりできていて、細かいところまで行き届いたゲームなんです。
このギレンの野望は、システムやグラフィックを変更しながらいくつか出ているのですが、今から買うなら一番新しい物を買えば問題ありません。それぞれ一長一短あるのですが、ストーリーは全て同じですし、新しい物はZガンダムや0083、逆襲のシャアなど、「1stガンダムのその後」までできるので、それらを捨ててわざわざ古い物を買う必要はないと思います。
ちなみにこのルナツーは、遠心重力装置で重力を作っているらしく、スペースコロニーと同じ仕組みみたいですね。円筒状の物を回転させ、その遠心力を重力に変える技術です。ブライトが発言していました。
連邦の官僚体質
横道に逸れましたが、このルナツーで連邦の旧態依然としていて、官僚主義の体質が明らかになります。ホワイトベース部隊は、正規の軍人がほとんど死亡してしまったため、致し方なく民間人を緊急登用し、シャアの襲撃を振り切り、やっとのことでルナツーへ避難してきたのですが、そこでなんと連邦から、勝手に連邦の兵器を使用したので軍事裁判に掛けると告げられます。じゃあどうしろと言うのでしょうか…。と言うか、民間人のアムロ達も軍事裁判の対象になるんですかね。まあ戦時なので、戦時特別法でも制定されているのかも知れませんが。
そしてこのルナツーの司令官ワッケインが横暴すぎてもう…。ひたすら厳しい言葉を浴びせ叱責し、ワッケインの部下は民間人の、しかも子供にまで銃を向ける始末。劇場版では、このルナツーのエピソードはほとんどカットされているので忘れていたのですが、こんなに初期から連邦の官僚体質は出ていたんですね。
ルナツーの怠慢
ルナツーは、宇宙唯一の連邦軍軍事拠点であるので、それなりに軍備はしっかりしている堅固な要塞なのですが、あっさりとシャアの乗るムサイはレーダーをかいくぐり接近でき、生身のシャア達にも侵入されてしまいます。また、停電になっただけでアムロ達を閉じ込めていた扉が開く連邦のセキュリティ。サイド7からずっと連邦のセキュリティはガバガバです。この辺りにも連邦軍の怠慢、油断、無能さが見て取れます。
そしてこのシャアの生身での潜入なのですが、できればガンダムやホワイトベースを奪うという、またしても無茶な作戦です。それを聞いていた部下は「え!?」と驚きの声を上げていて笑ってしまいました。部下からも無茶な作戦と思われていたみたいです。そして当たり前のように目立つピンクのスーツで侵入です。せめて隠密行動の時くらい、迷彩柄に変えればと思うのですがシャアはぶれません。
ワッケイン
ワッケインは劇場版とテレビ版では描かれ方が真逆です。劇場版ではこのテレビ版の横暴な部分がカットされ、ホワイトベースを心配する上官として描かれているのですが、テレビ版だけを見るとかなり嫌な上官になっていますね。
緊急避難的に民間人を登用したホワイトベース部隊を軍事裁判に掛けると脅し、民間人に銃を向けて拘束。更にシャアと戦うためにマゼランを発進させるも、シャアのトラップに引っ掛かり大破。それだけではなく、大破したマゼランがルナツーの出口を塞ぎ、他の艦も出られなくなる失態の連続でした。そもそも油断の原因は、「シャアのような名だたる戦士が、軽巡洋艦でこのルナツーに挑むわけがない」との発言からですからね。
しかしマゼランはいくらなんでも脆すぎます。手で持てる程の爆薬を通路に仕掛け、それだけでマゼラン大破ですからね。連邦が苦戦する訳も分かります。戦艦自体もの凄く弱いんですね。
前述したギレンの野望では優秀な艦長の1人なんですけどね。これは劇場版のイメージを取ったんでしょう。
ガンダムの強さの秘密
ルナツーで拘束されたアムロは、謎の宇宙食を食べながらガンダムとザクの作りや性能の違いを解説していました。アムロはもうここまで理解していたんですね。そしてそれを遠目に見るブライト。可笑しな構図でした。それにしてもこのアムロの食べていた宇宙食はなんなんでしょう。青くてとても美味しそうには見えませんが…。
また、この場面でアムロがガンダムの強さの秘密を明らかにしていました。アムロ曰く、ガンダムは戦闘の記録をコンピューターに記憶し、それを次の戦闘にフィードバックするので、ガンダムは戦えば戦う程強くなるとのこと。
この設定は今後ずっとシリーズを超えて継承していきます。ちなみに、このガンダムの戦闘データを移植したMSが、のちに開発されるジムです。ジムにはアムロとガンダムの戦闘データが利用され最適化されているので、未熟なパイロットでもそれなりに戦えるようになっているんです。ジムはやられ役のイメージが強いのですが、ガンダムとアムロの劣化コピーみたいな物なので、これが大量に投入されてしまえば、ジオンが勝てるわけないんです。
ジムのこのような部分が、ジオン軍のMSザクなどとは決定的に違う事であり、連邦がジオンに勝った理由の一つでもあります。いわゆるソフトウェアですね。ハードウェアがMSであり、MSを動かすのがソフトウェア。そのソフトウェアにガンダムの戦闘データを入れているためジオンに勝てたんです。
アムロを含めたホワイトベース部隊自体は、戦局に大きな影響を及ぼしていません。ホワイトベース部隊たった1艦で戦局を変える程の戦闘ができるわけがないので当然なのですが、一方でガンダムの戦闘データを、連邦の量産型MSに移植したからこそジオンに勝てたわけで、アムロがいたからこそ連邦が勝てたのもまた事実なんです。この辺は面白いです。
さようならパオロ艦長
ホワイトベース本来の艦長であるパオロ艦長が、今回サイド7の戦闘で受けた傷が元で死亡してしまいました。今のところ連邦軍唯一の良心だったのですが…。そしてこのパオロ艦長はカプセルに遺体を乗せて宇宙に放出する宇宙葬です。良いんでしょうかこれで。ルナツーのワッケインが引き取れば良いだけの気もするのですが…。
そしてアムロが、このパオロ艦長の宇宙葬を見て、父親を思い出し心配しているシーンもありました。
「どこに行ったんだろう…」と言っていたので、自分の戦闘でコロニーに空いた穴から宇宙へ投げ出されたことは知らないようです。のちの話と合わせて考えると、どうも自分のせいで父親が宇宙へ投げ出され、酸素欠乏症になったことは分からず終いだったみたいですね。
兎にも角にも、これでホワイトベースの艦長にはブライトが正式に就任し、ホワイトベース部隊の骨格が完全にでき上がりました。今後はこのメンバーで戦っていくことになります。
またここにも一つ面白いことがあり、パオロ艦長の遺体を見送る際、ホワイトベース部隊の誰も敬礼をしていないんです。のちにリュウやマチルダが死んだランバ・ラル戦では、ホワイトベース部隊は皆敬礼をしていたのでそれとは対照的です。これは、この頃まだ軍人である自覚や、戦争をしている自覚がなかったとの事なんでしょう。その後のランバ・ラル戦の頃には、しっかりと自分たちが軍人であることや戦争をしていることを自覚していた為敬礼をしたものと思われます。
混乱のホワイトベースが一時落ち着いた
サイド7をシャアに襲撃されてから、ホワイトベース部隊は混乱を極めたのですが、今回のルナツーでのでき事を経て、ある程度混乱から立ち直りました。連邦から正式な追求を取り敢えずされなくなり、避難民を地球に降ろすという目的ができたので、それに向かって一致団結していきます。
今までは、ただ生き残るためにどうしたらいいのかわからず、取り敢えずその場凌ぎでか頑張る状況だったため混乱を極めたのですが、今回ルナツーでワッケインが、「避難民を然るべき艦で地球に降ろす」と宣言したため、ホワイトベースはこれを履行することとなります。
総評
今回は如何に連邦が官僚主義であり無能であるかを描いた回でした。
私は連邦が好きな連邦派なので、この手の「連邦はクズ」エピソードは見ていて少し悲しくなってしまいます。ガンダム好きには連邦派とジオン派ができるのですが、このような連邦の無能を見せ付けるエピソードがしょっちゅう出てくるので、個人的な感覚ではジオン派が多いような気がします。少数派の連邦派としては、もう少し連邦の人格者を描いて欲しいものです。
こんな人にお勧め
- ロボットアニメが好きな人
- 戦争アニメが好きな人
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