アニメ全話レビュー「機動戦士ガンダム 第11話「イセリナ、恋のあと」」

あらすじ

機動戦士ガンダム

ガルマの復讐を誓うイセリナは、ホワイトベース追撃に同道した。ガンダムとガンキャノンがガウの翼に飛び乗って攻撃を開始するが、シャアのルッグン偵察機による爆撃でホワイトベースは推力を失ってしまう。その最中、ガンダムの姿を見たイセリナは、ガルマの死への怨みをこめてガウをガンダムにぶつけようとするが…。

 

見どころ

  • イセリナの死に様

 

初登場人物

ジオン軍
  • ギレン・ザビ
  • キシリア・ザビ

 

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死亡登場人物

民間人
  • イセリナ・エッシェンバッハ

 

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はじめに

今回は、イセリナが恋人ガルマの敵を取りにホワイトベースガンダムに特攻をかけます。アムロは今まで何も考えずに目の前の敵を倒してきたのですが、初めて人を殺していることを自覚しショックを受ける回です。

 

劇場版ではこのエピソードは完全にカットされているため、イセリナの生死や性格が、このテレビ版とはまるで違ってしまっています。イセリナにとってはどちらが良かったのか…。

 

また、戦争とは巻き込まれて仕方なくだろうと、正義だと思ってやっていようと、知らず知らずのうちに相手から恨まれるって話でもありました。

 

放送内容

コロニー

今回、冒頭のナレーションでコロニーについての説明がありました。それによると、円筒形のコロニーの直径は約6km、長さは30km以上とのこと。

 

ザビ家

四男ガルマが戦死したので、父デギン、長男ギレン、次男ドズル、長女キシリアが、急遽ズムシティ公王庁に揃い踏みしていました。このガンダムはザビ家の「宇宙規模の兄弟喧嘩」の側面もあり、それぞれに目指す方向や思惑が違うのですが、今回短いながらも端的にそれが表現されていました。

 

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息子ガルマの死をただ悲しみたい父デギン。折角なのでガルマの死を利用してジオンの士気を高めたい冷淡なギレン。期待し可愛がっていた弟の死を純粋に悔やむドズル。本心が分からないキシリア。四者四様でした。のちにこの4人のザビ家がそれぞれに大きく対立し、そしてジオン敗北の原因ともなっていきます。

 

今回の終盤では、ガルマの葬儀をどうするかでも喧々諤々としていて、ザビ家だけで悼むことを望む父デギン。ジオン国民の士気高揚のために国葬とすべきとのギレン。ギレンに賛成するキシリア。それよりもシャアの処分をどうするかだと息巻くドズル。冒頭より終盤に来ると更にザビ家の対立が深刻化しています。

 

この時点では一応デギンが人格者。ドズルが戦争バカ。ギレンが勝利至上主義。キシリアはギレンよりは遅れを取るものの勝利を重要視。こんな感じでしょうか。勢力的には、義を重んじるデギン、ドズルvs勝利の為なら家族の死をも利用するギレン、キシリアって感じですね。

 

シャアはザビ家への復讐を目的にしているのですが、ガルマを謀殺したことが、結果的にザビ家の関係に楔を打ち込み、ザビ家崩壊へと繋がっていくんです。

 

小娘をガウに乗せるジオン軍

前回ガルマが戦死してしまったため、イセリナはガルマの職場を訪問するのですが…何故かここで「私をガウに乗せて下さい」と言い出します。無茶苦茶です。ガルマの職場を訪問するまでは、ニューヤーク市前市長ののご令嬢であり、本人達だけで親は同意していないとは言え、婚約を交わした仲なので、不義理には出来ず部屋に通すところまではわかるのですが…。ダロタ中尉はイセリナの美しさに憧れを抱いているような描写があったので断れなかったんですかね。

 

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リュウのガンキャノン

今回はガウ3機がが相手でしたが、アムロのガンダムはともかく、リュウがガンキャノンに乗っていました。珍しいシーンです。豚に真珠。リュウにガンキャノンな気はしますが…。また、こちらも珍しいドップに乗るシャアも見られました。このドップに乗ったシャアは、ホワイトベースに爆弾を落としてエンジンにダメージを与え、航行不能にさせ、不時着するまでに追い込んでいました。ドップでそれが出来るなら、何故今までザクで出来なかったのかと言いたい気持ちは若干ありますが、さすがにパイロットとしての腕は一流です。

 

そして最近多いガンダムの空中戦ですが、またしても無茶な戦いをしていました。ホワイトベースから発進したガンダムガンキャノンなのですが、なんとそのままガウの翼に飛び乗る離れ業。ガウホワイトベースはお互い向かい合っているので、仮にお互い時速200km同士だとしたら、すれ違うときは400kmの速度が出ていることになるので、その速度ですれ違うような物体に取り付くのは限りなく不可能な気がします。

 

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更にアムロはガンダムのビームジャベリンで、そのガウをさくさくっと真っ二つに…。ガウ脆すぎるのか、ビームジャベリンが強すぎるのか。

 

シャアはこの時ドップで出撃し、ガウを一生懸命援護しているように見えますが、実は今回もガウを見捨てるつもりだったんです。最後にシャアが言うので分かるのですが、ザクで出られたんです。しかしガルマの部隊に生き残られては、自分の謀殺が露見する可能性があるため、戦力になるザクでは出なかったんです。最後にドレンに「ザクは電気系統がボロボロで出撃出来なかったことにしておいてくれ」と言っていました。

 

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またも揉める連邦

そんな激しい戦いの最中、またしても駄目な連邦情報が…。ホワイトベースが攻撃を受けているにも関わらず参謀本部が揉めていて身動きが取れないとの入電。以前のマチルダの補給でも問題になっているとか。富野監督は本当に体制側嫌いですね。

 

避難民の保護終了

以前、我が儘放題の避難民を降ろしはしましたが、全ての避難民が降りたわけではなく、まだホワイトベース内に残っていたのですが、これで本当にホワイトベースから避難民は全ていなくなりました。最後の最後にまたホワイトベースの事情を考慮せずに我が儘をしましたが…。

 

無理矢理降りた避難民達ですが、その先のあの赤い奴が…。相変わらず隠密作戦でもぶれることなく、真っ赤でど派手な服を着るシャア。そりゃあ見付かるでしょと。と言うかお爺さんの避難民にすら見付かるシャアって…。

 

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その避難民達ですが、本当に今回で全員降ろしました。これでホワイトベースの一つの目的である「避難民を安全な場所に降ろすこと」が終わりました。残る目的は、「ホワイトベースガンダムを連邦軍本拠地ジャブローへ無事送り届けること」です。

 

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イセリナの死とアムロ

イセリナの死に方はいくつか興味深いところがありました。

 

恋人のガルマは前回、ホワイトベースに撃墜される寸前のガウで特攻をかけて戦死したのですが、今回のイセリナも皮肉なことに、ガルマと全く同じような状況でガウを特攻させて死んでしまいました。

 

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また、かろうじて息があったイセリナは、ガルマの敵を討つため、ガンダムの修理で外に出てきていたアムロに銃口を向け、「ガルマ様の敵!」と言うのですが、思いは遂げられず、その後すぐ息絶えてしまいました。しかしこの「ガルマ様の敵」との言葉を聞いたアムロは、「自分が誰だか知らない人にいつの間にか恨まれていること」に衝撃を受けます。

 

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更に深いのが、アムロはこの女性イセリナの名前も知らず、またイセリナが言っていたガルマのことも知らないんです。知らないどころか顔も見たこともなく、喋ったこともなく、存在すら知らないんです。ところがそんな誰だか知らない相手から、何が何だか理由も分からず命を掛けて殺しに来る程恨まれている。これはもの凄い衝撃だと思います。でも戦争ってこういう連鎖があるんでしょうね。

 

アムロは戦争に巻き込まれたとは言え、目の前の敵を機械的に何も考えず撃破してきましたが、そのMSや戦艦には当然人が乗っていて殺していること。そして当然その殺した相手には恋人や家族がいること。その残された者達はアムロを恨むこと。これらのことがイセリナの「ガルマ様の敵」のたった一言で、アムロは全て理解してしまい、今後どんどん鬱状態に陥っていきます。

 

このたった一言でアムロが全てのことを理解し苦しむ描写は感心します。長々と説明すれば誰にでもわかるのですが、たった一言で何百文字にも相当する情報量を詰め込んでいるんです。

 

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おわりに

今回は格好良いMS同士の戦闘もなければ、シャアもザクでは出撃せずドップに乗る地味な回だったのですが、戦争に関わった人同士で、のいつの間にか出来てしまう怨みの連鎖を表現した映画的な回でした。戦争は当然人を殺すのですから、怨み恨まれの連鎖が出来るのですが、それが自分の与り知らぬところでどんどん広がり繋がっていく、ある意味恐怖を感じる話です。

 

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