今回レビューするのは、海外ドラマの『デッド・ゾーン』です。
それでは早速レビューを書いていきたいと思います。
ちなみに、未読の人が知らない方が良いネタバレについては、このようにオレンジ色のマーカーで、ネタバレの始まりと終わりを注意します。重要なことを強調する黄色のマーカーとは別なのでご注意ください。
目次
あらすじ
小さな町の教師ジョニー・スミスは自動車事故に巻き込まれ、6年間も昏睡状態になった。昏睡から目覚めた後、ジョニーは人物や物に触れることによってその人や物の過去と未来の映像が見えてしまうようになる。ジョニーの担当医たちは、事故によって損傷した脳の機能を補おうとして働きだしたそれまで使われていなかった脳の領域「デッド・ゾーン」に起因する映像であると推測した。ジョニーの事故の後、婚約者のサラが彼の息子を出産していたが、すでに他の男性と結婚してしまっていたことをジョニーは知る。
サラとサラの夫ウォルト、理学療法士ブルースの助けを得て、ジョニーは超能力を駆使して犯罪を解決し始める。しかし、未来の上院議員候補グレッグ・スティルソンの選挙に続いて引き起こされる終末的なでき事の断片的なビジョンを得たことによって、彼の善意の行動の試みは理解しがたいものになる。
長所と短所
- ○人に触れるとその人の過去や未来が見えるサイコメトリー能力が面白い
- ◎断片的にしか見えないからこその推理が面白い
- ○怪しい人として警戒されて協力してくれないからこその障害が面白い
- ×最後は打ち切りで尻すぼみ
感想
レンタル店から絶滅しそうだった
デッド・ゾーンは昔全部見たのですが、物凄く大好きな海外ドラマでした。しかし、海外ドラマはどれも同じ傾向がありますが、シーズンが6も7も続くので、手元に置くために購入する、またはレンタルで集めるのは中々骨が折れます。なのでずーっと放置状態でした。ただ、いつかは全部揃えようとは思っていたんです。
先日そろそろ全部集めようかなと思い、近所のゲオ4店に行ったのですがどこもありませんでした。そのうち1店は数ヶ月前にはあることを確認していたのにです。つまり、この数ヶ月の間にこの店からはデッド・ゾーンが処分されたって事です。
このままだとデッド・ゾーンが絶滅しそうだと思ったので、先日ゲオ宅配レンタルで全巻をレンタルしました。そこで、折角なのでデッド・ゾーンの魅力を書いていきたいと思います。
6年の昏睡状態から目覚めたらサイコメトリー能力が発現
基本的なストーリーは、交通事故で6年の昏睡状態だった主人公『ジョニー・スミス』(アンソニー・マイケル・ホール)が目覚めると、人に触るとその人の未来や過去が見えてしまうサイコメトリー能力が発現。このサイコメトリーを駆使し、この後大事故に遭ったり、死んでしまうような人の運命を救う…との流れが基本となります。
よく言われることですが、アメリカの物語は努力とかすっ飛ばし、いきなり主人公にヒーロー的特殊能力が目覚めることが多いです。このデッド・ゾーンもそうですし、スパイダーマンも蜘蛛に刺されただけでした。
バッドマン、アイアンマンはお金持ちが科学力を駆使して…って話ですよね。逆に日本の物語は、ドラゴンボールや北斗の拳、キン肉マンなど、努力、修行して強くなる主人公が多いです。このあたり、国民性や好みが如実に表れている気がします。
主な登場人物
大まかなストーリーを説明したところで、次に主な登場人物を紹介したいと思います。
まずはサイコメトリー能力を持つ、交通事故で6年間昏睡状態だった主人公のジョニー・スミス。
昏睡前に付き合っていた彼女で、今は既婚子持ちのサラ・ブラックネル・バナーマン。
サラの夫で保安官であり、ジョニーの友人でもあるウォルト・バナーマン保安官。
ジョニーのリハビリ担当で、その後相棒となるブルース・ルイス。
ジョニーの亡き母と生前親しく、ジョニーの後見人でもあるジーン・パーディー牧師。
将来のアメリカ大統領となり、世界を滅ぼすビジョンがジョニーに見えたグレッグ・スティルソン議員。
これらの人物を中心に物語は進んでいきます。
困難があるからこそ面白い
素晴らしい能力のサイコメトリーを獲得した主人公のジョニーですが、「私は触れると人の過去や未来が見えます」と言ったところで信用してもらえません。
時には詐欺師呼ばわりされて迫害もされます。しかし、目の前の人がこのあと放っておいたら死ぬと分かってしまった以上、ジョニーは放っておけません。相手に怪しまれ、煙たがられながらも、最後はその人を救い、そして感謝される。こんな話が多いです。
私もそうですが、映画やドラマ、アニメや漫画にに感情移入する方だと、この過程が気持ち良いんです。救おうとしてるのになんでわかってくれないんだよ。邪険にされてもどかしい。それでも損得抜きにして必死で運命を変えるために頑張るジョニー。最後は救って感謝されて報われた。この流れが実に見ていて爽快です。
ジョニーのサイコメトリー能力は完璧ではありません。見たいときに見られなかったり、逆に見たくないときに偶然触れて見てしまったり。また、全てが見えるわけではなく、断片的に見えたり、時間が飛び飛びで見えたり…。つまり、パズルのピースのいくつかが必ず抜けているんです。
相手に触れてこの後死ぬことが分かっていたとしても、じゃあいつどこでどうやって…などが抜けていてわからないことが多いんです。そこで、ジョニーや仲間、時には見てしまった人と協力しながら、その抜けたパズルのピースを推理し、時には大ばくちに出たりして困難を乗り越えます。
この辺りは視聴者も断片的にしかパズルのピースを見せられていないので、ジョニーと一緒になって、「あの部分はどうなんだ?」などとシンクロしながら見ることができます。これがまた没入感を深める重要な要素になっていて、ガッツリ画面に集中してしまうんです。
サイコメトリーの描写がユニーク
主人公のジョニーは、人や物に触るとその人の過去や未来が見えてしまうことは前述しましたが、この見せ方が面白いんです。ただ傍観者としてその人の人生を見るだけではなく、時にはその人物にシンクロしてしまいます。これが実にユニークで、例えばこれから事故で死ぬ人、殺される人に重なってしまうとどうなるか…。ジョニーが事故で死ぬ、殺される感覚をそのまま味わってしまうんです。
また逆に、殺す側の殺人者をサイコメトリーしてしまうと、自分が殺人者と重なってしまうことも…。そうなると、今度は逆に殺人者の狂気や、人を殺す自分がリアルに感じられてしまいます。そこでジョニーはちょっとおかしくなったり、苦痛や恐怖で叫んで周りの人から変人扱いされたり…。
これも前述した困難の1つで、これを乗り越えて事件を解決していくことになるのですが、これもまた面白いんです。周りの人はジョニーがなにを見てきたのかわかりませんからね。事件を解決すると変人扱いから一気にヒーローになりますが、それまでは基本変人扱いです。
運命はジグソーパズル
サイコメトリーで未来の運命を見たとして…そして最悪の運命だとして…それを回避するのは一筋縄ではいきません。仮に未来にその人が事故に遭うビジョンを見たとして、じゃあその人のその時だけの行動を制限すれば丸く収まるのかと言えばそうではありません。
劇中にも「運命はジグソーパズルのようなもの」とセリフで出てきましたが、1つの運命を変えると、新たな運命がまた発生し、その運命でも上手く行かない…なんてこともあります。前述の件だと、事故に遭うのを回避しても、回避した先でまた違う事故に遭ったり、殺されたり、はたまた別の人が事故に遭ってしまったり…。なので、1つだけ運命を回避すれば良いのかと言うとそうではないんです。
最悪の運命を回避したら、その先でやっぱりまた最悪の運命があった、別の人が死んじゃった。今度はそっちの運命を変えるために右往左往。こんな展開も多く、一筋縄ではいかない話ばかりです。この複雑さがたまりません。
いくつかエピソードを紹介
最後に具体的にいくつかこのデッド・ゾーンのエピソードを紹介します。
ある日、ジョニーがサラとその子供と街へ出かけたとき、偶然銀行強盗が起こることをビジョンで見てしまいます。銀行強盗は既に起こってしまっていたのですが、人質にされたサラを救うため、その場へ自ら乗り込み、最悪の事態を避けようと奮闘します。
サラが銃の暴発で撃たれたビジョンを見たら、その暴発を防ぐため取り押さえにかかる警備員を制止したり、鎮圧に来た保安官達との銃撃戦のビジョンを見たら、それを防ぐため、犯人を外に出さないように上手く誘導したり…。このように細かくビジョンを見ては、最悪の運命を1つ1つ回避していきます。
また、こんな話もありました。家出少女をサイコメトリーを使い、探し出したジョニーですが、危険な男に終われているため、今度はその少女と逃亡することになります。
逃亡も物や人を触り、少し先の未来を見て対策していきます。ここにいたら数分で奴が来るから、ここにいてはいけない…とか、こっちに行ったら捕まるからあっちに行こうとか、サイコメトリーを駆使して逃亡します。
この他、超能力者なんてうさんくさい、だから信じて貰えないどころか、殺人犯の容疑者にされてしまったり、サイコメトラーならではの話がありますし、それをサイコメトラーならではの方法で切り抜けていく話がたくさんあります。
最後は打ち切りで残念
海外ドラマではもはや定番ですが、人気がある限りとにかく続け、人気が落ちてきたら適当に物語を畳んじゃいますよね。このデッド・ゾーンもそれに該当します。海外ドラマは質が高く面白い物が多いのですが、この部分だけは明らかに欠点です。
ここから重要なネタバレが含まれるので、これから見ようと思って居る方は、次のオレンジ色のマーカーまで飛ばしてください。
デッド・ゾーンは基本的に1話完結物なのですが、その話とは別に縦軸として1本大きなストーリーがずっと続いていきます。
ジョニーが偶然国会議員をサイコメトリーしてしまうのですが、この人物が後のアメリカ大統領であり、なおかつ世界を滅ぼすビジョンを見てしまうんです。
1話完結の話とは別に、この大統領の運命をなんとか変えようとするのですが、この肝心の縦軸の話がうやむやなまま終わってしまったんです。海外ドラマの性質から言って、そうなりそうだなとは思っていたんですけどね…。
ネタバレはここまでです。
総評
Season1は2002年放送なので、もう16年前の古いドラマです。多分Blu-rayもありません。しかしかろうじて16:9の映像ですし、ネタ的には古今東西変わらず人気のある超能力ネタなので、古さはあまり感じないかなと思います。
デッド・ゾーンは前述もしたように、サイコメトラーのジョニーが、損得抜きにして他人を救う話です。時には嫌な奴も出てきますが、そいつも救っちゃいます。なので、その嫌な奴も最後はジョニーを認めて有り難うと感謝します。
基本的に良いことをし、感謝され、めでたしめでたしのお話です。心が洗われる、救われる話が多いので、見て気分が良くなりたい、スッキリしたい方にはうってつけのドラマです。また、当然ですが超能力主体のドラマなので、超能力物が好きな方は是非見てみてください。
こんな人にお勧め
- 超能力物が好きな人
- 推理物が好きな人
- 善人のドラマが好きな人
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